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2012.06.05

山形弦楽四重奏団、藤島で奏でる

さて、6月になってようやく5日目でブログを書く余裕ができました。この5日に間にも色々なことがありましたので、順を追って書いて行きましょう。

H24年6月2日(土)は、旧藤島町(現鶴岡市藤島)の東田川文化記念館~明治ホールで開催された「山形弦楽四重奏団」のコンサートを聴きに行きました。
14時開演なのですが、私は土曜は13時まで診療がありますのでかなり厳しい。幸い12時半以降の予約患者がなく、12時半の時点で患者さんもいなかったので、13時になる前にドアを閉め、戸締まりをスタッフに任せて12:50頃に出発。

197791_423851297648959_766317603_ncanonは、6/30と7/26のジョンダーノホールでのサロン・コンサートのチラシ配布のため一足先に行ってもらっていたので、一人で飛ばして行きました。結果的に余裕で間に合い、藤島で食事もして、会場へ。
プログラムは、
~初夏に奏でる弦楽四重奏の調べ~
・W.A.モーツァルト クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 ~Cl:郷津隆幸(ゲスト;山形交響楽団クラリネット奏者)
・幸松 肇 弦楽四重奏のための日本民謡集より東北民謡
 ~さんさ時雨・会津磐梯山・南部牛追い唄・最上川舟唄~
・F.J.ハイドン 弦楽四重奏曲 ハ長調 Op.76-3「皇帝」

Photo_8山形Qがここで演奏するのは2回目。1回目はこちら→「山形弦楽四重奏団藤島公演」をご覧下さい。
この写真は2007年12月に明治ホールで開かれた「庄内音楽フォーラム」に出席した際、balaineのフルートとkanonのチェンバロでテレマンを演奏させて頂いたときのもの。あれから4年半が経つんですねぇ〜。


さて、演奏会。
1曲目はハイドン。MCは「なかじぃ」こと1st Vnの中島さん。
この曲は大変有名で、特に2楽章は皆さんもどこかでお聴きになったことがあるでしょう、との前置きで、弦楽カルテットの定番の「皇帝」。弦楽四重奏曲第77番とも言われます。
第2楽章が「オーストリア国家及び皇帝を讃える歌」の変奏曲であることから、曲全体の愛称として『皇帝』と呼ばれる様になった訳ですが、この「神よ、皇帝フランツを守り給え」はもちろん当時のオーストリア=ハンガリー帝国国王のフランツ・ヨーゼフ・カール(神聖ローマ帝国皇帝フランツ2世)を讃える歌として国家になりました。
しかしながら、その後ヴァイマル共和国(現ドイツ)時代に「ドイツの歌」という歌詞がつけられてドイツ国歌に制定され、現在のドイツ連邦共和国においてもそのまま引き継がれてドイツ国歌になっているのです。

そんな話はさておき、演奏のこと。
Img_2418下手から1st Vn中島光之さん、2nd Vn今井東子さん、Va倉田譲さん、Vc茂木明人さん。いつもの並びです。ハイドンらしい生き生きとした作風で、演奏する4人も最初はやや緊張気味にも感じられたものの、1楽章終盤ぐらいからは楽しそうに快活に奏でます。
有名な第2楽章は、第1変奏で2nd Vnの今井東子さんがソロを取ります。普段は内声を担当することの多い2nd Vnですが、やや控えめな印象ながら美しい旋律を聴かせてくれました。その後、変奏はチェロが主題を取ったり、ヴィオラが主題を取ったりして、最後に1st Vnが再び主題を取って終わります。

聴きにこられている旧藤島町中心の観客の中には、あまりクラシック音楽や弦楽四重奏曲に慣れ親しんでおられない方もいる様にお見受けしましたが、全ての楽章間に拍手がありました。でも「なんだよ!集中が途切れるじゃないか!」と苛立つ様なものではなく、滅多に聴かない弦楽四重奏の名曲を楽しんでいるという感じの拍手でbalaineも全く不快には感じませんでした(チャイコフスキーの「悲愴」の3楽章が終わったところで拍手をもらうと、ちょっと「んんん〜」ってなりますが)。

2曲目は、私も大好きな幸松肇さんの「日本民謡」組曲から東北民謡を抜粋したもの。
「さんさ時雨」は全員の鋭いピチカートで始まったり、「最上川舟唄」ではチェロは背板を掌で、Vnは側板を爪で弾いて打楽器的に扱いそこにVaが「よ〜いさの まかっしょ え〜んやこらま〜かせ〜」と奏で始めるのは、これまでジョンダーノホールでの「山形弦楽四重奏団庄内定期演奏会」でもお馴染みになっています。

お客さんも耳馴染みのある東北民謡でかなりリラックスしてきた様子が感じられましたが、特に「最上川舟唄」では「おらほの唄だの」という感じで身を乗り出して聴いておられる方もいらっしゃいました。曲の内容は、以前ブログ記事にした「世界初演!(山Q第30回定期を聴く)」の真ん中より下の方に書いた「最上川舟唄」の感想をご参照ください。本当に「モルダウ(プルタヴァ)」を彷彿とさせるというよりは、作曲者がかなり意識して書いたのではないかと思わされる、川の支流の始まりを各楽器でチョロチョロという流れの様に現し、それが集まって大河に至る様子、その河畔は田畑を潤す様などが見事に現されている名曲だと思います。

休憩を挟んで3曲目は、これまた名曲、モーツァルトのクラリネット五重奏曲イ長調。
Img_2421写真はアンコールの時のものですが、真ん中にゲスト奏者の郷津隆幸さんを配してのクインテット。
郷津さん、クラリネットのベルを両足の膝辺りにはさんで、いつもの様にほとんど微動だにしない演奏スタイル。もうちょっと曲に合わせて動いてもいいんじゃ?と思うのはbalaineだけでしょうか。動いているのはほとんど指だけ。あと呼吸する時に口が開くぐらい。

確かに演奏中、やたらに体を動かしたり、揺すったり、リズムを取ったりというのは、時と場合によるというかクラシックの演奏会では控えめな方がカッコいいと思いますが、あまりに動かないのもどうかな、と思うのです。でも演奏には関係ない?どうなんでしょう。聴いている方も実は演奏している奏者の体の動きや顔の表情も見ている訳なので、曲想や伝えたい気持ちが「音」以外にそういうボディランゲージ的なもので伝わるということも無視できないのではないかと思うのです。
その良い例が指揮者ですよね。
四拍子の時に、1、2、3、4と棒を動かせば良いのではなく、棒、棒を持つ右手、棒を持たない左手、体、顔、そういったものをフルに使ってオケに「こういう表現を」「こういう心を」と伝え、歌わせるのが指揮者のお仕事。演奏者もそれに応えて体を使ったり顔の表情や目で物を言うことも少しは必要なのではないかな、と思っただけです。

郷津さんのクラリネットは、balaineのそんな邪念など関係なく、淀みなく美しく流れます。そして、特に美しい曲想の2楽章では、郷津さんの体が3cm程揺れるのをbalaineは見逃しませんでした。

でも、素晴らしい演奏で、明治ホールの木の響き、これが木で出来た弦楽器、木のリードを震わせるクラリネットの響きととてもマッチしている様に感じました。

Img_2419藤島の実行委員会は、山形Qの皆さんの大好物をよくご存知なので、本編終了直後に記念品贈呈。着物を着ていっていたkanonも声をかけられ贈呈者の一人に(笑)。
アンコールは2曲も演奏してくださり、郷津さんも参加してモーツァルトのクラリネット協奏曲のあの超有名な第2楽章をクインテットで奏でられました。聞き慣れた旋律に弦4部が一本ずつ絡むと、また違った趣でした。

Photoとても素敵な時間はあっという間に終わってしまうものです。
主催者のお一人と話したところでは、もっと弾ける様な演奏というか、もう少し派手なパーフォマンス的な演奏を期待されているようでしたが、山形Q4人のメンバーのキャラクターから言ってもそこはなかなか難しそう。でも5年前より、明らかに進化したカルテットとなっており、特に幸松肇作品は何回も本番を経験して自分たちのものになって来たという印象が強く、また何度も聴きたい曲だと思いました。
(写真は明治ホール正面)

終演後は急いで酒田に戻り、夕方からの酒田フィルの定時練習に備えました。
山形弦楽四重奏団には、ジョンダーノ・ホールでのサロン・コンサートで「庄内定期演奏会」をやって頂いておりますが、第6回となる次はおそらく9月頃を予定しています。
こちらも楽しみですね。


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