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2010.04.07

またも「クモ膜下出血」の犠牲者が。

昨年現役引退し、今年からプロ野球読売巨人軍のコーチとして活躍中だった木村拓也(SMAPのキムタクは拓哉)さんが、クモ膜下出血のために亡くなられました。
享年37才ということで、ご本人はもちろんご家族、同僚など、本当に無念なことでしょう。
まだまだこれからという年、謹んで哀悼の意を表したいと思います。
残念です。。。

「またも」と表現したのは、「訃報(木原美知子さんとクモ膜下出血)」の記事に書いたように、元オリンピック水泳日本代表の木原美知子さんがクモ膜下出血倒れ帰らぬ人となったが、およそ2年半前のことだったからです。

脳外科専門医として今回の件に触れずにはいられない気がします。
Bsa1004030507005n1今朝のテレビのニュースでは、4/2(金)に広島球場で試合前のシートノック中に、本塁ベースのサード側に崩れ落ちる木村さんの映像が流れました。


クモ膜下出血の患者さんをたくさん診て診断し、開頭クリッピング術もたくさん経験しましたが、クモ膜下出血の発症時の患者さんの動く映像は初めて見ました。
およそ3秒ほどかけて左足から斜め前に、比較的ゆっくりと崩れるように倒れておられました。

ガツン!バタン!という感じではありませんでした。

よく、クモ膜下出血の発症時には、これまで経験したことのない位強い痛みに襲われるとか、バットで叩かれたかと思う様なガツンという激痛に襲われるとか、後ろから誰かに蹴られたと思う様な突然の頭痛が出現する、というような表現を聞きます。
激しい頭痛が突然襲って来るので、両手で頭を抱えるようにして前屈みになり、その場で嘔吐をしたりするというのも「教科書的」な発症時の症状です。

テレビの映像で観る限り、木村さんは手で頭を抱えることもなく、左手に持ったバットで倒れるのを防御するように右手にはノックするボールを持ったまま、そのままゆっくり足が崩れ、上半身が倒れ込み、そのまま前のめりにパッタリという感じで倒れていました。周りの人間が駆けつけ状態を見て、すぐに救急隊が呼ばれ、その間にすでに心マッサージが始まっていました。

つまり発症して数秒で意識を失い、倒れて間もなく、心肺停止状態になったことが推測されます。心筋梗塞や心室細動(故高円宮殿下が襲われた病)などで急激に心停止した状態のようでした。
想像するに、クモ膜下出血の原因として脳幹(意識、呼吸、循環の中枢がある)の近くにある脳動脈瘤が破裂したか、大きな脳動脈瘤から一気に大量の出血が起きて急激な圧迫で脳幹の機能まで停止してしまったことが想像されます。

それから本日4/7(水)まで5日間耐えたのは、木村拓也選手の生命力の強さでしょう。
高齢の方、他に疾患をもった方であれば1、2日持つかどうかというところだったのではないでしょうか。そして収容先の脳外科の先生が懸命に、必死に治療にあたられたのでしょう。

脳幹の中に出血した場合と違って、クモ膜下出血では急激な出血で外から脳・脳幹を圧迫するために意識を失い、心肺停止になったとしても蘇生措置を行えば心臓の鼓動は再開する可能性があります。心臓そのものの病気ではないので、心臓が丈夫であれば心拍は再開します。
Kumo_zu1出血をした「クモ膜下腔」と言う部分は、脳脊髄液という水が流れ循環しているところなので、大量の出血があってもある一定以上の圧になると出血自体は止まってしまい、脆い瘡蓋で破裂した動脈瘤の出血点は塞がれることがほとんどなのです。
少しすると、脳脊髄液の吸収や循環によって脳幹などの局所にかかった圧が低下して、脳幹の血流が少し戻って来ます。すると蘇生措置を行った心臓の動きが回復する可能性が出て来ます。ただ、どの程度の圧迫がどの程度の時間続いたかによって、不可逆的な状態となればそのまま「脳幹死」になってしまいます。挿管して人工呼吸器で酸素を送り、昇圧剤を使いながら心拍を保ち血圧をある一定以上に上げるように薬を調節して、なんとか凌いで行くことはできますが、遅かれ早かれ全脳死の状態になってしまいます。

木村さんの場合、プロ野球選手として小柄ながら体を鍛えていたでしょうし、まだ37才という若さなので、心臓も肺も強く機能が長く保たれたのでしょうが、それでも5日で力つきてしまったと言うことなのでしょう。本当にお気の毒で残念です。

関連のニュースを探していたらこんなのがありました。
「3人に1人が即死 怖いクモ膜下出血の重大サイン」をお読みください。

こういう事件をきっかけに一般市民に啓蒙することは大切です。
しかし、必要以上に恐怖感を煽る様なことは避けるべきでしょう。
この記事のコメント主である脳神経内科(内科?!脳外科ではない!)の米山氏はこの頃よくテレビで見かける方です。しかし、「重大サイン」としていることなど少し疑問点があります。

まず、「3人に1人が即死」。
本当にそうなのでしょうか。
確かに、我々の脳外科医は病院に来院したクモ膜下出血の患者さんしか知りません。自宅や仕事場などで突然倒れ、そのまま亡くなってしまった場合は、病院に運ばれたとしても脳外科医までは回って来ないこともあるでしょう。それでも日本の救急医療の現場では、クモ膜下出血の状態の人が病院に搬送されないと言うことはまずあり得ません。
私自身が、大学病院や県内のいくつかの総合病院、特に救命救急センターを持つ2つの病院に勤務した最前線で救急患者を診ていた脳外科専門医の経験として、『3人に1人は即死』は少しオーバーな表現ではないかと感じます。

統計によってばらつきがあるかもしれませんが、私自身の経験から持っている感触としては、クモ膜下出血の患者さんは「4人に1人程が命を落とす」病気で、即死(倒れてすぐに死ぬと言うことではなく、病院に到着した時点で死亡か、もう脳死状態に近いという定義として)は10人に1人くらいか、それ以下ではないかと思います。

クモ膜下出血の国際的な重症度分類というのがあって、軽い頭痛程度のグレード1からほぼ昏睡の5までの5段階にわけます。意識障害が強く脳の損傷が大きそうなグレードの4とほぼ昏睡〜昏睡の5の重症の2段階の患者さんは、緊急の手術対象にならないことが一般的です。
治療を行うには重篤過ぎて危険だということです。この「4」と「5」の人はクモ膜下出血全体の2、3割から多い施設で5割近くあるようです。

逆に、軽い頭痛だけの「1」、強い頭痛と嘔吐などで意識生命の「2」、少しぼんやりする程度の意識と軽度の神経症状を伴う「3」まで3段階の患者は7、8割から5割近くおり、全身状態が許せば、緊急手術の対象になります。
私自身は、この「1」から「3」の段階で自分が執刀した患者さんでは、死亡したケースはありません。「1」と「2」の方は皆社会復帰をしています。クモ膜下出血に伴う血管攣縮でごく軽度の麻痺や記銘力障害を呈したり、出血による水頭症で認知症的になった人は残念ながらいらっしゃいますが、ほとんどの方は元気に家庭や社会に復帰しています。

「4」の患者さんでは、安静にして頭の中で嵐が吹き荒れるのを薬で守りながら時を待って、手術を行った人では、自分の経験ではお一人亡くなられました。その方は、手術後3〜4週程経った頃、残念ながらリハビリ中に下肢から血栓が飛んで肺塞栓を起して突然亡くなってしまいました。後は、後遺症を残してリハビリ施設に行ったり、認知症的になって家族に介護を受けながらも自宅退院しています。
「5」の患者さんは、一人も手術出来ませんでした。手術が出来る状態まで回復した人はいなかったと言った方が良いと思います。それでも「即死」ではないので、長い人では2週間程度頑張った方もいます。

また、今でも拙クリニックに通院して下さっている患者さんで、クモ膜下出血を起して救急外来に搬入された時は意識は昏睡で、血圧も下がり気味、すぐに人工呼吸器に繋いで昇圧をするくらいだった患者さんがいました。しかし、まもなく血圧が上がって来て、その夜のうちに今度は降圧剤を点滴するくらいになったのです。
これは、前記したように脳幹の周りのクモ膜下出血で脳幹の機能が低下して、意識が昏睡、血圧が下がって心臓が一旦止まりかけたものの、出血量が幸い致死的ではなかったため、脳脊髄液の循環や吸収に従って脳幹の圧迫が改善し、治療を施しているうちに脳幹の機能が元に戻って来たという状態でした。
そして2週間後に、脳幹近くで破れた脳動脈瘤の根治術(クリッピング)を実施し、その後水頭症や血管攣縮による複数箇所の脳梗塞(右下肢の領域前頭葉と左海馬と左小脳半球)によって後遺症は残り完全な社会復帰には至っていないものの、家族の介助を得ながら家庭生活を送り、今もリハビリに通っている方もいます。

この方も、救急来院時やICU入室時のグレードは「5」ですが、まもなく(数時間後)「4」になりその後意識がぼんやりしているものの回復して、手術する前は食事も出来るようになっていた状態です。

クモ膜下出血は、最初に出血した場所と出血の量で大方は決まってしまいますが、運が良ければ治療中にかなり回復して、重体と思っても手術出来る状態まで回復する例も少なくありません。

これらの「自分の経験した事実」から、『患者の3人に1人が即死、残りのうち1人が後遺症を残して社会復帰、1人が完全に社会復帰しています』というのは、あまりに大雑把で雑な表現ではないかと思います。

さらに、『くも膜下出血の前兆は物が二重に見えたり、左の手足がしびれたりマヒすること。目の奥や頭が痛いのもサインなので、早めに医師に相談してCT検査などを受けるべきです(米山公啓氏)』というのもやや誤解を招く表現です。
米山氏は実際はこうは表現していなくて、記事にしたマスコミの方で割愛したり書き換えたりしている可能性もあります。

一般に「クモ膜下出血」に前兆はありません。
目の奥や頭が痛いのが「サイン」だとすれば、それは「前兆」ではなく既に「破裂」しているのです。ただ、出血が「チョロ」っと洩れる様な少量のもので直ぐ停まると、ガツン!バタン!ではなく、「あれ?頭痛い?あれれ、風邪引いたかな?」という感じの頭痛で治まってしまうこともあるのです。

風邪症状(咳、喉の痛み、鼻水、発熱)のない頭痛をすぐに「風邪」と診断するお医者さんはなかなか無くなりません。なぜなら、風邪の頭痛と軽いクモ膜下出血の頭痛は区別がつかないからです。ですから、風邪症状を伴わない頭痛や痛み止めを飲んでも治まらない頭痛の場合は、クモ膜下出血を疑ってCTやMRIを受けることをお勧めします。

米山氏の言っている「ものが二重に見えたり」というのは、脳動脈瘤の好発部位(出来やすいところ)の近くを眼球を動かす神経(主に動眼神経)が走行しており、破裂する前に動脈瘤が膨らんで大きくなると(水風船を膨らませて行って破れる直前と同じ)神経を圧迫するために、「瞼がさがる」「ものが二重に見える」などの動眼神経麻痺症状が出ると言うことです。この時点ではまだ破れていないのですが、膨らんだことによる症状ですから「切迫破裂」といっていつ破れてもおかしくない状態が迫っていることを示す徴候です。

『左の手足がしびれたりマヒすること』についてはコメントできません。こんな症状は脳梗塞でも脳出血でも、酷い椎間板ヘルニアでも起こるからです。

最も誤解を招く表現は、『早めに医師に相談してCT検査などを受けるべきです』という部分。
CTは出血に強い検査で、脳外科のない施設にも普及しています。しかし、まだ破れていない「切迫」の段階では、出血のない「正常」の脳としてか写りません。よほど、直径1cmを超える様な大きな脳動脈瘤でも存在すれば、CTでも黒い丸い影として見えるでしょうが、出血が起きていない「サイン」の状態ではCTではわかりません。

やはりMRIが必要です。CTとは解像力が違います。造影剤を使わずに血管を写すことが出来ます。
Acomanちゃんとした検査をすればMRAで脳動脈瘤は診断出来ます。
写真は、前交通脳動脈瘤、最長径約5mm。
発見後、コイル塞栓術を受けて成功。
現在元気に拙クリニック通院中です。


Icpc15mm拙クリニックの0.4Tの永久磁石型オープンMRIでも、直径1.5mmの脳動脈瘤がわかります。
先日拙クリニックの脳ドックで発見された、右内頚動脈ー後交通動脈分岐部の未破裂脳動脈瘤。径は測定する場所により多少変動するが、1.5〜1.9mmあり。開頭手術、コイル塞栓術ともに困難な大きさ(小ささ)であり、現状では破裂する確率は非常に低いと推測されるため、無治療で経過フォロー中。

いくら1.5Tの超伝導MRIでも、アプリケーションが旧かったり3次元画像作成がぼんやりしていると見逃されます。私の母がその良い(悪い)例です。
横浜は戸塚のある大病院に行って、CTでクモ膜下出血がなさそうで(実際は薄いながらもあった!)、MRAで脳動脈瘤がない(実際は写りがぼんやりしているがIC-PCに5mm程度の動脈瘤があった!)とされたのです。ちゃんとした機械でちゃんとした脳外科医が診ていれば見逃すことはなかったろうと思います。

本当に幸いに母の場合は二度目の破裂も軽く、それが水頭症を起して他の病院でCTを撮ったら明らかな水頭症を呈していて、カテーテルの血管撮影で脳動脈瘤が見つかったのです。開頭クリッピング術に立ち会いましたが、動脈瘤の周りには出血した後を示すオレンジ色にヘモジデリンがべったり付着していました。

〜〜〜

まとめますと、
クモ膜下出血の原因は、脳動脈瘤破裂がほとんどである。破れた瞬間に即死するようなケースは少ないが、出血量が多い場合は重症ですぐに脳死に陥ったりする。

出血が軽度か中等度の場合は、緊急手術で助けることが出来、手術技術が確かで(天才外科医である必要はない)術後の管理が徹底してキチッとしていれば、この段階まで来て命を落とすケースは非常に稀である。

破れる前は出血していないのだから、(出血に強い検査である)CTでは診断出来る可能性は非常に低い。微量の出血で停まってしまうような場合は、CTでも見逃されることがあり得る。

一方、MRIは破裂前の脳動脈瘤をある程度以上の大きさのものなら発見できる。MRIの機械の性能がそこそこ以上で、精度の高い3次元画像処理を行って、見る人が真剣に画像解析を行えば、(私の経験では)1.5mmの瘤でも見つける事ができる。しかし、性能の低いMRIや画像解析の仕方によっては3mmとか5mmという、脳の血管の太さよりも大きい動脈瘤ですら正しく診断されない事もあり得る。

Sah0324a出血を示すMR信号が時間とともに変化するMRIでは、発症直後の少量のクモ膜下出血の場合、見逃される可能性がある。反面、CTではまず写らない様な、発症後数日から1、2週間といった時間の経ったクモ膜下出血でもMRIでは発見出来る可能性がある。


要するに、脳動脈瘤の診断のためにはMRIが必須。だからこそ「脳ドック」ではMRI・MRAが必須。CTで脳ドックを行うなど言語道断と言える。
「クモ膜下出血」で倒れるのが心配な方、脳動脈瘤があるかないか不安で心配な方は、きちんとした脳ドックでMRA検査を受けましょう。
ただし、どんなMRIでもいいわけではありません。装置だけではなく、画像解析ソフトの良否も関係します。
また診断にあたるのはどんな医師でもいいわけではないことも付け加えなければなりません。


重ねて、木村拓也氏のご冥福をお祈り申し上げます。
合掌。。。


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コメント

実は私の義母も47歳でクモ膜下で倒れて10日で亡くなりました。
倒れた時、既にいびきをかいて意識が無い状態でした。
救急車の中で誤飲してしまうのではないかと
心配でした。
病院でCTを撮りましたが出血部位が悪かったようです。
私も今、40代になりその年齢に近づき、
怖いな。。。。。と自分のごとのように
感じられてきました。
40代になり、今年初めて婦人科検診を受けてみようかな~? と市の検診に申し込みました。
脳もやはり検診、必要なんでしょうか~?

投稿: maki | 2010.04.07 21:26

昨年、純恋(すみれと読むらしい)さんといういわゆるギャル系モデルが脳出血で亡くなるという記事を読みました。まだ21歳だったそうで、亡くなる1ヶ月前から、頭が痛いといくつもの病院に行ったらしいのですが、最後はマンションの自室で亡くなっているのを発見されました。
くも膜下とは違うのでしょうが、この場合、頭が痛いと訴え始めた時点で、すでに出血は起きていたのでしょうか?

投稿: librarian | 2010.04.07 22:17

いつもありがとうございます。こんばんは。

夜のニュース番組で病気の解説をみていました。メタボ不健康生活の私も人ごとではないぞ!と思いました。

今日は娘の中学校の入学式。まだまだ健康体で働かなければなりません。

健康第一。あの時MRIやっておけば・・・とならない様に、と重ねて思いました。

明日朝は職場の健康診断。どーも検診が嫌いな性格。こちらから改善ですね。

投稿: けん | 2010.04.07 22:46

makiさん、コメントありがとうございます。
私が手術執刀した脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血の最低年齢は29才の女性です。幸い後遺症なしで社会復帰しています。
しっかりして医者にあたるかどうかも半ば「運」というところがあるかもしれませんが、日本の脳外科医は世界のスタンダードから考えればレベルの高い医師が多いと思います。
発症も「運」のようなところがありますから、やはり40才を過ぎたら一度は脳ドックを受けるか、頭痛やめまいなどがあるならば一度は脳外科でMRI検査を受けて頂いた方が良いのではないかと思います。
私も、実母がクモ膜下出血で倒れたH13年、すぐに自分の脳を調べました。幸い脳動脈瘤はありませんでした。
万一、未破裂脳動脈瘤が見つかったらどうするか、、、という別の問題がありますが、あるのを知らずにいつの日か破裂したら数時間後には「死」というのは、、、80才も超えれば諦めもつくかもしれませんが。

投稿: balaine | 2010.04.08 01:02

librarianさん、
純恋(すみれ)はくも膜下出血ではなく脳出血だったと聞いたように記憶しています。
21才で脳卒中というのは、たいていは「先天性」だと思うのですがよくわかりません。何カ所か医療機関にかかったということですが、脳外科医がMRIまで撮って「異常なし」としていたのかどうか。。。
すでに出血が起こっていれば、単なる「頭痛」では済まなかったと思いますが。彼女の場合は違うでしょうが、覚せい剤やアルコールの摂取のしすぎでも脳出血は置きやすくなるようです。
脳外科ではなく精神科や神経内科が診察だけで「正常」と言っても、先天性の血管病変は除外診断できないと思います。やはり画像診断は一度は受けるべきです。
そういう意味では、酒田を中心とする地域には、すぐにMRI を撮ってもらえるアクセスの容易なクリニックがあるということはある意味で都会よりも優位なのかもしれませんよ。

投稿: balaine | 2010.04.08 01:10

けんさん、健診が大好き、という人はあまりいませんね。
もしも何か軽くても引っかかることがあれば、一度は再検査を受けるようにしてくださいね。それで問題なければそれでよいのですから。
脳の健診、是非一度は受けておいてください。何も問題がなくても、40才を過ぎたら2年に1回くらいは受ける事をお勧め致します。
「転ばぬ先の杖」です。

投稿: balaine | 2010.04.08 01:12

丁寧なお話、ありがとうございました。

木村コーチのことがあり、かなりメンタル的には滅入った一週間すごし、これではだめだと、木村さんの倒れた瞬間の映像を真正面できちんと見て、さまざまなかた、ドクター、患者さんのお話を読み、やっと少しだけ落ち着いた週末です。

グレード4
深夜の路上で突然の意識喪失、一昨年の4月のことです。

後遺症はほとんどなく、半年後には仕事にも復帰できましたが、倒れたときも入院中もほとんど記憶がないため、(痛みの記憶もありません)逆になぜ?や、また?!の不安が。
いつもは抑えているつもりですが、今回のように、時々どなたかのくも膜下でなくなったお話や、後遺症のお話に触れると、不安があふれ出してきます。

執刀のドクターの「大丈夫ですよ」はなによりのお守りなのですが、今回の先生のブログもとてもありがたい出会いとなりました。

ありがとうございました。

投稿: 雪月花 | 2010.04.12 15:31

雪月花さん、コメントありがとうございます。
私が過去に執刀した破裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血の患者さん、グレード1〜4で元気に退院された方は、年をとりながら、少々ぼけながら、後遺症で日常生活に多少の制限を受けながら、まったく無症状でばりばり働きながら、みなさん元気で今は私のクリニックに通院して下さっています。

執刀した者としてこれ以上の喜びはないのです。
自分が手術をした人が元気になって笑顔で居てくれる。自分の治療に感謝の気持ちを今も持ってくれている。
これこそが医者冥利、脳外科医冥利というものです。

「今でも先生のことは命の恩人だと思っています」
この一言でどんな辛いことも忘れられます。
どうぞ執刀医、主治医の先生の心を雪月花さんの笑顔で癒してあげて下さいね!

投稿: balaine | 2010.04.12 20:58

こんにちは、私の妻も一昨年くも膜下グレード5で倒れて1週間後に息を引き取りました。
64歳でした。
発見時は床に大の字に仰向けで倒れていて呼吸停止の状態でしたが救急車が来るまで人工呼吸を行いかろうじて病院に到着して人口呼吸器で7日間の看護の末に体力が尽きました。
お聞きしたいことが一つありまして、大の字に仰向けに倒れるほどの瞬間的な出血と思われる症状で即呼吸停止もありながら倒れる間際に発声することは可能なのでしょうか?
よろしくお願いします

投稿: メイ | 2016.08.09 17:12

「メイ」さん、コメントに気づくのが遅くなりました。
奥様、お気の毒でした。まだ若いのに残念ですね。
クモ膜下出血は、脳動脈瘤の破裂による出血なので、その瘤がどこにあって、どのくらい出血したかによって症状はかなり違います。
「頭痛いけど風邪でもひいたのかな?」と自分で車を運転して内科を受診するいわゆるwalking SAH(歩いてくるクモ膜下出血)から、出血した瞬間に意識を失い呼吸が止まってしまって病院に運ばれても1、2日しか持たない方まであります。
倒れて7日間生きておられたということは、グレード5の中でも最重症ではないということです。出血した瞬間にはまだ少し意識があり、倒れている最中にも出血が続くのですぐに意識消失、続いて呼吸が浅くなり間も無く停止、と数分から10数分は段階があった可能性があります。
脳動脈瘤は敗れるとずっと出血するのですが、自分の血液の圧のために脳圧が上がってしまうと破れた場所が血の塊で押さえつけられるようになって出血量が減少したり止まったりします。そして脆いカサブタのようなものができて一応止まった状態が出来上がります。しかし、血圧が上がるとか、動くとか、興奮するとそのかさぶたが剥がれてまた出血(再出血)するので、一回の破裂から二回の破裂で死亡率は30%から60%まで上がると言われています。
ですから、奥様が倒れられる時に、激しい頭痛のため「あ〜!」とか発声することは十分可能であった、その後、意識がなくなり、呼吸が止まって、病院到着時には完全昏睡で手術も行えない状態に陥ってしまわれたということだと理解します。
ご冥福をお祈り申し上げます。

投稿: balaine | 2016.08.22 16:01

ご回答有難うございました。
妻が倒れた時には私は階下の寝室で就寝の準備をしていた時「お父さん」と言う呼び声で階上のキッチンに上がって行くと呼吸停止で倒れていました。
木村さんみたいに前かがみでなく防御姿勢もとった様子もなく仰向けに大の字に倒れていました。
そんな状況だったため「お父さん」と聞こえた声が耳で聞いた声なのかハートで聞いた声なのかをふと思っての質問をさせていただいた次第です。
いずれにしても最後の声を聴けたこととそのおかげで警察の解剖に至らず本当に不幸中の幸いだったと妻には感謝しています。

投稿: メイ | 2016.08.24 06:58

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