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2013.07.03

N響山形公演(2013/7/2)

マ:「皆様、お寒くありませんか?」
(マ=マエストロ小林研一郎)

ベルリオーズ作曲「幻想交響曲」の1楽章「夢と情熱」が終わって、指揮台から降りたコバケンさんが、コンマスのマロこと篠崎史紀氏と二言三言言葉を交わした後、突然客席に向かってはっきりとした大きな声で問いかけました。

頷く観客。
「寒いです」と答える女性の方も居ました。
私も夏用の薄手のジャケットを羽織っていたものの、空調効き過ぎだよなぁ、と思っていたのは事実。
コバケンさんが下手舞台袖の方に向かって何やら身振りで指示して、空調が止まり、2楽章が始まりました。

「炎のコバケン」の愛称で親しまれているマエストロ。その指揮姿は、時に唸り声をあげながら、頭を振ると髪もプルプル震え、オケに檄を飛ばしているかの様で、楽章間には滴り落ちる汗を丁寧にハンカチで拭って次の楽章に移るのが常。

935811_542681932458813_1992989107_n昨日7/2、山形市民会館でN響山形公演。
前半はピアノに小山実稚恵さんを迎えての、ベートーヴェンの4番の協奏曲。
そして、後半のベルリオーズの「幻想交響曲」の時に、起こった出来事でした。

第2楽章「舞踏会」、第3楽章「野の風景」と、さすがN響という演奏に浸っていたその楽章間。
またハプニングが。


マ:「皆様、今度は、暑くございませんか?」
(頷く前方の席の観客)

マ:「弦と管、この温度の変化にはピッチも狂いやすく大変なのです。」
(下手袖の方を見て、何事か指示。ObのA音でオケはチューニング2回目)

マ:「なんとか新しい会館を作って頂きたいですね」
(観客の爆笑と拍手、、、)


そして、第4楽章「断頭台への行進」、そして終楽章「魔女の夜宴の夢」(ワルプルギスの夜の夢)へと、何事もなかったかのように素晴らしい熱演は続きました。

1065224_542966835763656_834718862_oN響の生の演奏は実は初めて聴きました。N響が山形でコンサートする事自体かなり久しぶりだと思います。
コバケンさんの指揮は、2004年にサントリーホールでチェコフィルと、2007年に希望ホールで新日本フィルとの演奏を聴いたことがあり、これが3回目。その熱い指揮ぶりは健在でした。
膝を曲げ、腰を折って、横から見ると老人のようなスタイルで髪を振り、うなり声をあげ、クライマックスで指揮棒をまっすぐ天井を指すように伸ばす姿はお馴染み。
チェコフィルの友人ファゴット奏者のオンジェは、何度もプラハに客演したことのあるコバケンさんのことを笑いながら「Kobaken is noisy!」と言っていました(笑)。

会場の山形市民会館は、前方3列の移動席を外してステージを前に拡張した形。こうすると固定椅子1060席しかありませんが、オケピ部の142席を外してもステージの広さと音響(オケがより前方に出ていた)にこだわったのだと思います。
私のチケットは結果的に前から4列目、上手の端の方でしたから目の前はCbという場所。

N1曲目のピアノ協奏曲では、小山さんのお顔をほぼ正面から見る感じ。小山さんの顔の後ろに「マロ」の顔が見える感じでした。
酒田市民会館希望ホールなどに比べると、貧弱な残響でやや残念な山形市民会館ですが、小山さんの美しい、タッチのはっきりしたピアノは素晴らしかった。条件のいいところでも悪いところでも数多くの「現場」を踏んで来たであろう彼女の、明晰なタッチと聞こえない位小さいのにちゃんと響いているppの美しさ。
特に2楽章で小山さんのピアノの存在感が凄く感動しました。
(彼女と藝大同級生である仙台一高の同級生K君が、あるコンサートの後で「みちえちゃんって、ピアノじょうずなんだね」と言ったとか、笑、その話を思い出しました)

盛んな拍手に応えて、アンコールは「エリーゼのために」。
kanonによると、まだ小山さんが学生だったか、チャイコフスキーやショパンコンクールで入賞する前、秋田の小さなホールに演奏に来て、ピアノの先生が「この人はこれから凄く活躍する人だから、、、」と言ったのを幼心に覚えていたそうですが、その時もアンコールに「エリーゼのために」を弾いてくれて、そのことを思い出したそうです。


15分の休憩。
そして「幻想交響曲」へ。
できれば1〜5楽章、続けて演奏して欲しかったのですが、楽章間にあった上記のハプニングは別に音楽の価値を下げるものではありませんでした。現代の演奏会の様に、真面目に楽章間に観客は咳払いをして、一呼吸だけおいて次の楽章の演奏を続けるというのは、決して正しいわけでも、正統な訳でもありません。

N響は、特に弦には若い奏者が増えてきていて、代替わりの様相を呈しています。テレビでよく見たあの顔、あの顔がだんだん見られなくなるのは寂しい部分もあります。管楽器もN響クラスですと「降り番」が作れる程の余裕がある訳で、フルートトップは首席の神田氏ではなく、甲斐さん、セカンド&ピッコロは秋田出身の菅原潤さんでした。
弦の切れ味というか、高いレベルで揃っているというのを感じました。また、緩徐楽章や弱奏の部分では、tuttiなのだけどソリストがたくさんいるという、面白い印象。決して揃っていないとか、悪い意味ではなく、小さくまとまろう、和を大切に、という感じではなく、集団の中の個が生きている印象がありました。
管楽器群は元々全員がソリストな訳ですから、やはり高い技術と美しい音色で素晴らしかった。

そして「幻想」の4、5楽章を聴いていて、N響をN響たらしめているのは低弦群(Vc,Cb)なのだなぁ、という感想を持ちました。特に8本のCbが、弦を弓で打ち鳴らしながら熱く、激しく演奏する様は見ていても感動的でした。

コバケンさん、いつものスタイルで満面の笑顔でオケを讃え、観客にお辞儀をし、何度かのカーテンコールの後、拍手を制し、

「皆様方の熱いオーラと、N響の皆様の凄まじさで、素晴らしい演奏になりました。アンコールにカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲をお送りします。」

アンコールも素晴らしい演奏でした。弦の表現力は心のこもったものだと感じました。


このN響山形公演のため、16時に診療を終わらせ、車を飛ばして山形まで行き、終演後0時近くに酒田に戻ってくるという強行軍でしたが、聴きに行く価値のあるコンサートでした。
また、先日、タン・ドゥン作曲指揮の世界初演「女書」でソリストを務められたハープの早川りさこさんに、終演後楽屋でお会い出来、今が旬の山形のサクランボをお土産に渡すことも出来て良かった。ちょっと慌てていた(楽屋がわからなくてウロウロ探しまわった)ので、ツーショット写真をお撮りしなかったのがちょっと残念。


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コメント

ご無沙汰しております・・・。N響公演があったのですね。(すでに浦島太郎状態のわ・た・し・・)  聴きたかった♪ 特に「幻想」はクラシックを聴くきっかけになった曲でもあります~。ご解説ありがとうございます。演奏が伝わってきました!

あっ、先生お誕生日おめでとうございます。

これからも、よろしくお願いいたします。

投稿: けん | 2013.07.10 01:48

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