バレンタイン・ディの2/14(日)、庄内町「響ホール」での山形交響楽団モーツァルト・シリーズ「アマデウスへの旅」のコンサートに出かけました。
コンサートは15時開演ですが、3/21の酒田フィル・ファミリーコンサートのチラシ配布のため14時に集合する事になっていました。庄内町の旧余目地区には美味しいお店がたくさんあります。パスタ、イタリアンの「ブリラーノ」、蕎麦の「しま田」「蕎麦工房せき」、ラーメンの「萬人」「八千代」、焼きそばの「てんてん」など、これまでも何度か行っています。
今日行ったのは余目中学近くの「まごころ」。
庄内国際ギターフェスティバルの歓迎レセプションでもここの料理が振る舞われました。
私はパスタランチ。エビと旬の野菜(うるいなど)のトマトクリームソース。
これにサラダ、スープ、コーヒーがついて900円ならばお値打ちでしょう。

家内は、スペシャルランチ。前菜は、ジャガイモのスフレに鱈を載せオリーブオイル、ハーブなどで味付けしたもの。メインは、庄内彩鶏のパイ包みデミグラスソース。ランチなのでソースもあまり重くありません。鶏肉の食感がちょっと「?」でしたがそれ以外は満足。
デザートは、リンゴのタルト、ストロベリーアイスなど。スペシャルランチにしかついていないのですが、今日はヴァレンタイン・ディということで特別にチョコケーキがついて来ました。
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さて、14時に響ホール「大ホール」の受け付けに行くと、酒田フィルのメンバーは私をいれて6名集まっていました。受付での混乱を避けるため、チラシ配布は4名に制限する事になったので、私は2/20の山形弦楽四重奏団庄内演奏会のチラシ配布に専念。
15時のコンサート開演10分少し前にマエストロ飯森がステージに登場。
響ホール主催事業のコンサートだったため、配布されたプログラムは曲目解説もない簡素なコピーだけ。ホールの担当者(町の職員)によるとプログラムにお金をかけない方針との事で、広告取りも何もなし(広告があれば拙クリニックの広告+サロンコンサートの情報を載せたのですが、、、)。その分を入場料に反映させたようですが。
飯森音楽監督は、「プログラムに演奏曲解説は載って、、、ないですね?」と前置きして、本日の5曲の解説をしました。その中で、ホールの素晴らしさにも触れました。GPで指揮をしないで、観客席のいろいろなところで座って聴いてみたのだそうです。そして、2年前にギターフェスで初めて山響を率いてこのホールで演奏した時には、ギターのソリストなどに気を使ったためあまりわからなかったこの響ホールが、モーツァルト・シリーズに最適な会場である事を確認できた、とのことでした。いつものようにサービス精神一杯に開演時間を過ぎてもお話が続き、ようやく団員が登場です。
前半の3曲は弦楽合奏だけで、管打楽器なし。おそらく昨日の山形テルサのステージと同じでしょう。下手から第1バイオリン、チェロ、ビオラ、第2バイオリンの対向配置で、コントラバスは最後列の反射板前です。女性奏者はカラフルなカクテルドレスでステージが一気に華やかになります。最後に登場したコンマスは、森悠子さん。飯森さんのブログなどで事前に情報を得ていたので驚きませんでした。
海外で活躍され、現在は京都の長岡京室内アンサンブルの音楽監督など指導的立場でも大活躍されている音楽家です。山響のコンマス高木さんや第2ヴァイオリン首席のヤンネ館野さんの先生でもあるそうです。
さて、自分が響ホールで演奏した経験では(酒田フィルのコンサートなど4、5回経験があります)このホールは、本当に響きは素晴らしいのですが、演奏する立場からするとステージの場所によっては自分の出している音が確認しづらく(響き過ぎなのだと思います)、ステージ上での奏者同士の確認が難しいような印象があります。コンマスの森さんがチューニングに大変神経質に時間を掛け、1曲ごとに立ってチューニングしていたのもそういう面があるのかな〜などと考えながら見ておりました。
そして山形テルサでこれまで聴いて来た「アマデウスへの旅」シリーズで飯森&山響が取り組んで来ている、ノンヴィブラート奏法、響きの透明感を追求した演奏は、この響ホールでは必ず大きく活かされるはずだと確信していたので、今日の演奏会はそういう意味でも楽しみで仕方ありませんでした。
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1曲目、「ディヴェルティメント」が始まりました。
ああ、いい、、、
初っ端から、「のだめカンタービレ」のように感動です。
第1バイオリンの澄んだ旋律が、なぜか上手側から反射するように響きホールを回ります。コントラバス、チェロの低弦の重厚な響き、ヴィオラの内声のやわらかい響き、第2バイオリンの透明な響きが全体をまとめるようです。
2曲目の「アダージョとフーガ」。ハ短調で暗く、低弦から重々しく始まりました。ちょっと聴くだけではモーツァルトらしくない音楽。山響の演奏に引き込まれます。
3曲目、「アイネク」の愛称で呼ばれる、「一つの・小さな・夜の・音楽」。モーツァルトがいつも快活だったのかは不明ですが、こういう音楽を聴くととにかく明るく楽しく幸せな世界しか広がりません。山響の弦のピリオド奏法の澄んだ響きがホールを満たします。
コンマスの森さん、ノリノリになってくると右足が浮いたり踏み出したりと少々足が暴れだすところは、弟子の高木さんそっくりです。チューニングの時から優しいお母さん的な雰囲気を醸し出しながらお茶目な印象がありましたが、音楽も美しいだけではなく楽しそうです。
15分の休憩のあと、後半のステージ。
と思ったら、飯森さんが登場。
「響ホールでモーツァルト・シリーズの演奏会をするのは初めてだという事を忘れていました。」と、これまで山形テルサ、伝国の杜、遊佐町公民館などでやってきたピリオド奏法の解説とピリオド楽器のレプリカの解説。前半全く出番のなかったフルートの足達さんとトランペット井上さん、二人の首席奏者をステージに引っ張りだし、木製管のフルートとナチュラルトランペットの演奏をしていただきました。足達先生の使うパウエルの木管フルートは全くの「現代」フルートですが、普段使用されているマテキの18K金のフルートとはかなり違う柔らかな響きを聴かせてくださいました。井上さんのナチュラルトランペットの音は、聴いただけでヨーロッパの王宮にでも迷い込んだような感じになります。
さて、待ちきれないように団員がステージに登場。マエストロも「では!」という感じで袖にいったん下がります。
コンマスの森さんがチューニング。
オーボエが居ないのでファゴットがチューニングのキーとなります。まずは管楽器のチューニング。ホルン協奏曲に乗るのは、クラ2本とファゴット2本だけです。ついでファゴットにコントラバス、そしてチェロが合わせ、ヴィオラという風に低弦から順にチューニングして行きます。
最後にヴァイオリンのチューニング。ノンヴィブラート奏法ではごまかしようがないですから、森さんはチューニングにとても神経を使われていたようです。
さあ、ホルンの八木さんと指揮の飯森さんが登場。八木さん、ステージのほぼ中央にすっくと立って、いつもよりさらに凛々しく見えます。
2日続けての協奏曲のソロは大変だと思います。第1楽章、ちょっとハラハラするところもあって、気持ちとしてあまり第三者的に冷静には聴けません。でも、音楽が弾んで進んで行くとそんなことは気にならなくなります。カデンツァ、ああ、なんてホルンを自由自在に扱っているんだろう。あのバボちゃんが言っていた言葉を思い出します。
「音楽の前にホルンが聴こえるような演奏はしたくない」
確かそんな内容の言葉でした。ホルンという「楽器」を演奏しているのではなく、ホルンという楽器を通して「歌っている」、「心の思いを表現している」というような事なのだと思います。
2楽章、3楽章と落ち着いて聴く事が出来ました。軽快な狩りの音楽、そしてカデンツァ。
フルート協奏曲でも、古典的なカデンツァから近現代の名手の創ったカデンツァまで様々ありますが、だんだん淘汰されて行きます。ホルンの世界も同じだと思いますが、今回のカデンツァ、ホルン吹きならわかるのでしょうが、ホルンのカデンツァについては詳しくないのですが、勝手な印象としては現代的な音の運びが見られたように思いました。
演奏終了と同時に、それまで緊張と軽度の興奮の中に居たような八木さんの表情は和らいで清々しい顔に変わったように思いました。練習、リハ、そして2日間の本番。プロとはいえ大変気を使った期間だったと思います。
お疲れさまでした。大変素晴らしい協奏曲でした。
いつもオケの中で大切なパートであるホルンのトップを務めている(たとえばブルックナーの「ロマンティック」の冒頭の八木さんのホルンはいつも素晴らしい!)のとはまた違った緊張感。でもその八木さんを支えようとオケ全体も心を込めて演奏していることが伝わって来て、ソリストとオケが一つになって音楽を奏でていたと思います。
(元ブラバン指導教官だった)家内などは、いつも八木さんの演奏にはなぜか誠に勝手ながら母親か学校の先生の様な気持ちになっており、ハラハラしながらその素晴らしい演奏に喜び感動する、という八木さんにはまったく失礼な(?)聞き方をしております。(苦笑)
最後の交響曲ニ長調 K.95は、明るく軽快な中に、いろいろな仕掛けが見られます。マエストロのプレトークによれば、最近直筆譜が発見されて、アマデウスのものと認められたらしいです。交響曲第45番となるのだそうですが、ケッヘル番号が若いことから分かるように、アマデウス13才の頃の作品らしい。弦がパート毎に、こっちが主張したら次はそっちが主張し、その次はあっちが主張する、と言う感じの動きも見られて面白い。管はトランペット2本、ファゴット1本、フルート2本、オーボエ2本だけで、今日の5曲の中でトランペットとフルートとオーボエはこの交響曲だけが乗り番でした。ティンパニがない代わりにファゴット1本で代用したのでしょうか。Tpの隣にFg高橋あけみさんが一人だけ座るという珍しい配置でした。
2楽章のフルート2本のデュエットは弦の響きの雲の上にのった小舟のように優しく揺れるセレナードと言う感じでステキでしたが、個人的にはちょっと眠くなる様な音楽でした。アマデウスの後期の交響曲とはやはり一線を画すものがあるようです。
ブラボーの声こそ上がりませんが盛んな拍手。なかなか鳴り止まずマエストロは数回カーテンコール。本日の弦のそれぞれの首席を立たせます。Cbは最後列にいるので「起立!」という感じですが、客演のチェロ、ビオラは今日は倉田さんが首席、第2Vnはヤンネさん、そしてコンマスの森悠子さん。
マエストロにとっても大先輩の森さんがにこやかに笑っています。まだまだ拍手は鳴り止みません。
ついに飯森監督が拍手を制してまた喋り始めました。
「本当にこのホールはモーツァルトには最適だと思います。また演奏に来たいと思います。が!それには皆さんのご協力が必要です。これからも山響をよろしくおねがいします。」というような内容でした。終演後にトークがない代わり、マエストロのサイン会が行われました。庄内町には滅多に来ない飯森さんですので結構長い列が出来ていました。
その間、
山形Qの倉田さんを探しにホールに戻った私でしたが、ヴァイオリン軍団が森悠子先生を囲んで記念写真を撮っていたので、犬伏さんから許可指示されて「保険をかける」ということで私のデジカメでも一枚。
(この写真はサイズを小さくカットしていますので、解像度の高い写真が欲しい場合は私までご連絡下さい。)
ホワイエに戻ると、まだサイン会は続いていました。
私は2/20(土)の山形Qのサロン・コンサートのチラシをイーゼルに貼って「ご自由にお取りください!」と宣伝していたので、サイン会が終わってから邪魔にならないように片付けようと待っていたのです。コンサート実行委員会の皆さんが飯森さんを囲んで写真を撮るのを横目に見ながら片付け。残っていたチラシを回収しました。20枚位はなくなっていたのではないでしょうか。
この後、夜は鶴岡に泊まり翌日の朝一の便で東京に飛ぶ飯森さんを囲んで、響ホール&庄内国際ギターフェス実行委員関係者が一献という席が用意されていたようで、折角のお誘いは受けたのですが当方実行委員でも何でもないので丁重にお断り申し上げました。実は、響ホールがいいホールだということは山響側でも分かっていたので、大分前から山響のコンサートについてのアプローチがあったのですが、かつてのホール担当者か誰かがその申し出を断ったという遺恨があったのです。響ホールは庄内町の建物なので、そこで働く職員も庄内町職員、つまり地方公務員です。
必ずしも、音楽、演奏活動、コンサート誘致に一生懸命ではない、「役人根性」の人もいたのかもしれません。正しく理解していないかもしれませんが、山響、飯森さん、響ホールの間にちょっとした気持ちのずれ、軋轢があったように聞きました。
アンケート用紙に「今後呼んで欲しいアーティスト」という欄がありましたが、私はしっかり「山響」と書いてまいりました(他には、高木綾子さん、有田正浩さん、オーケストラ・リベラ・クラシカ、曽根麻矢子さんなども書きました、v(^^))
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山響の素晴らしい演奏に、響ホールという極上の楽器が加わって本当にステキな響きを創り出し、大満足のコンサートでした。これからも年に1回は定期的にやってほしいものです。
(写真は、2/12のお誕生日祝いに家内が拙クリニックスタッフから頂いた、楯の川酒造の大人気商品「生とろ子宝ヨーグルト・リキュール」。
15時開演のコンサートでしたので、後片付けをしても18時には家に戻り、ヴァレンタインの夜は家内お手製の(私の大好物)マカロニグラタンとチョコケーキをまた頂きました!

御馳走様!
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