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2011.03.06

黒森歌舞伎を観る

昨日土曜日は、酒フィルのファミリーコンサートの本番をあと8日に控えての特別練習。
午後2時半から午後9時まで、途中の休憩や夕食時間を含めても6時間半、実質4時間50分の長時間練習でした。「指揮者体験コーナー」やアンコールを含めて全9曲のプログラムのうち、balaineは2曲しか出演しませんが、シベリウスのフィンランディアにビゼーの「アルルの女」第2組曲だけで燃え尽きそうになります。燃え尽きないように頑張ります!

練習後には「山茶花」で23時過ぎまでコンサート前日&当日のスケジュールや準備、プログラム進行等の打ち合わせ。というわけで帰宅したらぐったり。ブログを書く元気もありません。

今日3/6(日)は希望ホールで「黒森歌舞伎」。
11:30開場、12:00開演のため、ブランチにbalaineがカルボナーラを作りでかけました。

2Photo全自由席なので、2階の一番前に座りました。
花道も見え、ステージ全体が見渡せる良い位置です。

Photo_2まずは「少年太鼓」から。
少年と言っても黒森小学校の女子だけ。女子は狂言のステージに乗れないので、太鼓は少年と言っても「少女」で構成しているのでしょう。
なかなか素晴らしい演技です。相当に練習して来たことを伺わせる演奏でした。

Photo_4続いて「少年歌舞伎」。
今日の演目は、「青砥稿花紅彩画」(あおとぞうしはなのにしきえ)稲瀬川勢揃いの場。
有名な「白浪五人男」がいよいよ捕縛されそうになるというシーンのダイジェスト。

Photo_5ホール下手の花道から一人一人現れては見栄を切り、舞台中央に並ぶと「少年歌舞伎」と笠の文字が並びます。
そして捕縛の追っ手が現れてから、一人一人名乗りを上げて見栄を切ります。

Photo_6Photo_7みんな相当に練習したのでしょう。台詞を噛む事もなく、長い言い回しを堂々と演じていました。
見栄を切る格好も立派なものです。感心しました。
まだ13年の歴史しかないそうですが、黒森小学校の児童たちがやるので毎年毎年役者が替わる訳です。おそらく1年足らずの練習でここまでの演技が出来るのかと思うと、本当に立派だと思います。

ここまででおよそ1時間10分。
ここからが本狂言「一谷嫩軍記」です。
Photo_8一段目は「須磨浦陣門の場」と「組討の場」。
写真は、平敦盛とはぐれてしまった許嫁玉織姫を我がものにしようと言い寄る平山武者所が絡むシーン。
玉織姫の口から、なんと「チョ〜きもい!」という台詞が!会場爆笑です。

Photo_9こちらは二段目「熊谷陣屋の場」。
平敦盛の首を獲った熊谷次郎直実。しかし源義経から「一枝を伐らば一指を切るべし」という制札を受けており、敦盛の首の代わりに実子熊谷小次郎直家の首を差し出します。
気も狂わんばかりの母(直実の妻)相模、敦盛の母である藤の局、そして義経など勢揃いした最後のシーンです。
世の無情を悟った熊谷直実は出家して去って行くというところ。
なかなかの演技です。
終演は16:40を回っていました。。。

江戸時代中期享保年間から酒田市の黒森日枝神社に奉納され、270年以上伝承されてきた伝統の力でしょうか。もちろん、いわゆる本チャンの歌舞伎とは違い、素人の「農民歌舞伎」です。しかし、中心人物の役者の発声、声量、演技力、どれをとっても見応えのあるものでした。

黒森地区の人々は天保の「三方領地替え」においても中心的な活動をした農民代表(?)を輩出した土地であったように記憶しています。
酒田には県指定民俗文化財の「黒森歌舞伎」。鶴岡には国の重要無形民俗文化財の「黒川能」。どちらも数百年に渡って地元の人が受け継いで守り育てて来た大切な文化です。文化のあるところに人は育つ(育てられる)、こういう活動の中から地域や国や世界に影響を及ぼす様な人が出て来るのではないかなぁなどと考えながら希望ホールを後にしました。

 ただ、上演中、関係者の家族とみられる(少年歌舞伎に出演していた子も)子供達がホールの中を走り回ったり、ぺちゃくちゃおしゃべりをしたり、飲食禁止のホール内でペットボトルの水を飲んだり、と目に余る行動は鼻白むものでした。よほど近づいて言って注意するなりホールの外に出るように言おうかと思ったのですが、言った後に気分が悪くなりそうだったのでグッと我慢。
こういうのは子供の行動なので、それを管理する保護者の責任だと思います。一緒にいた親やじいちゃんばあちゃんも子供に甘いというか、好き放題させていて、黒森歌舞伎の関係者もホール内の見回りや管理が不足していると不満になりました。その結果、最初は「黒森歌舞伎保存会」に入って応援しようかな、と思ったのですが嫌になって止めました。

 皆が皆ではないにしろ、こういう点は「田舎だな〜」と思うところですね。
 酒田や庄内が田舎だと思われるとすれば、東京から遠いからではなく、こういう周囲への気遣いや周りへの遠慮が欠けている、その事を何とも思っていない、いや気付いてすらいない人がいるところにある(まあ、都会と呼ばれるところにも少なからずいるんですけどね)ということを知って欲しいと思います。

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