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2012.05.07

「ブランデンブルク協奏曲」全曲演奏会を聴く

5月の連休も終わり、通常の日々が始まりました。
さて、この「GW」と呼ばれる期間、いろいろなことをしましたが、まずは5/5(土)のコンサートの話。

Bfemposter上野の東京文化会館小ホールで開催された、松本バッハ祝祭アンサンブルによる「ブランデンブルク協奏曲」全曲演奏会に行ってきました。
「松本バッハ祝祭アンサンブル」(Bach Festival Ensemble Matsumoto)は、2010年の1月31日、小林道夫の人格と音楽性を深く敬愛する若手ピリオド楽器奏者たちが風光明媚な松本に集まり、厳しさと喜びの中で、バッハの《ブランデンブルク協奏曲》全曲を演奏した。その忘れがたい名演奏はCD化もされているが、もう一度あの体験をという願いから東京公演が企画されたことには、わが意を得た思いがする。小林の高い理念のもとに展開される潤いに満ちたバッハを、ぜひ多くの方とともに味わいたいと思う。(プログラムノートから、礒山雅氏)」
ということです。

Brandenprogramご覧の様なプログラム。楽器編成の関係から、なかなか全6曲を一つの演奏会で全部というのはないでしょう。
演奏曲順は番号順ではなく、祝祭的な色合いの最も濃い2番で最後を締めるという構成でしょうか。
18時の開演なのに、一時間も早く17時に開場するのは何か訳が?と思っていたら17:15から磯山雅氏によるプレトークがありました。これは、チケットを購入する段階では知らされていなかったので告知に問題がある様に思います。事実、お客さんの中には17:15からプレトークがあることなど知らずに来られた方々も結構いたようです(我々も含め)。

Photo_517時の開場とともに、すでに並んでいた300名程がだだだ〜っと入り、balaineとkanonはそれぞれ観たい、聴きたいポイントが違うので分かれて座りました。

Photobalaineは下手側で前方より。プレトークで磯山氏がこのスクリーンを使って、バッハの直筆譜をスライドで呈示しながら解説。バッハは、まず五線譜を書き、その中でも通奏低音であるチェンバロは一番下の段で少し五線の幅広く書いたものの、小節線は機械的に線を引いてから音符を書き込んだため、たとえば「歴史上初めてのチェンバロ協奏曲」と言われる5番の1楽章カデンツァ部分などでは、一つの小説に書ききれなくなったためオタマジャクシが次の小節にはみ出した部分や4番のソロヴァイオリンの超絶技巧のアルペジオの部分なども沢山のオタマジャクシがありすぎて潰れて見えにくかったり、やはり次の小節にまではみ出して書き込まれている部分などを呈示。
全体としては、まるで設計図の様に幾何学的に見ても美しい譜面というお話でした。

この楽団の中心である小林道夫氏や、各奏者についての解説は、こちら→BFEM in Tokyoを見て頂くと詳しく書かれています。

さて演奏の感想。
東京の聴衆は、酒田辺りの聴衆とは大分違った反応をする方もいるようで、演奏中も直後も辛辣な発言をボソボソとしている人もいたようです(kanonの座った周りの人たち)。私も言いたいことはいくつかありますが、なるべくポジティブに書く様にしましょう。

プログラム最初は、ホルン、オーボエ、ファゴットが活躍する1番。
ナチュラルホルンは演奏が非常に困難な訳ですが、音符通りに正しく吹くことを絶対と考えればなかなか厳しい演奏でした。でも全体としてみれば「オリジナル楽器」でなければ成し得ない、柔らかく、軽い響きが心地よかった。

3番は、弦楽器の3重奏がヴァイオリン、ビオラ、チェロの3パートに分かれて織り混じり合い、そこに通奏低音が響くという曲ですが、ヴィオラのトップの女性が群を抜いて上手く素晴らしい演奏。あとからOLC事務局長のA氏にお聞きして、なるほど!と思ったのですが、ヴィオラの深沢美奈さんはBCJやOLCのヴィオラ奏者としても活躍されている方なのでした。

4番のリコーダーはとても素敵な演奏で、この曲はフルートではなくやはりリコーダーで演奏されなければならない曲だと強く感じた。桐山さんのソロ・ヴァイオリンはやや真面目すぎる印象はあるものの、見事で澱みのない素晴らしい演奏でした。

15分の休憩を挟んで、最初は5番。
Photo_4かねてからネットで交流のあった北川森央さんがフラウト・トラヴェルソに登場。柔らかくて暖かい音色で見事な演奏。小林氏のチェンバロがやや暴れるところもあったけれど、全体としてはいつもの通り、真面目で穏やかで優しい演奏。レオンハルトの対極をなす?穏やかさとさえ言える。
写真は、終演後ロビーでたくさんの知人友人後輩などの祝福の挨拶を受けておられた北川さんに声をかけて一緒にパシャリ。

6番はヴァイオリンがなくヴィオラが活躍する訳だが、コンマスの桐山氏は今度はヴィオラを手にし、先ほど感嘆した深沢美奈さんとヴィオラ二重奏が美しい。素敵な演奏でした。

最後の2番。
トランペットがどうなんだろう、、、とやや心配と不安と期待で聴いていたが、やはりナチュラルトランペットは難しいのだろう。でもピッコロトランペットで代用するのとは違って、オリジナル楽器での演奏は、音色の軽さ、柔らかさ、美しさ、すべてにおいてナチュラル管に軍配が上がると思う。

この楽団の成立の経緯から、小林氏のもとに集まった若手演奏家で構成されており、そこが魅力でもある訳だが、演奏技量という点だけから言えば日本国内にだってもっとナチュラルホルン、トランペットの上手な奏者はいるのかもしれない。しかし、当たり前のことだけど上手な人だけを揃えればアンサンブルになる訳ではない。
小林道夫氏のもとで薫陶を受けた若手音楽家がお互いを敬愛しながらアンサンブルをする。そこに意味がある訳である。

Photo_2Photo_3東京文化会館を上野駅公園口改札を出て直ぐから撮ったものと入口での一枚。
当時小学校5年生のbalaine少年がK音楽教室のこども音楽コンクール全国大会に出場し演奏したのがこの東京文化会館でした。それから44年が経つわけですが、東京会館は2度のリノベーションを経て、今も立派に音響の優れたホールとして使われていました。バリアフリーという面では劣っているところもあるそうですが、地方都市の音楽ホール再建でも学ぶところはあるのではないでしょうか。

とても有名なバッハのブランデンブルク協奏曲ですが、一晩で全曲演奏というのは生まれて初めての経験。これだけの音楽家を集めなければ成り立たない訳ですし、休憩を入れて終演までおよそ2時間半。プレトークも入れると3時間を超える演奏会でした。

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■演奏曲目(演奏順):ブランデンブルク協奏曲
第1番 ヘ長調 BWV1046
第3番 ト長調 BWV1048
第4番 ト長調 BWV1049  
第5番 ニ長調 BWV1050
第6番 変ロ長調 BWV1051
第2番 ヘ長調 BWV1047

■期日
2012年 5月5日(土祝)
17:00 開場
17:15〜17:45 ★プレトーク[ お話:礒山 雅 ]
18:00 開演、20:45 終演

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