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2010.12.14

鶴岡『メサイア』演奏会(英語の発音に思う)

前日のサロン・コンサートの喜びと感動と疲れを感じながら、朝の高速バスで仙台にレッスンのため向かわれる前田りり子さんをホテルに迎えに行き、通称「なんじゃ」(酒田南ジャスコ)の高速バス停留所へお見送り。

また酒田に来て頂く事を祈念しつつお別れ。
仙台には縁のあるbalaineなので、車でお送りするのはやぶさかではなく、ついでにレッスン風景(チェンバロをお持ちの方のお家にトラヴェルソやリコーダーのレッスンを受ける生徒さんが集まるということに興味津々)も見学させて頂いても良かったのだが。。。

Photo12/12(日)は13:30から鶴岡市文化会館でヘンデルのオラトリオ『メサイア』の公演があるため、りり子さんはバスで移動して頂く事になった訳である。
鶴岡と江戸川区の交流事業ではあるが、オケは山響だし遊佐混声合唱団も賛助出演するため、プログラムに比較的大きな広告も出させて頂いた(というより、市民オケのFg奏者で遊佐混のテノールでもあるYTさんから広告を「とられた」というのが本音)。

オケは山響なんだし、遊佐混も定評あるし、合唱で有名な鶴岡なんだからきっと素晴らしいオラトリオなんだろうとやや期待の心で出かけた。

Photo_3昼食を摂って13:20頃、鶴岡に到着。文化会館の駐車場も市役所の駐車場もおそらく満車であろうと予測して、鶴岡市民プールと慶応大学研究棟の間の無料駐車場へ車を停めた。これは正解。わずか200mちょっと歩くだけで文化会館なのだが、行きも帰りもほとんど渋滞や混雑に巻き込まれることはない。

さて、写真は、わざわざ英日対訳が載せられているプログラムの中身。
ヘンデルは英国で活躍していたから、オリジナルは英語。なので英語で歌われるのがオリジナル。

鶴岡市文化会館は、ほぼ満員のお客さんで溢れかえっていた。なんとか空席を見つけて真ん中後方に陣取る。最後方には立っている人も結構いらした。

このホールの残響のなさと設備の貧弱さ(客席が狭く、シートが非常に座りゴゴチが悪い)は今さら嘆くまでもないのだが、それでも音楽が素晴らしければ2時間強のコンサートもなんとか我慢できる。しかし、、、

独唱もテノールは素晴らしかったが、ソプラノはまあまあ、バスは今一に感じた。これも残響の乏しいホールにほぼ満席の観客で条件が悪かったためであろうか。オケもなんとなく、まとまりが無く、特にヴァイオリンなどは乱れもあった。これもホールのせいであろうか。。。
オケの編成は、第1Vnが6、第2Vnが4、Vaが3、Vcが2、Cb1と弦5部で16人というかなり小型の編成。フルートとクラリネットはなし、ファゴットも一人(鷲尾さん)のみ。
オケでは、やはりトランペットが素晴らしかった。井上さん、佐藤さん二人の美しいハーモニー、特に井上さんのピッコロトランペットはブラヴォーでした!
"Trumpet Shall Sound"のソロはさすがとしかいい様がありません。

がっかりしたのは、「鶴岡の合唱なんだから、、、」とやや期待して行った合唱。
江戸川区と鶴岡の交流を記念した特別編成だから、一緒に練習する時間もほとんどなく、おそらく想像では前日1日と当日のGPだけなのだろうと思う。しかし、合唱の指導者がそれぞれに居て(終演後にステージで紹介され拍手を浴びていた)、きちんとした指導をすれば合わせる日が前日だけだとしてももう少しちゃんとできるのではないかと合唱には素人のbalaineは考えてしまう。


一番がっかりしたのは、何よりも英語の発音である。
声楽曲に多いイタリア語は、日本語をアルファベットで表記する事を「ローマ字」というだけに、日本語の母音と近いゆえ、日本人でも発音はまあまあ。もちろん子音の発音になると専門的教育を受けなければ本格的発音は難しい。

英語は、母音も違えば、子音の発音など日本語にないものが多いので、相当訓練が必要である。

たとえば"Christ"。

日本語表記では「キリスト」であるが、英語発音は「くらいすと」ではないことを理解している人が合唱の中に何人いただろうか。
「くらいすと」と発音すると母音が5つもでてくる。「う」「あ」「い」「う」「お」の5つである。ところが、"Christ"の中には、[ai]という1つ(2つの母音がくっついたもの)しかないのである。
"Ch"と"r"と"st"には何処にも母音が無い。

だから日本人にはとても難しい発音になるのだ。文字で表記するのは難しいが、発音は[kraist]となるのである。これを歌の中で歌うとさらに難しい。

それなのに、合唱団は「k(う)r(あ)(い)s(う)t(お)」と5つの母音で発音していた。同じ様な事は他にもたくさん見られた。これは合唱団自体の問題でもあるが、それを指導できない指導者の問題だと思うのである。

さすがに、最も有名な「ハレルヤ・コーラス」の部分は、「ハレルヤ」という言葉自体ラテン語で英語発音とは異なる事に加え、合唱団も全体的に盛り上がり、詩の意味も知っていることもあって聴きやすかった。それでも、"god of god"の所は、やはり「ごっど おぶ ごっど」と「g(お)(っ)d(お) (お)v(う) g(お)(っ)d(お)」と3つしか母音の無いフレーズに8つの母音が現れていた。

これでは満席ゆえに途中休憩にも立つ事ままならず椅子に座ったまま2時間15分は、(お尻も痛いし)かなりの難行に感じてしまった。一番良かったのは、アンコールで歌われた「きよしこの夜」。
やはり日本人は日本語で歌うのが一番なんだなぁ、としみじみ思った。

残念ながら、あの合唱では、酒田市民芸術祭開幕式典で歌った、酒田飽海地区13団体+有志の寄せ集めの合唱の方がずっと上だったと思う。ただし、酒田で歌ったのはタンホイザーの「歌の殿堂を讃えよ」も日本語で、確か全部日本語歌詞であった。何よりも「希望ホール」大ホールの響きの良さも今回の『メサイア』とは大きな差であったろう。

鶴岡と江戸川区の市民の交流として、毎年交代でどちらかで演奏しているとのこと。
来年はモツレク、モーツァルトの『レクイエム』を江戸川で歌うらしい。ドイツ語の発音にもっと意を用いて美しい合唱をなされる事を祈念する。

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コメント

メサイアは昔ボストンシンフォニーホールでホグウッド、カークビー、Handel and Haydn Societyで聞きました。木のホールでいい響きでした。2階席でしたが、前のほうで、アメリカ人観光客(まあ我々も観光客ですけど)がストロボ焚いて写真とるのに閉口しましけど。

クラシック音楽で英語の歌詞は一番難しいのかもしれませんね。
日本語は母音と子音がほぼ一対一で対応し、子音の連続はほとんどありません。ところが外国語が苦手なアマチュアの合唱の方ではカタカナで読みを書いたりすることもあるみたいですね、子音の連続なんてカタカナにはハナからありませんから。
まずカタカナを排するところからしないと…。

ハレルヤのところでは皆さん立ち上がりますか?
あれって、あらかじめ「やめてください」とアナウンスされても立ち上がるヒトが多いのですね。周りが立っているとそのなかで座っているのはすごく居心地悪いんで、おつきあいしてしまうのですが。

むかしの王様のスタンディングオベーションを真似する必要はないと思うのですが。 もちろん、すばらしい演奏にはいくらでもスタンディングオベーションをしてもいいと思いますけど。

投稿: Teddy | 2010.12.15 13:05

Teddyさん、コメントありがとうございます。
ボストンのあのホール、一度だけボストンでの学会に合わせて行った事あります。いわゆるシューボックスで、響きはまろやかだった印象があります。

カタカナ英語は、まず教科書でそういう教え方をされた世代の人にはずっと悪い影響を及ぼしていますよね。日本人が英語でのコミュニケーションが下手なのは、おそらく勝手にカタカナで「日本語」の取り入れちゃった事でしょう。

ハレルヤでのスタンディングはありませんでした。狭い椅子で苦しかったので腰を伸ばすために立ってもよかったのかも。。。(苦笑)

投稿: balaine | 2010.12.15 13:18


鶴岡文化会館は居心地が悪い椅子ですねほんとに早く新築してくれるといいと鶴首です。
 
さすがオケ(オーケストラ)団員の方は聴く耳が違います balaineさまのブログで勉強させていただきました今日の山響演奏会少しわたしの聴き方が変わりました。
楽器個々の音をしっかりと聞こえますようにと  今日もお友達と行きます。 

投稿: sakiko | 2010.12.17 11:39

sakiko様、コメントありがとうございます。
私は山響ファンクラブのメンバーですが、山響団員とFCメンバーは非常に親しく交流しているんですよ、一緒に飲み会とかやりますし、芋煮会などもやっています。
わずかな年会費(2,000円/年だったはず)で、ファンクラブレターが送られてきますし、最近は飯森さんが忙しいのであまりやっていませんが、飯森さんやソリストと一緒に飲み会をしたり、上山温泉に泊まったりということもやっていました。酒田公演でも、7月でしたか、河村尚子さんと飯森さんは終演後打ち上げに参加してくださいました。
今日は、終演後、また飲み会があります。もしかすると藤岡サッチーもいらっしゃるかもしれません。
sakiko様やお仲間もいかがですか?FCにお入りになりませんか?

私は歌は素人ですから合唱のことはわかりませんが、「言葉」を音に載せるのですから、発声と発音が大事なのは当たり前ですよね。その発音を疎かにされては「音楽」にならない訳です。
オケでいえば、アクセントとかスラーとかスタッカートを無視して演奏している様なものですから、とても問題だと感じました。
日本人が外国の歌を歌う際に、もっとも難しい点だと思います。

投稿: balaine | 2010.12.17 12:04

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