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2009.07.19

アンサンブル

Wikipediaより。
「アンサンブル(ensemble)は、フランス語で、「一緒に」(副詞)または「一揃い、全体」(男性名詞)と言う意味。英語では前者はtogether、後者はset, wholeに相当。」
「アンサンブル(ensemble)とは、音楽用語で2人以上が同時に演奏すること。
合奏、重奏、合唱、重唱の意味、あるいはそれらの団体の意味にも用いられる。オーケストラ(管弦楽団)というと規定の楽器編成を満たした大人数の演奏団体(大体50-100人前後)を意味するため、これに含まれない室内楽の演奏団体をアンサンブルと呼ぶことが多い。」

ここに書かれているように、50名を超す様な大所帯のオーケストラ「全体」にはアンサンブルという言葉は使われないようである。しかし、つまるところオケもアンサンブルに違いない。
弦5部のトップ奏者、少なくとも前の方に座る第1・第2バイオリン、ビオラ、チェロの4人が、オケの中でソリ(ソロの複数形)になって演奏することがある。あれなどは典型的なアンサンブルで、それを抜き出したのが「弦楽四重奏」という演奏形態なのだろう。

木管楽器も、中央よりに座るフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ちょっと離れたホルンが揃うと「木管五重奏団」である。敬愛する『アフラートゥス五重奏団』(「アフラートゥス庄内公演」参照)もそれぞれベルフィル、チェコフィル、プラハ響で活躍する若手〜中堅トップ奏者で構成されている。
交響曲の中でも、たとえばブラームスとかドボルザークなど、曲の途中に木管だけのアンサンブルとか金管、特にトロンボーンによるコラールとかそういう手法を取り入れている音楽も珍しくない。

つまりオケの中でも、ところどころで小さなアンサンブルが演奏されているし、そういう小さなアンサンブルの積み重ねや広がった形がオケそのものだとも言える。弦楽四重奏や八重奏や木五や金管八重奏などと違うのは、オケには一般的に「指揮者」が存在する。もちろん、8〜12名くらいの小さなアンサンブルでも指揮者がいて行けない訳はないし、バロック時代のようにチェンバロ奏者が指揮者を兼ねて真ん中に座り、演奏しながら指揮をしてアンサンブルをまとめるという演奏形態もある。

いや、話の展開を間違ったようだ。
本来の音楽は、ソロ演奏からアンサンブル(一人で歌うから二人、三人、四人と合唱に発展)へ、そしてより大人数での迫力ある編成の音楽へと発展する途上において、「指揮者」という特別職を生み出したのだろう。ドイツ語で指揮者の事をleiterというが、ドイツ語が使われる医学界にいる身としては結構なじみのある言葉である。

(教授)「おい、この手術、お前がleitenしろ(またはleiterやれ)。」
(小生)「はい、わかりました。」

若手の医師に手術をさせる場合に、横に指導する立場の上級医がぴったり付き添って、基本的には若手医師に執刀させるものの、横からアドバイスしたり、危ない場面では代わったり(顕微鏡手術の場合は電動椅子に座る執刀医と交代する)して、高いレベルでの手術を実践しながら若手を教育し養成するということは世界中で行われているはずである。私も若い頃はたくさんの先輩医師に横についてもらって手術を覚え修行したし、ある程度の立場になってからは自分の執刀手術以外に、指導医、上級医の立場で若手医師の横に突いて「お目付役」「指導者」をやった経験がある。

leiterという言葉には、そういった「指導」という意味合いが含まれているのだが、指揮者と演奏者であるオケの団員の関係は、必ずしも「指導者」と「指導を仰ぐ立場」という上下関係ではない。指揮者とは、オケ、または大型のアンサンブルをまとめる「調整役」とか、一緒に音楽を創る上で中心的存在ではあるものの、「アンサンブル」の中の一人と考えることも出来る。

しかし、オケの中で実際に演奏をする立場で考えると、指揮者(指導者)に言われたからするのではなく、近くに座るものとして自然に「アンサンブル」を形成する必要性がある。フルートは隣りにいるオーボエと寄り添い同じメロディを奏でたり、木五のような感じで入れ替わり立ち替わり旋律を演奏する楽器が移動しながらアンサンブルを形成して行く事が少なくない。だから、自分がフルートのトップを吹く際には、横に座るセカンド・フルートよりも、アンテナはオーボエやうしろに座るクラ、ファゴットの方に向いて立っている感じである。もちろんセカンド・フルート以下を無視するものではなく、フルート・パートをまとめあげる技量や指導性もトップ奏者には求められるが、やはりオケの中では旋律楽器の一つとして弦や他の楽器との調和を保ちながら、ソリスティックな部分では歌い、アンサンブルの中で一つのパートとして機能を果たすという仕事が大きい。

日付も変わり、酒田中央高校音楽部の定期演奏会はもう明日のことになる。
昨日、土曜日、診療終了後急いで昼食をすませ、13:45頃すでに始まっている練習に参加した。
クーセヴィツキーのコントラバス協奏曲ではフルート・トップを吹くが、ソロのコントラバスを活かしつつ、オケの中では隣りのオーボエや後ろのクラ、そしてセカンド・フルートとのアンサンブルがどんどん出てくる。自分の思う様な感じでアンサンブルが決まると気持ちがよい。leiterである指揮者が望む形、ソリストであるCb奏者が望む形になっているのかどうかは、今日、明日の練習で確認しなければならない。
シューベルトの「未完成」では、セカンドを吹くが、トップに寄り添い、合わせる感覚が少しは分かって来た様な気がしている。自分がトップを吹くと分かるのだが、トップ奏者には「おいしい旋律」があったりする代わり、オケの中でかなりの緊張がある。オーボエなど他の楽器とのアンサンブルに神経を集中させる部分もある。フルートのセカンドはそういうトップの心理的な重圧を思いやりながら、自分をやや抑えて一緒に音楽を創るために「合わせに行く」という感覚が必要であろう。

特に音程には気を使う。
自分の音程感覚だって自信がないのであるが、自分だけではなく他の楽器の音程も気になるものである。隣りに座るフルート・トップがいつも完璧な音程で吹けているとは限らない。むしろ高音での「上ずり」は気になる(自分が吹いていてもそうなるのだが)。
そういう場合は、しかし、トップ奏者の音程に合わせてアンサンブルを創らないと、フルートパートの中だけですでに音楽が崩壊しかかることになる。昨日の練習では特にそういう面に神経を尖らせた。

そして昨日の夜はいつもの市民オケの定時練習。
先週まで3週続けて、合唱団の伴奏練習で、10/25の酒フィル定期の練習は4週間ぶり。メインの「ドボ7」のみの練習だった。4週ぶりの鬱憤を晴らす(?)かのように、まずは全楽章通しての練習から始まった。参加者は皆気合いが入っていたようで、そこここに問題はたくさんあるものの、なかなかの熱演だったように感じている。フルートパート内の話し合いで、ようやく私が「トップ」を吹かせてもらう事に決まって初めての練習だったので、特に気合いが入った。この曲も、隣りのオーボエとのアンサンブルがたくさんある。まったく同じ旋律をず〜〜っと二人で演奏する部分もある。

うまく決まると美しいし嬉しい。
逆に、ずれたり決まらないと悔しいし残念である。
フルートのセカンドは仕事の都合で少し遅れて練習に参加したが、このオケの中では私の先輩にあたるし(年は下だが)、昨年の定期の「シベ2」ではトップを吹いた人。しかし仕事の関係で「ドボ7」の練習に参加するのは今回でまだ3回目くらいのはず。私自身は、3月のファミリーコンサート(あの『ピーターと狼』の小鳥を吹いた)終了後から、今日までにオケ全体練習は12回目(加えて管分奏トレーナー練習もあった)になっているが、まだまだ練習が足らないので、うまく吹けないどころか、きちんと音が出せない部分もある。本番まであと3ヶ月もあるのだから、まだまだこれから頑張ればいいのだが、「トップ」を吹く事が決まった以上は普段よりも練習に緊張を覚える。
「ドボ7」はやりがいのある曲だが、なかなかに難曲だ。フルートにも相当高い技量が要求されている。その分、「おいしい」ところも満載である。団内指揮者の棒をよく見て合わせつつ、弦の音程や音量を考えながら、そして隣りのオーボエや周囲とのアンサンブルを十分念頭に置いて、「トップ奏者」としての力量を見せなければ、と多少力むところもあるのは偽らざる心境である。
さらに、来るべき本番指揮のマエストロ井崎氏による「指揮者練習」を想像しつつ、どんな棒にも自在について行けるように演奏するシミュレーションも考えながら、難しいパッセージに苦労しながら(シドロモドロになりながら、とも言う)吹いていたら、途中から胃の辺りが苦しくなって来た。
苦しいというか、多少むかむか、吐き気もするような痛み。

朝から午後1時まで休みなく働いて、急いで昼食を摂り、また休む間もなく高校音楽部の賛助出演の練習に参加し、午後4時から「ジョンダーノ・ホール」でプロのオーボエ奏者の指導を受けているMS嬢のために「店番」をしてくれていた家内と交代するためクリニックに戻り、そこでオケの練習計画表を作ったり、脳ドックのレポートをチェックしながら午後6時過ぎまでいて、急いで自宅に戻り簡単な夕食(最近このブログにコメントはないが、時々は見てくれているはずの酒フィル元団員のKS氏が届けて下さった鮎がメイン、旨かった!)を済ませて、午後7時からの練習に参加するためでかけ、上記の様な事を考えながらみっちり2時間練習をしたのである。
ちょっと無理したかな、という反省はあるが、夜9時過ぎに家に帰って最初にした事は、「胃薬」を呑む事だった。その後はベッドに倒れ込んだ。

タイトルと、ずいぶん離れた内容になってしまったが、アンサンブルってものはまじめに考えると「胃が痛くなる」ことなのかもしれない。

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