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2009.08.30

永田美穂 ふるさとで奏でる

7/24のブログ記事「今後の演奏会、ほか」で紹介したように、8/30(日)上山市のエコーホールで上山出身の若手ピアニスト、永田美穂さんのリサイタルがあったので酒田から往復3時間半かけて聴きに出かけた(他に愛車を指定の車屋さんで車検に出すという用事もあったのだが)。

Photoプログラムは、
1)J. ハイドン:ピアノソナタ第53番 Hob. X VI/34 ホ短調
2)F. シューベルト:即興曲 Op.90 No.2 変ホ長調
3)シューベルト/リスト:「冬の旅」より ”菩提樹”、「12の歌曲」より ”水の上で歌う”
4)F. リスト:超絶技巧練習曲 No.10 へ短調
 〜 休憩 〜
5)C. ドビュッシー:前奏曲第1巻より 「アナカプリの丘」「西風の見たもの」「パックの踊り」「ミンストレル」
6)F. リスト:スペイン狂詩曲

プログラムの表紙に「ふるさとで奏でる」と大きな字で書かれている。
永田美穂さんのご実家は上山市内でも有名なお家柄と聞く。ご両親の顔も広く知人も多い。
開場の13:30から遅れる事13:45頃にエコーホールに到着すると、すでに車の駐車にも困るような状態。急いで開場に入ると、ほぼ満席で前の方のサイドにパイプ椅子が追加で並べてある状態であった。真ん中のほうは全く空いていないので、ピアノのすぐ目の前、1列目の下手側に座る。

彼女の生まれ故郷なのだから人がたくさん入ったとは言えるのだろうが、それだけではなく、これまでの彼女の演奏活動から大きな期待感が寄せられているのが開演前からの雰囲気でなんとなくわかる。

最初の曲はハイドン。すこし意外な選曲ではあるが彼女の選択なのだと思う。
ピアノ曲のあらゆるジャンルを勉強しているのは当然として、彼女の留学先はパリとイモラ(F1で有名なイタリアの町)なのだし、師匠はショパン、リストを得意とする方らしいので、ショパンが1曲も入っていないのは少し不思議だった。

小さめなホールで、親戚や知人が多いというのは、演奏する側にとってみればかえって緊張したり、余計な事を考えて集中しにくい環境だったと思う。更にホールのコンサートピアノ(ヤマハ)は、あまり使用されず管理も行き届いていない代物らしく、前日からそれなりの調律師が東京から来てかなり手を入れたり調整はしたらいいのだが、なんとなくぼんやりした響きのする楽器だった様な気がする。
座席がピアノの目の前の下手側だったので彼女の演奏する手元ともに鍵盤の動きがよく見えたし、ペダルとその動きをダンパーに伝えるメカニズムも見えたのだが、なんとなく反応が鈍いように感じた。しかも鍵盤が均一な動きをしておらず、彼女の指が離れた後に元に戻るスピードが遅い鍵盤もいくつかあるように思えた(遅いといっても、コンマ何秒以下のものだが)。

そういうちょっと可哀想な条件でのコンサートであった事は事実。今日のコンサートの感想を書く上でそういうことを無視は出来ないことは残念ながら事実。

ハイドンはとても活き活きして素敵な音楽だった。ハイドンの初期〜中期は、まだチェンバロ主流の時代でピアノの前のクラヴィーアに移行する頃。現代のピアノで聴いても、しかし違和感は全くなく、永田さんの瑞々しいタッチから生まれる音楽はそういった時代を超えて楽しめるものだった。
シューベルトの美しい歌曲をピアノ曲に編曲したリストによっていかにもピアノが歌を歌っているように永田さんの指先から「歌心」が紡ぎだされた。
少々のミスタッチや乱れは、上記の様な悪条件の故と目をつぶって、ただ音楽に身を委ねるように聴くことに徹した。

休憩後の2曲は、さらに彼女のピアニズムがキラキラ光って圧巻だった。
ドビュッシーの音楽はやはり映像的だった。風景や踊りが見える様な演奏で聴いていて身体が自然に揺れる様な感じだった。
最後のリストでは息をのむ迫力と繊細さのダイナミクスが素晴らしく、彼女の持ち味が遺憾なく発揮されたすごい演奏だったと思う。満員の観客の拍手は、身贔屓を超えて、やはり素晴らしいものは素晴らしいというものだったと思う。

アンコールには、やはりというか当然ショパン。
「スペイン狂詩曲」の迫力の演奏の直後として、軽妙な音楽をと考えられたのでしょう。「子犬のワルツ」は本当に軽々と演奏。拍手は鳴り止まず、花束贈呈も含めて4回程カーテンコール。そしてもう1曲。ショパンのエチュードから。

Photo_2休憩を入れても1時間30分弱のコンサートだったが、ホールを去る観衆のほとんどが満足そうな表情なのが印象的だった。音楽に詳しい人にも、それほど詳しくない人にも、いいものはわかる。そういう演奏会だったと思う。先日、医学部同窓会で宿泊した際にあいさつをした「古窯」のおかみさんも、いつもの着物ではなく素敵なスーツ姿でいらしていた他,上山の人を中心の多くのお客さんが入って大盛況のコンサートだった。400席強の座席はほぼ満席で、車もいっぱいで、帰るのも時間がかかったけれど、いい音楽のおかげで気持ちよく帰る事が出来た。

帰りには東青田にある車屋さんによって、車検に出す車をあずけ、代車を借りて、慣れない車でいつもよりも安全運転で月山道を超えて酒田に戻りました。

少し時間が経って冷静に考えてみると、永田美穂さんは素晴らしいピアニストだと改めて思いました。
顔が可愛く美人でスタイルも良く、2回程お話しただけですが性格もほんわかして素直な方だと思います。才能もあり努力もしている(聴いていて、弾き込んでいるのはわかります)。あと必要なのは、運というか巡り合わせというか、縁とか何かそういった、本人の努力だけではどうにも出来ない様なものが音楽家には必要なことがあります。
素晴らしい音楽も、多くの人に聴いてもらってこそという面はあります。「有名な音楽家」になることが大切な事ではありません。「いい音楽家であり続ける事」が重要だと思います。しかし、山形から、上山から、世界中に認められる様な素晴らしい音楽家が出て有名になる事は地元の人間としては嬉しい事です。

まだパリで修行中の身の永田さん。日本には、今回のように「お盆」などの夏休みで少し帰ってくる程度。将来的に本拠地をどこにして行くのかはわからないけれど、これからも応援して行きたいと思います。


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