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2013年9月

2013.09.18

第9回新潟古楽フェスティバルのこと<後半>

さて、続いて後半のお話。

第2部は趣をガラリと変え、前半は「古楽器 in 近現代」。
フォルテピアノ〜現代ピアノの登場、音楽の大衆化、特に大ホールでの演奏会開催などによって音量の小さなチェンバロを演奏する人も、チェンバロのための作曲をする人も少なくなり、1800年頃から100年程クラシック音楽の表舞台から姿を消したチェンバロでしたが、19世紀末から20世紀にかけて少しずつ復活してきます。
 その一つのきっかけは有名なランドフスカ。彼女がファリャやプーランクにチェンバロの作品を委嘱しています。第2部前半は、まずトーメのリゴドン op.97 (1889)のチェンバロ演奏で始まり、続いてイベールの二つの間奏曲 (1946)をトラベルソ&ヴァイオリン&チェンバロで。この曲は、確か現代フルートとハープ(ピアノだったか?)でベルフィル首席のパユも録音していたと思う。
(後記;うっかりしていました。フルーティスト高木綾子さんとギタリスト福田進一氏のデュオでCD「海へ」へ収録されています。敬愛する音楽家の演奏をわすれてました!)

Photo_2Photo_3Photo_4演奏中の写真はないので、当日使用された4つのチェンバロのうち、ジャーマンスタイルを除くフレーミッシュとフレンチのローズ孔の写真です。

第2次世界大戦後、チェンバロはより「本来の当時の姿」に戻って行きます。
ペダルが7つも付いていて、グランドピアノのような巨大で頑丈な苣体を持っていたランドフスカモデルから、18世紀前半を中心にルッカース一族が活躍したフレーミッシュ、それを引き継ぎより華やかになったフレンチスタイル、その他にもドイツ、イタリアンなどヨーロッパの中でそれぞれの地域の特徴にあった(要するに使用される木材の違い、目指す音楽性の違い、ピッチの違い、演奏される環境の違いなど)楽器が作られ個々に発展しました。
 第二次世界大戦後に徐々に「古楽ブーム」(?)が沸き起こり、現在ではオリジナル楽器、オリジナル楽器のレプリカを使用し、当時のピッチ(392~415Hz)でルネッサンス、バロックの音楽が盛んに演奏される様になりました。この「新潟古楽フェスティバル」そのものがその一つです。

演奏中の写真はないのですが、資料を一つ。
Photo日本人作曲家もチェンバロの曲を書いています。
当日配布されたこの資料によれば、仙台在住の作曲家門脇治氏が小池真理子著「無伴奏」という小説を読んで作曲するきっかけとなった「無伴奏チェンバロ組曲」(2012)がおそらく最も新しいチェンバロのための曲であろうと書かれている。この小説の舞台である仙台にかつて実在した喫茶店「無伴奏」の元マスターは、今宮城県側の蔵王にチェンバロ工房を構えている木村雅雄氏で、balaine&kanonも訪ねた事がある方なのです(こちら→参照 「チェンバロの世界」)。

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2013.09.17

第9回新潟古楽フェスティバルのこと<前半>

2013/9/15(日)、新潟市の「りゅーとぴあ」2階Studio Aで開催された、第9回の新潟古楽フェスティバルに行ってきました。毎週のようにお出かけが続くので、今回は酒田ー新潟間JRの特急「いなほ」で移動(お酒も飲めますしね)。

PhotoPhoto_2台風が近づきつつあるという状況を少しは心配していましたが、順調に「りゅーとぴあ」に到着。3階のレストランで食事をしつつ開場を待ちます。

Photo_3Photo_4Photo_5新潟でなぜこのように古楽を愛する人が集まるのか、そのはっきりとした理由はわかりませんが、単に「古楽オタク」「古楽器オタク」の集団ではなく、良い音楽を愛する人達が自然に集った感じなのです。
 会場に入ると、120名ぐらいの客席がセッティングされた小さなホールに写真のようにチェンバロだけで4台、それに加えてポジティブオルガン、ヴァージナル、クラヴィコードがズラリと壮観です。これだけの楽器が一堂に会するシーンが見られるのは、他に日本チェンバロ協会の大イベントぐらいでしょうか。
 この日の出演者は、第1部第2部合わせて29名という、これまた壮観なのでした。


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2013.09.16

サロン・コンサート第30回、山形弦楽四重奏団庄内定期、終了しました。

2013/9/14(土)、第8回目となった山形弦楽四重奏団の庄内定期演奏会 in ジョンダーノ・ホールは、当日券を求めて初めていらした4、5名程のお客様もあり、連休初日でイベントの多い時期としてはまずまずのお客様にお出で頂くことができました。

今回は、山響首席クラリネット奏者で、昨年10月に東京で開催された第81回日本音楽コンクール(昔の毎コンです)のクラリネット部門で見事第1位を受賞された川上一道さんにもご出演頂きました。

Q_4Q_5前半2曲が弦楽四重奏、そして後半のブラームスはクラリネット五重奏曲です。
クラリネット五重奏曲といえば、この曲かモーツァルトかという程の名曲です。

Q_3清瀬保二の弦楽四重奏曲 変ロ調(1951)からスタート。
「変ロ調」は間違いではなく、長調でも短調でもない曲ということでしょうか。日本民族の土俗的なメロディやリズム感と西洋音楽の融合を考えて作られたのか、完成度の高い作品で、こういう作品が一部のクラシック音楽演奏者や限られた愛好家にしか知られていないというのはとてももったいないと思いました。
3楽章の激しさなどは、次のベートーヴェンに通じる感じ。

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2013.09.15

サロン・コンサート第31回のご案内

(コンサート終了までブログトップにおきます)

サロン・コンサート第30回「山形弦楽四重奏団第8回庄内定期演奏会」は御蔭様で盛会のうちに終了致しました。

Sc31次は10/14(月・祝)に第31回のサロン・コンサートを開催します。
NHK交響楽団で長年にわたり首席フルート奏者を務められ、定年退団後はソロ、アンサンブルなどでご活躍中の小出信也さんにお出でいただきます。プログラムはフルート吹きならどれも吹いてみたいと思う名曲揃いです。

Sc31_2実は、balaineは仙台の高校生時代、1年程先生についてフルートを習った事がありました。その先生の勧めで、仙台市のミュージックショップで、当時バリバリのN響団員だった小出先生の「公開レッスン」を受けた事があるのです。そういう関係からメールのやりとり、そしてFacebookでも親しく連絡をさせて頂き、昨年夏にプライヴェートにジョンダーノ・ホールにお寄り頂きました。

今回、ようやく小出先生のリサイタルを実現する事が出来ます。
ヘンデルではチェンバロでkanonも参加します。
どうぞご期待ください!


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2013.09.04

八百板チェンバロ教室第17回発表会に出演

庄内町狩川の冷岩寺さんでの「音奏会」の翌日は、新潟でした。

Photokanonが通っている新潟のチェンバロの師匠、八百板正己氏が主宰するチェンバロ教室の第17回の発表会です。
昨年4月に第14回の発表会 in 長岡に初参加(「チェンバロ教室発表会 in 長岡でフルートを吹く」)し今回が2回目ですが、新潟市の「りゅーとぴあ」のスタジオAでは初めて。


Photo_2八百板先生によれば、プログラムが15と過去最多、出演者も14名と多かったとのこと。
さらに、Mr.Bach1954氏のコネクションで東京フィルのホルン奏者にしてナチュラル・ホルンの名手塚田聡氏の賛助出演もあり、必ずしも「知られざる」曲ばかりではないものの、普段生の演奏会でそうそう聴くことの出来ない演目が並びました。バッハはもちろん、テレマン、ヴィヴァルディ、モーツァルト、ラモー、パーセル、クープランあたりは有名作曲家ですが、彼らの曲でも滅多に演奏されないプログラムが並びます。そして、フィッシャー、ブクステフーデ、ベーム、フリードリッヒ大王となると、古楽のプロのコンサートでもそうそう聴けない曲目です。

Photo_3出演者は新潟市とその周辺の方々で、せいぜい遠くても村上市(新潟市まで車で1時間〜1時間半)からの参加。
そこへ行くと、隣の県の山形の酒田から夫婦で参加するbalaine&kanonは相当の変わり者?でしょうか。
でも、本当に素晴らしい、いい曲ばかりでした。
個人的には、ブクステフーデとベームの曲は自分でもチェンバロで演奏してみたいと思いました。

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2013.09.03

冷岩寺音奏会

お寺の名前は字の通り「れいがんじ」さんですが、そのうしろ文字は「おんそうえ」と読みます。
2013年8月31日(土)、庄内町狩川の冷岩寺さんでkanonのチェンバロとともに演奏をさせて頂きました。

PhotoPhoto_2冷岩寺さんは曹洞宗の名刹ですが、浄土真宗の僧侶を招いて講演会を行ったり、宗派などにとらわれない活動をされています。
庄内町は、余目町と立川町が合併して出来た、細長い町で狩川は旧立川町にあります。右側の地図の赤い丸で示した場所にあり、ウィンドーム立川の隣にある「楯山公園」のすぐ麓にあたります(青い丸がうちのクリニックがある酒田市富士見町)。

Photo_3Photo_4仙台の林チェンバロ製作所の林さんに来て頂いて、クリニックのジョンダーノ・ホールから二段鍵盤フレーミッシュスタイルのチェンバロを運び出し搬入セッティング調律をお願いしました。土曜でしたので、balaineは通常13時まで診療のところを、少し早めの12:35頃に切り上げて追いかけて行きましたが、車で片道30分近くかかる場所ですので到着したら13:30近くになっていました。
 冷岩寺さんの本堂の畳の上にチェンバロをセッティングし、フルートなど笛族の楽器を並べて準備完了。コンサートは、演奏の間に、曲、曲の背景、そしてチェンバロやフルート族の楽器の説明をしながら一時間程行いました。

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