« あと4日です! | トップページ | よぐふりますのぉ »

2012.01.12

楽器演奏と湿度

楽器、ことにクラシック音楽に用いるアコースティックな楽器から音が出る構造は物理的には単純である。
弦を弾いて振動する(チェンバロ、ギター)、弦を叩いて振動する(ピアノ)、弦を擦って振動する(ヴァイオリンなどの弦楽器)、リードを震わせる(クラリネット、オーボエ、ファゴットなど)、唇を震わせる(トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバなど)、空気に渦を作って振動する(フルート、尺八、リコーダーなど)、と言う具合に、要するに何かが振動することでそこから音が出る。

Photo日曜日に鈴木秀美さんを迎えるにあたって、最近気をつけているのがジョンダーノ・ホールの室温と湿度。写真では、室温18℃、湿度50%を示している。
楽器がちゃんと振動していい音を安定して出す為には、振動体の長さや硬さが最適で一定である必要がある。そのためには温度と湿度が最適で一定である必要がある。

暦の上でも「小寒」を過ぎて「大寒」まであと一週間あまり。昨日今日は非常に寒く、日中の最高気温も外は0℃。自宅でもクリニックでも日中は持続的に暖房を入れている。
ジョンダーノ・ホールはリハビリ室でもあるので、ウォーターベッドによる治療を受ける患者さんの為に、エアコンと局所的には温熱ヒーターで暖房を入れている。すると部屋の湿度はどんどん下がり、何もしないでいると30%程度になってしまう。

その結果、kanonの一段鍵盤フレミッシュはその響板にひびが入ってしまい、先日(12/17)のサロン・コンサートに合わせて製作者である林裕希氏に仙台から来て頂いて治療を行ってもらった。
弦楽器も鍵盤楽器も木で作られた部分が多いので、およそ50〜60%程度の湿度が最適と言われている。高級なヴァイオリンを持っている人は、ヴァイオリンケースの中に湿度計も一緒に入れて常に楽器の置かれた環境に細心の注意を払っている程、湿度は大切なものである。

チェンバロの件もあり、ジョンダーノ・ホール用に最新の加湿器を購入して、1日中ではないが可能な限り加湿している。ちょっと油断して加湿しないで暖房だけかけておくと、湿度はすぐに40%程度になってしまうのである。

Hidemibow2Hidemicello2(写真は4/2のリサイタル時に、オリジナル楽器の弓や胴体などの説明をされている鈴木秀美さん)
普通の現代弦楽器はもちろん、古楽演奏に用いられる「オリジナル楽器」はより繊細で室温や湿度による影響を受けやすいもの。
ガット弦は、音色・発音・手触り等様々な点で冷たいスチール弦とは比較にならない暖かみがあるものの、温度と湿気には敏感だ。湿度が高く湿気ていれば弦は伸びてピッチが下がり、乾燥すれば縮んで上がる。しかし、室温が高いとピッチは下がる。チェンバロでは、湿気たり暑くなったりすると木が膨らんでピッチが上がり、オルガンは下がる。

ということで、演奏される音楽家にとって、楽器の調子、特に音程を考えた場合は、室温や湿度は非常に大切。また、酷く乾燥しすぎていない限りは、「控え室」と「ステージ」の室温や湿度がほぼ同等であることが大切。たいていステージはライティングや観客の熱気などもあって熱く、湿度は不安定。

ジョンダーノ・ホールのようにキャパシティの小さな、音楽ホール専用の空調システムなどないところでは、お客さんがたくさん入るとあっという間に室温が上がり、湿度もあがる(先日も実感したが、どんな高性能の加湿器よりも人がたくさん入るとあっという間に湿度が上がる状態)。

本番を3日後に控えて、自分の個人的フルート練習をしながら、ジョンダーノ・ホールの室温と湿度、そしてホールと隣りの控え室の湿度などに気を使っているこの頃である。
そういえば、最近愛用している笛はパウエルの木製管なので、金や銀のフルートより湿度、特に乾燥に注意する必要がある。普段はベビーオイルを薄く塗って乾燥から守るなどのメインテナンスをしているが、乾燥しすぎると木の管にひびが入って割れてしまうこともある。やはり部屋の積極的な加湿が必要である。

|

« あと4日です! | トップページ | よぐふりますのぉ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74618/53720722

この記事へのトラックバック一覧です: 楽器演奏と湿度:

« あと4日です! | トップページ | よぐふりますのぉ »