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2011.11.24

50才過ぎて試験勉強はなかなか辛い

人間の脳は可塑性と柔軟性がありますから、勉強を始めるのに遅すぎると言う事はありません。でも、やはり、適齢期というのはあり、脳が激しく発育する幼少期に脳を鍛える事は大切です。
「幼稚園からでは遅すぎる」という本がありましたね。

言語に関しては8〜10才前後でおおよその完成があるようで、海外暮らしの子弟でそれ以前に帰国して日本語環境に曝されるようになったものと、それ以後に帰国したものとでは、海外生活で取得した外国言語の身に付き方に大きな差があるようです。

経験に基づく知識や知恵は少々年を取ってからでも十分に学べますが、単純に知っているか知らないか、覚えているか覚えていないかというタイプの記憶力は年をとるとやはりがっくりと落ちるようです。

日本脳神経外科学会の認定専門医試験は、国家試験に通って医師になり、脳神経外科を専攻し(脳外科学会に入って)6年以上の者に受験資格が与えられます。大学入試から順調に来た人でも30才を超えます。私がかつて脳外科専門医の試験勉強をした際に、大学受験で浪人して勉強していた頃に比べて記憶力がガタっと落ちている事を痛感しました。
ただ覚えなければならないたぐいの事柄は、朝読んだのに夕にはもう忘れていることもあり愕然とした事を覚えています。

PhotoPhoto_211/23(水・勤労感謝の日)、日本脳卒中学会野認定専門医制度の「認定医に対する第1回過渡的試験」が山形大学医学部で行われ、久しぶりに母校に行って来ました。
H19年4月まで大学で文部教官をしていた訳ですが、久しぶりに訪れてみると特に何もかわっておらずかえって驚きでした。

Cbt今回の試験は、CBT(Computer Based Test)と言ってパソコンで受けるのです。医学部構内の「視聴覚教室」が使用されました。
これが全国に2カ所にあるサーバーと接続され、全国同時に試験がおこなわれることになっていました。

いざ13時に試験がスタート。受験番号がわかりに日本脳卒中学会の会員番号を入力し、早速一問目を解答し続いて二問目に進んだところで問題発生。
会場の全員のパソコンがフリーズしたのです。
今回、東北地方では盛岡と山形の2カ所、そして全国10数カ所で同時に試験が行われたのですが、東日本の会場すべてで同じ現象が起きたということ。西日本では問題なく試験が進んでいる状況との連絡。

その後、再度ブラウザーを起動して始めると、今度は会員番号を入力したところでまたまたフリーズ。
試験監督の担当者(脳外科の後輩)が中央と連絡を取ると、東日本全会場が同じ現象。やはり東日本側のサーバーの問題のようです。
「これは全員合格で終わりか?!」「キャッシュバックだな、、、」という軽口も聞かれ会場にやや白けたムードが広がりかけた13:30少し前、試験が始まって30分弱経過してようやくサーバーがうまくかどうしたということで、再起動して試験を再開。今度はスムーズに稼働し、用意された100問に取り組みました。

Photo_3今回の試験は政府や厚生労働省主導ではなく、「日本脳卒中学会」という学会で独自におこなったもの。
「専門医」資格を一度取得してしまえば、その後は一生有効ということに疑問を持つ声がある事は確かです。医師は常に勉強が必要な職業で、診断や治療は医学の進歩と共に日進月歩する訳ですから、専門医資格もその進歩に即応して行かなければならないと言う考えは当然です。
しかし、40才や50才くらいならまだしも、60才、70才で現役医師をやっている方々に取って、試験勉強は大変なものがあります。何才まで行うか、どういう内容を問うのか(最初の専門医認定試験と同等の者にするのか)などなどいろいろ議論があったそうです。

写真は、日本脳卒中学会で編集監修している脳卒中専門医試験問題集。
通常の脳卒中専門医受験資格は、日本脳卒中学会会員であり、日本脳卒中学会認定研修教育病院で診療に携わった経歴がある一定年数以上あり、脳卒中に関する診療経験が豊富で(ある年数以上の職歴があり)指導する上級医の推薦がある医師に与えられますが、若ければ30代前半で受験可能です。

その頃の脳ならば、この問題集にある問題や解説を読めば頭にどんどん入って行く事でしょうが、これが50才を過ぎるとなかなか頭に入りませんし、残りません。

今回、市民オケの定期演奏会という大事なイベントがあり、なかなか試験問題衆に集中して取り組む時間が取れずに苦労しました。苦手な領域、例えば基礎的知識の有無が問われる「脳卒中の病態と病態生理、病理」や、知ってるかどうかが問われる「脳卒中の疫学・社会医学」は解説をじっくり読んでおぼえるしかありませんでした。
逆に、「脳卒中の診断」や「脳卒中の内科的治療」「脳卒中の外科治療」などの領域は、医師になってもうすぐ30年、その間ほとんどの期間(米国留学の計2年3ヶ月を除き)は脳卒中の診療に携わって来て、開業してからも以前程の頻度ではないけれど脳卒中患者さんを診ていますので、ほとんど苦労しませんでした。知らない事はほとんどないからです。

結局試験というものは、考えれば出来る問題だけならいいけれど、知らなければ答えられない問題も少なくない訳ですから、悩まずにただ「覚える」ということに脳が耐えられなければならない訳です。
これが50才を超えるとなかなかにたいへんな作業。

たとえば
「抗リン脂質抗体症候群ではAPTTが延長する」
「CADASILは、Notch3の遺伝子異常が原因の遺伝性脳血管障害である」
「Alagille症候群は、肝内胆管の異常と脳血管障害を主とした遺伝性疾患で、JAG1の遺伝子異常が原因である」
というような問題は知らなければどうしようもありません。
そして決して「知らなくてもいい」内容ではないのです。だからこその専門医試験問題集なのですが。

結果はわかりませんが、この問題集からそっくりの問題も結構な割合で出題されたのである程度は出来たかなぁと思っています。でも50才を過ぎて一定時間を集中して試験問題に取り組むと言うのはやはり容易な事ではありませんでした。
できれば避けたい事ですね(苦笑)。

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コメント

お疲れさまでした。

私の友人も日本海病院で看護士をしてますが、なりたての頃、学校に入ってた時より勉強してる(必要に迫られて)と言ってましたね。

パソコンで試験って便利そうですけど、停電になったりしたらどうするんだろう?
娘が大学受験の頃には入試もパソコンだったりして。

投稿: librarian | 2011.11.26 13:52

librarianさん、デジタルにはデジタルの良さ(ペーパーレスとか全国同時に同じようにできる、はずとか)があるはずなのですが、停電、サーバーのダウンなど問題が起こりうるので、大学入試はどうなりますかね。今の入試は手書きではなく、マークシートなのでしょう?
全国に設備が整えばCBTに移行するでしょうね。

投稿: balaine | 2011.11.27 22:47

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