第9回新潟古楽フェスティバルのこと<後半>
さて、続いて後半のお話。
第2部は趣をガラリと変え、前半は「古楽器 in 近現代」。
フォルテピアノ〜現代ピアノの登場、音楽の大衆化、特に大ホールでの演奏会開催などによって音量の小さなチェンバロを演奏する人も、チェンバロのための作曲をする人も少なくなり、1800年頃から100年程クラシック音楽の表舞台から姿を消したチェンバロでしたが、19世紀末から20世紀にかけて少しずつ復活してきます。
その一つのきっかけは有名なランドフスカ。彼女がファリャやプーランクにチェンバロの作品を委嘱しています。第2部前半は、まずトーメのリゴドン op.97 (1889)のチェンバロ演奏で始まり、続いてイベールの二つの間奏曲 (1946)をトラベルソ&ヴァイオリン&チェンバロで。この曲は、確か現代フルートとハープ(ピアノだったか?)でベルフィル首席のパユも録音していたと思う。
(後記;うっかりしていました。フルーティスト高木綾子さんとギタリスト福田進一氏のデュオでCD「海へ」へ収録されています。敬愛する音楽家の演奏をわすれてました!)
演奏中の写真はないので、当日使用された4つのチェンバロのうち、ジャーマンスタイルを除くフレーミッシュとフレンチのローズ孔の写真です。
第2次世界大戦後、チェンバロはより「本来の当時の姿」に戻って行きます。
ペダルが7つも付いていて、グランドピアノのような巨大で頑丈な苣体を持っていたランドフスカモデルから、18世紀前半を中心にルッカース一族が活躍したフレーミッシュ、それを引き継ぎより華やかになったフレンチスタイル、その他にもドイツ、イタリアンなどヨーロッパの中でそれぞれの地域の特徴にあった(要するに使用される木材の違い、目指す音楽性の違い、ピッチの違い、演奏される環境の違いなど)楽器が作られ個々に発展しました。
第二次世界大戦後に徐々に「古楽ブーム」(?)が沸き起こり、現在ではオリジナル楽器、オリジナル楽器のレプリカを使用し、当時のピッチ(392~415Hz)でルネッサンス、バロックの音楽が盛んに演奏される様になりました。この「新潟古楽フェスティバル」そのものがその一つです。
演奏中の写真はないのですが、資料を一つ。
日本人作曲家もチェンバロの曲を書いています。
当日配布されたこの資料によれば、仙台在住の作曲家門脇治氏が小池真理子著「無伴奏」という小説を読んで作曲するきっかけとなった「無伴奏チェンバロ組曲」(2012)がおそらく最も新しいチェンバロのための曲であろうと書かれている。この小説の舞台である仙台にかつて実在した喫茶店「無伴奏」の元マスターは、今宮城県側の蔵王にチェンバロ工房を構えている木村雅雄氏で、balaine&kanonも訪ねた事がある方なのです(こちら→参照 「チェンバロの世界」)。
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