金子美勇士ピアノリサイタル in 鶴岡
先週から怒濤の音楽会(土曜=仙台フィル酒田公演、日曜=サロン・コンサート第19回、今週末土日は山響定期)の中、H24/4/17(火)19時開演の「金子三勇士ピアノリサイタル」に行ってきました。
会場は、ようやく新会館建設が決まった鶴岡市文化会館。
なにせ古くて、観客席の椅子が酷いのと、楽屋、舞台裏が貧弱で野ざらしの様な会館です。
でもピアノはシュタインウェイのフルコン。これは石井理恵さんがガンガン鳴らしたピアノです。
プログラムは写真の通り。
ショパンとベートーヴェンが入っていますが、リスト音楽院卒で日本人とハンガリー人のハーフである三勇士氏らしく、リストとバルトークが中心です。
演奏は、、、
ただもう素晴らしかった。
これで若干22才?!
と言っても、リスト音楽院に入ったのが11才ですから本格的なピアノの勉強は12年やっている訳です。
すべてよかったけれど、balaine的にはバルトークが素晴らしかったと思います。
ハンガリー人の血が流れているんだなぁ、、、とそのテンポ、アゴーギグから普通の日本人には真似の出来ない何かがあります。おそらくマジャール語もしゃべるところから来ている「脳」の違いでしょう。
最後のリストのピアノソナタも圧巻でした。
やや難解で、耳障りの決して良い音ばかりではなく、激しさと切なさと哀愁と激昂の揺り返しの30分ですから、普段CDでもなかなか聴きませんし、生ではおそらく初めてかも知れません。
Bravo!でした。
アンコールの前に、自らお話がしたいとマイクを持ってステージへ。
昨年がリスト生誕200年で、それに合わせて本格的プロデビューを予定し準備していたところ、あの大震災。予定の演奏会を行うべきか悩んだとの事。
そして考えたのは、リストが生前宗教学者として慈善家としてチャリティコンサートも行っていたこと。もしリストが今生きていたら演奏活動をしたのではないかと考えて自分も演奏をしようと決めたという事。
そして、今回の鶴岡のプログラムは、昨年東京でのデビューリサイタルのプログラムと同じものを持って来たということでした。
アンコールには、リストが最も尊敬していたというバッハのサラバンド。
シンプルで(本来チェンバロの曲)、技巧的な面がほとんどないだけに、素がそのまま出てしまうという意味で難しい曲だと思います。しかし、彼の美しいピアニズムがより際立つ様な演奏でした。
サイン会は長蛇の列。平日の21時過ぎの鶴岡では珍しい事です。
多くの知人が口々に「素晴らしかったですね!」と興奮気味に話していました。サインの列は階段から2階までズラ〜っと並んでいました。
私もリストのCDを購入し、サインを頂きました。
その際に市民オケでソルノクやブタペストに行った事。リスト音楽院に2回行った事、マジャール語で今晩は(ヨー・エシュテート・キヴァーノク)と挨拶をし、コンサートの成功を祝福すると三勇士氏からは「ケセネム・ツェーペン」(ありがとう)との言葉。
時間がなくて(たくさん並んでいたので)ゆっくりお話ししたかったのですが、二言三言だけ。リスト音楽院で教えている、酒田フィルと希望ホールでショパンのピアノ協奏曲をやってファルカシュ・ガーボールのお話まではする余裕がなく残念!
礼儀正しく、にこやかで、22才とは思えない落ち着いた優しい身のこなし。
そしてあの繊細なpppに大迫力のfff、詩情豊かなピアニズム。
このまま順調に行けば、世界的なピアニストになること間違い無し。すでに巨匠の風格すら感じる金子三勇士氏でした。
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