たばこ規制枠組条約ガイドラインのこと
私も以前は喫煙者でした。たばこの害については今更説明するまでもないと思いますが、狂信的にたばこを「悪」と決めつける論調にもやや反感を覚えることがあります。
先日報道された「たばこ規制枠組条約」の事と音楽の関連について考えたいと思います。
簡単に言うと「たばこは悪!悪い事をして儲けた金で『社会貢献』をするなどチャンチャラおかしい!そういった活動すら辞めさせよう!」というのが主旨のようです。ディライトフォーラム、アフィニス、JTカップといった活動を廃止にまで持っていこうというガイドライン採択のことです。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/081219/bdy0812190819000-n1.htm
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(ニュースソースから)
「たばこ規制枠組条約の締約国会合が新たに3件のガイドラインを採択し、近く世界保健機関(WHO)から修正文書が示され、厚生労働省が初めて概要を邦訳して公開することが10日までに分かった。たばこ産業の広告、販促、支援活動の全面禁止だけでなく、研究助成や人道支援を含む社会的活動の全面規制を求める厳しい内容だ。
ガイドラインは条約の主要条文を具現化する方策。11月17〜22日に南アフリカで開かれた第3回締約国会合で参加130カ国が3件の草案を議論、一部を厳しく修正したうえ、満場一致で採択した。
たばこ産業の社会的資格を事実上、剥奪(はくだつ)する内容で、「病気や死亡の原因となり、社会的病害や貧困を増大させることが科学的に立証されている製品を製造販売するたばこ産業の権益は、公衆衛生政策が目指す利益と根本的に相反する」という締約国の強い意志を示した。」
(中略)
「ガイドラインについて、JTは「条約の義務履行を支援するもので、法的拘束力はない。今後も関連法などを順守して事業運営していく」と静観。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(英)ジャパンも「国内法にどう反映されるかはっきりしない段階では何とも言えない」。フィリップ・モリス(米)ジャパンは「ブランドを区別できるよう喫煙者とのコミュニケーションは必要で、広告、販促の制限は支持するが全面禁止は支持できない。社会貢献活動や政治的プロセスからも排除されるべきではない」と反論する。」
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『アフィニス文化財団』という組織があります。
HPはこちらをご覧ください。
先日、JOFCの事を書きました。「JOFC山形大会」の記事を参照ください。その席上、招かれて参加していたアフィニス財団の方から、来年以降の「アフィニス夏の音楽祭」は広島交響楽団を擁する広島市と山響擁する山形市で隔年交互開催して行く予定との発表がありました。大都市圏ではない、地方オケのある都市で、札幌や仙台のように既に「音楽祭」が開催されている都市ではないところということで、山形が対象になったようです。
「アフィニス夏の音楽祭」は、財団の支援を受けて全国のプロオケ奏者が合宿のごとく集って研修会を開きその成果をコンサートとして発表するものです。これまでは毎年のように信州で開催されており、今年で20回を迎えています。この夏は山形でも文翔館議場ホールで「アフィニス夏の音楽祭」の山形特別演奏会というものが行われました。
「アフィニス」はJTがその主たるバックで、文科省(文化庁)が管轄している芸術文化支援活動です。
その主な活動の一つに「国内のプロオーケストラの活動を支援する」ものがあり、プロオケの団員のレベルアップのための合宿の様なものや、海外留学支援などを行っています。
地方のプロオケの老舗の一つである我らが山響(山形交響楽団)も財政的には楽ではありません。アフィニスは楽器購入の助成も行っており、山響団員もこれまでに何人かアフィニスの支援で留学や研修を受けています。
今回の「タバコ規制枠組条約」で採択されたガイドラインに従いアフィニス財団の活動を規制するということになると、財政難の中で頑張って来ている山響のような地方オケの活動にも影響が出る可能性があります。「隔年で山形で開催される予定になった夏の音楽祭も中止になるのでは、、、」と危惧しています。ガイドラインは最終的には、タバコ産業の社会貢献活動や寄付なども止めさせるということを目指しているようなので、近い将来、アフィニス財団自体が消滅しプロオケなどの音楽芸術への支援が無くなる可能性は高いように感じます。
医師にもまだまだ喫煙者はいますが、山響の団員の中にも愛煙家はけっこうおられます。タバコを愛している人にはまったく理解出来かねる話かもしれませんが、世界の潮流はこうなっているのです。
タバコは病気や死亡の原因となる事は証明されている。すなわち「悪」である。その悪玉のタバコで儲けたお金を「社会貢献」の名の下に寄付や財政支援に用いるのは、タバコ産業のイメージアップを狙うものであり許しがたい。世界的に130カ国の条約締結国が集まって上記ガイドラインが採択されたという事です。
タバコの弊害については、医師として異論は無いのですが、今回のガイドラインに表明されたタバコ産業による人道支援や社会貢献活動の中止までも求める内容については疑問を覚えます。
「病気や死亡の原因となる、、、」という論旨であるなら、他の産業、たとえば自動車産業や石油産業はどうなのでしょうか。CO2問題、排ガス問題、地球温暖化は深刻です。地球規模で環境を破壊し、人類のみならず地球上の生命すべてを脅かしています。
アルコール産業はどうでしょう。アルコールの過量摂取は健康に害を及ぼす事は証明されています。
ファストフード産業はどうでしょう。過量の脂質、糖質摂取はメタボリックシンドローム、糖尿病を増加させ、脳卒中、心疾患を増大させます。
こういったタバコ産業以外の「人類に害を及ぼす」業種についてはなんのおとがめも無いのに、何故タバコだけがこのような事態になっているのか。タバコが規制される事によって「薬物使用」が増える事も懸念されます。
いろいろ心配してみたところで、現実はすでにこのガイドラインが採択されて話は進んで行っているのです。「アフィニス文化財団」の行く末、地方プロオケの財政難が心配です。
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コメント
しかしですね、タバコはbalaineさんがここに書かれた他のものと違い、"百害あって一利なし"なのでは?と考えます。my shopではタバコも販売しており利益も出ています。増税になって禁煙者が増えたら店が困るでしょうと増税反対の署名を集める書類などもJT関係から来ています。が、私は反対です。タバコはなくなったほうがいいと本当に思っています。地方プロオケの財政難は心配でしょうが、それは他の方法で解決策を考えていただきたいです。
投稿: @むーむー | 2008.12.24 10:59
@むーむーさん、コメントありがとうございます。
「百害あって一利なし」、、、本当にそうでしょうか。
医学的データで悪影響が証明されているものの中には精神疾患は入っていません。精神疾患があって治療中の方で喫煙者の場合、無理にタバコを止めさせることは弊害こそあれ精神を安定させる方向には働かないようです。
私は精神疾患を持つ喫煙者には無理には禁煙は勧めません。
また、科学的に証明された事がどうかわかりませんが喫煙者にはパーキンソン病発症が少ないと聞いたことがあります。まあ喫煙による健康障害や癌などでパーキンソン病発症年齢まで生存する人が少ないだけかもしれません。(苦笑)
科学的統計学的検討というのはよくよく吟味してかからないといけません。喫煙者の肺がん罹患率は、非喫煙者の2倍を超えません。つまりタバコを吸えば肺がんになる確率は高くなるものの、吸わない人が肺がんにならない訳ではなく、その罹患数は結構多いのです。
タバコおよびタバコ産業に反対されるならば、お店でタバコを販売しているのはおかしいのではないでしょうか。「百害あって一利なし」と考えておられるなら、それを販売する行為自体が「悪」と言うことになるのでは?難しいところですね。(^^
タバコ以外のものは何らかの「利」があるとするなら、アルコールにはどのような「利」があるのでしょうか。飲んだら気分が良くなるというならば、愛煙家にとってのたばこだって同じだと思いますが。。。
投稿: balaine | 2008.12.24 11:39
balaineさん、長くて丁寧なレスありがとうございます(^^)。頭の構造が違うので理屈ではbalaineさんには到底かないません。でももう一つ言わせていただけるのなら、精神的なことにまで及ぶのならば人によって癒しになるものは別にタバコでなくてもよいうことになってしまうと思います。これも悪くないのでは。ということで。他人に迷惑をかけない限り許せます。アルコールに関する利については中に含まれている種類によって違いますし長くなるので省きます。追記、販売は早期に止めるところです。
投稿: @むーむー | 2008.12.24 13:51
@むーむーさん、どうも。。。(^^)
「精神的」なものだからこそ「タバコでなければダメだ!」という人が一杯いるのです。それは非喫煙者には理解できない理屈だと思います。
脳にイイ、心にイイ、安らぎの音楽だからと言っても、クラシックの嫌いな人にモーツァルトを聴かせても安らぎにならない訳です。たばこでのみ安らぎを得られる(と信じている)人がいる事は事実です。
大麻などの薬物がなぜ世の中からなくならないか、と言えば、「身体に悪い」と言われるものは人間にとって誘惑的なものが多いのです。
みんながみんな、身体に悪いものを節制できるなら、世の中の高血圧、糖尿病、アルコール性障害の患者数は激減するはずですからね。(苦笑)
アルコールの「利」は理屈ではあるでしょうけれど、いろいろな成分を無視すれば、結局はアルコール(C2H6O)な訳です。
投稿: balaine | 2008.12.24 18:58
タバコは、悪毒物です。タバコを違法投棄するのは、タバコが脳に対して「ここに、違法投棄しろ」と命令するからです。タバコは、脳を破壊します。環境を破壊します。タバコは、悪毒物です。タバコと離婚しましょう。カニから、人間に戻りましょう。
投稿: ホットマン | 2010.08.24 01:29
タバコが値上げされる。良い事だ、超大賛成だ。タバコの消費量は、単純計算したら3割減る。もっと減らすために、もっと値上げして欲しい!タバコ、酒が安いのは「病人を作って医者を失業させないため」なのだろうか??タバコも地球温暖化、異常猛暑の原因です。
投稿: ホットマン | 2010.08.24 01:39
「タバコだけが、悪いんじゃなーい」と言うなら、酒、タバコ、ガソリンなどの燃料、コーラなどの炭酸水に対して、大幅値上げして環境税を加えたら良い。「脱毒物経済」を、するべきです。タバコや酒で、金儲けするべきでは、有りません。精神病患者にタバコを与えては、いけない。タバコを我慢する事も、「治療法」ですよ。あまり早く回復すると、医者が失業するのでしょうか??
投稿: ホットマン | 2010.08.24 02:18
私の意見をすべて、撤回します。誠に、申し訳ございません。これからは、このような事が無いように、充分注意します
投稿: ホットマン | 2010.08.24 02:56
ホットマンさん、誤解しないで頂きたいのですが、私はタバコを「肯定」してはいません。
私は「非喫煙者」です。
しかし、狂信的に、盲目的に「たばこは悪だ!」「偽善だ!」と否定、罵倒している人を見ると、まるでナチズムのような背中の寒さもを覚えます。
タバコが良い悪いという議論ではなく、自分がどう思うかという考え方を他人に強制する様な言動には、(それが正論だとしても)捕鯨活動に対するグリーンピースと同様の精神を感じ、それを容認する事は太平洋戦争に突入した当時の日本の異常な精神構造を認める事に繋がる気がして怖いのです。
ご自分の意見を言う前に、相手の事を考えるというのが大切なのではないでしょうか。
投稿: balaine | 2010.08.24 17:25
ありがとうございます。私は、自分の意見を強制しては、いません。これは太平洋戦争時の日本の体質、ナチスとは違います。私の過激な意見については、謝罪します。タバコが、社会に良い影響を与えましたか?タバコは、もっと値上げなどで規制されるべきです。そしてガソリンなどには、環境税を導入するべきです。地球温暖化抑制、交通事故抑制に、有効です。
投稿: ホットマン | 2010.09.07 06:57
ご意見ありがとうございます。私は、自分の意見を強制するつもりは、有りません。タバコ廃止は、不可能と思います。人間の「快楽の道具」として、定着していますから。「毎日の猛暑」に対して、「有効的な方策」として意見を出させていただきました。私の「値上げ」という意見は、完全に正しいとは思いません、反対する者も居るハズです。私の「1つの意見、提案」として受け止めて下さい。その他は、撤回します。私は、あなたの意見も尊重します。ありがとうございました。さようなら。
投稿: ホットマン | 2010.09.07 07:17