林静一展と山形弦楽四重奏団定期演奏会
結局、7/26(日)のことは今日になりました。
昼過ぎまでのんびり(といっても脳ドックのレポートを一件片付け)して、お昼は鶴岡のファイヤーボールで摂り、高速に乗って山形を目指します。
山形市美術館で7/25から始まったばかりの林静一展。
家内が観たいと言わなければ私は特に強い興味はない分野なのですが。
ロッテの「小梅ちゃん」もTVCF位は知っていてもおそらく一度も買った事もなければ食べた事もないと思います。でも、可愛らしい絵は印象的です。
「春夏秋冬」季節に応じた、可憐な少女や妖しい熟女などが展示されていました。一番興味を持ったのはアニメ「源氏物語」のセル画。とても美しい。源氏物語はやはり世界に誇る日本の文化だと思います。
初日の7/25と2日目の7/26は、林静一氏によるトークショーとサイン会があったらしいのですが、到着したのが15:00を回っていたのでとっくに終わっていました。
ゆっくり見て回ってもまだ16:30。
山Qの演奏会開場まで45分。
ということで、お茶でも飲もうと思ったのですが、山形美術館の喫茶部は終了していて、文翔館も16:30で閉館。仕方ないので七日町方面に少し歩いて、「シャンソン物語」に行ってみると、なんとなんと定休日。ドトールでもいいかな、、、と思ったら、すぐ近くに「レオン」というお店があったのでそこでアイスコーヒーなんか注文。
雨が降ったり止んだりで、和装の家内はちょっと大変。
17:25頃会場に到着。
まもなく「アンサンブル・トモ’ズ」のお二人によるプレコンサートが始まりました。文翔館議場ホールの木造にあったやわらかい、優しい音色が響きます。とてもステキでした。
18:00の15分も前に、チェロの茂木さん登場。「前説」を始めます。
メンデルスゾーンのリハ中に雷鳴があったそうで、妖しい天気の中本番はどうなるかお楽しみに、ということでした。
コンサートの解説は、いつもながらnarkejpさんのブログが詳細で的確ですので、「電網郊外散歩道」をご参照下さい。
1曲目、ハイドンのOp.20-2の四重奏曲。別名『バグパイプ・メヌエット』と言われています。
3楽章のドローンと呼ばれる保続音がバグパイプの演奏に似ている事からこの名がついたそうです。この曲は、ハイドンがまだ40歳になったばかりの頃に書かれた作品で、プログラム最後の「皇帝」と呼ばれる第77番から観れば、20年以上前の作品です。しかし、聴き比べてみても古くささを全く感じさせない、ハイドンらしい作品だと思いました。
2曲目はメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第6番ヘ短調。
最愛の姉ファニーが亡くなり、嘆き悲しみ、メンデルスゾーンの心がそのままストレートに音楽になっているようです。ちなみに、姉の亡くなった数ヶ月後の同じ年にメンデルスゾーンも亡くなっています。死因は脳卒中と伝わっていますが、38才の若さだとすると、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血ではなかったかと勝手に想像しています。深い悲しみがストレス源となって瘤を大きくし破裂したのではないでしょうか。
半年後に自分も死んでしまう程の深い悲しみに襲われた姉の死。この曲は、すべてがその嘆きのようで、唯一の緩徐楽章である3楽章さえ、苦しみの中の諦めのような、安らぎの感じられないアダージョでした。
チェロ、ヴィオラ、第2、第1バイオリンと断続的に繋がる苦しみの音楽、激しい悲しみの感情がほとばしる印象でした。山Qの皆さんの鬼気迫る演奏に引き寄せられたのか、天候は一挙に悪化し、雨がザーザー振り出し、ついにはゴロゴロゴロ、ドドーンと雷鳴も轟きます。ホールの外の音というのは、たいてい音楽には邪魔なものですが、この時ばかりはメンデルスゾーンの嘆き悲しむ声が弦楽四重奏曲と一緒になったようで、とても効果的(?)な雑音だったように感じました。
休憩後、後半はハイドンの有名な「皇帝」。
67才の老成したハイドンですが、曲は緻密で新しさに満ちていて、しかも「ああ、ハイドン、、、」という安心感を聴く者に与えてくれるような旋律や進行。
特に第2楽章の、現ドイツ国家の元となった曲は美しく、変奏曲も楽しめました。
個人的には、この曲の4楽章が印象的でした。
男性3名は、7/24,25と2日続けての山響定期でブルックナーの3番を熱演したばかり。いくらプロとはいえ、疲れた体に鞭打ってと勝手に思っていましたが、やはり音楽の力でしょう。まったく疲れなど感じさせない激しい演奏でした。だちゅさんもいくつかのオケの掛け持ちや依頼演奏など多忙な日々が続く中、美しい響きを奏でておられました。「皇帝」の2楽章のソロの部分、新しい(?)ヴァイオリンの音色はとても甘くてウットリさせられました。
アンコールは、モーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」から『アリア』。あれは、元々はフルート+弦3本の楽譜を、フルート譜を第1Vnで演奏したのだそうです。私は演奏した事がなかったので中爺さんに言われるまでは知りませんでした。
演奏会が無事終わっても、まだ雨はザーザー降っておりなかなかの天気でしたが、熱い3曲+αでした。特にメンデルスゾーン生誕200年とハイドン没後200年を記念したものでしたが、死を意識させる曲もあり、雷鳴も轟き、激しい演奏に胸が熱くなりました。
山Q庄内演奏会、特に幸松肇作曲『弦楽四重奏のための最上川舟唄』庄内初演を画策(?)して、終演後に「打ち上げ」に混ぜてもらいました。しかしそこで判明したのは、酒フィル定期が終わる10/25以降で、土日に庄内に来てもらえる日程はほとんどない(山響の演奏会、音楽教室、その他にだちゅさんの怒濤のスケジュールのため、4人共空いている日はほとんどない!という状態)ということ。
もう少し可能性のある日を広げて考えてみたいと思っています。
静かな絵画展と激しい演奏会、そしてその後のホルモン焼き(ただし、酒は飲めず、、、悲)。
充実した日曜日でした。
本日のオマケ。
山形に行く前によった、鶴岡のファイヤーボール。
午後1時過ぎに行ったのですが、待って並んでいる人がいました。予約して行って正解。
家内は、豚トロとパプリカのスパゲッティ。私は写真の、メジマグロとアボガドの冷製スパ。
普通、冷製スパというと「エンジェル・ヘアー」などの細い麺を使う事が多いが、おそらく1.2〜1.4mmの普通のスパゲッティの麺でした。
味は、とても美味しい。マグロが生臭くなく、スープが絶妙で、醤油が少し隠し味に入っているかな?皿まで舐める勢いで美味しく平らげました。
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コメント
なるほど、メンデルスゾーンは、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血ですか。もう少し長生きしてもらいたかった作曲家です。50代になったメンデルスゾーンがどんな作品を書いたか、想像するだけでも楽しいものがあります。頑固なブラームスは自分のスタイルを守るけれども、負けず嫌いのワーグナーあたりはかなり影響を受けそうです(^o^)/
絵画展は、内陸在住なのに、初めて知りました。テレビを見ないし、単身赴任先では全国紙だしな〜。当方でも、妻が好きそうでありまする(^o^;)>
投稿: narkejp | 2009.07.29 06:20
narkejpさん、脳卒中の中でも脳動脈瘤破裂だけは遺伝性があります。同一家族内で二人以上がくも膜下出血になったという報告例は、山形県内でも何組かあります。
メンデルスゾーンは、父親も、姉も早く亡くなっていますので、遺伝的な脳動脈瘤の可能性を考えました。他には、脳動静脈奇形の破裂とか、いずれにしろ脳卒中ですね。
ちなみにに、源頼朝もその亡くなるに至った記録から「くも膜下出血」と考えられているようです。
モーツァルト以外に40才の声を聞かずに早逝した音楽家は、メンデルスゾーン、シューベルト、ビゼー、ウェーバー、ショパン、、、たくさんいますね。。。
全ては神様の思し召しと、、、
投稿: balaine | 2009.07.29 16:02