サロン・コンサート第30回、山形弦楽四重奏団庄内定期、終了しました。
2013/9/14(土)、第8回目となった山形弦楽四重奏団の庄内定期演奏会 in ジョンダーノ・ホールは、当日券を求めて初めていらした4、5名程のお客様もあり、連休初日でイベントの多い時期としてはまずまずのお客様にお出で頂くことができました。
今回は、山響首席クラリネット奏者で、昨年10月に東京で開催された第81回日本音楽コンクール(昔の毎コンです)のクラリネット部門で見事第1位を受賞された川上一道さんにもご出演頂きました。
前半2曲が弦楽四重奏、そして後半のブラームスはクラリネット五重奏曲です。
クラリネット五重奏曲といえば、この曲かモーツァルトかという程の名曲です。
清瀬保二の弦楽四重奏曲 変ロ調(1951)からスタート。
「変ロ調」は間違いではなく、長調でも短調でもない曲ということでしょうか。日本民族の土俗的なメロディやリズム感と西洋音楽の融合を考えて作られたのか、完成度の高い作品で、こういう作品が一部のクラシック音楽演奏者や限られた愛好家にしか知られていないというのはとてももったいないと思いました。
3楽章の激しさなどは、次のベートーヴェンに通じる感じ。
2曲目はL.v. Beethovenの「大フーガ」変ロ長調。
やや長めの序奏部からして、ベートーヴェンの後期作品に見られる気難しい印象があり、「これ、長調?」とやや首を傾げていると、フーガに入るがこれがまた断続的な不協和音で構成され、音楽はこの先どこに行きたいのか聴く者に不安感を与える。ハイドンやモーツァルト、そしてベートーヴェンの初期の弦楽四重奏とは次元の違う音楽が続く。初演当時は不評だったらしいがそれも頷ける。
もうほとんど耳が聴こえなくなっていたベートーヴェンの悲痛な心の叫びと内省的に過ぎる痛い程の気持ちが伝わる様でした。
15分程の休憩のあと、ブラームス。
弦楽器4本にクラリネットが1本加わっただけなのですが、場の雰囲気がガラリと変わります。そして川上一道さんのクラの音がまた素晴らしい。
柔らかい、丸い、暖かい、、、
いろいろな形容詞がありますが、とにかくトゲがなくて歌があるのです。
コンクールの評価というのは音楽の素晴らしさの「ある側面」を表すだけで、彼の音楽の全てを表している訳ではありません。もちろん技術的な面で秀でていることは間違いない訳ですが、ブラームスの音楽が今そこで作曲されたかの様に、ジョンダーノ・ホールに「湧いて出て来る」という印象でした。
川上さんの音楽性は、その心の動きとその表現力の様に思います。それは、その後の打ち上げでの彼の立ち居振る舞いというか、おいしい食べ物への感受性、それに対する表現でも感じたことでした。
チェロの鈴木秀美さんを酒田市内のお気に入りのお寿司屋さんにお連れした時、アン肝の握りを食べたときの秀美さんの反応と表情に共通するものを川上さんにも感じました。一流の音楽家は、演奏だけではなく、いろいろな素晴らしいものへの感動力、表現力が素晴らしいのだなぁ、と実感したのです。
少々ヘビーなプログラムだったので、アンコールはまずはカルテットでモーツァルトの"Eine Kleine Nacht Musik"の3楽章。
そして川上さんを交えてモーツァルトのクラリネット五重奏曲の有名な2楽章。
美しくて溜め息が出ます。。。
なんと贅沢なコンサートだったことでしょう。
演奏する側にしてみれば、「シンドイ」プログラムだったでしょうが、清瀬保二、ベートーヴェン、ブラームス、そしてアンコールにモーツァルト。室内楽でこれ以上のプログラムがあるでしょうか?!(あとはハイドンとバルトーク?)というコンサートで主催者としても大満足でした。
いい演奏を聴いたら、打ち上げではいいお酒といい料理を頂かなくては、画竜点睛を欠く、とでも言うのでしょうか(笑)。
美味しい魚が食べられるお店が数多ある酒田でも、庶民的、穴場的でかつレベルが非常に高いお店として通に知られる「七つ半」。予約しておかなければまず無理なので、2週間程前に「10名で、料理はおまかせ」と予約を入れておきました。
お通し、しらすの炊き込み御飯、写真の高級魚「あら」と秋に頂く春の魚「さわら」の刺身、そして「わらさ」のしゃぶしゃぶ風、鯛にメゴチの天ぷら、「あら」の半身残した塩焼き、、、思い出すだけで口中に涎が出て来る最高の料理。
山形Qメンバー4人にも、川上さんにも大変喜んで頂けたようで良かった。特に川上一道さんの美味しいものへの反応、その表情は見ているコチラも嬉しくなる様な感じ。kanonは勝手に「クマもん」っぽくて可愛い、との印象。
balaine&kanonも含めて山響ファンクラブメンバー5名+都合で参加できなかったK氏からお酒の差し入れも頂き、サロンコンサート打ち上げとともに約一年遅れではありましたが、川上一道さんの日本音楽コンクール第1位祝賀会 in 庄内!となり、楽しい時間はあっという間に過ぎたのでした。
次の山形弦楽四重奏団第9回庄内定期演奏会は、来年2〜4月のスケジュールを睨んでまた継続開催をしたいと考えております。
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コメント
なんという豪華なプログラムでしょうか!
次はぜひ聴きにいきたいです。
投稿: Mrbach1954 | 2013.09.16 16:50