春を感じる頃、そしてMOHの話題
今朝のお向かいさん。空の色、太陽の光を浴びた工事車両など違いますね。
そして外側の足場は全部外されています。あとは外構工事と中身の完成でしょう。
半ドンの木曜ですが、いつも行っているスポーツジムがお休みなので午後は散髪に行って少しのんびりしています。
うちの「白さん」(分かる方にはわかる?)がそろそろ危ない状態で(もともとおばあちゃんの上、おそらく悪性の乳腺腫瘍があって手術治療も適応がなさそうだった)、食欲も落ち、水を飲むのがやっとで、歩いてもすぐにペタっと座り込み、呼吸も速くゼーゼー言っています。自分で階段を上り下りする力はなく、家内がずっと傍に付き添っています。
一昨日の夜は、かなり呼吸状態が悪く、もうダメかも、、、と思う程の状態でした。家内はほとんど寝ずに傍についておりましたが、ベッドをとられた(なぜか私のベッドの上で休んでいたのです)私な慣れない家内のベッドでうとうとしながら一晩を共にしたのでまだその睡眠不足が残っていたようで、床屋さんでは爆睡してしまいました。
「だいぶお疲れのようですね、、、」
そんなことがあっても診療はお休みではありませんし、今日も午後1時までですが20名を超える患者さんの診療で疲れました。私の場合、結構、徹底してお話、説明をするので(特に頭痛の患者さん)話疲れると言う感じです。
今日も、他院で漫然と鎮痛剤、片頭痛頓挫薬、さらにマイナートランキライザーを3種類も処方されている、明らかにMOH(薬物乱用頭痛)の患者さんが来られました。結構大きな病院の神経内科でずっとそういう処方を受けていたので、どうしてうちに来たのか聞いてみると、いつも薬をもらっている調剤薬局の薬剤師さんが、「こういう処方で何年も続けていていいのかどうか。。。◯◯クリニック(うちのこと)に相談してみたらどうでしょうか?」とうちを勧められて来たということでした。マイナートランキライザーの飲み過ぎでしょう、診察室に入る時もフラフラしてよろけながら入って来ました。
詳しく聞いてみると、15年以上前から頭痛持ちで、市販の鎮痛剤などで対処していたけれど、6、7年前から某病院神経内科にかかり、以前服用していたセデスが無くなって(製造中止)からSG顆粒をずっと服用しているそうでした。頭痛が頑固なため、ソラナックス、さらにデパスを処方され、両方とも1日3回に増量され毎日服用、それでも治まらないため、頓服でセルシンを内服、さらに寝つきが悪いためマイスリーという睡眠薬をもらっていたということでした。
レルパックスという片頭痛頓挫薬も5年程前から処方されていて、1年程前からはほとんど毎日SG顆粒を内服、ソラナックス、デパスを3回、セルシンを1、2回、マイスリーも毎晩内服、レルパックスは頭痛が続く時は1週間程毎日服用、月に10錠以上平均して使っているということでした。
国際頭痛学会のMOHの定義にピッタリ当てはまる方ですが、神経内科医からはMOHなどの説明も受けたことはないと言う話でした。こういう方には、時間をかけて薬物の使い過ぎであることを理解してもらい説明する必要があります。ちょっと専門的な話ですが、痛覚閾値の話や鎮痛剤乱用による脳の痛覚過敏性のことを説明します。完全に理解されなくても「わたし、やばいんだ!」という雰囲気が伝わればいいのです。
そして頭痛ダイアリーを渡し、次回来院までに他院神経内科医処方のマイナートランキライザーはすべて中止し、SG顆粒も中止するよう説明。でもそれでは頭痛の嵐(離脱性頭痛という)が来る可能性が高いので、別の鎮痛薬を少量、別の片頭痛頓挫薬を少量処方し、メインは抗てんかん薬と筋弛緩薬と夕食後1回のみのマイナートランキライザー1錠、眠れない時の睡眠薬1種類を処方し、服薬状況とその効果を頭痛ダイアリーにきちんと記載して8日後に再受診するように伝えました。
MOHは、そこから離脱して鎮痛薬内服を減らせるようになるまで、早い人で2週間、時間のかかる人ですと2ヶ月ぐらいかかります。ここからは患者さんも治療する医師も我慢比べです。
安易に痛み止めを出して行けません。市販の痛み止めを買って飲んだり、他の医者に行って鎮痛剤をもらったりしないように約束しました(守るかどうかは患者さん次第ですけど、、、)。
もう一人、その方はMOHではなく片頭痛が主体の混合性頭痛の方でしたが、やはり他院で鎮痛剤、片頭痛頓挫薬をもらっていて、一時頭痛は治まっていたが最近また頻度が増えて来たので薬局に相談したら当院を紹介されたということでした。
上記お二人が行った薬局はそれぞれ違うところでした。
私が真面目に頭痛の診断と治療に取り組んでいることやMOHの治療を行っていることが、おそらく患者さん達から口コミで薬局に伝わったのではないでしょうか。
「町医者」として働いている実感を得られた嬉しい話でした。
しかし、頭痛治療の専門家でなければいけない神経内科医が、漫然と鎮痛剤や片頭痛頓挫薬を処方し続けて患者さんを薬漬けにしているとはちょっと嘆かわしい話です。今度、何かの機会にプライドを傷つけないように、チクッと釘を刺しておかなければなりません。。。
固い話をかわすためのオマケ。
今日のお昼は、行きつけの蕎麦屋「めだか」で、「とろろもりせいろ」。ウマウマです。
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クリニック玄関の靴箱上に飾ってある「雛飾り」。
3月3日を過ぎてもまだ片付けなくていいのです。庄内地方は旧暦で雛飾りをしており、旧暦の桃の節句(4月4日)頃まで飾っているのが普通です。
「花ざかり 春のやまべを みわたせば
そらさへにほふ 心ちこそすれ」
千載和歌集の中の、藤原師通(ふじわらのもろみち)の詠んだ句です。
こちらは昨日までに届いた開院2周年を祝うお花。待合室と診察室の間に飾ってあります。
お花を下さった方、ありがとうございました!
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コメント
白さん、可哀想ですね!奥様も看病疲れで倒れたりしないといいですね!
頭痛とはかなり話がずれますが、、5才の我が息子、生まれたとき、頭に猫の耳みたいに二つとがった頭血腫があって、、最初はプクプクしてましたが、、すぐ堅くなり、、今も堅い猫の耳があります(>_<)坊主には一生出来ないです(*≧m≦*)
投稿: ともちゃん | 2010.03.04 22:10
薬剤師さんは処方の内容をみて(本人を知らなくても)医者の腕前がわかるようですね。
患者さんが薬剤師さんから先生のクリニックの受診を奨められるというのはそれだけbalaineさんが信頼できる医師であることがしっかり伝わっているということですね。
投稿: Teddy | 2010.03.05 12:32
ともちゃんさん、生きるものの宿命ですね。幸せな最期を願っています。
息子さん、そうなんですか。大人になるまでにまだ変化する可能性はあると思いますが。
中身とは関係ないから大丈夫ですよ!
投稿: balaine | 2010.03.05 19:45
Teddyさん、ありがとうございます。
普段、お世話になっていてもあまり薬剤師さんとは交流がないものです。こういうことがあるのだから、ちょっと変な(我が侭な?)人が来院しても、メゲズに真面目に真剣に仕事をする、これしかありませんね。
5/1(土)、7/3(土)のサロン・コンサート、酒田までいらっしゃいませんか?
投稿: balaine | 2010.03.05 19:49