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2011.09.19

サロン・コンサート第15回の報告

昨日9月18日(日)は、ジョンダーノ・ホールでのサロン・コンサート第15回、「山形弦楽四重奏団第4回庄内定期演奏会」でした。
チラシが出来た8月中旬以降、庄内地方でのクラシック関係のコンサートが少なく、広範囲への告知に少し苦労しましたし、変則シルバーウィークの連休中日ということで前売りがやや不調で少し心配もありました。

山響Tp奏者の佐藤裕司さんがパーソナリティーを務めているFM山形の毎週日曜朝の番組「Sunday Prism」(山形唯一のクラシック専門FM番組)でもサロン・コンサートの情報告知をして頂きました。

Qgp写真はゲネプロの様子。
第2ヴァイオリンの今井東子さんはジョンダーノ・ホール初お目見えですが、他のお三方は4回目。この小さなホールの響きにも慣れて来られたと思います。
「椅子の配置からセンターはここです」と示したところ、ヴィオラのらびおさんこと、倉田さんから「私の座る位置がカルテットのセンターなんです」と説明がありました。

Qmc14時半の開場まもなくいらして頂いた方、開演15時直前に飛び込んで来られた方、上に紹介した「Sunday Prism」での告知のかいもあってか、5名程当日券を求めて来られ、結局50名を超えるお客さんにお出で頂くことができました。
写真は開演直後、「チェロリスト活動日誌」のチェロ茂木さんのMCの様子。前回から今回の間に大震災がありましたので、その事に触れられ、今回のプログラムについて簡単な説明がありました。
特に尾崎宗吉については私も知識がありませんでしたが、戦争に2回応召され、2度目に戦地中国にてわずか30才の若さで戦病死されています。今日山形Qが演奏する事で、しかし、不幸にも若くしてなくなられた作曲家の魂が生きている、生き続けると言う様なお話をされました。

Qいくら主催者でも、演奏中はあまりバシャバシャ音を立ててシャッターを切る訳にも行きません。それに折角の音楽に集中したいです。
よって演奏中の写真はこの一枚だけ。

1曲目は尾崎宗吉の「小弦楽四重奏曲」。
作品1ということで、20才の時に書いた「処女作」にあたるのでしょうか。
決して「東洋風」の作品ではありませんが、やはり独自の空気感が漂うものです。1楽章は比較的激しい刻みの上に強い意志を感じる旋律が流れます。2楽章は、子守唄の様な優しい調子。和音の解決する部分などは、あの映画「おくりびと」のテーマを思わせる雰囲気を持ちます。3楽章はVa&Vcと1st&2ndVnでそれぞれにピチカートで始まり、そこに和風のどこかの民謡を思わせる様なメロディが流れるのですが、Vcの刻む力強いベースの上に展開して、最後はアッチェラレンドして疾走するように終わります。
耳馴染みの良い、頭に残るようなメロディとはいえないのですが、20才の若者が書いた秘めた情熱、短時間だけ爆発する様な精神の迸りを感じます。もしも戦病死されなかったら、もっと素晴らしい作品をたくさん残された事でしょう。

2曲目は、ベートーヴェンの「セリオーソ」。
曲の解説はインターネット上にもたくさんありますから、1楽章がどう、とかいう記載は避けます。
出だしは「あれ?」という感じで、ユニゾンがちょっとずれた?と思ったのですが、すぐに立ち直りいかにもベートーヴェンらしい格調高さが現れます。この作品は1810年の作曲と言う事ですから、交響曲の6番「田園」と7番を発表する間の時期です。
「セリオーソ」とは「厳粛な」とか「生真面目な」という意味だそうで、この作品全体にそういう緊張感の様なものが溢れていますが、この時期かなり難聴が進んでいたとされており、2楽章の第1Vnに受け持たせた美しいメロディとともに、VaやVcに大きな役目と効果が与えられています。そしてアタッカで3楽章、ベートーヴェン自身が「セリオーソ」と指示した楽章に続き、音楽は急に激しさを増します。第4楽章はいかにもベートーヴェンという感じです。弦楽カルテットを借りた交響曲の様な雰囲気を漂わせます。後期のピアノソナタにも見られる様な展開の鮮やかさ。私の頭にはVaの謳うメロディがベートーヴェン自身の心の底からの歌声の様に聞こえました。そしてさすがベー様というような終わり方、と思った瞬間、長調に転じて、それまで難しい顔をして「生真面目に」聴いていた観客をあざ笑うかの様に風の様に去って行ってしまうという感じでした。

休憩のあと、後半は弦楽四重奏の「定番」ともいうべき、ドヴォルジャークの「アメリカ」。
もう、さすがメロディメーカーのドボ様と言う感じです。おそらくお客さん一人一人、人生の歩み、経験などの違いで個々の違いはあるにせよ、聴いているだけでなんだか目の前にある情景が浮かんでくる様な音楽が展開されます。それが決して「アメリカ」という土地でなくても良いんです。
「アメリカ」を生で聴いたのは初めてではないのですが、私には2004年と2006年に庄内町響ホールでアフラートゥス五重奏団が演奏した、木管五重奏版が強烈に印象に残っています。
25分を超える長い曲ですが4楽章とも全然飽きずに「もう終わるの?」と感じさせるところなんか、ドボ様、さすがです!

Q_2お客様は大満足。
大きな拍手です。お客様の様子がわかるように、この一枚だけフラッシュを焚いて写真を撮りました。大きな拍手が聞こえるようでしょう?

Q_3熱心に指導されているM先生が率いて来られた酒田中央高校音楽部の学生さん(7月に一緒にブランデンブルクの5番を演奏したあの子達です)に花束嬢になってもらい、盛んな拍手の中、素晴らしい演奏をしてくださった4人に花束贈呈です。

この後、アンコール2曲。
アンコールというよりは「影のプログラム」ともいうべき、balaineが主催者特権で参加するフルート四重奏。今回はモーツァルトのハ長調(フルート四重奏曲第3番)の第1楽章。
山形Qの庄内定期は、文翔館定期の「ハイドンの弦楽四重奏曲全68曲制覇」に対抗(?)して「ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全17曲制覇」を掲げています。そして「影のプログラム」として、「モーツァルトのフルート四重奏曲全楽章制覇」を目指しています。アンコールピースとして演奏するので、1回につきある楽章一つという考えなので、全4曲で全10楽章なのです。計算上は10回で終わりますので、4回の演奏会でフルートで参加させて頂いたのは確か3回目なのであと7回で全曲制覇出来そうです。その後は、、、(笑)

もう一曲は、ハイドンの弦楽四重奏曲から(えっと、何番の何楽章でしたっけ?自分のフルート演奏が不満足だったのでボーッとしていて覚えていません、苦笑)。
本編の3曲は、言葉は悪いですが、新生山形Qとしてこれから先何年もかけて取り組んで高みを目指そうとしている段階と感じる部分もあるのですが、ハイドンは一番演奏会数が多いのか、観客としても聴きやすい曲と言うこともあるでしょうが、山形Qにとって「自家薬籠中」の一曲という感じを受けました。

お客様は皆一様に満足そうな表情でお帰りになられ、主催者としてもほっとしました。
玄関ホール(クリニックの待合室)で一人一人お客様を4人で見送る山形Qの皆さん。知人に声をかけられ、今日の演奏の感想とともに「また演奏聴きに来ます」などの言葉を頂くと大変嬉しいものです。
新しいメンバーの今井東子さんは千葉大学を卒業されているのですが、学生オケでコンミス経験があり、OGとして参加した千葉大学生との演奏(ブランデンブルクの4番)で酒田フィルでbalaineと一緒にフルートを吹いている千葉大教育学部卒のSA嬢と一緒に演奏したという嬉しくも驚きの再会がありました。

Q_6Q_7新潟からわざわざお出で下さった倉田さんの大学時代(音大に進む前、社会人に成る前に卒業した)の先輩のDさんも交えて、近場の「善べえ」で打ち上げです。
連休の中日ということで、近所の焼き鳥屋さん「串きの」は予約で一杯。一寸離れているけれど美味しいと評判の日の出町の「七草」は日曜休み。「善べえ」さんも個室は予約で一杯ということで、小上がりで7名で打上りました(これ以上予約を増やさないで欲しいと言うお店側の要望があり、一般のお客さんや酒フィルの仲間は誘わず)。
車二台で来られたので、残念ながら飲めない犠牲者?が2名出てしまうのですが、おいしい食事とビール、そして日本酒通の中爺さんセレクトで菊勇の「三十六人衆」です。
平泉の崩壊時に、徳姫を守りながら酒田に落ち延びて来た奥州藤原氏の家臣団の末裔で今の酒田の町の基礎を確立させた「三十六人衆」にちなんだ銘酒です。皆さんの笑顔と飲んだ人の顔色でお酒の旨さがわかるでしょう。

今回も素晴らしい演奏をしてくださって山形Qの4人に感謝です。
そして、初見参で緊張されたでしょうが、balaine&kanonもちゃんとお話をしたことはあまりなかった今井東子さん
内声を受け持つ第2ヴァイオリンとして、飛び出さず目立たぬようにしかし主張するところが「ガツン」と主張されていたその音楽を初めて聴きました(普段は山響の第1Vnのtuttiなので個性はわかりませんでした)。美しく柔らかな音だなぁという感想と共に、やる時はやるわよ、という意志の強さも感じられる演奏と、打ち上げでお話しした時のなんとなく勝手に持っていた先入観と違って柔らかい(大変失礼!)物腰で
楽しくお話が出来て嬉しかったですね。
kanonの大学の後輩で同じ秋田出身ということで親しくして頂いた前メンバーのだちゅ嬢とはやはり個性が違う訳で、それが音にも演奏にも、そしてアンサンブルにも現れていて、音楽って本当に面白いと思わされました。

山形Qの第5回庄内定期は来年の2月頃を予定していますが、酒田フィルが3月にオペラ「蝶々夫人」に取り組むため、山響のスケジュールと共に酒田フィルの練習スケジュールを十分に考えてコンサート日程を組む必要があります。
でも、また来て頂くのが本当に楽しみです。

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コメント

この度は本当にお世話になりありがとうございました!素敵なホールに温かいお客様、これも先生ご夫妻の人徳の賜物と感じました。思いやりに満ちたお言葉、汗顔のいたりです。演奏は所々冷や汗をかきました(先生にはバレバレだったと思いますが。。)が、今後の課題も含め、収穫の多い演奏会で、図々しくも気持ち良く弾かせて頂きました。先生の演奏も実に堂に入って、打ち上げの席で「実はまだ手に入れて日の浅い楽器」だったと知り、二度びっくり。こちらもこれからが楽しみです。今後ともどうぞよろしくお願い致します!

投稿: 東 | 2011.09.20 01:11

演奏会のご成功、おめでとうございます。
先生の企画の良さと継続の力だと思います.
時間が許すときは、必ず行きますので、ぜひ継続してください。

今回は、古楽フェスと学生の学会原稿締切が重なり疲れきってしまったので、家族と近くの温泉に出かけてきました。ほんのわずかですが、のんびりできました。

八百板教室発表会が近いので、その練習も最後の追い込みです!まさに貧乏暇なしですね(^_^;;;

投稿: MrBach1954 | 2011.09.20 10:42

これは東さん、「ひがし」ではなく、「はる」さん(ちゃんでは失礼かな?)とお呼びすればいいのでしょうか。山響のVnにはもう一人「はるさん」がいますね。
勿体ないお言葉の数々、恐れ入ります。山形Qの方々に感謝されるのは反対と言いますか、こちらが感謝すべきことであると思っています。好きでやっていることなのでまったく苦には感じません。嬉しいだけです。歓びとするところ、とはまさにこのことなんです。
これからの益々のご活躍ご研鑽ご発展をお祈りしております。

投稿: balaine | 2011.09.20 11:10

ん~、ただただ、聴けずに残念でした。(涙)

当日は演奏会は演奏会でも地区中学校吹奏楽部の合同演奏会へ行かねばならず、今回は欠席となりました。

ん~、次回は必ず聴きに行きます。Zべいで断られても懇親会にも参加したい。(笑)

悔しくて、まだ起きている私でした!?

投稿: けん | 2011.09.21 03:33

MrBach1954様、今日、台風が近づくこの天候の中、kanonは新潟に向かいました。「今日見てもらえなかったらぶっつけ本番になっちゃう、、、」といいながら。
実は次回は12月にその八百板先生にご出演いただこうと画策中です。MrBach1954さまのご協力も是非あおぎたいところでございます。

投稿: balaine | 2011.09.21 08:56

けんさん、その合同演奏会の指揮は山響指揮者の工藤さんだったのでは?子弟が遊佐中の酒フィル団員さんも山形Qが聴けずに残念!とおっしゃっていました。
聴かれた方は、尾崎とドヴォの「アメリカ」で感動した〜!という言葉が多く聞かれました。是非、次回は!
おそらく12月にチェンバロ(八百板正己氏)、1月にチェロ(鈴木秀美氏)2月にまた山形Qと3ヶ月連続になりそうです。
よろしくお願い致します。

投稿: balaine | 2011.09.21 08:59

今回は弾きがいがある曲ですから、気持ちは分かります。
安全に帰宅できること、祈っています。

12月に八百板先生の演奏会ですか!
ご配慮いただき、ありがとうございます。もちろんバックアップさせていただきます。
問題は日程ですね。それだけ早目に決めていただけると助かります。今のところ12/11(日)以外は空いています。これからいろいろな行事予定が入ってくるので、よろしくお願いいたします。

投稿: MrBach1954 | 2011.09.21 10:33

balaine様
今回も、たくさんお世話になり、ありがとうございました。
昨年より、酒田に私の知り合いが増えた事もあり、会場には存じ上げた方が数人居られました。今回、嬉しかった事の一つです。
これからも、人とのつながりに感謝を絶やさずに、アンサンブルを研いてまいります。
どうか、これからもよろしくお願いいたします。

投稿: 茂木 | 2011.09.21 22:44

MrBach1954さま、今のところ最有力なのは12/17(土)です。八百板先生のご予定とこちらの予定をすりあわせている段階です。
心配なのは、昨年のその時期は酒田も積雪がありました。まあ何とかなるでしょう!

投稿: balaine | 2011.09.23 01:09

茂木さま、山形に根を下ろして活動を続けられれば人の繋がり、「絆」が生まれますよね。そして音楽に更に輝きが増す事でしょう。これからも楽しみにしております。

投稿: balaine | 2011.09.23 01:11

再び失礼致します。ご質問頂いた件ですが、私の名前は自分のブログのタイトルに因んだ、便宜上のハンドルネームみたいなものなので、どうぞお好きなようにお呼び下さいませ(笑)。ただご指摘の通り、山響では既に「はる」ちゃんがいらっしゃるので、区別する意味でも皆「子」を付けて呼んで頂いています。またお会いできるのを楽しみにしています!

投稿: 東 | 2011.09.23 23:46

東さん、では今後は「はるこ」さんで宜しくお願いしますね。

投稿: balaine | 2011.09.26 03:26

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