土日の出張〜楽しかった日曜(その1)
品川のホテルの部屋から。昨日(5/23)食べなかった渋谷の宮内庁御用達「青山御膳」の高級なお弁当と品川駅と東京タワー。(笑)
朝の目覚めは爽やか。最近、日曜の朝は普段より早く目が覚めます。月〜土と仕事のある毎日の中で、唯一、「遊び」に費やす事の出来る休日。勿体なくて朝寝が出来ません。(^^;;;
と言いながらも折角のホテル泊なので、のんびり部屋で過ごし「題名の無い音楽会」を見てからビュッフェ・スタイルの朝食へ。さっきお弁当を二人で食べたので、小食にしておきます。
庄内に帰るのは20:15羽田発なので、19時過ぎまで10時間程遊べる訳です。
チェックアウトしてまずは上野へ。
国立西洋美術館の「ルーブル美術展」を目指します。
雨が降っているのに、凄い人の数。上野駅の改札を出ると目の前に東京文化会館。小学校6年生のbalaine君はここの大ホールでピアノ独奏をしたことがあります。K音楽教室主催の子供音楽コンクール「ピアノ部門」の全国大会に出場したのでした。以前にも書きましたが、その時の録音はSPレコードになって手元にあります(恥ずかしい演奏で聴けませんけど)。
傘を差しながら人にぶつからないように歩いて美術館へ。
予想よりは並んでいる人が少ないように思ったのですが、「50分待ち」という表示が!
でも、思ったよりは順調に進んで40分くらいで館内へ。でも館内もまだ行列があって、結局50分弱で展示室へ向かえました。
今回は、「ルーブル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」が6/14まで開かれています。有名な絵がたくさん来ているだけではなく、その「17世紀」というのにも惹かれます。今日(5/24)の午後にも「17世紀」に会う予定だからです。
(絵の写真はすべて、国立西洋美術館のHPから)「リュートを持つ道化師」。
「どうしてこんな楽しそうな顔が描けるんだろうね」といいながら観ているご婦人がいました。本当にそう思います。
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このような有名な絵画を一同に観る事ができるのですから、雨の中50分待つくらいはなんでもありません。ただ、館内も当然大勢の人でなかなか近づいてつぶさに観る事は難しく、人並みを押しのけてみるのも気が引ける上、疲れるのでおよそ離れてみていました。つよく惹かれた絵だけは近づいてみましたが。
左から「レースを編む女」、「王女マルガリータの肖像」、「大工ヨセフ」。
「大工ヨゼフ」の絵では、蝋燭の火を風から守ろうとしている少年イエスの小さな手に灯りが透けて血が通っている生きている人間であることが強調されているようです。光と影、明るさと闇がイエスのこれからの生涯を暗示しているようです。
素晴らしい絵達に心が穏やかになりました。
「ルーブル美術館展」を見終わって12:30少し前。外はまだ小雨状態。
今回の予定の中で最も楽しみにしているのは、13:30開場、14:00開演の小石川トッパンホールでの「前田りり子リサイタル」。これが「午後にも会う17世紀」。
まだ1時間あるので寄る余裕はあるだろうと考え、上野と小石川の中間の神田薮蕎麦を目指します。
上野の次、秋葉原で降りて徒歩ですぐのはず。実は蕎麦好きにもかかわらず、かの有名な神田薮蕎麦はお初。私の従兄弟のブログにはよく登場するので気にはなっていたのです。(従兄弟のブログの記事は「こちら」です)
神田の薮蕎麦。HPは「かんだやぶそば」を参照。
店構え、佇まいが老舗の風格。
ちょっと腰が引ける感じになります。日曜だからなのか、雨だからなのか、いつもこの程度なのか、12:45頃でしたが、並んでもおらず直ぐ席に着けました。
左が私の注文した「せいろう」(二枚)、下が家内の注文した季節の「じゅんさい蕎麦」。
明治13年創業で「百余年変わることのない味と技」と誇らしげにHPにも書かれています。
山形で蕎麦の味を覚えた田舎者にはちょっと違和感のあるお蕎麦であった事は白状しなければなりません。「これが江戸風ってやつかい?」「蕎麦そのものの味が違うようだが」と思いました。
HPによると、「創業者七兵衛が夏場のヒネの時期にそばもやしの青汁を打ち込んで清涼感と新蕎麦の青みを出そうと工夫した」と書かれています。確かに青みがかっているのですが、山形の内陸(大石田や尾花沢周辺)で新蕎麦の季節に4たて(摘みたて、挽きたて、打ちたて、茹でたて)の本物の新蕎麦を食べた事のある者にとってはちょっと違和感があるのです。山形で食べる新そばは、一番粉の場合、やや緑色がかった淡い灰色でキラキラ光ります。二番粉では黒いつぶつぶが見えます。
ダッタン蕎麦になるともっと茶色くて少しモソモソします。
山形にも「更級」を出すお店が何軒かありますが、「これはソーメン?」と思うくらい真っ白に近いですね。蕎麦粉100%でつなぎを使わず細い蕎麦を打つ名人の店もありますが、やはり淡い緑がかった灰色です。
「薮蕎麦」の蕎麦は、つなぎと添加物で喉越しよく新蕎麦「風」を演出しようと言うお蕎麦なのでしょう。これが「薮」風なのでしょう。「神田」の「薮」に行った、という名所旧跡を訪ねるような物見遊山的な話としては受け入れられますが、真の蕎麦好きが好んで「薮」に行くのかどうかは、、、
食べ物の好みは個人の「趣味」「好き嫌い」の問題ですからね。
インターネットでちょっと調べると、世に蕎麦好きは多しといえ、こんなに情報が氾濫しているとは。しかし、山形の、特に村山〜大石田辺り、蕎麦街道の蕎麦を喰わずして蕎麦を語っている人のなんと多いことか。名前だけは超一流の「信州蕎麦」とか、知名度の高い「盛岡わんこ蕎麦」とか、山形のおいしい蕎麦を食べてから語ってくれ、という感じのところもありますから。
蕎麦文化不毛地帯であった「米所」庄内で、最近はいい蕎麦屋が酒田市内や周辺にも何軒かあります。
4立てとまで行かなくても、3立てくらいのいい蕎麦を味わえます。そういうお蕎麦は、汁なんか付けなくても旨い。水だけで啜れます。ちょいとお塩なんか付けた日にゃあなた、「蕎麦ってこんなに旨いのかえ?」と歌舞伎町に、もとい歌舞伎調に喋ってしまいそうです。
「薮蕎麦」で感心したのは、ほとんどが年配の店員のてきぱきした江戸っ子な雰囲気と、お会計のところに座っている店主とおかみさんとおぼしき人たちの立ち居振る舞い。全て客の注文は席の番号とともに注文内容の書かれた紙がそこに届けられ、おかみさんが美しい声で、「3番〜さん〜〜〜、せいろう〜2枚〜〜〜」と、まるでグレゴリオ聖歌でも聴いていると勘違いするような節回しを付けて厨房に注文を言いつけているのです。本当に美しい、澄んだ歌声で、家内と私は蕎麦を啜るよりもその声にうっとりして目を見合わせてしまいました。
100年を超える伝統と培われた素敵な雰囲気のお店で、有り難くせいろう2枚、量が少ないのでペロッと頂きましたが1,400円。この値段出せば、山形では名人の旨い蕎麦の大盛りが喰えますね。
薮蕎麦の周りには見上げるような高層ビルが建っていたりして、昔の雰囲気を残す「ふぐ料理屋」や「割烹」なども残りながら、だんだんと都会の無機質な雰囲気に飲み込まれつつあるような悲しさも感じました。
神田薮蕎麦を後にして、つづいて向かったのはJR水道橋駅。そこからてくてく歩く事約15分(思ったより遠かった!)、「トッパンホール」が今回のメイン。
ここで開催された「前田りり子リサイタル」の事は、蕎麦の話でつい熱くなり長くなったので翌日に続く。
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コメント
ラトゥールの大工ヨセフは観たいんですよ。
神田は「まつや」とあんこう鍋の店と
鳥すきの店には行ったことあるんですが、
藪そばは行ったことないな。
20年以上前ですが、老舗は
下足番のおじいさんとか
働いている人がてきぱきしてて
そこが江戸の店という感じですよね。
山形市内のお蕎麦屋さんは最近味が
落ちてがっかりです;;
投稿: イコマ | 2009.05.28 23:09
イコマ殿、コメントありがとう!
老舗は「師似せ」といって、師匠、先輩の真似をしてその技や手法を引き継いで続けて行くという理念がなければ、ただ古い店ということになるのでしょう。下足番のおじさんや仲居さんに「自分の仕事」という誇りというか自負があるのでしょう。
え〜?!もしかしてご近所のU蕎麦じゃないでしょうね。最近山形市内の蕎麦屋には行ってないので。。。
酒田市内に旨い蕎麦屋が出て来たので、山形に行ったら「竜馬」だとか「とだて」だとかに行ってます(ていうか、数ヶ月に1回くらいしか山形行かないし、、、)
投稿: balaine | 2009.05.29 02:11