11/23(月・祝)、8:45庄内空港発の飛行機は順調に飛行し9:45に羽田空港にタッチダウン。しかし広い空港のグランドを飛行機はバスの様に10分ぐらい走行し、更にバスに乗せられてターミナルビルへ。
結局、品川行きの京急に乗れたのは10:15過ぎだった。
今、羽田ー品川/横浜の往復が1,200円(本来は片道800円)の格安往復券が売り出されていたので迷わず夫婦でゲット。2人で往復で800円のお得!
本日のお宿は品川のホテルパシフィック東京。チェコフィルのフルート奏者ロマン・ノヴォトニーとのメールやり取りで今回のチェコフィルのお宿がそこだと分かっていたので、品川駅にも近く迷わず予約していた。レイトチェックアウト用のお部屋なのか、16時以降にならないとチェックイン出来ない代わりにツインで12,000円(食事なし素泊まり)という格安の部屋。
まずは荷物を預けて、16時まで何をしようかということになった。その時点で11時過ぎ。
そうだ!銀座に出来たアル・ケッチャーノの奥田シェフプロデュースの「山形サンダンデロ」(完全に庄内弁で、山形産なんでしょう?という意味)に行ってみよう、予約獲れるかな?と電話してみると、なんと「留守電自動応答対応」。
山形県アンテナショップの案内番号にかけてみるとやっている。聞けば「山形サンダンデロ」は連休とか祝日とか関係なく「月曜休業」とのこと。
東京で、花の銀座で、高い家賃を払っているのに、祝日に休業だなんてちょっと信じがたい。普通は月曜休業でもいいから、月曜が祝日のときは火曜を休みにすればいいのに。。。何か理由があるのだろうか?(市場の休みの関係とか、、、)
世田谷に住む妹に情報を求めると、いろいろ興味深い美術展、博物展、そしてそれら美術館や博物館に入っている超有名どころのレストランを教えてもらう。いろいろ考えていたら、家内が「江戸東京博物館に行きたい♡」と。特にどこと決めていなかったので即決。場所は国技館の横の両国。品川から秋葉原まで山手線、総武線に乗り換えて両国駅へ。生まれて初めて両国に来た。
「江戸東京博物館」は両国駅の脇。
最初は、「どうせ、、、」と高をくくっていたが、なかなか見物が多くいろいろ工夫が凝らされている。展示品をじっくり見て回ると丸1日かかりそう。
どうしても「江戸中心」の視点で、有史以来から江戸、東京の歴史が並ぶ。
有名な『ターヘルアナトミア』。杉田玄白、前野良沢らがオランダ語の医学書(解剖学)を苦労して翻訳した『解体新書』である。
確か、「神経」という日本語はそれまで存在せず、zenuw(英語でnerve)を「神気の経脈」という意味で「神経」と呼んだのは『解体新書』が最初だと記憶している。
この他にもいろいろ興味深い展示物あり。「江戸東京博物館」、なかなかやるな〜という感じだった。
昼食は博物館近くの食堂で済ませ、再入場可能な入場券で戻って存分に展示を楽しんだら既に15:30を回ってしまった。そこから品川に戻りホテルに着いてチェックインを済ませたら16:30近かった。
ロマンからメッセージあり。
「今晩のコンサートは、オーボエのヤナとファゴットのオンジェィは乗らないから、ホールではなく戻って来てホテルのロビーで会いましょう!」というものだった。試しにオンジェの部屋にかけてみたらいた!ちょっとだけお話。我々は間もなく出かけるので後であいましょう!と。
家内は着物に着替えたので、無理せずタクシーでサントリーホールへ。泉岳寺、白金高輪、麻布十番を抜けて六本木一丁目へ。15分程で到着。2,000円かからずほっとする。
開場は18:30だが、我々が写真のカラヤン広場に着いたのは18:00少し前だった。当日券を求め並んでいる行列と「チケット買います!」と手製のプラカードを掲げた、ダフ屋ではなく本当にコンサートが聴きたそうな若い女性なども見える。我々は軽く腹ごしらえをするため、向かいのアーク森ビルの3階へ。
実はフルート奏者北川森央さんのブログ("Morios Tagebuch2"ですごく気になっていて、畏れ多くも森央さんから直接頂いたメールでも勧められた
カレー屋さんに行ったのです。
アークビルの3階の奥の奥の方にある、その「フィッシュ」というお店は。10数人が座れるカウンター席と4人掛けのテーブルが2つだけの小さなお店。日本人一人とインド人(多分、もしかするとバングラデシュやパキスタンかも知れないが)が一人で切り盛りしている。

左がチキンカレー。これがお勧めされた品。荒川洋さんが今年から首席を務めている新日フィルで長らく首席を張っておられる白尾彰さんが開拓して、フルート吹きに広まったらしい。
私は右のチキン&キーマカレー。どちらも旨い!本格的。
実は、酒田にもインド人がやっている「シタ」という本格的カレー屋さん(ブログ記事「人間的な生活」参照)や、日本人夫婦でやっている「ナーランダー」という凄く旨いカレー屋さん(ブログ記事「秋の真夏日」参照)がある。
だから、美味しいとは思ったけれど、今まで経験した事の無い程の旨さとまでは行かない。カレーが大好きならサントリーでの公演前に行ってもいいけれど、何もこれからブロムシュテット&チェコフィルを聴くぞ!というタイミングにわざわざという感じでもなかった様な、、、(^^)
さて、プログラムは、巨匠ヘルベルト・ブロムシュテット指揮チェコフィルハーモニー管弦楽団によるブルックナーの交響曲第8番。一曲だけ。
御年82才!蟹座(私とは誕生日が1日違い)!
なんと徹底した「菜食主義者」らしい。
途中休憩もなく(楽章間の間だけ)、19時過ぎから20時30分少し前まで、1時間25分程に及ぶ大曲を澱みなく演奏。申し訳ないが、うちの両親とほぼ同じ年である。1時間半、ずっと立っているだけでも大変であろうに、ブルックナーの音楽に全身全霊を打ち込んで指揮という運動をしながら、指揮台の上でオケを引っ張って行く。その姿を見るだけでも感動するのに、体全体から溢れ出る音楽の喜び、その表情、すべてが魅力的である。
チェコフィルの団員もマエストロが元気なのに疲れをみせる訳には行かない。4楽章の最後の最後まで魂のこもった熱演だった。
これは開演前のサントリーホール「大ホール」の様子であるが、2000席の大きなホールなのに音響は本当に素晴らしく、静寂のホールに目を瞑ると2000人もの人が座っているとは思えない程の静けさ。それなのに、誰かが咳をしたり、チラシを落としたりすると、どのあたりでそんな事をしたのかがすぐわかってしまう様な、音の「定位」の素晴らしさ。
演奏家も皆絶賛する素晴らしいホールである。もう20年以上も前に造られているのだ。
オケは、対向配置で16型の3管型。ステージ下手側にコントラバスが8本、ずらりと威容を誇る。
ティンパニが指揮者正面の真ん中最後尾で、金管はティンパニよりも上手側に2列。金管の前で上手側にハープが2台。ホルンはフルートとクラの下手側に2列で、前4人はホルンのみ、後ろ4人はワーグナーチューバ持ち替えで合計8人。3番ファゴットはコントラファゴット持ち替え、3番フルートはピッコロ持ち替え。
ヴァイオリンだけで30人!弦5部で60人!!全部で100名弱の大編成。
そして女性が本当に少ない。4、5人いただろうか。これでも最近は外国人や女性奏者が増えて来たのだが、社会主義国の国家のオケだった名残がプンプンする。
フルートはピヴォダ氏、オーボエはヤナ、ファゴットはオンジェと首席が「降り番」なのだ。他の2つのプログラム(ドヴォ8とか新世界とかブラームス1番とか「モルダウ」とか、チェコフィルの定番?!)に回るのであろう。ハープもトラではないし、まあ、「世界のチェコ・フィル」なんだから当然なのだろうか。。。
その贅沢な規模は何もかも、山響やソルノク響と違う。いくらサントリーホールとはいえ、S席一人20,000円!!!なのだから当然か、、、(あとでオンジェとロマンにチケット代のことを話したら目を丸くしていた)
これだけの陣容で、マエストロの鬼気迫る熱気で指揮されて、16名の第1ヴァイオリンは最後方8プルトまで弓をいっぱいに使って楽器を鳴らす。上手の14名の第2ヴァイオリンも負けじと奏で、真ん中上手側に座る12名のヴィオラはブンブン言っているし、下手側の10名のチェロはズンズンと鳴る。
コントラバスがブォンブォン、ゴリゴリ鳴る部分では下手奥からホール全体を揺るがせる様な感じだし、金管が咆哮する時は上手奥からパ〜ン、カカーン、ブォ=ンと「そこまで張らなくても、、、」というくらいに鳴らす。
オーケストラの、ブルックナーの醍醐味の一つは、このダイナミックレンジの幅なのだろう。誰かが間が悪くプログラムを落とした音がホール内に響き渡る様なpppの部分から、少々咳き込んだって聞こえないくらいの大fffまで、もうこれだけで感動するのにそれがさらにマエストロによって統率されてピタっと決まると鳥肌が立つ。
しかし、あらためて飯森&山響が12型(弦5部で40人くらい)のサイズでブルックナーに取り組んでいる(すでにCDも4番、5番を出している)事の意味も考えされる。単純に感動するのは、100人規模のチェコフィルのサントリーだろう。しかし、迫力では負けるが弦の響きの美しさ、バランスの取れた管楽器群、全体の統一感と身体をうずうずさせる様なじわじわと来る感動はむしろ70人足らずの山響(希望ホール>山形テルサ)ではないかと思う。
チェコフィルの最近の音色、特に弦は「昔のチェコフィルのビロードの様な弦」を知る人から言わせると「らしさ」が失われてがっかりしている人も多いという噂を聞いたことがある。確かに、澄んだ柔らかい音ではなかったが、決してがさつなのではなく自然に全員が鳴らしている感じで私は悪くないと思った。一時よりまた良くなって来たのだろうか。伝統あるオケとはいえ、奏者がどんどん若返り代替わりして行くのだし、音楽監督も変わって行くのだから変化は仕方ないだろう。
4楽章フィナーレが終わってすぐに拍手をした人とブラボーを叫んだ人がいたが、できればマエストロが手を降ろしてからにして欲しかった。ほとんどの観客はマエストロ・ブロムシュテットがその止めた手を降ろした瞬間に大拍手。数々のブラボー。
マエストロが客席の方を向くや、嵐の様な、グォ〜というような拍手。マエストロも、チェコフィル団員もニコニコしている。2000人の殆どが心から拍手するとこんな風になるのか。。。
11/21(土)の山響200回定期は本当に満席で素晴らしい演奏に大きな拍手が沸いたけれど、満席850のテルサではサントリーの半分にも満たない。しかも、東京のお客さんは拍手の仕方を知っているので、一人一人の拍手が大きいため、山形テルサの3〜4倍の拍手の力を感じた。
この日の演奏の感想は多くの方がブログ書かれているようで、少し(勝手に)ご紹介しましょう。
「ブロムシュテット指揮チェコ・フィルのブルックナー8番に涙を流した!」
「23日・ブロムシュテット指揮チェコ・フィル・ブルックナー:第8番」
「11・23(月)ブロムシュテット指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団ブルックナー「8番」(←こちらは、ブログ主東条硯夫さんに反抗したコメントが面白い!)
何回もカーテンコール。
最後に、マエストロが弦の1プル奏者全員に握手をして、コンマスを促して団員がステージから下がっても拍手は鳴り止まない。
ついに、ステージにはティンパニ奏者だけが残った状態で、またマエストロが拍手に応えて登場。まるで在りし日の朝比奈御大を見るようだ。あんなに凄い演奏を1時間半近くやったのに、まったく衰えない足取りでニコニコしながら一人で指揮台まで来て、まだ帰らない観客のスタンディング・オヴェイションに応える。本当に82歳なのか?!信じられない。
マエストロが下がって、ようやく拍手も終わり、やっとホールを後にする。
アークビルの前からタクシーでホテルに戻る。15分足らずで戻ったので、ひとまず部屋で休憩。
バスで戻って来るロマンを待つ事に。21:10頃、ロビーに降りて行くと、戻って来たチェコフィルの人たちを見かける。
その中に、昨年、バボちゃんと一緒に遊佐に来た(ブログ記事「この1週間」参照)首席ホルン奏者のヤン・ヴォボジルさんを見つけた。歩み寄ると、「あ〜、あなた、覚えているよ!」と英語で話しかけられ、遊佐で会った事を話すと満面の笑顔を返してくれた。
21:30頃、ロマンが、遅れてオンジェが降りて来た。
オーボエのヤナは少し熱があり体調が優れないらしい。専属の医者がオケに同行しているから大丈夫だと言っていた。何でも明日(11/24)は、チェコ共和国大使館で初のチェコフィル来日公演から50年のお祝いを兼ねてクローズドの演奏会があるらしく、それにはヤナも出るのだと言っていた。
以前、新高輪プリンスで脳外科の学会があった時に脳外科オケで打ち上げをした、ホテルから歩いて1分の「Outback Steakhouse」に二人を案内する。
ここはビールが大きなピッチャーで飲めるので、「まずはビール!」という二人のチェコ人にうってつけ。
ビールの銘柄は、キリン、アサヒ、バドワイザーがあるというと、「バドワイザー、No~!!!」と二人共言う。私もバドは嫌いである。「あれは黄色い水だからね」というと「そうだ」「その通りだ!」とまた二人のチェコ人の気合いが入る。
元々、チェコのブドワラ(英語読みでバドワイザ)地方のビールの製法か商標をアメリカの会社が勝手に使って、裁判にまでなったけど結局アメリカが勝って今のバドワイザーがあるのは私も知っている。だからチェコ人は米国産のバドワイザーは大嫌いなのだ。
キリンのピッチャーを頼み、まずは「ナーズダラビ〜!!!」「乾杯!」。
特に演奏して来たばかりのロマンはぐびぐびビールが進む。オンジェもチェコ人だから、まるで水の様にビールを飲む。私も負けじとビールをぐびぐび。
この店は、BBQ ribが美味しいし、Bloomin' Onionというタマネギのフライが最高。いろいろ頼んで楽しく飲み食べ語らう。お土産をあげたら、お返しにウィスキーフラスコにいれたベヘロフカをプレゼントされた。一口飲むと、うまし〜、しかしつよし〜。およそ40度のアルコール度数である。
23:30のラストオーダーが過ぎ、24:00近くになって、お客さんは我々4人だけになってしまった。
今日は、連休の最後の日。明日は普通の人はお仕事だ。
名残惜しく、最後の乾杯をして、「次はいつプラハに来るんだ?」「自宅でカクテル(モヒートって言ったっけ?)を作ってあげるから早くおいで」「来年、プラハに来るか?」と何度もロマンに言われた。
そうそう、会話の中で、私が愛用するピッコロの製作者スタンダ・フィンダが日本にいる事を知った。奥さんの志保子さんの実家にいるらしい。電話番号を知らないので、志保子さんの携帯にメールをしたらすぐに電話がかかって来た。久しぶりに志保子さんとお話しする。スタンダは23時過ぎだというのに「仕事中」だという。ロマンが「ビール飲んでんじゃないの〜?」と志保子さんに言っていたが本当に真面目に仕事をしていたらしい。またスタンダと志保子さんにも会いたい。できればプラハで。そして約束のチェスキー・クロムロフに連れて行ってもらいたいな。
翌朝(11/24)、羽田発7:15の飛行機で酒田に帰る我々は、0時半頃ホテルの部屋に戻り、バタンキューと寝た後、朝5:30の目覚ましでしっかり起きて、6:15頃の品川からの京急で羽田に着き、余裕を持って飛行機に乗って帰って来た。
庄内空港から、高速を使えばクリニックまでは20分。8:50少し前にはクリニックに着いて白衣に着替え、余裕でコーヒーを飲んで9:00から涼しい顔(?)で予定通り診療を開始した。
楽しい東京、幸せなチェコフィル in サントリー、嬉しい再会だった。
そして、山響200回定期、ソルノク響酒田公演&ハンガリーナイト、チェコフィルと3日間続いた怒濤のオケ三昧もひとまず終わったのである。
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