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2009.07.31

「脳とこころと音楽と」

私の好きなジャズピアニストであるビル・エヴァンスのディスクにも収められた名曲で、『あなたと夜と音楽と』という素敵な曲があります。

そのパクリではありません。
明日の午後、クリニックの「ジョンダーノ・ホール」において、クローズドの会なのですが、脳に関する講演会とミニミニ演奏会を行います。

演奏する曲目は、ピアノ伴奏でエルガーの「愛のあいさつ」と中田喜直の「夏のおもいで」。チェンバロ伴奏で、JSバッハ作曲のフルートソナタ 変ホ長調 BWV1031から第2楽章「シシリアーノ」を演奏する予定。
続いて、スライドを使いながら「脳とこころとおんがくと」というタイトルでお話をします。

このタイトルの様なことを明確に、わかりやすく、説明出来るならば、本を書けば売れるかもしれません。実際は、そんなに容易な事ではありません。

「脳」に関する研究はかなり進んでは来ましたが、まだまだわからない事だらけです。
「こころ」にしても、その定義から迷う様なものです。「精神機能」という風に考えれば、たとえば「うつ病」や「統合失調症」などの病態や治療からアプローチすることも出来ます。外傷や脳卒中などに伴って、人格や性格が変わる事があり、その障害部位と変化の関係から「精神機能」に関連する部位を考察することはできます。
「音楽」については、これまた様々な考え方やアプローチがあります。
「音楽療法」という言葉がありますが、必ずしも世界共通のしっかりした概念や方法論があるわけではありません。音楽が、こころに、そして脳に良いだろうとは誰もが考える事です。その音楽が、何か病気に効くのか、、、と言われれば、可能性はあるがわかりません、と答えるしかありません。

モーツァルトの音楽がα波を増やして脳の働きを高めるとか、音楽を聴かせた野菜がすくすく育つとか言われていますが、医学的に実証された事実を私は知りません。

世の中には、モーツァルトの音楽だって「不快」に思う人もいると思います。ガンガンのヘヴィメタでリラックスできる人もいるでしょう。演歌が大好きな人もいれば、民謡が好きな人もいます。ジャズ以外は聴かないという頑固な人もいるでしょう。
だから、「こういう音楽は、こういう症状にいい」とか「こういう音楽によってこういう効果がある」というのは、一般化出来る話ではなく、「そういう場合もある」位に考えた方がいいと思います。

そうだとしても、やはり「心安らぐ音楽」とか「気持ちの落ち着く音楽」とか「安眠を誘う音楽」というのは存在すると思います。ただ、それが万人に適応出来ないだけのことです。

脳の中には、情動に関する部位、感情、特に快・不快や好き嫌いに関係する部位があります。活性を高める、行動を惹起する部位もあれば、鎮静する部位もあります。これらの働きが全てわかっている訳ではありませんが、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンという神経伝達物質(脳内ホルモン)によって、感情、情動、欲がコントロールされている事は事実です。

さあ、明日の講演までにもう少し自分の頭を整理して楽しい話をしたいと思います。

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コメント

たしかに、好きな音楽、心地よい音楽と言うのは好みや、おかれている状況によって変わりますね。

私にとっての1番はリュートですかね。
つのだたかしさんの「静かな音楽」とか。どんな時でも聞ける、優しさがあります。ひどい頭痛がしていようが、精密な作業をしている時でも。切羽詰っているときでも。寄り添ってもらえる音楽。

投稿: ふなゆすり | 2009.07.31 18:31

ふなゆすりさん、お久しぶりです。
その人の心情に寄り添う音楽が大事なようです。
悲しい時に妙に明るい音楽を聴いてもだめで、静かな、悲しみをたたえた音楽を聴いて悲しみから逃げずにしっかり認識してその上で「浄化」するというのが良いようです。
浄化された後は、リズミカルで身体を動かしたくなる音楽とか前向きになれる音楽でしょうか。
左脳を休ませるためには、言葉のない音楽、つまりインストロメンタルなものがいいようです。日本人には理解できない言語、たとえばマジャール語などの歌は、右脳の刺激が主体になる事でしょう。
あとは、ふなゆすりさんにとってのリュートのように、何か琴線に触れる音色、音域というのがそれぞれあると思うのです。リュートがお好きならチェンバロもお好きでしょうか?

投稿: balaine | 2009.08.01 03:28

IP address 210.153.86.83 HN「中性脂肪」様,

理由の如何に関わらず、個人のブログに書き込むコメントとして相応しい内容ではなく、書き込まれた方にとっても決して利になる事ではないと考え削除致しました。
個人的な内容は、個人に直接メールをお送り下さい。
よろしくお願い致します。

投稿: balaine | 2009.08.01 17:02

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受信: 2009.08.02 13:10

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