1周年の感謝の日
3月3日は女の子のお祭りとも形容される「桃の節句」。
以前にも書いたように、古来「上巳の祓」と言われる体の穢れや病気を祓い清める儀式を中国暦の3月3日に行って来た事に由来するもので、都(京都)の人々が紙人形に体の穢れを移して川に流し健康を祈願する儀式と宮中での人形遊びが融合したものです。旧暦の3月3日が丁度桃の花の咲く季節でもあり、「桃の節句」と呼ばれるようになったのですが、元はと言えば野山に出て薬草を摘み紙人形に体の穢れ(病)を移して健康を祈願する「上巳」の日。
昨年、平成20年の3月3日(月)に拙クリニックを開院しちょうど1年が過ぎました。
(お祝いのケーキを頂きました、ル・ポットフーの特注、「鯨のケーキ」です、大笑)
この間、大過なく、私もスタッフも大病もせず無事に過ごすことが出来た事をまず感謝したいと思います。細かい問題はいろいろあり必ずしも順風満帆とは言えませんが、大学でのキャリアを捨てて(自分ではあまり「捨てた」などという感覚はないのですが、一般的に見れば准教授の立場を辞職して一診療所開設個人事業主となれば、そういう表現を使うのかな、、、)、手術をする腕を犠牲にして(これも「犠牲にした」という程大げさには思っていないのですが、国内でもある程度のレベルに達した(一応技術認定制度委員でした)限られた内視鏡下の経鼻下垂体手術の技術を持つ脳外科医の一人だった訳なのでこういう表現を使ってみました、、、)、手術も入院も無い無床診療所を開設したのは、第一には酒田の市民オケ活動を中心に自分の音楽活動を続けるためでした。
(スタッフとともにお祝いのケーキに入刀!です)
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それが、大学病院のある山形市でもなく、高校を出た仙台でも、実家のある横浜でも、生まれ故郷の福岡でもなく、酒田だった事にはいろいろな意味と想いがあるのですが、すべてを語ることはできません。自分がどんな形でも(当直のバイトとか外来診療応援バイトも含め)医師として働いた事のある土地をすべて上げると、山形県内だけでも1)山形市、2)天童市、3)上山市、4)南陽市、5)米沢市、6)鶴岡市、7)新庄市、8)長井市、9)川西町、10)小国町、11)酒田市と数多い。県外となると、福島県の喜多方市、福島市、新潟県の新発田市などでも仕事をしました。
全く働いた事のない土地で開業する事もできない訳ではないのですが、やはり知り合いがいるとか、応援してくれたりサポートしてくれる知人があるとか、仕事をした仲間がいるとか、開業して必ずしも成功するとは限らない「ビジネス」として真剣に取り組む事においてはそういう条件も当然考えました。
市民オケも、県内には山形フィル、米沢フィルに酒田フィルと伝統のあるアマオケが3つありますが、これも人が奏でる集団であるが故に、音楽が出来ればどこでもいいという訳にはいかなったのです。
(ケーキの断面は?)
大学で医師として研究者として仕事をしながら、自らの趣味の時間を楽しむというのは無理でした。時間的にも精神的にも余裕がありません。
特に時間です。
一応土日も休日、祝日もある職場ですが、現実には土日も祝日も年末年始も患者がいれば病院に行き、研究や学会などの仕事があれば朝早くから夜中まで仕事をしていました。家でフルートやピアノに触れる時間は、どんなに頑張ってみても週に2、3時間がいいところでしょうか。というよりも毎日はとても出来ない環境なので、結局継続出来ないから「やらない」状態になってしまうのです。
(鯨の断面は?)
平成19年の酒田でのJAO全国大会主催、昨年3月の希望ホールでのオペラ『ラ・ボエーム』全幕原語公演のオケピットでの演奏、その他、「一期一会」のこの機会を逃したら一生巡り会えない、知らないままで終わってしまう世界が目の前にあったのです。とても「偶然」という感じではなく、そこに着々と準備された「必然」のようなイベントがあったことが「意を決した」大きな理由だったのだと思います。
そして酒田市にある南洲神社。南洲翁が好んで書いた「敬天愛人」。庄内と九州、薩摩との関係。
(お祝いのお花を頂きました)
今となっては、本当にいろいろな必然に導かれて酒田で開業し1年が過ぎたと言う感じです。
「一周年」は目出度い事ではありますが、この土地で私が元気である限り15年、20年と続けて行く覚悟の仕事ですから、月並みではありますが満1年ではあるけれど一つの通過点であり、いつもと変わらぬ診療の行われる一日でもあります。
(お祝いのお酒も頂きました、出羽桜『一路』は世界の品評会で優勝した日本酒、山形が誇る出羽桜酒造の逸品です)
まずは天に、そして皆様に感謝して一周年を迎えられた事を喜びたいと思います。
「ありがとうございます。」
そして5年前に始めた時からこのブログの信条としている言葉の通りです。
「Tomorrow is another day !」
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コメント
一周年、おめでとうございます!
クリニックを設計したのが友人だったりして、不思議な御縁が嬉しいです。
医師としての素晴らしい腕と実績をお持ちでいらっしゃるのに、わざわざ酒田という地で独立開業して下さって、本当にありがとうございます。
私の両親もお世話になったことがあるとのこと、私もいつかお世話になることがあるかもしれません。今後とも健康で、公私ともにご活躍下さい。
投稿: akiko | 2009.03.04 13:58
akiko様、こちらにもコメント、ありがとうございます。
本当、拙クリニックの設計担当と古くからのお知り合いと聞き、世間は狭いなというか、いろいろなところで皆繋がっているんだな、と思いました。
酒田は、山形県内では自分でここに住みたい!と思った土地なのです。いろんな人の縁があります。人口減少とか衰退する中心街とかいろいろ問題はありますが、今回の「おくりびと」受賞に限らず、元々いいものがたくさんある土地ですから決して下り坂ばかりではないと思います。
まだまだ脚光を浴びる要素がたくさん眠っている街ですね。
これからもどうぞよろしくお願いします。m(_)m
投稿: balaine | 2009.03.04 17:22