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2009年2月

2009.02.27

ブームに乗ってみました。(^^;;;

話題沸騰中の映画「おくりびと」。
地元庄内唯一と言える映画館、三川町のIシネマは、アカデミー獲得の余波で今までにない程の人出との噂を聞きます。チケット売り場から、ズラーッと人が並んで様々なショップが並ぶ方まで列が続いているそうです。
庄内人なのに、受賞してから初めて観に行くなんて、、、と思わずに、ここは「そうかそうか、これまで観たいと思っていたけどきっかけがなかったんだな、受賞を機に観に行くのは関心関心。DVDを買うのもいいけれど、映画はやはり「劇場」で観なけりゃ!」と寛容に構えましょう。(笑)

酒田ロケーションボックスが配給先の松竹から許可を取って、映画のロケで使われた酒屋さん「限定」で販売しているお酒がニュースでも取り上げられていました。

Photoで、私もブームに乗ってみました。
「おくりびと」のお酒です。
中身はあの佐藤久一さんの実家の東北銘醸のお酒『初孫』の純米吟醸なので美味いはずです。ちなみに、佐藤久一さんが先先代の社長の「初孫」だったから、「初孫」という商品名になったというのも有名な話ですね。
ロケ地マップ「酒田編」が箱の中に1部入っています。
映画館でもらったロケ地マップ(ブログ記事「講演と映画週間」の中に写真を掲載)とは違って、酒田のロケ地を詳しく解説しています。

この池田屋酒店限定販売のお酒の事は、酒田ロケーションボックのブログにも乗っています。
「おくりびと」のお酒が出来ましたを参照下さい。これを見ればわかるように、このお酒を造って販売開始したのは昨年の11月の事。映画の公開から2ヶ月程経っていはいますが、日本アカデミーも米国アカデミーもまだ何も出ていない頃なので、純粋に映画を「応援」する気持ちで造られたものなのです。

米国アカデミー獲得に乗って美味い汁を吸おうとしてそういうさもしい根性ではなく、「おらがたのえいが」として誇りに思い応援しようという心が造らせたものであり、その結果が今回の受賞で爆発的な注文となっているそうです。1日数百という単位で売れているのだそうです。

実は池田屋酒店は家内の親類のご近所さん。今日の今日まで知りませんでした。家内に酒を買いに行かせたのですが(自分が飲むと言うよりは知人にプレゼントするため)、宅配便の車が停まっていて次々に注文が来ていて大忙しだったそうです。
イガッタ、イガッタ〜、のぉ。

「オスカー」の力は偉大ですの。
227こちらは本日の院長室から観た鳥海山。
ここのところ曇りが多く、山の全景が見えて雲が全くかかっていないのは久しぶりです。
「いよ!オスカー山!」
とアカデミー賞受賞作に堂々と出演したお山に声をかけてあげました。v(^^

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2009.02.26

「庄内ひな街道」

文化庁特別賞「わたしの旅百選」に選ばれている『庄内ひな街道』〜遥かな微笑物語〜が今年も始まっています。

N写真は、庄内コンベンション協会とJR東日本が共同で作成しているパンフレットの表裏表紙見開きです。
酒田、鶴岡を中心に、遊佐町、庄内町、三川町なども参加して庄内一円で、「古今雛」など江戸時代から各地域、各家に伝わるお雛様などを公開するものです。
2/13から公開の酒田市「あいおい工藤美術館」(工藤先生の事は以前にこのブログでも紹介しました)を皮切りに、酒田では「本間美術館」「相馬楼」「清亀園」「山王くらぶ」「旧鐙屋」「本間家旧本邸」「酒田夢の倶楽(山居倉庫)」、そして市街地の商店など桃色の「酒田雛街道」という幟が目印になったお店で公開しています。旧平田町の「旧阿部家」や旧松山町の「松山文化伝承館」も酒田市内の公開場所です。
鶴岡では、「致道博物館」「荘内神社」「旧風間家」などで公開されています。

パンフレットによると、3/1~3/31の期間限定で、酒田市内、鶴岡市内それぞれに「庄内ひな街道」専用周遊バスが運行されるようです。酒田ならたとえば「庄内空港」「酒田駅」を起点に、上記の雛人形公開場所7カ所を1日乗り放題のループバスで、何度も乗り降り可能で500円で回る事ができるものです。
それぞれの施設で、たとえば「相馬楼」は700円、「旧鐙屋」は310円、「本間家旧本邸」は700円、「あいおい工藤美術館」は300円(いずれも大人1名)の入場料金がかかります。

今週末から来週にかけて、ほとんどの施設で公開が始まります。
これから4月上旬(旧暦の桃の節句)まで1ヶ月ちょっとの間、庄内地方は「ひな人形」「傘福」などが飾られて春を迎える事になります。


26本日、2/26の拙クリニックの向かいのゴルフ場解体の風景です。ちょうど1週間前、2/19(ブログ記事「「雨水」を過ぎて」参照)の写真に比べて、8本程の巨大な柱が短くなり外されて来ています。写真を比べると1日に1本のペースより遅い解体スピードのようです。全部が外されて平らになるのはいつのことなのでしょう?
昨日などは朝早くは気温1℃程度で車もまだ凍っている感じでしたが、今日の日中などは車外気温は14℃を表示していました。3月中旬の暖かさだったそうです。これから、晴れたり曇ったり雪がちらついたり不安定な天気がしばらく続いて、3月下旬頃、彼岸過ぎからは急激に春めいて来るものと思います。

今度の日曜、3/1はファミリーコンサートです。昨年の3/1は土曜日で「開院お披露目会」をしていました。
来週の火曜、3/3は「桃の節句」で拙クリニックの満1周年を迎えます。

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2009.02.25

「庄内万歳」

昨日の朝刊の記事そのもののタイトル。

Photo米国アカデミー賞を獲得したと言う速報が入った瞬間に、酒田市中心部に待機していた関係者(含む酒田市長、酒田ロケーションボックス関係者、知人の合唱指導者Sさん他)は新聞記事の写真のように、用意したくす玉を割って喜びを爆発させたということです。(この写真に写る人のうち3人は良く知っていますし、写っていない方も知人です、笑)
酒田市役所には、「米国アカデミー賞ノミネート」と書かれていた大看板を「受賞!」に替えてお祝いムードを盛り上げているようです。

単に経済効果を期待した打算的な行動ではなく、映画製作をサポートして関わった者として、素直に、単純に嬉しい!というのが一番だと思います。スタッフやキャストに差し入れをしたり、お店を案内したり、ロケ地を案内したり、中にはロケ対象のお店になったり、酒田市民、庄内の住人が多く関わっている訳です。まずは「おらだのえいが」が日本一になり、アメリカでも認められた、ということを素直に喜びたいですし、多くの庄内人は素直に喜んでいると思います。

そして、次に来るのは、「期待」です。
これまで、酒田といえば「おしん」「山居倉庫」「本間家」「最上川」「土門拳」「魚介類」「フレンチ」といういくつかの目玉があり、それなりに観光客を呼んではいました。
鶴岡と言えば「藤沢周平」「雪の降る街を」「魚介類」「イタリアン」という目玉があり、これもそれなりに観光客を呼んではいます。

街中の実態はというと、市中心部で買い物をする地元客は減少の一途を辿り、三川町にあるIグループの大型店Jやその他の大型店舗に客足は向きます。庄内で映画を観ると言う場合は三川町のIシネマになるのです。
私や家内もなるべく市中心部のマリーン5清水屋で買い物をしようと考えていますが、街中の人出は少なく、「寒ダラ祭り」や「酒田祭り」でさえ「おお、こげだどごさ、こげな人いんなか?」と驚く程にはなりません。日曜の午前中などは市中心部の商店街もほとんどシャッターが降りていて雪道を心もとなく杖をつきながら歩く老人の姿しか見ないような時もあります。

若者が増えればいい、人が多くなればいい、とは必ずしも言えませんが、街の活気はやはり人出、しかも観光客ではなく地元の人の集まりが大切です。

今回の受賞で、庄内が、酒田が注目され、観光客が増えるとともに街に活気が出て地元の人たちが街に出かけるようになることを期待しています。私自身は横浜に実家があり、大都市の活気は嫌いではありませんが、満員電車や人混みは苦手です。いつも車で渋滞もなくスイスイ走れる酒田の街中、大きなイベントでもない限り市役所の駐車場に無料で車を停めてどこでも歩いて行ける街中、何日車を停めても無料の庄内空港など、田舎ならではの「特典」を満喫しています。

庄内万歳!
もっけだの。

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2009.02.24

あと4日です!

映画『おくりびと』の快挙に浮かれてばかりいたのではありません。
お仕事はもちろんやっています。
それと同時に、3月1日(日)の酒フィル「アカデミー賞記念」(←これは私が勝手に付けたもの)「ファミリーコンサート」の準備をしています。
先日の土日は最後の追い込みの2日間練習。

今回は、目玉が多いだけに曲目も多い。
スッペ作曲「軽騎兵」、プロコフィエフ作曲「ピーターと狼」、ボロディン作曲「交響曲第3番『未完成』」、指揮者コーナーのベートーベン作曲「交響曲第7番」から第1楽章抜粋、シューベルト作曲「交響曲第7番『未完成』」、アンコール(秘密)の計6曲。
曲毎に編成が違い、打楽器もティンパニだけとか、小太鼓、大太鼓、カスタネット、シンバルまで必要だったり、トロンボーンやチューバが必要だったりといろいろあるので曲毎に入れ替わったり休みになる団員もいる。
私は6曲すべてに出番があり、ピッコロもあるし、懸案の「小鳥」もあるしで結構しんどいがやりがいもある。

20090214093357あと4日となった時点で、くだんの「小鳥」ちゃんの出来はどうかというと、、、
う〜ん、先日の自己評価85点からあまり改善がみられず、せいぜい88点というところか。
20090214093422本番は練習とは違い、観客のいるホールなので緊張感などから練習の成果が100%出せる事は少なく7割程度の不完全燃焼になることもある。すると現時点では88 x 0.7 = 61.6%の出来ということになる。
ぎりぎり「赤点」を免れるかという状態ではないか!
アマチュアと言えど、入場料を取ってお客さんに聞いて頂くコンサートでこんなことでは情けない。これから残りたった4日でこれを90%近い出来に持って行くのは不可能に近い。不可能を可能にするのは、あとは「気合い」というか、集中力というか、いわゆる精神力かな〜。。。
(写真は、「タビの親父」ブログから拝借。コンサートで使う「被り物」。。。)

当日は必ずやお客さんに楽しんで頂ける、特に小さいお子さんや普段クラシックにさほど興味の無い方にも楽しんで頂ける様な演奏会にすべく追い込みの練習を頑張りたいと思います。

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2009.02.23

またまたやりました!「おくりびと」米国アカデミー!

いや〜、関係者の皆様、オメデトウございます!
Photo本当に穫ってしまいましたね。「61冠」目は、米国アカデミーです。
「外国語映画賞」という部門が出来てからは「日本初」の栄誉です。
数年前に最優秀は獲れなかったけれど「優秀賞」にノミネートされた日本作品は「たそがれ清兵衛」以来。この「たそがれ、、、」はご存知、藤沢周平作品、海坂藩という「庄内藩」をモデルにした架空の話だが、要するに庄内が舞台という訳。
庄内を舞台にした作品が続けて米国アカデミーにノミネートされた事にもなりますね。

「賞はこれで打ち止めで、、、」など控えめな発言だった成田での出発前の本木さんでしたが、ジャケットの胸には「日の丸」のピンバッジが光っていました。「日本代表」との想いだったのでしょう。
日本アカデミーで10部門を獲得した映画「おくりびと」ですが、もしも「優秀エキストラ参加賞」があればこれも「最優秀賞」を獲得したのではないかと密かに思っています。

エキストラと言えるかどうか定義が定かではありませんが、山形交響楽団と同音楽監督に飯森範親氏、そして「酒田第九を歌う会」のメンバーに合唱指導の関矢順さん、そして山響ファンクラブメンバーと地元の人たち。
冒頭の「第九」コンサートのシーン、まばらな観客はすべてエキストラ。

そして、短いシーンながら大事な「オケを、、、解散、、、します!」のシーン。
ここには我が酒田フィルの団員が8名程参加しています。
折角「第九」をやりながら、観客席は半分も埋まらない様なオケ(そんなプロオケ、日本のどこにあるの?少なくとも「第九」でガラガラっていうことはないはずだけど、、、)。経営難のため、オーナーが苦渋の決断、「オケを解散します!」というシーン。
酒田市民会館の「小ホール」で1日かけて撮影されました。前日、「大ホール」で飯森さんの指揮で山響が演奏し、「酒田第九を歌う会」が合唱して冒頭の演奏会のシーンを1日かけて撮影した訳ですが、たった30秒もないような「解散します!」のシーンのために、山響の団員を2日も拘束出来ないので、楽器を持って自然な動きが出来る(はず)の酒田フィルにエキストラの依頼がありました。
前にも書きましたが、当時の事務局長から山形市に居た私にも連絡があり、「エキストラ出演、どうですか?」と打診されたのですが私は予定があったので断りました。出演した団員によると、1日かかりで、コンサートが終わって控え室に戻って来て楽器を片付けようとしている時に、オーナーが現れて「解散、、、します!」と頭を下げ、団員は皆事情を知っているのでクールに片付けてササっといなくなるシーンです。酒田フィル団員でも燕尾服はさすがに持っていないので、男性は山響の団員から燕尾服をお借りして、女性陣はいつもの演奏会の格好をして、バイオリンやビオラやチェロなどを持って控え室に戻り楽器を片付けて退去する、それだけなのですが、一人一人、歩く方向、スピード、振り向くタイミング、撤去退去する方向とそのタイミングなど事細かく指示されて、何度もやり直して撮り直したそうなのです。わずか30秒のシーンが半日では終わらなかったと聞きました。

あの場面は映画の中では短いけれど結構大事なシーンだと思うのです。
上に書いたように、ほとんどのオケの団員は自分のオケの先がない事を知っている、またはうすうす感じ ていて、オケが潰れたら次どうしようとかおよそ決まっている状況。
にもかかわらず、主人公の大悟はのんびりしているというか、そういう事情に疎くて、やっとプロオケの正団員の座を掴んで1000万円以上するチェロを買ったばかり。これからこのオケで頑張ろう!と思っている。オケが無くなるとは当日まで知らず、オーナーの「通告」を皆がクールにさっさと片付ける傍らで呆然として取り残される。そういう雰囲気を天井からのカメラで、クモの子を散らすように「ササッと」いなくなる団員と残る大悟というシーンで現しています。
そんなちょっとのんびり屋の、機を見るに敏でない性格だから、酒田に戻って職を探した際に「旅の手伝い」と書いてあるだけで旅行代理店と思い込み、「旅立ちのお手伝い」とか「納棺師」などと言われても、「はあ〜」という感じで断りもせず務める事になる、、、そんな大悟の性格を表現している結構重要なシーンだと思うのです。

ですから「優秀エキストラ参加賞」があれば、これも『おくりびと』が獲得したものと身びいきに思います。(笑)
関係者の皆さん、そして参加した酒田フィル団員、おめでとう!


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2009.02.21

やりました!10部門獲得!

Photo_2ご存知のように、2/20、日本アカデミー賞の発表と表彰式が行われ、酒田を主なロケ地として撮影された映画『おくりびと』がノミネートされた13部門のうち、10部門で「最優秀賞」を獲得しました。
やりましたね!

Photo_4最優秀作品賞、最優秀監督賞(滝田洋二郎監督)、最優秀脚本賞(小山薫堂氏)、最優秀主演男優賞(本木雅弘)、最優秀助演男優賞(山崎努)、最優秀助演女優賞(余貴美子)、最優秀撮影賞、最優秀照明賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞の10部門を獲得し、メディアニュースによるとこれまでの海外での受賞(モントリオール国際映画祭など)を含めると、「60冠」を獲得したということです。
伝統ある日本アカデミー賞の優秀賞19部門のうち、当然はいらない「優秀アニメ賞」とか「外国作品賞」とか「特別賞」を除いて13部門で優秀賞にノミネートされていたのですが、そのうち10部門で「最優秀賞」を獲得。
「第32回日本アカデミー賞」公式サイト受賞作品・受賞者名一覧を参照ください。
(写真は、最優秀主演男優賞の本木雅弘の義理の母で表彰式の司会を務めた昨年の主演女優賞樹木希林が「うちには『おくりびと』がいますので、安心して送られます」というコメントに会場の笑いを誘ったところ)

Photo_3逆に最優秀賞を獲得出来なかったのは「最優秀主演女優賞」(映画『ぐるりの事』の木村多江)、「最優秀美術賞」(映画『パコと魔法の絵本』の桑島十和子、「最優秀音楽賞」(映画『崖の上のポニョ』の久石譲)の3つで、ある意味仕方のないことだと思う。特に「優秀音楽賞」では『おくりびと』の音楽担当久石譲氏のライバルになったのは『崖の上のポニョ』の音楽担当久石譲氏で(笑)、これもまた仕方のないことだと思う。まあ、みんなが「最優秀賞」を獲得する中で一人蚊帳の外だった広末涼子がちょっとかわいそうな気もしたがこれも仕方ないでしょう。(写真は、最優秀作品賞獲得後、4才男児の母親とは思えないスタイルの広末がインタビューを受けているところ)

Photo関係者の皆様、おめでとうございます!
大悟が最後のコンサートでチェロを演奏する「希望ホール」のシーン、オケの解散の「希望ホール」のシーン、大悟が「鈴政」や「相馬楼」近くの日吉町辺りを歩くシーン、職を求めて訪ねる元割烹「小幡」のNKエージェントのシーン、NKエージェントの中のシーン、月光川の橋のたもとのシーン、川の土手でチェロを弾くシーン、死体を収容に車で向かうシーン、納棺の儀を行いに行くシーン、地吹雪のシーン、銭湯のシーン、、、
酒田市、遊佐町、三川町、鶴岡市などの庄内でのロケのシーンの数々が目に浮かびます。

酒田市中心部も、今回の10部門での最優秀賞受賞で活気づく事でしょう。
目出度い目出たい。

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2009.02.20

MRI室のクジラ達

また1年前の話題で恐縮です。
1年前の本日、H20年2月20日に下の写真のように、拙クリニックのMRI室の壁にクジラの写真が設置されました。
Mriただ私がクジラが好きだから、という理由でクリニックのマークもクジラのイメージを自作しました(プロに依頼したクリニックのマーク3、4種類がどうしても気に入らなかったので結局自分で作った)。

なぜクジラが好きなのかはこのブログで大分前に書きましたので割愛します。私のブログの名前にもなっているHNの「balaine」は、ラテン語でひげ鯨という意味ですが、私に髭が生えている訳ではなく、ザトウ鯨やセミ鯨のようなヒゲクジラ亜目のことなのです。

MRIの設置と機種を選定している際に、病院や医院によってはMRI室の壁一面を「和」のテイストにしたら海のような絵を描いたりして、少しでも患者さんの緊張を和らげようと言う工夫をしている施設がある事を知りました。ただ白一色かクリーム色のよくある無機質な放射線検査室の「冷たい」イメージを避け隊と思い、自分の好きな鯨の絵か写真を飾りたいなと思いました。

インターネットでいろいろ検索して、素晴らしい海中写真家が日本にもたくさんいる事を知りました。鯨の絵もいろいろ検討しました。
秋田出身の水中写真家中村征夫氏(氏のブログ・ぷかぷかブログ)の写真は素晴らしい。「写真家中村征夫公式ページ」もご覧下さい。とても素晴らしい大きなザトウ鯨の写真があったのですが、氏にコンタクトを取ったところ、モノクロの写真しかないとのこと。MRI室の壁にモノクロの写真は、いかに素晴らしいものでもちょっとイメージが暗いかなと心配しました。

世界中のイルカや鯨の写真サイトを見て回り、最終的に決めたのはこの方。
加藤文雄さんのサイト「Blue Dorphin」でした。
この中から、この一枚!と気に入ったのがザトウクジラの写真。これがうちのMRI室に飾られる事になったのです。加藤さんに連絡を取り、有償で超高解像度のイメージファイルを送ってもらい、それを地元の印刷会社に渡して、MRI対応の非磁性体金属(アルミが主)のパネルに印刷してもらいました。その大きさ230cm x 130 cmとMRI室の壁の半分位を占める大きなものになりました。
加藤さんのブログでも紹介して頂きました。「ザトウクジラの写真を見られる病院」という昨年3月4日の加藤さんの記事をご覧下さい。

当院のMRI室の扉を開けると目の前にデーンと威圧的なMRI装置とその付属のベッド部分が鎮座しているのですが、ちょっと壁の方を見るとこのザトウ鯨さんが優雅に泳いでいる姿を見る事が出来ます。心を落ち着けてベッドに横たわり天井を見ると、今度はカモメ達が青空を舞っている絵が描かれています。
患者さんたちの中には(緊張のあまり)残念ながらこの鯨さんもカモメ達も目に入らず、「検査、どうでした?クジラの写真大きかったでしょう?」とお聞きしても「え?!」という反応をされる方も少なくありません。でもこのクジラさんが出迎えてくれるMRI室と言う事を認識して下さっている方もいらっしゃり嬉しくなります。
興味のある方はどうぞ拙クリニックのザトウ鯨Megaptera novaeangliaeに会いにきて下さい。

ーーー
ちょっと間があきましたが、昨年の第2回国際庄内ギターフェスティバルで公式(?)レストランを務めた庄内町のレストラン『まごころ』(ちなみに第1回はアル・ケッチャーノ)に久しぶりに行って来ました。

PhotoPhoto_2Photo_3間が開いたのでメニューうろ覚えですが、「お通し」の前菜(庄内ではなく山形の豚の生ハム)、「だだみ」のソテー、白身魚のポワレです。

Photo_4Photo_5グラニテでお口直しして、山形牛のステーキ。柔らかくて美味しかった。お口直しは冷たいシャーベットでしたがなんだったか忘れてしまいました。ステーキの付け合わせのお芋もマッシュルームも地元の物でとても美味しかった!

Photo_6Photo_7最後はコーヒーに、イチゴ&アイスクリームと3種類の小さなドルチェ。左からチョコレートと、、、あとなんだったっけ。忘れてしまいました。ご免なさい。
でも美味しかった事だけは間違いない!

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2009.02.19

「雨水」過ぎて

個人事業主となってみて、病院勤務医の時よりも季節の変わり目、節気などに敏感になった様が気がしている。以前は、冬至夏至春分秋分それにせいぜい立春(+その前日の節分)位しか意識していなかった。
3月3日の「桃の節句」に開院してそれから春夏秋冬季節は巡り、立春を過ぎて今年は2/18が雨水。
「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」
という言葉が由来の様で、春一番が吹き、うぐいすの鳴き声が聴こえ始める土地もあるとされ、また古来農耕の準備を始める目安とされて来た。「雨水」に雛人形を出して飾ると良縁に恵まれると言う言い伝えもあるらしい。

昨年は閏年だった。実は昨年の3月1日が土曜日で開院直前の「内覧会」をやったのだが、前日が2月29日で準備にバタバタしながら「今年は2月が1日多くて助かった〜」と痛感した事をよく覚えている。今年はいつも通り28日なので、2月はあと10日しかない。
本当に「2月は逃げる」である。

ということで、酒フィルのファミリーコンサートの3月1日(日)まであと10日となったのでもう一度告知する。
Dic212b_2このコンサートの目玉は4つ程あります。
1つはプロコフィエフの『ピーターと狼』。
このナレーションを酒田市出身の活動弁士佐々木亜希子さんがして下さる。
そういえば、先日拙クリニックを受診した方が佐々木さんをよく知っていると言う事でチケットを2枚買って下さった。有り難い!

2つ目の目玉は、「2つの『未完成』」。
シューベルトの「未完成交響曲」は、黒沢映画にも用いられたし日本人にも馴染みが深く良く知られている。一方、ボロディンの「未完成」は交響曲第3番で、歌劇「イーゴリ公」や交響詩「中央アジアの草原にて」など有名な曲がある割には知られておらず、プロでも「弾いた事ない」という方もいる位。
この2つの未完成をカップリングで演奏するコンサートはそうそうないと自負している。

3つ目の目玉は、「指揮者体験コーナー」。
題して「振ってみましょう!あなたも「千秋」になれる?!」。曲もドラマ「のだめカンタービレ」のオープニングテーマで使用された、「べと7」=ベートーベン作曲交響曲第7番の一部を、入場時に応募された観客の中から抽選で3名程選んでステージに上がって指揮台の上でオケを指揮して頂くという趣向である。

4つ目の目玉は、「ヴァイオリン体験コーナー」。
これも入場時に希望された方から抽選で挑戦者を選び(楽器に限りがあるので)、中間の休憩時間にホワイエで酒フィルの弦楽器奏者が手ほどきをするというものである。まったく初めての方でも、小学生以下のお子さんでもOKである。

Photo_4そうそう、このファミリーコンサートは、秋の定期演奏会と違って、未就学児童の入場は可能で小学生以下の入場料は無料である(万一、席が一杯の場合は、未就学時は親が抱っこしていただくことをお願いしています)。
写真は明日発行(本日配布)の今週号の「コミュニティしんぶん」5面の「文化」のページから。

ーーー
プロでも難しいという、「ピーターと狼」の「小鳥」のフルート。
「(あんなの)難しくてできないよ」とか「(プロでも)そう簡単に吹けるものじゃあない」と言われて、小生の反骨心というか「天の邪鬼」な心に密かに火がついた。

ハープ奏者早川りさ子さんのお父君である早川正昭先生から以前聞いた話では、「プロの奏者は、不得手なフレーズや苦手意識のある部分を何回練習すれば納得するか?」という問いに、いろいろな返答があり中には「600回!」という強(ツワ)の者もいたと言う話だが、大体平均すると「300回は練習する」ということだったという。

昨年の定期演奏会が終わって、3/1の本番までおよそ100日。毎日は練習できない日もあるとしても一日に5回以上練習すれば(5回と言ってもその内容が大切な訳だが)300回はくり返し練習できるだろう、ゆっくりから始めて、上達しなくても慌てず、ごまかしの演奏をなるべくしないようにして、練習ではゆっくりいろいろなフレーズやリズムで繰り返して身体に叩き込むようにして行けば、ヘボ笛吹でもなんとかなるんじゃないかと思ってやって来た。フレーズによっては、1日で20回以上繰り返し練習して来た。部分的には500回以上、ある部分だけ取り上げれば1000回は練習したのではないかと思っている。
昨日の練習で、自己評価「85点」である。
なんとか羽ばたいて木の枝までは行けるようになったけど狼をからかうように上手く飛び回れるかというとちょっと心もとない。もちろん満点を目指して練習しているのだが、あと10日で残り15点分を獲得するのは至難であると思い始めて来た。いや、100点満点なんてプロだってそうそう出来る訳じゃあないんだから、95点くらいでいいじゃないか!位の気楽な気持ちで挑戦したいと思っている。

このほぼ毎日の練習の中で気付いた事がある。
気まぐれにJSバッハのフルートソナタや、ピアソラの「ブエノスアイレスの冬」や、プロコフィエフのフルートソナタなどをちょろちょろと気分転換に吹いてみると、高音が楽に出るようになり、低音が太く鳴るようになった気がしている(あくまで本人の勝手な判断だが)。
「小鳥」の難しい超高速パッセージや、超高音(第3レジスターのHや第4レジスターのC)を練習しているうちに、ソノリテやタッファネル&ゴーベールなどのエチュードをやったのと同じような効果が現れているような気がしている。これは嬉しいことである。

あと10日。ますます気合いを入れて練習したいと思っている。

ーーーーー
PhotoPhoto_2拙クリニック真向かいのゴルフ練習場は昨年暮れで営業を停止しお店を畳んだ。
それから真冬の天候の中の解体作業は遅々として進まない感じであったが、昨日あたりからついにゴルフ場のあの高い、たか〜い網を張っていた電信柱の10倍くらいありそうなコンクリート製の柱の解体が始まったようである。
左の写真は今朝一番の様子。右の写真はお昼過ぎの様子。
よく見ると、左手前から4本目の上半分が取り外され5本面の上端にとりかかっている。長さ40mはあろうかというクレーン車の先からぶら下げられた箱のような物に人が入って作業をしているようである。あんな高いところで、こんな寒い冬に、下が降雪の不安定な土壌で(もちろんクレーン車の足下には鉄板が敷かれて固定されて入るが)作業ができるものである。命知らずだ!
庄内特有の地吹雪の時にはまったく作業が出来ないのは当然としても、日本海に面したこの土地であんな高いところでは突然突風に煽られたりしないのだろうか?
数えてみると、そんな危険な作業を全部で30数本もやらなければこの高い支柱は取り外せないのである。そう簡単に倒せたり外せるようなものなら、ゴルフ練習場の網を支えられる訳がないのは自明だが、なんとも大変な作業だな〜と毎日見ていて心配している(怪我人が出ないのか、、、)。

ここが更地になったあとは、老人保健施設かデイサービスセンターや有料老人ホームなどが2件建設され、さらに何らかの小売業の店舗も建設予定であると噂で聞いた。ゴルフ練習場が1つあるよりは、拙クリニックには追い風の様な気がしているが。。。どうなんだろう。。。
あと2週間で開院1周年である。


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2009.02.17

春を待つ鳥海山、しかしまだまだ冬

Photo_2田んぼの雪も消えて、虫をついばんでいるのか、積雪の多い時には見なかった白鳥の群れもまた田圃に見るようになっていました。
一方、先日「白鳥の北帰行」が始まった事も確認されています。ある程度の群れがいつもより高度を上げて鳥海山の方に飛んで行ったのだそうです。

Photo先週、気温が緩み、1/25辺りの大雪(除雪車を投入した)も日陰に少し残るくらいになっていました。
写真のように、最上川ではなく新井田川にも、鴨と一緒に白鳥の群れがいました。よく見るとまだ毛の灰色な子供の白鳥が数羽いて、これから酒田を離れる準備をしているかのようでした。白鳥さん達もそろそろ春が近づいて来た事がわかるのでしょう。


と思っていたら!

Photo216一昨日のオペラ『小鶴』の日あたりから雪になり、昨日は強い風も吹いて道路はツルンツルン。いわゆる「地吹雪」状態になりました。
夜帰宅する時には車は雪に埋もれかけていました。

そして一夜明けて、風は収まったものの今度は湿った雪が降り積もりました。

217_2朝8時過ぎからスタッフ総出で雪かき。
まずは道路からクリニックに入る入り口を確保しなければなりません。40分くらい雪かきしたら汗だくになってしまいました。お風呂に入りたいくらいでしたが、とりあえず顔を洗い、冷たく凍えた指先をお湯で暖めました。お昼を過ぎても指先はまだジンジンしています。
昼頃から降雪は収まり、雪かきした部分は地面が見えていますが今週はまだ雪が降る予報が出ています。除雪車も朝一番で電話はしたのですが、今日中に来れるかどうかは疑問のようです。

今回の雪がいつ根雪でなくなるのかはまだわかりませんが、昨年の今頃もやはり地吹雪だったり、積雪があったりして、クリニック建設の仕上げである駐車場の舗装、線引きなどはぎりぎりの2月末になった記憶がありました。この時季に雪が降るのは当たり前のことですが、そろそろ鳥海山も春を待っていると思います。

ーーーーー
オマケの話。
先日、お蕎麦と麦切りが食べたいと思い、以前当ブログでも紹介した山居倉庫向かいの「屋形船みずき」のところの「佐藤長三郎蕎麦」に行ってみた所、「もぬけの殻」になっていました。
店を畳んでいなくなってしまったようです。折角内陸風の太くて固い蕎麦が食べられる店と思い喜んでいたのですが。(このお店のことは拙ブログ記事「庄内に暮らす喜び」2008.10.24の中程に書いていますので参照ください)
麦切りも美味しかったし、みたらし団子が絶品だったのですが。。。
確かに観光客の多いあの地域にしては、美味しいのに流行っていなかったので気にしていたのですが。
Photo_2Photo_3仕方がないので、蕎麦と麦きりの両方が食べられる近場ということで「木鉢」に久しぶりに行ってみました。
5、6年前までは酒田周辺においしい蕎麦を食べさせる店は少なく、蕎麦好きの私は「木鉢」には結構行っていましたが、その後「田毎」「蕎麦工房せき」「しま田」「太郎庵」「めだか」とうまいそばを食わせる店が多くなったので最近はちょっと足が遠のいていました。
ここは、麦切りもあるし、写真のようにうどんもあるし、その他に天丼や親子丼や鰻などいわゆる定番の丼ものもある蕎麦屋です。こういう(中規模の総合病院のような)店も貴重ですね。
私は(MRIのある脳神経クリニックという拙診療所のような)専門的な「蕎麦屋」が好きですけど。

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2009.02.16

オペラ『小鶴』公演

Photo_7藤沢周平原作「小鶴」を元に、日本語歌劇として制作されたオペラ『小鶴』。
2003年の山形国民文化祭で初演されたものを、今回は小劇場用にオケの編成も小さく編曲し、一部カットして1時間45分程度の作品にしたものです。藤沢周平の出身地である庄内では鶴岡で以前にノーカットの原典版の公演があったそうです。今回の公演のために、山響の団員の中には2日前から酒田入りした方もいらして、金曜の夜、「三代目兵六玉(ひょうろくだま)」で一緒に食事と酒を楽しみました。山響のいろいろな話が聞けて楽しかった!
「もっけだ」です。

2/15(日)、午前10時から市内某所で漢方薬の勉強会がありました。午後4時までの予定でしたが、遊佐で午後3時からオペラがあるので2時前に早退。
Photo_9会場の遊佐町中央公民館ホールは普通で満席500程度。そこに小編成とはいえオケピットを作ってありました。ホールの最前列3〜4列分の椅子を外しそこにピットが出来ていますが、ピット用の作りではないので奈落にはならず、ただ観客席と同じ高さなのです。よってオケのメンバーの顔が観客の視線とほぼ同じ高さにあります。
Photo_10お天気が悪かったせいか、開演15分まえでもまだ空席が目立ちましたが、5分前にはほぼ満席に!

15:00丁度に指揮の佐藤寿一さんが登場。ピアノ椅子に座っての指揮です。
ステージの狭い遊佐町中央公民館ホールでは大掛かりな舞台装置もできず、「小鶴」が記憶を失ってお世話になる夫婦の家が中心のセット。主人公夫婦の家の居間から一段下がったところは家の外だったり、街の中だったりします。
右奥に黒い幕に覆われている部分は、後半の「回想シーン」で使われます。幕が取れると、主人公「小鶴」が記憶を失う前の「みつを(だったかな?)」時代に実の親の喧嘩、そして刃傷のシーンが別のキャストで描かれます。
小鶴の素性を知る許嫁(配役は天童出身のテノール歌手相沢さん、山響FCのHNミミさんのご主人です)が隣国から訪ねて来て、世話になった夫婦の元を去り帰って行くシーンは涙を誘います。

ホールの音響が今イチなので、第1ヴァイオリンが4人の小編成とはいえオケと歌手の声量の問題で歌詞が良く聞こえない部分もありましたが、小鶴役の真下祐子さんと夫婦役の鈴木集さん、佐藤美喜子さんの3人の声量、発声はさすがのものがありました。
小鶴の許嫁役の相澤さんの繊細な歌声や町人役14名のうちでメインの歌詞がある6〜7名の方はさすがの演技で楽しかった。

休憩を入れてちょうど2時間。17時丁度ぐらいに終演。オペラでよくある様な何度もカーテンコールはなく、あっさりとオールキャストの登場、演出の藤野先生や舞台監督武田正氣さん、指揮の佐藤寿一さん、そしてオケの山響の皆さんに満員の観客から惜しみない拍手。
「かぐや姫」に似た部分もありながら、夫婦喧嘩の絶えない、でも心奥では信頼し合っている夫婦、その毎日ような夫婦喧嘩を面白がる町人達、いろいろなところにヒューマンペーソスと笑いを交えながらほろりとさせるいい公演でした。

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2009.02.15

昨日はヴァレンタインディ

最近はいろいろ行事があり、ブログの記事投稿が後手後手となり、前日や数日前の事をアップする傾向になってしまっています。

今日も朝から市内某所で漢方処方の勉強会に出席し、午後は遊佐でオペラ『小鶴』公演を楽しんできましたが、まずは昨日の事から書きましょう。
2/14は「聖ヴァレンテインの日」ということで、日本では女性が意中の男性にチョコレートを贈るというチョコレートメイカーの策略に乗った一大イベントみたいになっています。でも貰って悪い気はしません。

クリニックのスタッフ(全員女性)から、たった一人の男手である院長の私に暖かい義理チョコを頂きました!昔は「義理」でももうちょっとたくさん貰っていたのですが、私の健康を気遣って頂いているようで、量は少なめでいいものを頂きました。

Photo夜は2週後に迫った酒田フィルのファミリーコンサートの練習なので、夕食は軽めで18:40過ぎに出かけ帰宅後は写真のデザートのみにしました。チョコは一応家内の手作りで、化粧砂糖がかかっているので真っ白ですがしっとりと甘みの抑えられた美味しいチョコでございました。後はヨーグルトアイスとコーヒー。
チョコレート色のネクタイまで頂戴致しました!


Photo_2Photo_4実は昼食は、自宅からも近い『シェディオーク』に行って来ました。今年初めて。やや久しぶりでした。
ここのお料理は遊佐町の契約農家の「有機野菜」のみを使っていて、写真のカレーにもドリアにもお肉類はいっさい入っていません。身体に優しい料理として女性に大人気のお店です。私はカレーの中から「カブ」を発見するのが好きです。カレーのルーの中にはいっていると、一見ジャガイモとカブの見分けがつかないのですが、食べればもちろん全然違います。そしてお芋もおいしいけれど、カブの適度な歯応えとその甘みがとてもいいのです。
Photo_5Photo_6このお店が女性に人気なのはドルチェが美味しい事もあります。
左はいつものプリン。シロップは甘すぎず、でも甘い(何のこっちゃ)。誰も見ていなかったらお皿までなめたいくらいです。(笑)
右は期間限定(確か昨日まで?)のチョコレートケーキ。スフレ様のチョコケーキの上にチョコレートがコーティングされていましたが、なによりも一番下の層のチョコレート味のスポンジがたっぷりと吸っているシロップと言うかスープが特徴的。「生姜味」のシロップなのです。
「むせることがあるので食べる時に注意して下さいね!」とシェフから優しいアドバイス。注意深く少量ずつ食べました。う〜ん、生姜のピリッとくる辛みと爽やかさがチョコケーキの甘さを惹き立てつつ、ダラッとした甘さに堕落させないアクセントを持っています。「生姜味シロップ」については、これ以上は言葉で表現は困難。食べてもらうのが一番ですが期間限定というのが惜しいですね。
また何かのドルチェで形を変えて同じようなシロップが出てくるかもしれません。

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記事の材料が乏しいとついグルメレポートになってしまいますが、この季節はいろいろイベントがあり大変です。外食が多くなりがちですが、その分自宅では粗食にしておりますよ。ハイ。

ということで、オペラ公演の記事は明日書きましょう!

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2009.02.13

昨日はお誕生日でした

昨日、2/12は家内の誕生日でした。
ちょうど1年前の2/12は拙クリニックのオープニングスタッフのうち、開院前からの準備に関わった3名が働き始めた日でもあり、ちょうど勤続1年を迎えた日でもありました。
何才におなりあそばしたのかは内緒です。

Photo現在のスタッフ5名からお祝いの花を頂いていました。旦那さんは花の一つも上げないのにね。。。(^^;;;;

その代わりと言ってはなんですが、喰いしんぼの私としては家内の誕生日祝いにかこつけて市内のレストランを予約していました。
昨年の11月に市内にオープンしたばかりの新しいお店「ニコ」。
料理の世界は実力の世界ですが、あのレストラン『欅』の総料理長にして「庄内食の親善大使」や「庄内DECクラブ会長」を務める太田政宏シェフの息子さんがオーナー。人気店のようで、予約なしでお昼に行った時には「すみません、予約で満席でして、、、」と断られた事があり、今回初めて伺いました。
Photo_2Photo_3初めに予算と飲み物の好み、料理の内容、家内の誕生日である事と好き嫌い(私に好き嫌いはまったくありません!)を伝えておいたので、何も注文しなくてもスムーズにハーフボトルのイタリア産スパークリングワイン(チンザノ)がグラスに注がれ、1品目は左の写真の「魴鮄(ほうぼう)のカルパッチョ、菜の花添え」から。2品目は右の写真「鴨のロースト オレンジソース」(緑は、白みそ和えなんかで食べる「わけぎ」だと思う)。
魴鮄は歯応えがあり菜の花とともに「春」を味わう感じ。
鴨は私の好物ですしソースも甘すぎず絶妙です。

Photo_4Photo_53品目は、左の写真「タラバガニの茶碗蒸し風」、スープの代わりに、と言って供されました。確かにグラスにはいった「茶碗蒸し」。かにの出汁が出ていて旨い。
4品目は右の写真「真鯛のポワレ、ホタテとエリンギと山芋のソテーを添えて」。上の葉っぱは、?何かな〜。バターソースが美味しくてパンをちぎってお皿を洗うように食べてしまいました。

Photo_7Photo_85品目はメインのステーキ。脂身のしつこくない「山形牛」です(米沢牛は美味しいのですが脂身が多すぎて私のように脂身の少なめな山形牛を好む人も多いです)。焼き加減は聞かれませんでしたが絶妙なミディアムで、お肉はナイフを切るように使わなくてもちょっと当てるだけで食べやすいサイズにわかれる感じ。
右はドルチェ。
お誕生日を祝って、ろうそくを1本付けて下さいました。
このドルチェが変わっていて美味しかった!
抹茶アイスクリームの下にあるのは、胡麻豆腐で全く甘くない、しっかりとした固さで口当たりの良い上品な味。ドルチェではなく一品料理として成り立つ物でした。その回りにはこれまた甘くない黒豆の煮たものが添えてあります。飴細工で甘いものが添えてあり、それで好みに甘さが取れるようになっていると思ったら、中身はアーモンドでした!アイスと豆腐と黒豆とアーモンド。
なかなかいい味。和風であり洋風な感じの工夫と食べる側に驚きを用意したような心憎い演出。

満足のディナーでした。

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2009.02.11

次の日曜はオペラ

今度の日曜、2/15(日)は遊佐でオペラ『小鶴』公演です。
Photo_3約1年前の3/16に希望ホールでオペラ『ラ・ボエーム』にオケの一員として出演しましたが、オペラを鑑賞するのはH19年5月にブダペストで『タンホイザー』を観て以来になります。

Photo(チラシは遊佐のHPから取ったので解像度が低いので内容を書きます)
オペラ『小鶴』
平成21年2月15日(日)
開演 : 午後3時(開場 : 午後2時30分)
遊佐町中央公民館ホール

原作 : 藤沢周平
脚本 : 宇井孝司
作曲 : 池辺晋一郎
編曲 : 木島由美子(2009年版)
指揮 : 佐藤寿一
演出 : 藤野祐一
キャスト : 山形声楽研究会

入場料(全席自由) :
  <前売券>一般2,000円 高校生以下1,000円
  <当日券>一般2,500円 高校生以下1,200円

(サイトでの解説)
「 記憶を失った娘が子どものない夫婦にもたらしたひと時の幸福「小鶴」。
オペラ「小鶴」は、国民文化祭・やまがた2003のために、本県出身の作家、藤沢周平の『小鶴』を原作とし、現代日本作曲界の第一人者池辺晋一郎氏が作曲し、ドラマ、アニメ、映画等で多彩に活躍している宇井孝司氏が脚本を手がけた創作オペラです。平成15年10月、山形県県民会館で初演を行い、満場のお客様に好評を博しました。このたび、この山形で生まれたオペラをもっと多くの方に楽しんでいただくため、小劇場でも上演可能な2009年版として公演します。」

編曲の木島由美子さんは、山響FCの「霊会(例会)」でもお会いする地元の作曲家Uniさん。木島さんのHPやブログはこちら(HP)こちら(ブログ)をご覧下さい。

演出の藤野祐一氏のブログはConte Figaroです。山形大学教育学部の音楽科の教授で声楽家。当然、家内の学生時代の師のお一人ですね。

Block_image2_13指揮の佐藤寿一氏はこのブログでも何度か触れましたが、私の高校の2年後輩。ブラスバンド部で私はフルート、彼はコントラバス奏者。
写真ちょっと小さいのですが、H16年の「希望ホール」こけら落とし公演の一つ、小曽根真さんと山響を迎えて、小曽根さん作曲のピアノ協奏曲「もがみ」庄内初演とガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」をやったときの打ち上げの席でのスリーショット(向かって左が小曽根さん、右が寿一さん)

なんといっても原作藤沢周平。
地元での公演は多分初めてだと思います。
オケは当然「山響」、キャストは山形声楽研究会のメンバーで、知人も多いです。
その上、会場の遊佐は遊佐楽友協会とともに昨年のバボラーク公演をやった仲。
本当に身近に感じるオペラで楽しみです。
(今まで、外国でオペラを観ても、ドイツ語の歌詞が理解できず、字幕が出てもハンガリーではマジャール語で出るし、ついていけませんでした。今度は「日本語」ですよ!)

このオペラ『小鶴』公演はいくつかのサイトでも紹介されています。
「庄内を遊ぼう!」のサイトはこちら↓
オペラ『小鶴』(2009年版)山形県遊佐町

(財)山形県生涯学習文化財団のサイトはこちら↓
「芸術文化鑑賞普及事業 オペラ『小鶴』(2009年版)」

ーーーーー
今日、2/11は建国記念日。
1年前の今日も当然祝日でしたが、拙クリニックの開院前で慌ただしい時期でした。
昨年2/8にクリニックの建物引き渡しが終わり、正式に保健所に「開設届け」を出しています。
そして、次々に医療機器、家具などが運び込まれ、ようやく中身が揃い出した頃でした。

120266047573816323652120292076745016116560フィルムレス画像診断システムであるPACS(Picture Archiving Communication System)の準備に取りかかり、写真左のようにまるで「Mac Shop」と言わんばかりのMacが搬入されました。
左の写真の5台はiMacで、その他にMac Mini+Cinema Displayを2台、そして現代の最強パソコンMacPro+30" Cinema Display1台の計8台をクリニックに設置しました。
右の写真は、ようやく診察デスクが届いて電子カルテ用パソコン(右側の黒いやつ)にPACS用のMacを並べた所。昨年2/11の時点では、まだMacProが届いていなかったので代わりに24"DisplayのiMacを臨時に設置し、MacProに接続する30"Cinema Displayだけデスクに上げてあります。

あれから1年経ちました。
はやいものです。


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2009.02.09

日曜、「ひな街道」探訪開始

立春を過ぎ、庄内地方では「ひな街道」の季節となります。
大方は2月末から3月初めより始まり、4月上旬までいろいろなところで由緒あるお雛様達が飾られます。
庄内地方で最も早く雛飾りが展示されたという情報を得て、今日は鶴岡のアートフォーラムに行ってみる事にしました。致道博物館のすぐ近く、慶応大学鶴岡キャンパスの隣りです。

まずは腹ごしらえ、ということで。
Photo_7Photo_82回目の「ファイヤーボール」です。1回目ほどの感動はないものの、味は抜群。量も多くお値打ちです。
私は左側の「イカとケッパーのペペンロンチーに」、家内は右側の「チキンと茄子のトマトソース」。シンプルですが家庭ですぐに真似出来ないようなソースです。イタリアンの基本でしょう。

Photo_9実はこのお店、ピザが旨いのだという話。パスタを一つずつ食べて、更にピザ1枚は多いので、少し食べてあとはテイクアウトにしました。今日のピザは、チキンとモッツァレーラ。ドウ(dough)はいたってシンプルで、小麦粉の香りがしっかりします。厚めに見えますが基本はクリスピータイプだと思います。

Photo_10「ファイヤーボール」から鶴岡アートフォーラムまでは車で5分もかかりません。今日は地元の絵画展もやっていました。
そこに展示されていた「個人蔵」とだけ書かれたひな飾り。内裏雛は本当に内裏の奥に入っています。いろんな種類の雛飾りが雛壇にたくさん載っている感じでした。
致道博物館や荘内神社などの鶴岡の有名な場所での展示はまだでした。

Photo_11そこで、庄内空港の3階ギャラリーに行ってみました。1階にカウンターがあり、2階が乗り降りの搭乗口ですので、観光客がどれだけこの3階ギャラリーに回るかぎもんもありますが、写真の様な展示があります。主に鵜土川原(うどがわら)人形の展示と、酒田&鶴岡のひな街道の案内です。

Photo_13酒田の雛街道は写真のように展示される主な場所、ひな弁当などを供するところを案内しています。
酒田以外では遊佐や旧松山、旧平田、旧八幡地区の展示も紹介されています。

Photo_15空港ビルの天井から吊り下げられている大きな垂れ幕。
今年「創始400年」を迎える酒田祭りの宣伝です。戦争中も中止されず400年続いている貴重な祭りです。垂れ幕とともに、空港にはモンテディオ山形(サッカーチーム)のJ1昇格を祝うメッセージも飾られています。

酒田地区の「ひな街道」のひな飾りの先陣を切るのは「あいおい工藤美術館」で2月13日から。
庄内ひな街道の案内は、「こちら」「こちら」をご覧ください。

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2009.02.08

酒フィルファミリーコンサート、告知その2

Dic212b昨日は、酒田市出身の「活動弁士」、佐々木亜希子さんとの初合わせ。
3/1(土)に「響ホール」で演奏するプロコフィエフ作曲の『ピーターと狼』。
登場人物はそれぞれ特徴を持つ楽器であるテーマを作って現します。
「ピーター」は弦楽合奏。ピーターの仲良し「小鳥」はフルート。ピーターの家にいる「アヒル」はオーボエ。アヒルを狙う「猫」はクラリネット。ピーターに小言を言う「お爺さん」はファゴット。
森から出てくる恐い「狼」はホルン、狼を追いかけて来た「狩人」は合奏と「銃声」はティンパニと大太鼓で表現しています。

Photo「全音」のミニスコア(右上のマウスの大きさと比較)です。
「交響的物語《ピーターと狼》」という日本語表記の上に、A Musical Tale for Narrator and Orchestra, Op. 67と書いてあります。スコアの中には、ナレーションを入れる場所と喋る内容まで書いてあります。元々はロシア語で書かれているはずですが、英語とドイツ語版がありそれを元に日本語版ができています。

Photo_2ミニスコアに掲載されている写真。
ピアノを弾くプロコフィエフと語りをする「ナターリャ・サッツ」、それを囲む子供達。
ナターリャ・サッツという女性は、モスクワの子供音楽劇場を組織した指導者という解説がありますが、実にこの女性が子供が興味を持つような作品をとプロコフィエフに依頼した張本人。彼女のお陰で「ピーターと狼」が生まれたのです。
1936年の初演はあまり評価されなかったそうですが、第2回目の上演ではサッツ自身がナレーションを担当し大成功を収めた、と解説に書いてあります。

Photo_3プロコフィエフ自身、この作品は「モスクワの子供達への、そして私の子供達へのプレゼント」と述べているように、作品の依頼を受けてから非常な早さで仕上げています。ノリノリで書いたのでしょう。
この写真に見るように、美しい妻リーナと二人の可愛い子供達がいたのですから創作意欲はいやが上にも盛り上がった事でしょう。ちなみに妻リーナはロシア人ではなく、プロコフィエフが1917年のロシア革命後の混乱期に海外で生活していた時に知り合ったスペイン人の歌手だそうで、革命後の「ソヴィエト社会主義連邦共和国」、今は亡きUSSRにこの家族を伴って外国から舞い戻っています。
旧ソ連の厳しい、制約の多い環境の中で、バレエ音楽『ロメオとジュリエット』を始め素晴らしい作品を数多く生み出しています。

「ピーターと狼」は純粋に「子供達へのプレゼント」であり、政治的な意味は込められていないと思いますが、ナレーションの冒頭はこんな風に書いてあります。

「ある朝早く、『ピオネール』のピーターは庭の木戸を開けて、森の広い草原へ散歩に出かけました。」

この「ピオネール」とは、日本で言えば小学生から中学生の年頃に加入する「共産党」の子供のための組織に入った子供達の総称ということです。冒頭にこういう言葉を持って来ているのは、プロコフィエフにそういう意図がなかったとしても、旧ソ連という組織の中で音楽活動をして行く上で避けられない事だったんだろうな、と思います。

Photo_6ただ単に子供が喜ぶ音楽として演奏するだけでも十分とは思いますが、プロコフィエフのそういう時代の中での創作の心を感じながら「小鳥」を吹いてみようと思います。

とは言っても、「小鳥」の譜面は最初の1ページだけでも、16分音符と32分音符が大半を占める「真っ黒」なもので大変なんですけど。(^^;;;;

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2009.02.07

めじょけねこと

いきなり「庄内弁」で失礼!
「めじょけね」とは「かわいそう」というような意味です。

もう日付が変わって昨晩になりますが、映画『隠し剣 鬼の爪』やってましたね。
松 たか子の「きえ」が可愛かった。

山田洋次監督作品の藤沢周平物三部作『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』『武士の一分』の真ん中に位置する名作です。
その中でしょっちゅう出て来た言葉が「めじょけね」「めじょけねこと〜」でした。
「きえ」が嫁いだ商家で鬼のような姑のいじめに遭い苦労している事を聞くと
「あいや、めじょけねことぉ〜」となります。

富裕層では無い下級武士や奉公人、下男、下女、貧しい農民などが主な中心登場人物ですから、どうしても「めじょけね」話が多い訳です。貧しくも美しい人々の心を丁寧な画像で描いていたと思います。
2004年の作品、そうですか、公開されて4年以上になるのですね。
悪役の家老を演じた緒形拳さんが、頬もまだふっくらしていて『風のガーデン」出演時とは別人でした。
主演の永瀬正敏が卑劣な家老を倒そうと、師匠戸田寛斎から授けられた「秘技鬼の爪」を今や乾坤一擲との思いで自宅で確認するように練習するシーンが好きです。

さあ、明日(もう今日ですが)は、3/1の酒田フィルのファミリーコンサートの目玉の一つ、プロコフィエフ作曲「ピーターと狼』の練習。ナレーションの佐々木亜希子さんとの「初」合わせです。
酒田市出身の活動弁士、佐々木亜希子さんのHPは「こちら」です。私は初めてお会いすることになります。
Dic212b「小鳥」も、まだ怪しいところはたくさんあるものの、それなりに羽ばたいて小枝の上まで飛べるようになったところです。途中で落ちないように、もうちょっと羽ばたく練習を続けないといけません。(^^;;;

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2009.02.05

花ざかり、、、

「節分」が過ぎ、昨日は「立春」。
暦の上では春とは言えまだまだ真冬の寒さ厳しい日が続きます。
朝方はかなり冷え込みます。そんな中でも、日中は日当りが良いところでは結構ポカポカしてきて、午後早くの診療中などは「暖房下げて」とか「暖房切って」とスタッフに頼むことが多くなったような気がしています。

二十四節気の「立春」は、旧暦(太陰暦)ではほぼ元日です。
「春」の定義は、立春から立夏の前日までというのが二十四節気の考え方。「立夏」とは5月6日頃なので、ゴールデンウィークが終わると「夏」という感覚も現代の感覚と少しずれています。
なぜこのようなずれがあるのかと言うと、明治以降「太陽暦」で生活している現代人にとっての季節は、西欧と同じspring、すなわちおよそ「春分から夏至まで」(3/21頃から6/21頃まで)という感覚になっているのに、伝統的に残っている季節の言葉は二十四節気に由来しているからでしょう。

ただ、この中国式陰陽暦は、冬至を起点として、冬至(1年で一番日が短い)と夏至(1年で一番日が長い)の間の春分と秋分(昼夜がほぼ同じ)の4区画で考え、その区画の中央に「立春」「立夏」「立秋」「立冬」を区切りとして置いたというもので、なかなか理にかなったものと言えます。
「立春からが春」という感覚には違和感を感じても、「春を待ち」「春を感じる喜び」は味わうべきものだと思います。

タイトルの句は、立春に合わせて拙クリニックの玄関の豆撒きと鬼の面を片付け、『雛飾り』を置いたからです。
Photo先日、マリーン5清水屋で偶然見つけて気に入った雛飾り。どことなく誰かさんに似ています。(笑)
後ろの「黄金の屏風」に書かれた和歌は

「花ざかり 春のやまべを みわたせば
         そらさへにほふ 心ちこそすれ」

千載和歌集の中の、藤原師通(ふじわらのもろみち、通常後二条関白)の詠んだ句。
「花ざかり、、、」とくれば、やはり梅ではなく桜なのだろう。すると京都にしても季節は新暦の4月頃初旬か。
 春遅い東北には、やや季節感のずれは否めないけれど、節分が終わったら「お雛様」。そして庄内地方でも古今雛をはじめとする雛飾りが飾られる「庄内ひな街道」は2月の末から4月の頭(旧暦の「桃の節句」)まで行われます。
「庄内ひな街道」は←こちらを参照。

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2009.02.03

『節分』

今日は新暦の2月3日。
「節分」です。

節分と言えば、「鬼は〜 そと〜  福は〜 うち〜」。
Photoこれは、先日、「寒ダラ祭り」の日に、酒田市中心部の「街なかキャンパス」で見た「塞道の幕絵展」で展示されていた、「豆撒き」〜大江山の鬼・酒呑(しゅてん)童子を源頼光が酒に酔わせて退治する「大江山鬼退治」の幕絵です。
「二月正月」というように、節分の翌日が「立春」で旧暦ではおよそ正月にあたる訳です。

拙クリニックのブログにも載せたのですが、うちでも「豆まき」をやりました。
福を内に呼び込む願いを込めて、スタッフとともに豆を撒きました。

Photo_2Photo_3左の写真では「赤鬼」ではなく「白鬼」ですが、よく見ると右の写真のような可愛らしい顔をした鬼さんです。
山形が全国に誇る大企業「でん六」で豆撒きの豆を買うと付いてくる、毎年デザインの変わる「鬼の面」。これまでは故赤塚不二夫さんがデザインされていました。
(毎年の歴代の鬼の面のギャラリーは、「でん六」さんのHPで見れます。こちらです)

これによると、今年の「鬼の面」は「ラブ鬼」という名前だそうです。
兜の前立は『愛』の一文字。そう、米沢の上杉神社稽照殿に現在も保管されている、直江兼続の兜を真似て作ったものです。
だから「ラブ」か。。。(苦笑)

米沢は2/14から「雪灯篭祭り」。
公式HPは、こちら
ここには「雪灯篭の作り方」なども載っていますが、その通りにやろうと思っても大変な作業です。
先日の大雪の名残で、クリニックの玄関前に1個雪灯篭を作りかけたのですが、固まらないうちに気温と雨で崩れて溶けて無くなってしまいました。

NHK大河ドラマ『天地人』は、高視聴率の『篤姫』の後では「ハードルが高い」と思いますが、NHK山形放送曲や地元米沢ではかなり力をいれているようです。「愛」の前立の鬼の面「ラブ鬼」は今夜米沢では多くの人が被った事でしょう。v(^^)

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2009.02.02

2月になりましたね。

昨日は日曜日。
前日23:30頃、雪の高速道を通って山形から帰って来た、そのダメージが残っていたのか、ひさしぶりに「ねてようび」でした、ベッドから抜け出したのは午前10時頃でした。

なんでこんなにゆっくりしていたかと言うと、午前中は特に何も予定がなかったからというのが大きいのですが、昼に『鈴政』でお食事を頂く予約をしていたのです。ご存知、酒田に旨い店あり、寿司割烹の『鈴政』は超人気店。土日なんかに予約しないで行っても「すみません!ごめんなさい!」と断られることもあります。
今回は、冬の昼食時だけの予約メニューである「海鮮チラシとドンガラ汁」のセットを頂きにあがりました。

先週予約した所、お昼時の予約が結構入っているので「11:30に入って欲しい」と言われていたのです。それならば朝ご飯は抜きだな〜と思っていた上に、昨晩の遅いご帰還で朝は寝て過ごしたと言う訳。

PhotoPhoto_2案内されたのは2階の小部屋。以前マッチが刑事物のドラマで酒田でロケをした時、この部屋でも撮影が行われました。
店の若大将は威勢の良いハンサムな方ですが、酒田の文化を盛り上げる活動も盛んにされている元気のよい、いかにも「鮨屋の若大将!」。NPO法人酒田ロケーションボックスでも中心的な活動をされ、あの映画『おくりびと』もボランティアで支えています。『「おくりびと」酒田版ロケ地マップ』なるものを作り、映画館だけではなく街中でも配布しています。酒田ロケーションボックスblogは←こちら。

そんな粋のいい職人から作り出される寿司が不味い訳がないでしょう!
写真のように豪華なチラシに、ひと味違うドンガラ汁。食べているだけで幸せになります。家内と二人、自然に笑顔になってしまいます。
料理で人を幸せにできるのはやはり素晴らしいなぁ。音楽家が素晴らしい演奏を届けるのと違いは無いと思います。

Photo_3ランチのセットだけでお腹は一杯になるのですが、久しぶりに『鈴政』に来て握りを食わずに帰るんじゃぁ片手落ちでぃ!ってことで、お勧めの白身と中トロを握ってもらいました。白身はヒラメ、透き通るような白い身とピンク色の美しい中トロのコントラストがまるで絵のようでした。余りの美しさに安物デジカメは焦点を合わせることが出来なかったようです。(^^;;;


昨日は山形の大沼デパートに行ったのだから、今日は酒田の清水屋に行かなくっちゃ、とマリーン5清水屋さんに行って来ました。結構、小物などお気に入りのものが見つかり大量のお買い物。
また中町、市中心部の商業に貢献できました。。。

一方、拙クリニックの向かいでは、、、
Photo_4何十年この地で営業して来たのでしょう、「鳥海ゴルフ練習場」(いわゆる「打ちっぱなし」)が昨年末に閉店し、先週末からクラブハウスの解体作業が始まりました。
この不況の中、ゴルフ人口も減少し、練習場も減収でしょう。バブルの頃、ゴルフ練習場は老若男女が集い、時間帯によっては順番待ちで1時間以上待つこともあったのに。

うちのクリニックの真向かいにあり、練習場の網をかける高い高い柱(推定40mくらいかな?)は、高い建物の少ない住宅街のこの付近では大変目立つものでした。酒田市内周辺のどこからでもこの練習場は見えるので、拙クリニックの場所を知らない人に「ゴルフ練習場の網を見つけたらその方向に来て下さい。その北側に道路向かいにあります。」などと説明していました。
Yahoo!や楽天。@niftyなどのインターネットの地図上にもこの練習場は載っていますから、それを探して来てもらえば良かった訳です。

噂では、ゴルフ練習場を解体し、更地にした後に介護老人保健施設かその関係の施設が出来ると言う話です。拙クリニックにとってはデメリットではないようですが、目印になるゴルフ練習場、あまり練習に行かなかったし、寂しく残念な気持ちです。。。

ということで昨日から2月。
気を取りなおして行きましょう。28日しかないから、あっという間に3月になってしまいますよ。

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2009.02.01

世界初演!(山Q第30回定期を聴く)

日本初演とか世界初演という甘美な響きに誘われて、(どうせバレるからカミングアウトしますが)酒フィルの練習を休んで(インペクのくせにさぼったのです、、、)山形に行って来ました。

演奏会の模様は、山Qメンバー4人のブログ(「山形Q第30回定期演奏会終了」 by らびおさん、「第30回定期終了」 by 中爺さん、「第30回定期終了」 by 委員長、「山形Q第30回定期終了!」 by だちゅ)やいつも的確な感想を書かれるnarkejpさんのブログ(「山形弦楽四重奏団第30回定期演奏会を聴く」)などに詳しく書かれています。

これらと同じ事を書いてもしょうがないのでちょっと違った切り口で行きましょう。

まず、昨日、土曜日の状況から。
お昼頃までは酒田も曇りの天気で先日積もった雪もだいぶ溶けて車は走らせるのに問題のない状態でした。
午後1時に診療を終了し、まずはいきつけの近くの蕎麦屋「めだか」へ。
Photoいきつけ、なんて偉そうに書きましたが考えてみれば今年初めての「めだか」でした。
寒い冬でもなるべく「かけ蕎麦」は食べたくない私。ちょうど「鴨汁」がありました。
ここの蕎麦は「もり」の場合は「二八」なんですが、「板」を頼むと「外二」、つまり蕎麦粉10に対しつなぎが2という、蕎麦粉の割合の多い、しかも粗挽きの一番粉を使った風味豊かで歯応えがあり喉越しもいいというギリギリの線の蕎麦を出してくれます。
鴨も狩猟の鴨でしょうか、噛み応えのあるしっかりした肉でした。しかも!「平田の赤葱」が入っているじゃありませんか!この葱の甘みも出て、つけ汁の旨い事。この汁だけごくごく飲めそうでした。
冬季限定ですから興味のある方はお早めにどうぞ!

一旦家に帰って出かける準備。
コンサートは18:45から。プレコンサート18:15には余裕で間に合いたいし、折角文翔館に行くんだからちょっと寄りたいところもあり、15:30前に出発。
山形自動車道を酒田インターから乗った所で、すでに路面はシャーベット状の積雪。鶴岡を過ぎて、山の方に向かって行くと、道がどんどん白くなって来ます。前の車の轍にハンドルを取られそうになるため、高速道路なのに時速50~60km/hぐらいで走らせます。一番ホッとできるのはトンネルの中です。
月山新道は予想通りの真っ白な道。上りも下りも滑らないように、ハンドルを取られないように、いつもの数倍緊張して、いつもの何倍も腕に力をいれてハンドルを握ります。
寒河江インターを過ぎる頃、道は白からまたグレーのシャーベットに変わります。山形蔵王まで行って県庁の所から市内に戻ってくるか、山形北で降りて文翔館方面に来るか、山形中央道に乗り換えて山形中央インターで降りるか、考えながらハンドルを握りしめます。
山形市内に入っても結構な積雪に雪の降り方。こういう場合、経験上、市内の道路はどこも混みます。どこから降りてどういうルートで市中心部にアプローチしてもどこも同じ位時間がかかるだろう、そうならば高速道路料金の少ない、早く高速を降りて一般道に入るルートにしようと考え、「山形中央」で降り、西バイパス側から市中心部に近づくルートにしました。
おそらくこれは正解だったと思います。混んではいましたが、信号による自然渋滞くらいで高速を降りて10分くらいで文翔館の前に来ました。この時点で17:15頃だったのでまだ1時間あります。
そこで市中心部の楽器屋さんTに行き、近々やる曲のスコアをまとめ買い(プロコの「ピーターと狼」、ボロディンの交響響3番未完成、シューベルトの交響曲7番「未完成」、さらに2つの交響曲のスコアを購入)、家内が見たいと言っていた和装に合う小物を探しに「大沼デパート」と呉服の「結城屋」さんへ。お目当てのものは見つかりませんでしたが、大沼デパートでは何と何と『大九州展』をやっていました。
エスカレーターを降りた目の前に、懐かしい『梅が枝餅』の看板が。。。

生まれ故郷福岡で、毎年のように行っていた太宰府天満宮。その参道沿いに何件も『梅が枝餅』の専門店が並びます。餡子の入った焼きもちなんですが、餅米粉の違いなのか、その風味は他で味わったことがありません。一口食べただけで私の脳を小学生時代に戻してしまう、いわばソウルフードの一つです(ちなみに、嗅覚と味覚は原始的な記憶機能に近い部分にあるため、ある種の強い匂い刺激は古い記憶を呼び起こす事が知られています)。
あまり時間がないのでグルッと回っただけですが、「佐世保バーガー」に黒木本店の売れっ子の焼酎「山猿」「山翡翠(やませみ)」「山猫」も売っていました。からすみ、アゴ(トビウオの干したの)、もちろん明太子、辛し高菜、さつま揚げ、角煮饅、、、食べ物以外にも鼈甲製品など九州の産物がそれこそ盛りだくさん。
見て回っている私の表情を見て家内が「まるで小学生みたいな顔をしている」と指摘しましたが、あえて表現すれば子供がディズニーランドに行った時の様な気分でした。

いろんなものを買って帰りたかったのですが、諸処考えて「やまやの明太子入り辛し高菜」と「梅が枝餅」だけで我慢しました。我慢、、、これが適切な表現だと思います。。。(笑)

さてそろそろ18:00。
文翔館裏の駐車所に移動し、歩いて会場へ。気温がそれほど低くないので、湿ったベタベタの雪が降っており、足下はぐちゃぐちゃで最高に歩きにくい状況。家内は和装なので下駄ですが、これが以外と歩きやすい様子。下駄の二枚刃がぐちゃぐちゃの雪でもかえってスタッドレスタイヤのように、水気の多い雪を避けるようです。

7aed341a_2会場に到着した時点では、まだ30人程度しかお客さんがいない様子。
「この雪じゃあ、な〜」と思いましたが、アンサンブル・トモズのプレコンサートが終わった頃には100人近い方がいらしていました。
この「トモズ」、チェロの茂木さんの奥さんのVnとビオラの倉田さんの奥さんのVaの2本だけなのですが、大変美しい、優しい音色で雪の中をあくせく辿り着いた心を柔らかく解きほぐして下さるようでした。お二人の性格が出ていると感じられる音楽で(お二人の詳しい性格は存じませんので)、暖かく自然で、でもきちっとする所はきちっと合わせて、とてもバランスの良いデュオだな〜と思いました。

いつものように「前振り」が長いのでそろそろ本題へ。
今回プレトーク担当のチェロの茂木さんが、これまたその人間味溢れる訥々としたしゃべり方で楽しいお話。芸大の学生時代、おそらく「アンサンブル東風」の事だと思うのですが、アンサンブルの団体で韓国を訪れ演奏の後の交流会で韓国の人から「何か日本の歌を歌って下さい」と言われて、学生が誰も日本の歌をちゃんと歌えなかった、それを一緒に行った作曲家(?指揮者だったかな)の先生から嘆かれ怒られ、自分自身でもとても恥ずかしい気持ちだった。
西洋の音楽を学び練習しているけれど、自分の国の自分の音楽、歌すら歌えない音大生、、、それを大変恥ずべき事だと感じたのだそうです。そして今回、弦楽四重奏の白眉とも言える「ラズモフスキー」を演奏するとともに、日本の民謡を弦楽四重奏で演奏できると言う事が本当に嬉しく幸せだと言う事でした。

1曲目は今年没後200年のハイドン。
「蛙」という副題が付いているのだそうです。楽しい曲でしたが、次の幸松さんの日本民謡の印象が余りにも強くて、4楽章最後の方以外あまり記憶に残りませんでした。

2曲目は幸松肇「弦楽四重奏のための4つの日本民謡第1番」〜さんさ時雨、そーらん節、五木の子守唄、ちゃっきり節〜の4曲。いずれも日本人ならどこかで耳にしたことのある有名な民謡ですが、特に私の場合、歌好きの父親がある時期先生に付いて真面目に民謡を習っていた事があり、家でよく練習をしていたのでこれらの曲は大変馴染みのあるものでした。
リズミカルな、アップテンポな曲は、ポップスというか演歌や流行歌ぽいやや甘めの編曲荷なる部分も感じられましたが、出だしの「さんさ時雨」などは「これぞ弦楽四重奏のための編曲!」と膝を叩きたくなるような、4つの異なる楽器が織りなす綾が美しく響きました。「五木の、、、」では、出だしにチェロの鋭く大きなピッチカートがはいり、そこへ高弦がppでか弱く旋律を刻み、貧しく苦しい生活に喘いだ少女が仕事の一つとして子守りをしながら歌ったとされる歌詞の雰囲気をよく現していました。私は個人的にまだ「オボコ」の「おしん」が酒田の商人の家で仕事で子守りをしていた姿を思い浮かべていました。

さて、いよいよ「世界初演」です。
世界初演に間違いないのですが、作曲家の幸松氏本人が「(恥ずかしいから)日本初演にしておいてくれ!」と頼まれたのだそうです。
茂木さんがチェロをひっくり返し背板の上部を右手の指3本(4本?)で叩きます。私はチェロにかけられていたタオルが気になってしまいました。最初は、普通に表板を叩いて打楽器的奏法をしてみたのだそうですが、茂木さん本人からお聞きした事では「もっといい音のする所はないか」といろいろ試してみた結果、背板になったのだそうです。
バイオリンの二人、中島さんと駒込さんは普通に顎の下に支えたバイオリンの横板のクビレの部分を右手の人差し指(または中指)の爪で弾きます。これも「爪で楽器の横を弾く」という指示があるのだそうです。この3人の打楽器的演奏に続いて、ビオラの倉田さんがようやくアルコで「よ〜いさぁの まか〜しょ〜 エ〜ンヤ コラマーカセ」と『最上川舟唄』の出だしを奏でます。
最上川が流れる大江町は左沢(あてらざわ、あちらの沢という意味でしょう)が発祥の地とされるこの歌の出だしを、現在大江町に居を構える東京出身の倉田さんが弾き出した事は単なる偶然なのでしょうか。
最初の歌詞にあたる「酒田〜さぁ いぐさけ〜 まめ(達者)でろちゃ〜」はこれまた東京出身で山形市在住の中島さんが弾き出します。弦楽四重奏らしい、複雑な旋律の絡み合いは「編曲」を通り越して「作曲」だと思います。
「まっかんだいごの しょっつるに〜 しょおが〜 しょぱぁく〜て くらわんねぇっちゃ〜」の所は
魚醤(塩汁)=しょっつるの本場である秋田出身の駒込さんが弾いていたのを見て、「これは単なる偶然なのだろうか?作曲者はここまで考えて、意図して編曲されたのだろうか?!」と思いながら、感動しながら聴いておりました。

酒田に本拠地を構えるのかどうか、酒田の名の付いた市民オケである酒田フィルハーモニー管弦楽団。演奏会終了後の打ち上げなどの宴会の席では、団員総出で「最上川舟唄」を歌のが習わしです。特に鵜新入団員がいる時には、その人(男に限る)がステージ上で横に寝かされて舟の格好をさせられます(両手を頭の上の方に伸ばしてピンとそり、舟の形を真似るのです)。船頭役の人が片足を持ち上げて、それを舟の櫓に見立てて漕ぐような動きをします。激すると股関節を痛める位、強く足を漕ぐのです。
芸達者な船頭役の場合、途中で櫓に見立てた足の靴下を脱がせてそれを嗅ぎ「くっせぇの〜!」とばかりに放り投げ、皆の笑いを取ります。
手慣れた芸達者な団員の中には、英語の歌詞カードを用意して来て、「最上川舟唄」英語バージョンまで飛び出します。
それもこれも歌詞の先頭に「酒田さ いぐさげ、、、」とあるからでしょう。私もつい最近までこの歌が大江町発祥とは知りませんでした。

話を演奏会に戻しましょう。
「最上川舟唄」の有名なかけ声や歌詞部分の主旋律などいくつかのモチーフをちりばめながら、最上川の情景が散りばめられます。バイオリン1本で最上川源流の小さな流れが少し強くなって、バイオリン2本に合流し流れが速くなりうねりが大きくなるような様は、日本人が大好きなスメタナの我が祖国の中の「モルダウ(プルタヴァ)」の出だしのフルート2本による源流の流れを彷彿とさせます。
春の最上川、冬の最上川を想像させるような季節感の表現も見事です。置賜地方に源流を持ち、村山、最上地区を潤し、庄内地方に肥沃な土地を作りつつ舟運での産業を支え、日本海に注ぐ母なる川、最上川。これだけ大きな一つの川が、一つの県に始まり一つの県の中だけを通って一つの県で終わるというのは、北海道を除けば極めて珍しいことです。厳しい山々に分け隔てられた県内4つの文化も歴史も異なる地域を、最上川だけがひとつに結び繋いでいるのです。
もはや民謡としての「最上川舟唄」を超越して、「モルダウ」に匹敵する名曲になっていると感じました。本当に感動し、作曲家の幸松さん(招かれて会場にも見えていた)に休憩時間に直接にお礼を言いたい気持ちを止められませんでした。

演奏会終了後の私の第一の感想は、はやくこの曲の「庄内初演」を!というものです。
それが「ジョンダーノ・ホール」であればどんなに素晴らしく嬉しい事でしょう。

さて、4曲目。
本来、今回の演奏会のメインであり、目玉であるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番ハ長調Op.59-3、いわゆる「ラズモフスキー第3番」。30分にも及ぶ熱演です。
この曲自体が持つ、混沌とした雰囲気、終楽章の拡張高いフーガなど、同じ頃に作られたとされる交響曲4番やピアノ協奏曲4番と同じく、頭に浮かぶのは「革新的」な作曲です。この曲も当時の人々には受け入れられなかったそうですが、確かに聴いていて心地よいとか、楽しいとか、面白いという曲ではないように感じます。ピカソが「青の時代」などを超えて「キュービズム」に到達し始めた頃と比較するのは突飛でしょうか。
世間一般に理解され受け入れられる「商業的商品」を作るのではなく、「芸術を創作する」という信念、逆に言えば必死な思いによる頑さのようなものも感じられるのですが、ベートーベンがベートーベンに到達し始めた頃の作品、ロマン・ロランが評した「傑作の森」の中の一作品と位置づけて理解してもいいのだろうと思います。

アンコールは、ハイドンの「鳥」からフィナーレ。バイオリンの二人がまるで双子のように息とハーモニーのピッタリあった楽しい鳥のさえずりを聞かせて下さいました。重いべーさんの後に、ハイドン先生はやっぱり楽しいです。
演奏会場をすぐには立ち去れないような感動に少し震えながら、入り口でいつものように見送って下さる4人に感動と感謝を伝えながら雪降る外に戻りました。こういういい演奏会の後は、本当はゆっくりお茶と甘いものでも頂きながら、心を少しずつニュートラルに近づけてから帰りたいものですがなかなかそうも行かず。。。

Photo_2演奏会は夜9時まえに終わるだろうから、酒田に戻る前に夕食として是非行こうと考えていたお店に予定通り行きました。
駅前の牛タン屋さん「とだて」です。近くの駐車場は積雪で苦労しましたがなんとか停めて入店。驚いた事に客が一人もおらず、注文もすぐに来て、もろきゅう、もずく酢を平らげ、写真の牛タン焼き3人前を二人で分けて食べました。もちろん麦飯とテールスープ付きでご丁寧にとろろも一つ付けました。
さらにメニューにはない、「南蛮の味噌漬け(これは無料)」をお願いして出してもらい、麦飯をかき込みました。
ここ「とだて」の御主人は、山形は河北町出身の先代が興した仙台における牛タン焼きの発祥の店である「太助」で修行を積んだと聞いています。仙台にも「とだて」という店はありますが、そこのタンよりはやや厚めに切ってあると思います。
しかし、旨い!

酒田、庄内は食の都と自称し、旨い物がたくさんある土地ですが、私が一つ残念なのは「牛タン屋」が知る限りにおいては一軒もないのです。魚の美味しい土地柄、焼き肉屋さんも今ひとつはやっていない感があります(鉄板焼きやステーキの店はいい店がありますが)。
「牛タン定食」が食べたくなったら、仙台か、せめて山形の「とだて」に行くしかないのです。


折角の感動的な「世界初演」の話を「牛タン焼き」で締めるのもどうかと思いますが、折角雪道の中、恐い思いをしながら往復4時間かけて行った、それだけの価値のある素晴らしい演奏会、そしてその感動に更に満足感を付け加えてくれた、昼の蕎麦と夜の牛タンを紹介しない訳には行かないのでした。
(夜の雪道運転のダメージはしっかり今日まで残っていますが、、、)

幸松肇編曲(山形弦楽四重奏団委嘱作品)「弦楽四重奏のための最上川舟唄」の庄内初演、是非今年中に実現させたいものです。

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