昨晩と打って変わって、明るい陽射しの日曜になりました。
昨日は、本当に寒かった。風が強いので体感気温が更に低く、そういう悪天候の中で客演指揮者のバイロン・フィデチスさんと山響の皆さんは熱い、熱い演奏を聴かせてくれました。
鶴岡市文化会館は17:45開場、18:30開演でしたが、定期会員チケットをS席指定席と当日交換するために17:00少し前に会館に到着。酒田フィルの定常練習をお休みにして、トレーナーである犬伏さんの応援も兼ねて大挙コンサートに行きましょう!という事務局およびインペク(小生)の考えで、団員にも声をかけました。なるべくいい席を取ろうと、同じ時刻に酒田フィルの定期会員チケットを持つ人が8人も集まりました。
あんまり極端な「かぶりつき」では、こちらも恥ずかしいし、演奏者も緊張するかも?ということでみんなで6~7列目辺りに「プチ・かぶりつき」です。単独で来た人、夫婦で来た人など全部合わせると、酒田フィル団員とその関係者だけで20人は聴きに来ていたのではないでしょうか。
開演まで1時間半あるので、「タビの親父」さんお勧めの、鶴岡市民文化会館近くの蕎麦屋「東京庵」にみんなで出かけました。
昭和61~63年と平成9年にあわせて2年半、荘内病院に勤務したので鶴岡に住んでいた私。しかし「東京庵」の存在は知りませんでした。(恥)
なんと大正2年創業!もう少しで100年の歴史を持つお店だったのです。
説明書きを読むと、何でも初代が東京は神田に住み仕事をしていたので、鶴岡に戻って来た時「東京庵」という名前にしたとのこと。さらに、単なる蕎麦屋ではなく、昔は「フランス料理」を出したり、屋上ビヤガーデンもやっていたそうで、言うには「おそらく地方都市では屋上ビヤホールを最初にした店」ではないかと言う事です。大正初期ですからね。
蕎麦屋と聞いていたので、「もり」でもとおもったのですが、会館からお店までの4〜5分の徒歩が雪まじりの強烈な横風で非常に寒かったため、タビの親父さん以外は皆温かいものです。私は「鴨南」。他には「カレーうどん」や「天ぷら蕎麦」「たぬきうどん」。団内指揮者でチェロ奏者の「タビの親父」と第1Vnフォアシュピーラーの「タビのママ」。事務局長でチェロ首席のY氏とライブラリアン(らびおさんや中爺さんのブログによく「librarian」というHNで登場する)でチェロ奏者のY氏夫人、さらにY氏夫妻に小さい時から酒フィルの練習につき合わされ、ピアノ、バイオリン、最近はフルートまで始めた超早熟英才教育を受けているお子さんのMちゃん、そして私たち夫婦で「東京庵」に行ったのですが、考えてみれば1月に山響の真室川公演(「ピーターと狼」に「運命」)を聴きに行ったのとほぼ同じメンバー(もう一人、オーボエのMちゃんがはいりますが)でした。
食べ終わってもまだ外が寒いし開演まで十分時間があるので、ちょうどテレビでやっていたモンテディオ山形のJ1初ホームゲームを観ていました。山形市も雪で、後半はグランドが真っ白になってしまい、寒いだけではなくスリッピーで選手がかわいそうでしたが、結果は「0−0」の引き分け。
あのストイコビッチが監督を務め、日本代表フォワード玉田を擁し、正ゴールキーパーは日本代表の奈良崎というビッグネームの名古屋グランパス。ユニフォームの広告もTOYOTAと国際的企業なのに対し、我がモンテディオの胸に燦然と光る「つや姫」の文字。今年から力をいれて行く山形県のお米の銘柄です。なんとも「山形」らしい。。。
先日の初アウェーで、かつてのJリーグ王者、ジュビロ磐田を6−2と叩きのめしてしまった(これまた正ゴールキーパーは川口能活)モンテ。「これでJ1全敗は免れた」などというネガティブなサポーターの声をよそに、グランパスと引き分けて勝ち点1をもぎ取り、現在順位は暫定2位!
あのガンバ大阪に次ぐ位置にいると言うモンテディオ=山の神。いつまで上位にいれるでしょうか。でもなかなか動きも組織プレーも良さそうだし、魂のこもった試合運びをしているし、1年でJ2へ転落ということはなさそうな予感。。。
さて、話が逸れすぎました(昔はこれでもサッカー少年だったので、、、)。
モンテの試合が引き分けで終わったのを見届けて会館に戻ると18:10頃。この悪天候の割にはお客さんも来ているな〜と思ったのですが、座席についてみると我々の6、7列目より前に座っているお客さんは両脇の方まで見ても、5人しかいませんでした。6割は入ったかな〜?という程度。いつも人の入りが悪いと言われる鶴岡定期。一番の原因は鶴岡市民文化会館の老朽化と音響の悪さによるものだと思います。昨日のコンサートをもし酒田市民会館「希望ホール」でやってくれたら、もっともっと素晴らしかったでしょう!
コンサートに先立ち、マエストロが通訳を伴ってプレトークに登場。
大柄な体を折り曲げるように丁寧に笑顔でお辞儀をなさいます。通訳とはドイツ語で話していました。
1曲目の、私は初体験のベートーベンの劇音楽「アテネの廃墟」 より序曲は、ギリシャ人としてのコメントがありました。元々ヨーロッパの文化の根源に関わるギリシャですが、その当時は政治体制の問題などで抑圧され廃れた傾向にあったそうですが、ベートーベンの音楽が勇気づけてくれたと言うような事を仰っていたように思います。
2曲目のブラームスのドッペルコンチェルトは、ソリストが2人必要なこともあってそんなに多く演奏されないけれど、山響の奏者2人が素晴らしいソリストでもあるので素晴らしい音楽になるだろうとの事。3曲目の「ベト7」は語るまでもない有名曲。山響の皆さんの演奏が素晴らしいと言うような事をおっしゃっていました。
1曲目は、曲の題名やベートーベンという先入観から暗い、重い音楽なのかと想像していましたが、「序曲」らしく軽快でなんとなく爽やかな感じもする演奏でした。
2曲目。
ソリストが2人なのでステージは、コンマスの位置も指揮者から5m位離されます。チェロ奏者用に台と椅子が運ばれます。ソリストと指揮者が登場です。
そうそう、コンマスは山響の特別客演コンマスであるたかぎ〜さんです。犬伏さんがソリストなので誰がコンマスをなさるのかと思っていたら、なんとなんと高木さんの登場で驚きました。山響コンサートのレポートでは的確で詳細な文章を書かれるnarkejpさんに比べて、私の場合は記憶にのみ頼っていますが、犬伏亜里さんは青緑色で光沢のあるロングドレスでした。前日の山形県民会館での装いとは違うようです。少し痩せたかな?
劇的な中にも洒脱な部分があるブラームスっぽくない(?)曲だと勝手に思っているのですが、お二人のヴィルトゥオーソな演奏を堪能しました。特に二人でユニゾンを奏でるところや、アルペジオで駆け上がるところなど、音程もリズムもピッタリあっていて凄い!と思いました。プロなんですから、それぐらい出来て当然というか、それが出来なければドッペルコンチェルトなんて弾けないのかもしれませんが、あのユニゾンはゾクゾクしますね。鶴岡市民文化会館は音響があまり(とても?)良くないので、真ん中より後ろの方で聴くと響きが散乱して吸収されるという感じなので前の方で聴いたのは正解だったと思います。その代わり、ステージ上の奏者の一人一人の音が手に取るように分かる感じでした。特にコンマスの高木さんの音が凄く届くので、あれ〜ソリスト喰っちゃわないかな、、、と心配する位。アルコの時はもちろん、ピッチカートの時の高木さんの音の「立つ」こと。「ピィ〜ン!」と響いて来ます。やはり高木さんは巧いな〜、とコンマスに感心しながら協奏曲を聴くと言う珍しい体験でした。
犬伏さんと宮城県、もとい宮城健さんのソリ二人は、細かいことをあげつらえば多少の傷はあったかもしれませんが、素晴らしい魂のこもった演奏を聴かせて下さいました。年も同じ家内などは横にいて、単なる演奏会を聴くというよりは、同級生や友人がコンサートに出ているというような(勝手な)心情になってしまい、冷静に聴けなかったそうです。私も酒フィルのトレーナーとして大変お世話になっており、更に山響FCなどで一緒にお酒を飲んだりお話をしたりという比較的親しくして頂いている方なので、あまり冷静に聴くことはできず、「頑張れ!」「いいぞ!」という応援の心が半分以上を占めていたような気がします。さらに、昨日の「らびおがいく」ブログで、宮城健さんが3月一杯で退団されると言う事を伺い、これまた「3年間ありがとうございます」「山響の奏者として最後の演奏、頑張って!」という心境で聴いてしまいました。
オケにとってはもちろんですが、協奏曲のソリストにとって、鶴岡市民文化会館のような響きの吸収されるホールは苦しいと思います。音は丸裸にされ、豊かな音も痩せて聞こえる場合もあります。でも昨日のお二人の音は、前の方で聴いた効果もあってか、熱く、迫力のある響きでした。上にも書きましたが、これを「希望ホール」で聴けたらな〜、、、というのは偽らざる心境でしたが。
この、プロオケでもそうそうやらないドッペルコンツェルト。実は酒フィルはやっています。それも漆原啓子さんや藤森亮一さんやといった凄いソリストを招いて、モーツァルトとブラームスのドッペルコンツェルト、両方ともやっていると言う話(私が入団するよりずっと前の事です)。凄いですね〜。
休憩を挟んで、メインの「ベト7」。
コンマスは指揮者から1mくらいの距離に戻ります。
第1楽章の始まりは比較的遅いテンポ。上昇するアルペジオも全ての団員が一音一音ていねいに奏でています。こういう部分が、テンポも音程もピタっと合うのがやはりプロオケです。アマオケではこういうところが上手なオケはほとんどないと思います。シンプルで音が少ない方が難しいのは、バッハやモーツァルトが難しいというのと共通です。
ドラマ「のだめカンタービレ」のオープニングテーマである、ホルンの咆哮から続く「元気」な部分を過ぎ、悲しみと哀愁の2楽章、ダンスの3楽章、心弾む歓喜の4楽章。ワーグナーが「舞踏の神化」と呼んだのがよく理解できます。聴いていて体が熱くなって来るのは、本当に現代の「ロック」に共通するような音楽だと思います。ベートーベンってすっげぇ!って思わされます。
昨日のように「プチ・かぶりつき」で観ていると、普段よりも更に面白い事がありました。ベートーベンがある旋律やリズムを第1バイオリンから第2、ビオラ、チェロと1小節単位、または2小節単位で移動させるところなどは、音的にではなく視覚的にも移る事がよくわかる点や、コンマスが第1バイオリンに座る残り9人に対して、後ろに信号を送っていたり、セカンドやチェロやビオラのトップに目や体やそして音で信号を送って「一緒に演奏している」のがよくわかりました。
いまさら、オケの、アンサンブルの基本なのですが、やはり「言わなくてもわかるでしょ?」ではなくて、「ほらこうして!」「ほい、付いて来て!」「さあ、一緒に!」ってやらないと、少なくともそういう「心」を発信しないとダメなんだよな〜と思いました。それは私のやる楽器フルートだって同じ事で、自分のパートだけ吹いているのではなく、隣のオーボエや後ろのクラ、ファゴットなどの木管群はもちろん、コンマスをはじめとする弦パートとも音を通して「心」を通わせ「会話」をしなければいい演奏にはならないのだな、と昨日のコンサートを聴いて(観て)いて強く感じました。
第4楽章では、コンマスのたかぎぃさんとビオラ首席の成田さんが、「どっちが楽器を高く持ち上げるか」という「峰君」(笑)競争をしているのでは?と思うくらいに熱の入った演奏。本人達にはきっとそんな意識はないのでしょうが、演奏している中で、指揮者を中心に奏者達がお互いに丁々発止とやり合っている感じがとても楽しかった。特に、ビオラの成田さんは私の中学の同級生若松夏美さんらと「バッハ・コレギウム・ジャパン」などで古楽演奏でも大活躍されている方で、イメージ的にもの静かで無口でクールなイケメンという印象なのですが、高木さんに挑発されたのか、演奏していてベートーベンの音楽に動かされたのかとても激しい動きで熱い演奏をされていました。
万来の拍手、4回程カーテンコールがありましたが、アンコールはありませんでした。
山形でやる場合と違って、終わったらすぐに片付け、バス(または自家用車)で山形へ戻るという感じで、音楽の余韻を楽しんだり、ロビー交流会のようなものがないのがいつも鶴岡公演では残念に思うところです。チラッとバックステージにも行ってみたのですが、犬伏さんはとっくに着替えて愛車で一人帰ってしまわれたようでした。高木さんにも挨拶できませんでした。
宮城健さんは着替えていらしたので、3月で退団の事をちょっとお話し、これからも機会があれば山形で、山響で演奏して下さいとお願いしておきました。
音楽監督飯森さんのブログをみると、なんとなんと13日の金曜日の県民会館の演奏会は、飯森さんも聴きにいらしていたのですね。ロビー交流会の写真を飯森さんが携帯カメラで撮ったりして面白い!(いつもは撮られてばかりいる立場ですからね)。
ということで寒い寒い天候の中、熱い熱い演奏でした!
今後の音楽関係のことはお出かけ先から戻ったら書きましょうかね(これから「介護保険審査会」の講習会。開業医になったのに日曜日にも働かされます)。
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長くなりそうなので、介護認定審査会委員研修の話は明日にします。
今後の音楽、特に拙クリニックの「サロンコンサート」の事も明日以降、日を改めて書く予定です。
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