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2008.11.17

酒田フィルハーモニー管弦楽団第36回定期演奏会

よくある、「〜演奏会を聴く」ではなく、私の場合は「〜に出た」です。
昨日は、朝からGP。
Photo_29時半過ぎには市民会館へ。練習は10時丁度に始まり、最後の調整や修正があって、アンコールまで練習して終わったのは12時10分くらい。(写真は、舞台上手袖に置いてあるフルコンに写った、GP開始前のステージを撮ってみたもの)

開場が13:15、ロビーコンサートが13:40~、開演が14:00なのでほとんど余裕がありませんでした。
用意されたお弁当を食べ、ちょっと休んでいたらあっという間に13時を回ったので、タキシードに着替えます。それから、心配なチャイコフスキーのピアノ協奏曲の苦手な部分を何度もさらいます。最後の「アガキ」です。朝のGPでは、結構ぼろぼろで、昼食時には「タビの親父さん」始め何人から、「厄落とししたから本番大丈夫でしょう!」「練習のうち間違っている方がいいんだよ」などと慰められる始末。情けない!

Photo_4チェロ五重奏のロビーコンサート(ダビッド・フンクの曲と映画『おくりびと』の主題歌をチェロ5本に編曲して演奏)も聴きたかったのですが、余裕を失っていたので13:55まで控え室で練習していました。
チェロはトップのY氏から女性3名ともう一人オペラ「ラ・ボエーム」の時の団内指揮者でもある「タビの親父」さんの5人。演奏曲目と今回の定期のポスターをいれて家内が撮ってくれた写真です。

14時、いよいよ開演です。
Photo1曲目は、グリンカの『ルスランとリュドミラ』序曲。
練習よりはやや遅いくらいでしたが、それでもVn.からは火を噴くのではないかと思うような超速いパッセージです。なんとか落ち着いて演奏できました。
結構、序曲としてイイ演奏だったのではないかと思います。

P2曲目、いよいよチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。
石井理恵さんは、濃いめのピンクの美しいドレス。
出だしの大切なホルンがちょっとだけ崩壊するトラブルがありましたが(残念!)、ピアノも和音のffからはオケも落ち着きをやや取り戻します。
石井さんのヴィルトゥオーソな演奏が、きらきらと、力強く、繊細に、迫力満点に、時に物悲しく、優しく、雄々しく、響き渡ります。「希望ホール」の残響1.9秒という環境に、シュタインウェイのまだ若いグランドピアノを鳴らし切った石井さんのテクニックが冴え渡ります。演奏するのを忘れて聞き惚れる名演です。観客として聴いていられればどんなに楽な事でしょう。
1楽章にも、フルートのソリスティックな部分が2カ所程ありますが、小さなトラブルはあったもののなんとか乗り切りました。

P_2いよいよ2楽章です。
冒頭に、弦のピチカート4小節に導かれて、フルートの全くのソロ(ピチカート以外は他の楽器はまったくなし)が8小節あります。いわゆる「おいしい」ソロなんですが、演奏している団員とか観客あわせて800名の人がいる静まり返ったホールに自分のフルートの音が響くと言うのは、喜びよりも大きなプレッシャーです。つい、唇が少し震えてしまいます。息のスピードが落ちるとピッチが下がります。
なんとかこれを乗り越え、2楽章がおわり、すぐに高速スピードの3楽章に入ります。
最も不得手とする中間部始めの部分で16分音符12個のスケールと第3レジスターの超高速パッセージを、まずまず、ちょっとよろけながらも自己採点65点くらいで乗り越えられました。
そしてフィナーレに向かいます。
最後は、石井さんのド迫力のカデンツァを迎え、オケが咆哮して華々しく終わります。
ブラボーの声はかかりませんでしたが、凄い拍手でした。

2回のカーテンコールを終えアンコール。
椅子に座り終わらないうちに弾き始めるという演出に、ジャズのような超絶技巧の曲がすごく楽しい。
短いですが華々しいアンコール曲で、聴衆と団員の心をつかんで素敵な演奏でした。

アンコールの曲目は、ロシア(ウクライナ)出身のジャズピアニストで作曲家のニコライ・カプースチンの「8つの演奏会用練習曲から第8番フィナーレ」。初めて聴いたのですが、まさにジャズでした!
あんなに凄い迫力のチャイコを弾き切った後に、まだまだあんな超絶技巧の曲を弾けるパワーと心が残っているなんて、あらためて石井理恵さんの実力の凄さを思い知りました。

15分の休憩時間、私は何をしていたのかよく覚えていません。ほとんど『明日のジョー』みたいに「白い灰」になっていました。

メインのシベリウス作曲交響曲第2番。
静謐な北欧の林と美しい湖、そこに渡る冷たい風、夜空、朝焼け、冬を抜けて春へ、、、というイメージを抱かせる名曲です。アマオケにはなかなか厳しいところがたくさんあります。
指揮の井崎正浩さんは、おそらく注文をつけたいところがた〜〜くさんあったと思いますが、限られた時間と限られた(?)演奏能力の中で今回の演奏会を成功させるためにどうしても必要な所を追求して、酒フィルなりの「シベ2」4楽章をまとめてくださいました。我々の演奏の至らない点は大いに反省するものですが、現在持っている力は遺憾なく発揮でき、アマオケとしてはそこそこにいい演奏が出来たのではないでしょうか。トラで来ていた方からも「名演と呼べるのでは?」という感想を頂いたりしました。
井崎先生の指揮を観客席から観ていた家内は、その後ろ姿が実際よりも凄く大きく見えた、両手を真横にバ〜ンと広げたところがかっこ良くて、その姿のせいか、オケの音が「バ〜ン」と広がって聴こえたという感想。知人も井崎さんの指揮が柔らかくて凄く素敵だったとメールをくれました。
Photo_3私は、演奏が始まる前には「白い灰」から生き返る事が出来、シベリウスには2番フルートとして全力を尽くしました。
写真は「シベ2」終了後、指揮の井崎さんに花束が渡されたところ。多くの団員に笑顔が見られます。
演奏し切った!という満足感だけではなく、いい演奏が出来た、井崎さんと仲間達と一つの作品を作り上げた!という充実感に満ちた笑顔だと思います。

アンコールは、井崎さんの提案でシベリウスの『悲しいワルツ』。
これも美しく、最後は第1、第2Vnのトッププルトの4名で四重奏をして終わり。

こうして演奏会は成功裏に終わりました。
17:30からの打ち上げ懇親会に出席し、途中から酒が回って気分が悪くなりました。プロジェクトチームとしてまたPコンのフルートトップとしてかかっていたプレッシャーのせいか、ダウン寸前になってしまいしばらく休んでいました。
二次会からまた参加しましたが、目の前で焼かれる美味しそうな焼き肉もまったく食べられず、グラスに注いでもらったビールも口をつける気になりませんでした。
遅くに開けてもらった「山茶花」に最後は10数名で流れ込み、マスターにコーヒーをいれてもらって漸く酔いも少し抜け、体調不良もやや回復しましたが、軽い吐き気は続いていました。

一夜明けて、まだ昨日の疲れが残っていて体がだるいのですが、総合して自己採点80点くらいですが、まあまあ満足の出来る演奏が出来たのではないかな〜と密かな充実感を感じ始めているところです。
井崎先生とは、また来年も定期演奏会(10/25)を振って頂く事が決定しており、さらに来年は日本とハンガリーの友好関係140周年、戦後の国交回復50周年を記念したハンガリーイヤーにあたり、ソルノク交響楽団の音楽監督である井崎さんはソルノク響および合唱団の合計170名とともに来年11月に日本公演を行う事になっている。
あのユーモアのセンスと「忍耐力!」に満ちた笑顔、そして的確な指導力。また一緒に演奏できる機会があると思うと大変楽しみである。

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コメント

演奏会、たいへんお疲れさまでした。酒フィルの皆様にとっては、きっと素晴しい一日になったことでしょう。燃えつきたことを表す「明日のジョー」の白い灰がすぐ出てくるところは、どうも近縁の世代ですね(^o^)/
「演奏する側」のレポートは、プロの音楽家の皆さんはプライドにかけても弱音は吐きませんので、逆にアマチュアの奏者の方々の体験談がリアリティに富んでいます。たいへん興味深いです。

投稿: narkejp | 2008.11.17 20:17

演奏会お邪魔させていただきました。
凛々しい先生のお姿拝見いたしましたよ。
素晴らしい演奏でした。

満席ではないにしろあれだけの聴衆の前でのソロパート、スゴイ緊張感だったでしょうねぇ。私だったらたぶん骨壺の中ですよ。でも○○になったりして…(゚ー゚)

井崎先生の指揮も実にわかりやすく、シベ2をとても上手くまとめられていたと思いました。

石井さんの演奏は見てる方も疲れました。スンゴイパワーでしたね。

団員の方達の熱い想いもビシバシ伝わってきましたよ。
アンコールの静寂感鳥肌が立ちました。
次回も頑張ってください。
応援してま~す(^.^/)))~~~bye!!

投稿: lison | 2008.11.17 22:08

詳細なドキュメントを楽しませていただきました。私も本番だったので、それにちょっと遠いし、聞きにいけなかったのが残念でしたが、いっしょに演奏できたような感じがしました。

ルスラン、チャイコフスキーのPコン、シベリウスの2番というのはなかなかのプログラムですね。balaineさんが あしたのジョー 状態になってしまうのもうなずけます。

シベリウスは私も大昔、2番を吹いたことがあります。そのときの1番フルートはいまドイツのオペラ座で主にピッコロを吹かれています。2番で1番につける楽しさを一番感じさせてくれた曲ですね。シンフォニーはほとんど聞かないのですがシベリウスの2番は好きな曲のひとつです。

燃え尽き直前のbalaineさんもこの曲はたのしめたのではないでしょうか。

チャイコフスキーはフラットの数をみただけで逃げ出したくなるような曲ですよね。2楽章はおいしいけれど。でも迫力のピアノに負けずがんばられた様子がひしひしと伝わってきました。

演奏会 大成功 おめでとうございます。

投稿: Teddy | 2008.11.18 00:10

narkejpさん、ありがとうございます。
アマチュアでも実力の高い人たちはプロと変わらない心がけで弱音なんて吐かない人もたくさんいます。アマオケの中にも、本番直前にトップをおろされたりする世界もあるそうです。恐ろしいですね。。。
私の実力では、言い訳を探すのにヒーコラしています。でも、「想い」だけは「演奏者」としての強い気持ちを持っていたいと思っています。

投稿: balaine | 2008.11.18 01:20

lisonさん、ご来場ありがとうございました!
3/1の「ピーターと狼」の小鳥のフルート、誰がやるのかという話になっていますが、難曲ですが「あわよくば、、、」と欲を持っています。(^^;;;
来年の定期は、徳永二男さんになりそうです!お楽しみに。。。

投稿: balaine | 2008.11.18 01:22

Teddyさん、ありがとうございます!
選曲はいつも大変です。ピアノ協奏曲やるならラフマニノフの2番がいい!という意見が多かったのです(「のだめ」の影響は大きいです)。私も大好きな曲ですが、今回はチャイコがやりたかったんです。40年近い酒フィル定期の歴史上でも初めてですし、名曲で難曲であのフルートソロですから。。。
メインは、私はメンデルスゾーンの「スコットランド」を推したのですが決選投票で1票差で「シベ2」になったんです。でもやりがいのある曲でした。終楽章の木管は「基礎練習」みたいですけどね。
さて、来年は何がメインになるか、、、「ショス5」なんて意見もチラホラ、、、エキストラが大変そうです。。。(笑)

投稿: balaine | 2008.11.18 01:28

ありがとうございました♪ お疲れ様でした! 感動をいただきました。

来年はショス5ですか!今からチケット予約します。

みなさんが詳しい感想を述べられておりますので、私の詳細感想は割愛させていただきますが、酒フィルは最高です!

石井さんのピアノも良かったし、再度ジョンダーノホールで聴いてみたくなりました。

貧乏暇なし状態でしたが、時間をとりつくろって聴きに行って正解でした。明日は朝一便で神奈川県某所です・・・。酒フィルの演奏が脳裏に残っていますので、これを糧に働いて参ります。 ありがとうございました!

投稿: KEN | 2008.11.18 20:46

KENさん、忙しい中、聴きに来て頂いてありがとうございます。お客さんは6割程度の入りでしたが、「希望ホール」のキャパが大きいので「山形テルサ」に換算すればほぼ満席に近いのです。
3月のオペラが終わった翌々週から、約8ヶ月間、練習して来た成果は出せたと思いますが、まだまだ満足は出来ません。
来年は何になるのか、まだわかりません。徳永さんも不透明になってしまいました。
今朝の1便ということは、私の友人(某大会社Hの部長で、拙医院のMRI導入に尽力してくれた高校の同級生でホルン吹きで合唱をやっている)と一緒だったはず。昨日、仕事で行っていた京都から羽田経由で会いに来てくれて、酒田で食事をして酒を飲み、1年ぶりくらいの旧交を温めたところでしたが、会議があるので7時の飛行機で東京に戻ると行っていました。
皆さん、忙しく頑張って働いているのですね。
私も頑張ります!

投稿: balaine | 2008.11.19 09:31

ラ・ボエームの際にコメントした者です、懲りずにまた遠征しました。
ホルンが惜しかったかも知れませんが間々あることですし、それより私はバイオリンがしっかりとして(かなり御高齢の方もいらっしゃったのに)聴いていてとても安心感がありました。
先生の2楽章ソロに勝手にドキドキしてましたが「白い灰」の話しをうかがい、人前で演奏することの重さにこちらまで襟を正す思いがしました。それにしても1000席規模のホールでピアノの音があんなに綺麗に聴こえたのは初めてです!

投稿: hodazoi@ふくしま | 2008.11.22 19:58

hodazoiさん、コメントありがとうございます。
ドキドキさせて申し訳ありません。本当は、ロシアの春ののどかな田園風景でも目に浮かぶような、穏やかな気持ちになれるような、そんな音楽を届けたかったのですが、演奏しているものが緊張していてはそういう音楽に聴こえないのですね。勉強になりました。精進します!
しかし、福島からですか!遠いところをありがとうございました。
ピアノの音、喜んでいただけでなによりです。ホール、ピアノ、そしてなんといっても石井理恵さん。この3つが合ったのでしょうね。
ありがとうございました!

投稿: balaine | 2008.11.22 20:48

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