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2011.06.14

3d MRA

久しぶりに医学ネタをちょっとだけ。
依頼原稿の準備と7月上旬の「日本脳ドック学会」での発表準備を兼ねて。

Acoman74fmipcolorAcoman74fnoshadeAcoman74fshadel_2



これは拙クリニックにあるH社製0.4テスラ永久磁石式オープンMRI装置で撮像した脳の血管。いわゆる脳MRAです。
左から、MIP(maximum intensity projection)画像、VR(volume rendering)画像、VR with shading、すべて3D像をほとんど同じ角度で静止画像的に切り取ったもの。

前交通動脈瘤(Acomというよりは、左A1A2 junction)の治療前のMRAです。
それぞれの3次元再構成画像を、balaineの目で見てもっとも見やすく美しい条件(コントラスト、明るさや角度)に設定したものです。

 脳動脈瘤の形状や近接する血管との関係がもっとも分かりやすいのは、一番右のVR 3D with shadingだと思います。如何でしょうか。

 無症状で見つかったこの脳動脈瘤。
何も起きなければ何の症状もないのですが、ひとたび破れれば「クモ膜下出血」を起こします。いまだに出血例の3人〜4人に一人は命を落とす怖い病気です。
患者さんと十分な相談の上、予防的手術、その中でも最近手技や機器が進歩している「血管内治療」を選択しました。
Acomgdcme上の写真の、脳動脈瘤の中に、股の動脈から挿入したカテーテルを使って、非常に細くて柔らかいプラチナ製のコイル(GDC)を挿入しました。この治療は、拙クリニックから紹介したS病院にてS先生とE先生に行って頂きました。
その結果、このレントゲン写真の写っている様に、GDCが脳動脈瘤の中にきっちりおさまって破裂しない状態にできました。

3d_vr_me2それを拙クリニックのMRIで確認するとこうなります。
一番上の一番右の写真と同じ、VR 3D MRA with shadingです。瘤が綺麗に消失し、前大脳動脈は狭窄もなく温存されています。この手術を受けた後、もうすぐ3年近くが経過しますが、患者さんは元気に高血圧の治療のため拙クリニックに通院治療中です。

このように、造影剤を使わず、痛い思いをせず、オープン型なので閉所恐怖症の人でも大丈夫なMRIで、無症状だけど一旦破裂すれば3分の1は命を落とす「未破裂」脳動脈瘤を発見し、治療後にその状態を確認し、経過を追い続けています。

大病院にしかない、高磁場・超高磁場(1.5~4.0 テスラ)のMRI装置でも、3次元画像解析装置またはアプリケーションがなければこのような綺麗な3D MRAはなかなか作れません。
拙クリニックは2008年3月の開院以来、Mac上で稼働する"OsiriX"というDICOM画像解析アプリケーションによってこのような綺麗なMRAを作成しています。

これらの成果を、依頼原稿と学会で発表する予定です。

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まだまだ完成しませんが、これらの準備のためにこの1週間ぐらいはまともにベッドで寝てない気がします。夜中までやっていて、睡魔に勝てずにソファに倒れる様にして寝て、また途中で起きて少し仕事をし、また寝て、、、という不健康なことをやっています。
Photoまあ、脳外科医なので、睡眠が分断されたり、夜中に働く事は身体が慣れていますので、1日ぐっすり寝れば直ぐに回復します。
もうちょっと頑張ろう。。。
(写真は、先日の記事に載せた「白熊アイス」のバーアイス版。美味しいものを食べると元気になりますね。)


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コメント

いま同居中の母が5年前に脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血を起こし、「コイル塞栓術」を受けました。発症後の対応が早かったため、ほんのわずかな運動障がいが残っただけですみました。破れた脳動脈瘤意外にもいくつか動脈瘤が見つかりましたが、深い部位にあったため、医師と相談の上、治療は断念しました。

balaine先生もOpen-MRIをお使いなのですね。私も整形外科との共同研究で同レベルの装置を使って、肩の三次元運動をin-vivoで測定しています(Openでないと測定が困難)。肩甲骨・上腕骨・鎖骨の正確な三次元相対運動のデータは、ほとんど報告されていません。昨年は胸骨に対する鎖骨の三次元運動の測定・解析法についてひとつ論文を発表しました。今は実測した運動データと筋骨格モデルを用いて、腱板損傷時における他の肩の筋群の代償活動について推定しています。興味深い結果が得られたので、来月、学会で修士1年生が発表する予定です。

学術的な話題だったので、便乗させていただきました。

投稿: MrBach1954 | 2011.06.15 00:34

0.4Tの装置ですけどきれいなMRAですね。
MRIは装置の性能も大事なのですが、扱うヒトの熱意でかなり良い画像ができますね。逆にいえば、どんなに性能が高くても、機械任せ/メーカー任せでは大した画像はできないんです。

WSで3Dの画像を扱っていると、時間があっというまに経ってしまいます。睡眠分断されても…と書かれていますが、無理はなさらぬように…。

投稿: Teddy | 2011.06.15 12:26

MrBach1954さま、コメントありがとうございます。
実は横浜の戸塚に暮らす私の母もちょうど10年前にくも膜下出血で倒れました。最初誤診され精神科に回されたりして(水頭症による痴ほう症状が出たため)、最初の出血から1ヶ月程して山形大学時代の先輩脳外科医が勤務する港北区の専門病院で手術を受け、今は85才ですがそこそこ元気にしております。
誤診された(SAHとの診断が出来なかった)時のCTやMRIの画質が酷かった経験も、特に画質にはこだわりを持っている一つの要因です。今の低磁場オープンMRIはSN比も悪くなく、綺麗な画像が得られます。
そうですね、オープンであることを利用して関節を動かした際のMRI画像が撮れますからそのような研究が進んでいることは知っております。野球のピッチャーやテニスのサーブの時の肩関節にかかる負担などが解析できますね。

投稿: balaine | 2011.06.16 02:24

Teddyさま、画像診断のプロ中のプロにお褒め頂き光栄です。
確かに0.4T装置は、最近普及し始めている3.0T以上の高磁場・超高磁場装置に比べるとS/N比が劣り、細かい画質、1mm以下の太さの血管の画質には明らかな差があると思います。さらにf-MRIやfiber trackingなどの機能画像となると最初から出来ないものと諦めています。
しかし、「中・低磁場装置」とひとくくりにされて、レベルの低いMRIのような扱いを受けることには抵抗があります。保険点数(診療報酬)も「1.0T以下の装置」は「それ以上の装置」に比較して料金が2/3に抑えられています。
でも初期投資とランニングコストが圧倒的に安い(と言っても合計で億に近い単位ですが)のですから文句は言えません。
ただ、「低レベルのMRI」だから「画質も低レベル」、よって「脳ドックには適切とは言えないのでは?」という誤った固定観念を変えたいと思っています。磁場強度が低いからMRAは綺麗に撮れない、のではなく、高磁場装置だってきちんとした画像処理をしなければ、綺麗に撮れない。逆に言えば、中・低磁場装置だってちゃんとした画像処理をすれば高磁場装置を凌ぐ可能性だってあるんだぞ、というのを脳ドック学会で主張してきたいと思っています。
睡眠不足で仕事をするのは慣れていますが、さすがに最近は昔の様な「回復力」がありません。でも大学病院で医局長や准教授をしながら体と心をすり減らすように超過剰労働をしていた頃を思えば、楽なもんです。

投稿: balaine | 2011.06.16 02:36

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