カテゴリー「映画・テレビ」の記事

2012.05.10

映画『テルマエ・ロマエ』を観る

封切りになってから観に行くのを楽しみにしていました。
GWは混むでしょうし、いろいろな予定があるのでそのうち、、、と思っていました。しかし、narkejpさんのブログで「映画テルマエ・ロマエを観る」の記事を読んで、なるべく速く行きたいとの気持ちが高まってしまいました。

Photo今週末は横浜で学会。今日木曜は半ドンなので、1510からの回を観に行くことに急遽決定。
イオンシネマ「三川」は久しぶりでしたが、平日の午後、人気映画ですがガラガラに近い状態でゆったり座って楽しめました。
ストーリーは原作がマンガなので荒唐無稽の一言。しかし、古代ローマの実在の皇帝ハドリアヌス帝やアントニヌス帝が出て来て、しかも主人公の大浴場設計技師ルシウス以下、「濃い顔」の日本人役者さんオンパレード。

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2010.08.02

「鶴岡まちなかキネマ」で映画を観る

昨日は地区医師会のゴルフで、この暑い中を湯野浜カントリーで遊んできました。
しかし、スコアがどうのこうのという状態ではなく、とにかく暑さと多量の汗、疲労とどう戦うかで終わった印象。それでも普段の運動不足を少しはおぎなったとは言えるでしょう。

Photo_14午後4時過ぎに自宅に戻り、少し休んでワイフと出かけたのは5月に鶴岡市内に8年振りの映画館再興となった「まちなかキネマ」。
お目当ては封切り後観たい観たいと待ち望んでいた「必死剣 鳥刺し」。

Photo_4Photo_5この建物は、昭和初期に鶴岡で栄えた絹織物産の工場で、近代産業遺産ともいうべき工場跡。一本杉材の梁など建築学的にも貴重な資料になる様な建物のようです。


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2010.03.07

『花のあと』を観る

全国ロードショーは、3/13からという映画『花のあと』を3/7日曜の午後、観てきました。
Photoこれまでの藤沢作品の映画化を知っているだけに、なるべく過剰な期待はしないように、あまり下調べもせず淡々と観るつもりでイオンシネマ三川に行ってきました。
(日曜とはいえなかなかの盛況。一つ前の回が終わった直後、ちょっと驚くくらいの人が出てきました)

いい映画でした。

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2009.10.09

『今夜はなまらナイト』

ちょっと間にあうかどうか不安ですが。

今晩、NHKで『今夜はなまらナイト』という番組があります。19:30〜20:43ということですから、1時間以上の番組です。先日、NHK山形放送局が作成したドラマ『スキップ』よりも放送時間が長いではないですか?!

番組HPは、「こちら」です。
ただし!放送は「山形県域のみ」限定です。残念!
全国はおろか、他の東北地方でも放送されないのです。。。(;;)

一度だったか、全国放送枠で出たことがあります。結構な反響でした。
山形人の、山形人による、山形人のための、方言丸出し番組です。普段、真面目な顔をして「それでは、ニュースをお伝えします、、、」とクールなアナウンサーを演じているNHK山形放送局の人たちが、「んだらよ〜、まずはニュースば、しゃべっけなっす、、、」という感じで山形弁で話しまくります。

残念ながら、山形の内陸中心なんだず。いわゆる「ず〜ず〜弁」ったな。
山形は、庄内、最上、村山、置賜の4地方に分かれ、文化も言葉も違います。それでも、村山や最上は似ているところがありますが、庄内となると出羽三山を越えなければならなかったせいか、かなり違うんです。
同じ山形でもこちら庄内では、「ず〜ず〜」喋る人は一人もいません。
皆、「の〜の〜」と言っています。
「んだのぉ」「せばの」と言う感じ。だから拙クリニックの音楽ホールの名前も『ジョンダーノ・ホール』なんですのぉ。

この「の〜の〜」言う感じは、映画『おくりびと』や『たそがれ清兵衛』や『武士の一分』などの世界です。モックンも「の〜の〜」言ってましたかの。

番組HPには、「んだ辞典」と言って、山形弁変換辞典まで出来てしまいました。ちょっと前までは、内陸弁中心だったのですが、庄内弁を含む4地域それぞれの辞典が出来ています。
「んだ辞典」庄内版をご覧下さい。
しかも!この辞典、喋るんです。

山形在住でこの時間にテレビを観れる方は、是非観てください!
もとい、観てけろず〜、または、観てけらっしゃい!
庄内だば、観てけろの〜!だのぉ。

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2008.09.15

「美味いんだな、、、困った事に、、、」

9/13(土)、映画『おくりびと』の封切りの日に観て来ました。
これからご覧になる予定の方のためになるべく「ネタバレ」にならないように注意して書くつもりですが、予備知識なしでご覧になりたい方は読まない事をお勧めします。

監督の滝田さんも、脚本の小山薫堂さんも山形や庄内には縁のない方のはず(売れっ子放送作家の小山氏は2009年度から山形市にある東北芸術工科大学(通称「芸工大」)の学科長に就任するらしいが、「おくりびと」の脚本を執筆したのは確か2006年であり、その時点で山形で仕事をすると言う発想はなかったはず)だが、まるで「庄内に捧げるオマージュ」のような映画でした。
酒田に、庄内に住む者にとって特別な作品ですね。

私の大好きな鳥海山(最近は余り写真出していませんが、例えば「この記事」をご覧ください)、白鳥、酒田をはじめとする多くの庄内ロケ、山形交響楽団、音楽監督の飯森範親氏、酒田の第九を歌う会のメンバー(地元のアマチュア合唱団の人々)、山響FCの面々(観客役のエキストラ)、そして愛する酒フィル。
この映画作品の本質と関係のない部分もありますが、やはり山形の、庄内の景色、特に鳥海山や月山の風景、そして冬の「地吹雪」は内容や主人公の心の動きを描出する上でも大事な役割を果たしています。

映画の中身は、「納棺士」という聞き慣れない、特殊な仕事の話が中心ですが、笑いあり、涙あり、感動ありで、2時間があっという間でした。人の死を見つめる中で、主人公のモックンこと本木雅弘と味のある演技の山崎努とのやりとりには大変考えさせられました。
「死とは何か?」とか「生とはなんぞや?」というような議論をする訳ではなく、仕事として人の死体を扱いながら自分は「生物(いきもの)を食べて生きている」という点を観客に問いかけるようなシーンがたくさんありました。
故伊丹十三監督の「タンポポ」という映画を強く思い起こさせるシーンがたくさんありました。フライドチキンにかぶりつきまくるシーンなどは、観客から笑いも洩れましたが私は「タンポポ」に出て来た数多くの「食べることにこだわる」配役をいろいろ思い出していました。
山崎努が、ふぐの白子を食べながら「美味いんだな、、、困った事に、、、」といったその言葉は、「食いしん坊」である私の心に響きました。「死にたくなけりゃ喰うしかない。どうせ喰うなら美味い方がいい!」というのです。

ああ!そういえば映画『タンポポ』で、主役のタンポポ(宮本信子)に旨いラーメンの作り方を教える役も山崎努でした。生きている人間は食べる、生きている人間は死んだ人間を悼む、関わった人間は死体(遺体)の周りで様々な感情を持つ、といった当たり前のことを映画のスクリーンで突きつけられ、感動しただけではなくたくさん考えさせられることがありました。

開業医となった今、人の死に立ち会う機会はめっきり減りました。
大学病院や市中病院の脳外科医として働いていた時には、交通外傷の緊急患者さん(DOAも多かった)、重症脳卒中で手術も出来ない人、手術はしたが結果が芳しくない人、脳幹梗塞で何度もの危機を乗り越え気管切開をしたままだが意識は清明でリハビリを始めていた方の深夜の急変、、いろいろな人の死を思い出します。医師として数多くの人の臨終に立ち会い、死を看取って来ました。不幸にして亡くなられた方はご家族や葬祭業者さんが車で自宅に連れて帰ります。その際、病棟からストレッチャーに載せて死亡退院の方が出て行かれるところまで見送ります。夜中でも、休日でも、自分が脳外科の当番であれば、死を看取り宣告し死亡診断書を書いて最後のお別れをするのは、医師としての仕事でありまた儀式でもありますが、亡くなられた方に対する医療者としての「礼」です。時間帯によっては、病棟婦長(看護師長)、担当看護師、医師など2,3名から多い時には5,6名で死亡退院口まで送りますが、私は患者さん(すでにご遺体ですが)のストレッチャーを必ず引くなり、押すなりして自分の手で運びました。そして車に載せる時も葬祭業者さんがご遺体を載せるのを手伝い、車が去って行くのを頭を下げて見送りました。かっこいいことを言うようで恥ずかしいのですが、たとえ人間の手ではどうしようもない状態の人であっても、自分には助けられなかったという事実から目をそらさず黙祷を捧げ少しでも力のある医師になるよう努力する事を誓っていました。
職業柄、人の死に直面する事は少なくなかったので、患者さんが亡くなる度にいちいち強いショックを受けたりはしませんでした(すぐに次の仕事がある訳ですから)し、死体を恐いとか穢らわしいなどと思った事は一度もありませんでした。しかし、この映画を観て、一般の方にとっては「肉親の死」は特別な事であり、他人の死は「無関係」で忌み嫌い避けたい事である普通の感覚を見せられて、自分は「人の死」に対しては一般の方とは違った経験をし違った感覚を持っている事を気づかされました。

その上で、この映画をもう一度思い出してみると、ありきたりな表現かもしれませんが人の死を通して人の生を描いている作品だと思いました。脚本が良く出来ていて、庄内のロケを中心とする映像が美しく、モントリオール国際映画祭でグランプリを取ったのも当然という映画だと思います。

是非是非、映画「おくりびと」、ご覧ください!
エンドロールに、数多くの出演者の中に混じって飯森範親氏、山形交響楽団とともに「合唱指導 関矢 順」(いままでこのブログで何度も書いている歌のS先生のこと)、そして「酒田フィルハーモニー管弦楽団」と出ているのを見逃さないでくださいね!

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2008.09.12

講演と映画週間

来週、非公開の講演があるため、その準備をしていたこともありブログ記事のアップを怠りました。
「めまいについて〜その診断と治療」というタイトルでPowerpointを使って分かりやすくお話しする予定。

再来週には、公開の講演を鶴岡の金浄寺というお寺さんで行います。
タイトルは『脳からみたこころの癒し方』。
少々大上段に構え過ぎですが、主催者のお寺さんが「このタイトルで」とのご希望でしたので従いました。ちょっとだけフルートも演奏して、真面目に医学的に脳科学の面から「こころ」のお話をする予定。金浄寺さんでは、これまでにも数多くの講演会とバロックを中心としたコンサートを無料で行っておられます。結構有名なチェンバロ奏者、リコーダー奏者なども演奏されたことがあるようです。
(このお寺での講演日が9/23で、今年の酒田フィル定期演奏会の第1回指揮者練習&第1回本番ソリスト合わせ練習の日でもあり、さらにホルンのバボちゃんの遊佐でのコンサートの日でもあり、朝から晩まで大忙しになりそうです)

さて、それ以外に、細々と多忙だった事、記事にするようなイベントがなかったこともありまして、4日もブログを更新しないでいると離れて暮らす家族から「忙しいのかな?」とメールが来たりします。どんな事でもちょくちょくと記事をアップしていれば「健康で元気に暮らしている」というメッセージになるものなのですね。


昨日は、1〜2週に1回くらいの疎なペースで行っているスポーツクラブがお休みだったので、普段の運動不足を解消するため、クリニックの近く(というより真正面)のゴルフ練習場に行きました。実は、目の前にあるのだから足繁く通うことになるかも、と思って、3月に半年分の練習打席会員券を購入してしまったのですが、昔ほどゴルフ熱がないせいもあって、「半年間または30回分有効」のチケットをまだ2回しか使っていないのでした。あと28回分も残っているのに、期限は10日ほどしかなく、全部使い切れない事は明白。ちょっともったいなかったな〜。。。

久しぶりのゴルフ練習では、250球打っただけで普段使っていない筋肉がギシギシと痛みます。ゴルフって、一般には「オヤジの球転がし」とか「お金持ちのお遊び」と思われる向きもあるかもしれませんが、ドライバー(1番ウッドともいいます)で220~250ヤードくらい飛ばすためには安定したフォームとそれなりの強い筋肉が必要です。さらにコースに出れば18ホールで最短距離で7000ヤードくらいなので、カート(電動の小さな自動車です)に乗らなければ8000m以上歩くことになると思います。万歩計を付けて歩けばおそらく10000歩を超えるはずです。もう少し時間を作って、月に1回くらいはゴルフに出かけるのも健康のためにいいのかもしれません。

ーーー

さて、映画の事。
今週土曜日、ついに『おくりびと』が一般公開されます。大変楽しみです。
なんとなく頭が映画モードになっていたせいもあり、急に『崖の上のポニョ』が観たくなって三川のイオンシネマに夜出かけました。封切りして時間が経った事と平日の夜だからだと思いますが、7つあるシネマコンプレックスの劇場の中で2番目に広い303席の劇場に、我々夫婦を含めて10人くらいと「ガラガラ」の状態でした。
あの、「ポ〜ニョ、ポ〜ニョ、ポニョ♪」という歌を知らない日本人はいないのではないかと思うくらい有名な女の子の歌。映画の最初は美しいソプラノの歌で始まったので少し驚き。映画の内容はネタバレになるので避けますが、なんとも言えない素朴で美しい世界、「なんで?」「どうして?」などと考えては行けないファンタジーの世界でした。帰り道、家内と話した事は「映画のはじめのソプラノの歌は、大変美しい声で音程もさすがプロ!という感じなのに、何を歌ったのか心に残っていないのはなぜ?あの女の子の「ポ〜ニョポ〜ニョポニョ」は強烈にこころに残り、しかも感動すら覚えるのに、、、音楽というのは、上手ければ、美しければ、人の心に届くというものではないんだ〜、やはり。。。」ということ。

土曜日の「おくりびと」は混むかもしれないと思い予約してきました。夜は余裕があるのか、真ん中の真ん中あたりの席を確保。ということでプチ「映画週間」になりました。
Photo映画館で「おくりびと」のチラシを発見。(鞄の中で少しくしゃくしゃになっちゃいました)(^^;;;
「庄内地域ロケ地マップ」というもので、酒田、鶴岡、遊佐、余目など、映画のロケ地の写真と地図が載っています。自分の住む町の日常に近い場所が、非日常の映画の世界になるのは不思議な気持ちがします。
BPhoto_2ちょっと見にくいですが左のように7カ所のロケ地が紹介されています。上の写真の、主人公が鳥海山をバックにチェロを弾くシーン(ま、ふつうチェロ奏者がこんなことはしないですけどね)は遊佐町で撮影。何度か話題にした「希望ホール」での「最後の演奏会」のシーンが右側の写真。小さくて、光の当たり方も悪くてみにくいでしょうが、主人公役のモッくんがチェロを弾く手前は、山響チェロのWさん、向こう側はビオラのらびおさんことKさんです。みな、ばっちり映っていますね。

藤沢周平原作の一連の映画(「武士の一分」や「隠し剣鬼の爪」、「山桜」などなど)は時代背景が江戸時代なので、ロケ地が酒田でも遊佐でもやはり非日常です。10月公開予定の「ICHI〜女座頭市」(綾瀬はるかが主役)も庄内でロケをしていますが、やはり非日常の世界が描かれています。「おくりびと」に出てくるいろいろな場面を、合唱やオケのエキストラで出演している友人、知人を、「あ!あそこだ!」「あ!あの人だ!」と思いながら観るのか、後から思い出しながら考えるのか、、、できれば映画に没頭したいと思います。

土曜がお休みの方には「三連休」の世の中ですが、私は土曜はお仕事。
日曜は家内のチェンバロの先生のコンサートが新潟の加茂市であるので、えっちらほっちら(表現が古い?)お出かけです。チェンバロ奏者八百板正巳「今後の演奏予定」をご参照ください。


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2008.09.02

映画「おくりびと」

9/13(土)全国ロードショーに弾みをつけるニュースが飛び込んできました。
第32回モントリオール世界映画祭グランプリを本日受賞したそうです。
パチパチパチ!

以前も触れましたが、この映画(出演:本木雅弘、広末涼子、山崎力ほか)は庄内、主に酒田を舞台にしています。主人公のモックンが在京オケの解散に伴って実家の酒田に戻って「納棺師」という仕事につき、人の死を見送りながら優しい人たちに囲まれて生きて行くという話です(たぶん)。

オケの最後の演奏会が収録されたのが、酒田市民会館希望ホール。
出演は飯森範親指揮、山形交響楽団、そして酒田や山形の合唱団。演奏は『第九』です。
試写会を見た人の話では、飯森さんのどアップがあるそうです。山響団員も結構はっきり写っています。
合唱団員もちょっとだけ大写しがあって誰が出ているのかわかるそうです。

そして、平成19年5月の中央ヨーロッパの旅の前々日だったためやむなく諦めた酒田フィルとしてのエキストラ出演場面も、希望ホールの練習室での「解散式」のシーンでちゃんと写っています。エキストラ出演の時間が何時から何時までと決まっていれば、成田に向かう前々日(横浜に寄る前日)でも無理して酒田まで行ったのですが(当時はまだ山形市に住んでいました)、「一日中になるかも、、、」と言われて二の足を踏みました。
時間にすれば一瞬でしょうが、オケの団員らしい顔をして、解散式に臨むメンバーとして銀幕デビューできたのに。。。まあ、裏話になる訳ですが、演奏したのは山響団員。つまりれっきとしたプロ。解散式の収録のために2日もプロを拘束出来ないという事で、山響団員の燕尾服などをお借りして酒フィル団員がエキストラ出演した訳です。

「おくりびと」の公式HP
http://www.okuribito.jp/
のトップページで映画のいくつかのカットを流しています。
飯森さんのどアップ、山響団員、合唱団、そして解散式の酒フィル団員。

画面は小さいのですが一時停止しながら見るとわかりますよ!
「グランプリ」受賞、おめでとうございます!
もっけだ!

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2005.03.02

「救命病棟24時」を批判する

 始まった当初は、着眼点や設定、医療的な専門家による監修も結構しっかりしていると、感心して見ていた。医師の一人として参考になる点もあった。
しかし、昨日3/1放送分にはいただけないシナリオが2つあった。「テレビ番組なんだから」と笑って無視してもいいのだがblogのネタにさせていただく。
第8回「神の手はあきらめない」というタイトルだったらしい。
「神の手」ってなんだ!?江口洋介扮する進藤医師のことらしい。「天才外科医」なのだそうだ。救命救急医じゃなかったんだ〜!
 心停止状態で搬入された高齢の女性に心臓マッサージなどの蘇生を試みたが心拍が再開せず、それ以上の蘇生措置を諦めようとしていた他の医師たちに対し、駆けつけるや否や、
(進藤)「体温は?」、(看護師)「28度です」、(進藤)「低体温だ!蘇生を続ければ回復する可能性がある」
といって心臓マッサージを続け結果心拍再開し体温も戻し自発呼吸がでて最終的には意識も戻る、という目出度い話しではあった。進藤はヒーローだ。「神の手」は「諦めなかった」から「奇跡が起こった」という話しである。がしかし、だ。
最初に蘇生していた医師や看護師は低体温に気付かなかった「間抜け」扱いでいいのか?
患者の身体に触れば体温28度なら「冷たい」と気付くのが普通である。誰も気付かなかったとすれば「間抜け」である。救急医をやっている資格はない。それから救急に搬入された患者は、血圧、脈拍、呼吸回数、体温といういわゆるバイタルサインをチェックし記録する。だれもそれをしなかったのか、、、、低体温と小児の場合は簡単に蘇生を諦めてはいけないのは常識であるが彼らはそんなことも知らない無能な医師として描かれているのだ。不快に感じる。「神の手」が「奇跡」を起こすことと「普通の医師」が疲れて無気力になりかけているのを描くためであろうが、医師という職業を愚弄しているとさえ感じられ腹が立った。

更に、腹部大動脈瘤破裂の患者が4時間前からその徴候があった、と進藤が指摘するシーン。夜中に「腰が痛い」と訴える患者にたいし、看護師たちが松嶋菜々子扮する小島楓医師を気遣って起こさずに看護師だけの判断で鎮痛剤の座薬をいれてごまかし、その後、大動脈破裂の強い症状が出て、進藤と小島がその場で緊急開腹手術、さらには開胸手術までやって奇跡的に患者を助けてしまう。「神の手」の面目躍如である。
がしかし、だ。
何らかの原因による身体の痛みに対して座薬を使うかどうか、これは医療行為であり、判断し指示するのは医師の仕事である。実際に座薬を肛門に挿入したりするのは看護師の仕事かも知れないが、「腰を痛がっているから座薬をいれて様子を見よう」と看護師が、医師への報告、連絡、相談(これをホウレンソウといっている)なしに「勝手に」判断し治療行為をおこなうことは「医療法違反」である。
「予測指示」として「痛みに対して座薬25mg一個」という指示が医師から前もって出ていた場合は、あれでもいいのであるが、あのシーンは「どうしよう?」「楓、起こさなくてもいいわよね」「座薬で様子見ましょう」という会話であったので、医師からあらかじめ「予測指示」が出ていなかったことになる。

このように、昨晩だけで最低2つはおかしなことがあった。
テレビ番組なんだからおとぎ話として見ればいいのかも知れないが、世間一般の人に「進藤みたいな医師が凄い」「他の医師は無能なのか」と考えられたり、「勝手な座薬使用」を見逃してその後に活躍した進藤を凄い、と思わせる、いかにも煽動的誘導的なシナリオになってしまっていることに落胆した。

現実の医療現場では、「天才」や「神の手」は必要ないのだ。
当たり前のことを当たり前にきちんとする、そういう知識と技術と能力と心を持っていることが大事なのだ。
脳神経外科の世界でも「神の手」ともてはやされマスコミに登場する人がいる。私自身、ピッツバーグに留学中にその人の手術をそばで見せてもらった。手術は上手である。でも「神の手」とは思わなかった。そうやってもてはやされている陰で、何人、何十人、もしかすると何百人の患者が死亡したり重篤な後遺症を残したりしているのか、私は事実を知っている。
「神の手」ならば100%でなければならない。どんなに難しい手術でも後遺症も残さず全て成功させなければ「神の手」とは呼べない。現実には、「神の手」など存在しないのだ。そんな言葉は「神」への冒涜であり、人間としての謙虚さの乏しい人から出てくる言葉ではないかと思える。 

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