『エルミタージュ美術館展』ほか
2012/5/5、昨日記事にした「ブランデンブルク協奏曲」全曲演奏会に先立ち、六本木の国立新美術館で開催されている「大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年」を観に行きました。
「エルミタージュ」、隠れ家という名前を冠した美術館のことはつとに有名だが、私はまだロシアの地を踏んだこともなければ、ましてサンクトペテルブルクを訪れたこともない。夫であるピョートル一世を排除して女帝として権力を振るったエカテリーナ2世。ロシアの力を誇示するためにもヨーロッパ中から絵画や美術品を集めて「隠れ家」である宮殿内ギャラリーに展示したのが、現在の美術館の始まりらしい。
4/25〜7/16の期間、国立新美術館、その後名古屋市、京都市を巡回する今回の美術館展。
300万点といわれる膨大なコレクションの中から、今回は世紀別に分けて展示し、16〜20世紀の「400年」というテーマで公開している。
それぞれの世紀のテーマは、16世紀=人間の世紀/17世紀=黄金の世紀/18世紀=革命の世紀/19世紀=進化する世紀/20世紀=アヴァンギャルドの世紀、というキーワードで紹介される。
過日テレビ番組で紹介されるや、入場まで1時間半待ちという大人気となったことを聞いていたので、横浜は戸塚の実家を朝8時半に出て六本木を目指した。
地下鉄千代田線の乃木坂駅のほぼ真上に存在する美術館なので、田舎者が戸塚駅から新橋駅経由でメトロでたどり着くのに約1時間。乃木坂駅に着いてみれば、なんと駅構内(美術館との連絡通路)でチケットを販売していたので、心配したチケット購入もスムーズに行き、エスカレーターを上がって行くと、写真の様に行列なんかなくスムーズに開館時間の10時ちょっと過ぎに入場!
絵画を、それを見た感想を、言葉にするのは難しいですし、言葉で表現出来るなら絵画という芸術は必要ない訳ですが、一応感想を。
展示は、この「第1章」に見られる16世紀、ルネッサンスから始まります。
ティツィアーノを始めとするヴェネチア派からミラノ、クレモナという北イタリアの絵画を眺めていると、今日本に居ることを忘れそうです。
「虹のある風景」と名付けられたこの絵は、有名なルーベンス。
17世紀 バロック「黄金の世紀」と銘打たれた展示。スペインの支配下にあった現在のオランダ、特にフランドル地方で花開いたバロックの世紀は、絵画ではこのルーベンス、そしてレンブラント、ファン・ダイクという著名な画家を輩出しています。kanonのチェンバロの大蓋に描かれた絵もちょうどこの時期のフランドル地方の画家の絵を描いてもらったもの。ルッカース一族を生んだチェンバロ製作の一大中心地となったことから、フレーミッシュスタイルと呼ばれますが、これは「フランドル地方の」という意味で、同じ言葉がスペインに行くと「フラメンコ」となったのです。
第3章「ロココ」の18世紀と新古典派の世紀は、王侯貴族から革命を経て市民の時代に移行する時。時代を映す鏡でもある絵画はbalaineにはもっとも馴染みのないもの。
続く第4章は「ロマン派からポスト印象派」。比較的馴染みのある時代でルノワール、モネ、セザンヌなどが展示されています。そういえば国立新美術館では別の企画展として「セザンヌ展」も同時開催されていました。
第5章はマティスとその周辺、アヴァンギャルドの世紀と題され、マティス、ピカソ、ルソーと言ったロマン派や印象派までの価値観を覆す様な作品群。画家のエネルギーを最も感じられる絵画が多かった。
16世紀=人間の世紀、17世紀=黄金の世紀、18世紀=革命の世紀、19世紀=進化する世紀、そして20世紀=アヴァンギャルドの世紀という風に時代を区切って展示された今回の89点のコレクションですが。当然ながら、時代を反映しつつ画家それぞれの個性がはっきりしていて一つ一つ全然違うもの。その辺は、音楽よりも個性の違いがはっきりしていると思いますが、音楽の世界でもルネッサンスから現代まで4,500年に渡る変遷があるのと同じく、当然絵という芸術の世界もその時代の社会背景、環境の影響下に存在したのだなぁという印象が強く残りました。
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エルミタージュの話しは終わり、その前後のことを。
エルミタージュの後、銀座と東京駅に寄って、16時半前に上野の東京文化会館へ「ブランデンブルク協奏曲」を聴きに行く間、時間があり、ちょうど東京フォーラムとその周辺で「ラ・フォル・ジュルネ東京」をやっているので、チケットを持たない我々としてはひとつだけ考えていたのが写真の「BMW Group Studio」展示スペース(東京駅のすぐ横)での弦楽カルテットでした。
本音をいうと、kanonは愛する「ブランデンブルク協奏曲」の前には他の音楽を耳に入れたくない、という心境だった様なので、いろいろ聴いて回るのは止め、これだけにしたというところ。
このカルテットのチェロ奏者が知人だったというのが一番の理由。新日本フィルの首席フルート奏者で、「ジョンダーノ・ホール」のサロン・コンサート第1回の出演者荒川洋さんの奥さんだったということで聴きに伺ったのですが、会場は超満員の立ち見。ゆっくり行ったのでボロディンの弦楽四重奏はすでに始まっており、第1楽章が終わったところで、後方のドアから入れてもらいました。
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5/4(金)は久しぶりにJRの旅。新潟経由で実家の横浜戸塚へ。病気療養中の母を見舞うのが今回のGW後半の主目的(エルミタージュとブランデンブルクはあくまでついで)だったのですが、この春から大学生になった姪のお祝いを兼ねて世田谷の妹家族(旦那はまだ上海在住)を交えて、8名で戸塚崎陽軒に食事に行きました
ちょうど「10周年記念」のディナーコース「ツバメの巣づくしコース」というのがあり、全員でそれを美味しく頂きました。写真は、その「ツバメの巣のスープ」。人生で2度目のプルプルでした(笑)。
5/5(土)は、六本木で「大エルミタージュ美術館展」の後は、18時に上野の東京文化会館まで時間があり、昼食は都内山手線沿線ならどこにでも行ける余裕があったのですが、久しぶりに行ってみたいと思っていた銀座「グリルスイス」へ。
私は1050円とお値打ちの「Wカツカレー」を頂きました。写真は家内の注文「チバかつ」こと「元祖千葉さんのカツカレー」。かつてのプロ野球巨人軍の千葉選手が、試合前にはカツライスとライスカレーを食べていたそうですが、ある日ゆっくり食べている時間がなかったので、カツライスのご飯にカレーをかけて出してくれ、と頼んで出来たのがこの食べ物。これが「カツカレー」の原型になったと言われています。
ちょうど3年前にこの店に来た時にお世話になったレジの奥さん(3年前のブログ記事参照)は、高齢のため家にいるそうで、代わりにその実妹さんがレジに座っておられたのでご挨拶してきました。
「グリルスイス」で食事の後は、「東京フォーラム」とその周辺でやっている「ラ・フォル・ジュルネ東京」を見(聴き)に行くことを考えていたのですが、時間的に余裕があったのと前々から寄ってみたいと思っていたすぐ近くの「銀座ルノアール本店」へ。
店を入ってすぐ、レジの前に写真の水だしコーヒーの装置が3台。ちょうどコーヒーを抽出中。
暑くて、カレーの後で、喉が渇いていたので二人とも「水だしアイスコーヒー」を頂き、そこから歩いて5分位のBMW Tokyoでの弦楽カルテットを聴きに行ったのでした。
いつもながら、時間を目一杯使ってイベントの非常に多い充実の2日半(往復のJRの旅が合計で約11時間含まれますが)でした。
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