またまたやりました!「おくりびと」米国アカデミー!
いや〜、関係者の皆様、オメデトウございます!
本当に穫ってしまいましたね。「61冠」目は、米国アカデミーです。
「外国語映画賞」という部門が出来てからは「日本初」の栄誉です。
数年前に最優秀は獲れなかったけれど「優秀賞」にノミネートされた日本作品は「たそがれ清兵衛」以来。この「たそがれ、、、」はご存知、藤沢周平作品、海坂藩という「庄内藩」をモデルにした架空の話だが、要するに庄内が舞台という訳。
庄内を舞台にした作品が続けて米国アカデミーにノミネートされた事にもなりますね。
「賞はこれで打ち止めで、、、」など控えめな発言だった成田での出発前の本木さんでしたが、ジャケットの胸には「日の丸」のピンバッジが光っていました。「日本代表」との想いだったのでしょう。
日本アカデミーで10部門を獲得した映画「おくりびと」ですが、もしも「優秀エキストラ参加賞」があればこれも「最優秀賞」を獲得したのではないかと密かに思っています。
エキストラと言えるかどうか定義が定かではありませんが、山形交響楽団と同音楽監督に飯森範親氏、そして「酒田第九を歌う会」のメンバーに合唱指導の関矢順さん、そして山響ファンクラブメンバーと地元の人たち。
冒頭の「第九」コンサートのシーン、まばらな観客はすべてエキストラ。
そして、短いシーンながら大事な「オケを、、、解散、、、します!」のシーン。
ここには我が酒田フィルの団員が8名程参加しています。
折角「第九」をやりながら、観客席は半分も埋まらない様なオケ(そんなプロオケ、日本のどこにあるの?少なくとも「第九」でガラガラっていうことはないはずだけど、、、)。経営難のため、オーナーが苦渋の決断、「オケを解散します!」というシーン。
酒田市民会館の「小ホール」で1日かけて撮影されました。前日、「大ホール」で飯森さんの指揮で山響が演奏し、「酒田第九を歌う会」が合唱して冒頭の演奏会のシーンを1日かけて撮影した訳ですが、たった30秒もないような「解散します!」のシーンのために、山響の団員を2日も拘束出来ないので、楽器を持って自然な動きが出来る(はず)の酒田フィルにエキストラの依頼がありました。
前にも書きましたが、当時の事務局長から山形市に居た私にも連絡があり、「エキストラ出演、どうですか?」と打診されたのですが私は予定があったので断りました。出演した団員によると、1日かかりで、コンサートが終わって控え室に戻って来て楽器を片付けようとしている時に、オーナーが現れて「解散、、、します!」と頭を下げ、団員は皆事情を知っているのでクールに片付けてササっといなくなるシーンです。酒田フィル団員でも燕尾服はさすがに持っていないので、男性は山響の団員から燕尾服をお借りして、女性陣はいつもの演奏会の格好をして、バイオリンやビオラやチェロなどを持って控え室に戻り楽器を片付けて退去する、それだけなのですが、一人一人、歩く方向、スピード、振り向くタイミング、撤去退去する方向とそのタイミングなど事細かく指示されて、何度もやり直して撮り直したそうなのです。わずか30秒のシーンが半日では終わらなかったと聞きました。
あの場面は映画の中では短いけれど結構大事なシーンだと思うのです。
上に書いたように、ほとんどのオケの団員は自分のオケの先がない事を知っている、またはうすうす感じ ていて、オケが潰れたら次どうしようとかおよそ決まっている状況。
にもかかわらず、主人公の大悟はのんびりしているというか、そういう事情に疎くて、やっとプロオケの正団員の座を掴んで1000万円以上するチェロを買ったばかり。これからこのオケで頑張ろう!と思っている。オケが無くなるとは当日まで知らず、オーナーの「通告」を皆がクールにさっさと片付ける傍らで呆然として取り残される。そういう雰囲気を天井からのカメラで、クモの子を散らすように「ササッと」いなくなる団員と残る大悟というシーンで現しています。
そんなちょっとのんびり屋の、機を見るに敏でない性格だから、酒田に戻って職を探した際に「旅の手伝い」と書いてあるだけで旅行代理店と思い込み、「旅立ちのお手伝い」とか「納棺師」などと言われても、「はあ〜」という感じで断りもせず務める事になる、、、そんな大悟の性格を表現している結構重要なシーンだと思うのです。
ですから「優秀エキストラ参加賞」があれば、これも『おくりびと』が獲得したものと身びいきに思います。(笑)
関係者の皆さん、そして参加した酒田フィル団員、おめでとう!
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コメント
やりましたね!すごいですね〜。これで山響もオスカー受賞作主演オーケストラですね。酒フィル団員の皆さんは、オスカー受賞作参加エキストラですし、酒田市・鶴岡市はオスカー受賞作ロケ地ですよ!
単身赴任の宿で、一人快哉を叫んでおりまする(^o^)/
投稿: narkejp | 2009.02.23 20:30
決してお世辞では無く、balaine先生が酒田にお越しになってから酒田の文化が向上したといいますか注目されるようになった感じがします。
それと希望ホールの存在も大きいですね。
酒田に生まれて住んで先生とお会いして、いいことがどんどん出て来る感じです♪
投稿: KEN | 2009.02.23 22:32
balaineさん、たびたび取り上げていただきまして、もっけです。うちのカミさんも出てまして、近所で最近まで”女優”と呼ばれてましたが、これからは”オスカー女優”と呼ばせていただきます。
でもほんとに、いがったごど!
投稿: タビの親父 | 2009.02.23 23:21
narkejpさん、酒田は盛り上がっておりますよ!
これで市中心部も活気づくといいのですが。
TBありがとうございます。私はオスカーエキストラ俳優になり損ねました!(^^;;;;
投稿: balaine | 2009.02.24 08:54
KENさん、良かったですね!
いよ!オスカー男優(合唱団として堂々の世界デビュー)!(^^
私が来たから、、、なんてことではなく、私は子供の頃からちょっとだけ「これから来るぞ!」というものに敏感で、いろいろ流行の先取りをする事が多かったように思っています。
私が小学校5年でフルートを始めたら、次の次の年からNHK教育で故吉田雅夫さんの「フルート教室」が始まりました。私がテニスを始めたら1970年代後半のテニスブームが来ました。ゴルフを始めたら1980年代後半のゴルフブームも来ました。
人口が減る一方、年寄りだらけ、シャッター街の寂しい町と言われる酒田ですが、必ず都会の破綻が来て田舎暮らしを楽しむ人が増えると思います。
酒田は必ず生き残ります!
私は人混みが嫌いなのであまり人口が増えて欲しくはありませんけれど。。。
投稿: balaine | 2009.02.24 09:05
タビの親父様、
いよ!オスカー女優のダンナ!!!
これで「酒田フィルハーモニー管弦楽団」は、オスカーを獲ったアカデミー賞アマチュアオーケストラですな。
山響はオスカーオケと言う訳で。。。
ほんどにめでてぇごどだの。
もっけだ、もっけだ。
いがった、いがった。
投稿: balaine | 2009.02.24 09:09
いま北海道の釧路です。
夕方のTBS系HBCのニュースで「おくりびと」特集やってます。 受賞を機に庄内
観光の起爆剤にしよう!という切り口ですね。 鶴岡の銭湯や希望ホールまで観光名所になりそうでイヤな感じが。
いえっ、別に観光で盛り上がるのも悪くないのですが、ロケ地だけ通り過ぎて庄内の誇る
食文化や歴史を語る旧跡に触れもしない観光客がなんぼのもんじゃい! と毒づきたくもなります。
もちろん、庄内観光の魅力を地元からもっと
発信しなければと思いますが、車社会の現代、歩いてその街の魅力に触れる機会が
奪われてもどかしい気がします。
ここ釧路も酒田のほぼ倍の人口、北海道らしく道幅が広く、港と河川の海運、商業で栄えた名残もありますが、やはりシャッター商店街や歓楽街の寂れっぷりは酒田と同じ問題を
抱えているようですね。
すでに美味しい肴で酩酊気味につき乱筆失礼です。
投稿: 潤 | 2009.02.24 17:12
潤さん、私も「単なる観光誘致」には双手を上げて賛成はしかねますが中心部の衰退はそんな事を言っていられない状況ですから、一時的なバブル観光でも人がくる事はいい事です。
問題は受け入れ側が浮かれずに落ち着いてこの波をいい波としてうまく乗りこなすことでしょうか。
今でも山居倉庫や本間家旧本邸など、歩いて、または無料の自転車で回るルートは出来ていますが、庄内の魅力はその自然と歴史なのでそこが分かりやすような企画も必要だと思います。
私はそういう方面に関わる仕事ではないので、行政や商工会議所などの若手がうまくやってくれる事を期待しています。
NPO法人酒田ロケーションボックスなどはいい流れだと思いますよ。
投稿: balaine | 2009.02.24 23:55
TBありがとうございました。関係者の方にお越しいただき光栄の至りです。
私もこの盛り上がりを一過性のものにしないよう、地元旅行会社として何ができるか企画してみようと思います。
上っ面を撫でるだけであろう、大手ツアーとは別にね。
投稿: はらだくせぇ | 2009.03.01 00:11
はらだくせぇ様、山形弁を紹介啓蒙するブログ、大変興味深く読みました。
庄内弁はかなり言葉、その成り立つ文化が違うので「内陸」に長年住んだ私にはとても新鮮です。
よろしくお願いします。
投稿: balaine | 2009.03.02 09:44