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2009.06.27

脳ドックは結構大変です、、、

今週は何をしていたのでしょう。。。
(???)
数日前のブログでもちょっと触れた「財政制度等審議会による建議」の考え方の酷さと、歪曲された開業医の「年収」という考え方を世間の皆様に理解して頂く様な記事を書きたいのですが、話がとてもナイーブなものでなかなか書き出せずにいます。
(その前に、某医学誌に掲載して頂いている『開業医奮闘記』の「その3」(連載みたいになってしまいました)を完成しなければ、、、)

〜〜〜〜〜
今週は月・火と脳ドック予約が6件はいっていました。
脳ドックは検査と診察が終わればそれで終了ではありません。検査結果を見直し、結果のまとめとそこから引き出される受診者の脳及び生活習慣病に関する健康状態へのアドバイスをします。さらに、認知症、うつや不眠などの精神機能のスクリーニングに身体測定も行っているのでその結果のまとめとアドバイスを考えます。オプションの多い受診者の場合には、頚動脈超音波、頚部MRI、MRAさらに血液検査などが加わり、その結果をプリントし、ファイルにし、検査結果をCD-Rに記録し(しかも画像はjpeg画像とDICOM画像の2部作成)、この結果を受診者に郵送します。

脳動脈瘤を疑わせる血管の異常な膨らみがあったり、頚動脈のIMT(壁の厚さ)が正常範囲を超えていたり、その他に生活習慣病や脳血管疾患(脳卒中)に関する異常所見があれば、細かい結果の報告と今後のフォローアップの方針の指導やアドバイスもします。

基本的には健康な方が受診する脳ドックですから、検査結果の診断、判断はことさらに慎重を期します。異常所見の見逃しはあってはならない事ですし、過剰な診断(病気でもないものを病気と診断するなど)も避けなければなりません。気を使います。
そしてファイルの作成も結構時間がかかります。
ケース・バイ・ケースではありますが、1例当たりのレポート&ファイル作成には1時間から2時間はかかります。6例で6時間から12時間ということになります。当然、受診当日にはすべての結果を揃えることはできません。すべてを一人でやっているからでもあります。スタッフに任せられるのは、医学的判断をしないで良い部分と結果レポートの誤字脱字のチェックとファイルの表紙の作成と郵送業務という事務的作業になります。

そこに2週に1回、「介護認定審査委員」としての「委員会」の仕事が入ってきます。事前に30数例に及ぶ審査対象の書類に目を通し、チェックが必要です。1例を2分でチェックしたとしても1時間以上かかります。5分もかければ3時間近くかかってしまいます。その上で5人の委員が集合して前例に突いて検討を行います。
そんなことをしているので、月・火に行った脳ドック症例の結果の検討は水、木では終わりません。

そして、さらに、昨日金曜日は山形市で「山形県脳ドック研究会」があるため、診療を16:30で終了にし、山形市まで研究会に参加。
18:30から「世話人会」に出席し19:00から研究会。
特別講演は島根大学付属病院長で神経内科学教授の小林祥泰先生。「脳ドックガイドライン2008」の中から、特に「無症候性脳梗塞」「無症候性大脳白質病変」についての最新の考え方を教えて頂き、大変勉強になりました。
今日の土曜日は朝から通常診療があるのでとうぜん車でとんぼ返り。昨晩帰宅したのは23時過ぎ。
そして、今日は午後1時過ぎに診療終了、昼食後、山形新聞の取材を受けたり(クリニックの院長として音楽に懸けている気持ちと行動についての話、いつ記事になるのかは詳細がわかったら公表させて頂きます)、その後、市民オケの練習あり(しかも秋の定期演奏会の練習ではなく、JS先生の合唱団の創立60周年記念演奏会(11月の予定)のための練習で、合唱のオケ伴奏という難曲が6曲も!)、結構くたくたです。

先週施行した脳ドックのレポートは、先週末におよその形を作り、今週の月〜木で完成させ、金・土でスタッフがチェックと事務作業を済ませ、受診後から何とか10日ちょっとで結果をお届けすることが出来ました。今週の6件もおそらく来週中には皆さんにお送り出来るでしょう。
これだけ手間ひまかけて、他の仕事や趣味などの多忙な間を縫うようにレポートを完成させるのですが、「費用対効果」ならぬ『労力対収益』を考えると決して楽ではありません。
ぶっちゃけて言うと、MRIを撮る必要のある新患が6名受診した方が、検査、結果説明の時間も少なく、かける労力も少なく、さらに収益も上がるのです。つまり脳ドックは決して儲からないのです。
しかし、庄内地方で「脳ドック」を行っている施設は少なく(現時点で知りうる限りは拙クリニック以外は庄内町の病院1件のみ)、山形市や仙台まで脳ドックを受けに行く庄内在住の方も少なくない現状、少しでも地域住民のお役に立つ仕事をする事が拙クリニックの存在意義であり、長い目で見ればそういう行動が地域の方々に信頼を得るステップの一つだと考えています。
〜〜〜〜〜

ガイドラインが昨年久しぶりに改訂され、さらに今年、日本脳ドック学会は「脳ドックを行う医療機関の施設認定」を始めます。使用する検査機器、検査項目、その詳細な条件、検査内容とその結果の評価、さらに結果に対するアドバイスや指導などにまで細かく触れているガイドラインの内容におよそ従う条件を満たした医療機関にのみ「施設基準認定」が与えられます。
拙クリニックは開院してまだ1年と少しであり、検査器械も新しく、PACSも高性能で、脳ドックを開始する段階ですでに「ガイドライン2008」が明らかになっていたため、最初からこのガイドラインに沿う形で始めました。よって「施設基準の認定」はまず大丈夫だと思っています。

なぜ、このような、ガイドラインの改訂があり、施設基準が設けられるかというと、世の中には「脳ドック」と謳うには「ちょっとどうでしょう?」と首を傾げたくなるような医療機関もあるらしいのです。耳に入る情報としては、T2強調像という撮像法だけやって10,000円という「廉価版脳ドック」を謳っている施設があるとか、MRIは古い機種で脳MRAはやってもMIP法という方式のみでsurface renderingなどはできなかったり、画質(解像度)からとても細かい血管の異常などきちんと診断出来ない様なMRIで「脳ドック」をやっている施設もあるようです。
ただ、専門医制度もそうですが、この「施設基準認定」には法的拘束力はないので、ガイドラインに従わず施設基準を満たしていない「似非脳ドック」はすぐに無くなる訳ではないでしょう。ただ、利用される市民が、「脳ドックには施設基準がある」ということを認識して頂き、その基準を満たしていない医療機関での検査は、たとえ「安い」料金で済むとしても避けるべきことをご理解頂く必要があります。

脳ドックの存在そのものを否定する考え方もあるようですが、現在の健康診断や人間ドックが「癌検診」に偏っている傾向が感じられる中で、「生活習慣病と脳卒中の予防」という観点での健康診断を担うのが「脳ドック」だと感じています。すなわち、MRIを撮って「脳に病気がある」とか「ない」という事だけではなく、「現在の状態から将来、脳卒中の危険性がないのか」ということを調べて予防医療の観点からアドバイス、指導を行えるものだと確信をして実施しているのです。
だから大変でもやる気になるのです。

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コメント

先生の大変さ、忙しさ、また脳ドックに掛ける思い、良く伝わりました。
私は三重県の病院に勤務する診療放射線技師です。現在、病院内の健診部の次長職をしておりますが、私どもでも脳ドックを実施しており、週6名程度の脳ドック受診者を受け持っています。
私どもの病院の特徴かも知れませんが、病院部門と健診部門が完全分離されており、脳ドックの結果説明や受診者への指導は脳外科専門医が行なっておりますが、脳ドックを行なう場合の視触診や打聴診、問診は健診部門専属の総合診療科の医師が担当します。
そこで、先生にご教授頂きたいのですが、健診部門の医師も数名在籍していることから、各々の医師によって問診、視触診その手順がまちまちになっています。
今回、健診部門の医局会で手順や必要なマニュアルの統一化を図る事にしたのですが、医局長をはじめ、実際に携わっている医師は先生と同じように大変忙しく、マニュアルや手順書の文書化まで手が回らないとのことで所長命によりに脳ドックにおける診察の手順を私が作成することになりました。ガイドライン等も拝見しましたが、診断基準や指導基準が主な内容で診断、診察の細かな(必要不可欠な確認内容)部分が理解できません。
お忙しいとは存じますが、必要な手順や確認すべき事項、またそこに至るまでのフロー等ご教授頂ければ助かります。
お忙しいのは重々承知いたしております。可能であればご教授の程お願い致します

投稿: 西川 孝 | 2012.04.04 15:22

西川孝様、古い記事へのコメントありがとうございました。個人的な問い合わせなどは、左側にある「メールを送信」からメールを送って頂いた方がよろしいかと思います。直接メールでお返事します。

投稿: balaine | 2012.04.05 02:41

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