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2008.10.27

チェンバロの世界

(奥さんのブログと記事内容、写真がカブリますが、、、)(^^;;

平成20年10月26日(日)、宮城県側の蔵王の麓にあたる「宮城蔵王リゾート」のペンションが建ち並ぶ、宮城県柴田郡川崎町に行ってきました。
酒田を朝9時に出発。山形自動車道の川崎ICで降りて、宮城蔵王リゾート地区を目指します。ちなみに私が会員になっている(ものの、この3年で1回しかプレーをしていない)東蔵王ゴルフクラブのすぐ近くを横目に見ながら素通りし、蔵王の方に向かって行きます。

あるペンションの角を曲がり舗装されていない細い道を奥へ奥へと進みます。2度ほど迷って探し直しながら、さらに「ここでいいんだろうか?」と不安な気持ちになった時、目的の場所が現れました。いかにも古楽愛好家というような雰囲気の、ちょっと普通の人ではない雰囲気(失礼!)の人々がある家の前に集まっていました。
そこには、私も家内も顔見知りの山形在住のチェンバロ奏者MUさんもお嬢さんを連れていらしていました。なんとなくまったりと一人目の「公開レッスン」開始です。
Photo講師は、チェンバロ奏者にこの人あり、と言われる曽根麻矢子さん。
今まで生の演奏はまだ聴いた事がなく、CDだけでしか知らない方ですが超有名音楽家。その人が目の前で指導しています。
ちょっと曽根さんがアルペジオをジャララ〜ン!と弾くと「違う楽器なのか?!」と思う程違います。音色、響き、何から何まで違います。大げさではありません。まるでマジックのようです。

一人目のレッスンは12半過ぎになんとなくまったりと終わり(何時から何時というのがあるのか、ないのか、、、と言う感じ)、お昼休みになりました。
「近くに食事するところはなく、皆で一緒に食事をするのでそのつもりでいらしてください」と主催者のチェンバロ制作家木村雅雄さんから言われていました。木村さんの工房兼自宅の庭で皆でお食事会です。
Photo_2曽根麻矢子さんも一緒に、日本酒、ワインを飲みながらスープ、ライ麦パンをスライスしてバーベキューの釜で焼いたもの(なぜか私がパンを焼く係に、、、)、手作りパンチェッタ、チーズ、芋と人参のカレー炒めなどなど手作り料理を、気持ちのいいオープンエアーで頂きます。古楽系の方々は皆さんお知り合い同士らしく、東京からこのレッスンを見る(聴く)ために日帰りで来られた音楽評論家の方や家内以外のレッスン受講者、主催者の木村さん、そして曽根さんと新参者の我々夫婦の間に合った距離は、この楽しい昼食会で縮まりました。
私は、残念ながらアルコール0%のドリンクで我慢。
楽しい食事に会話も弾み、自己紹介がてらいろいろなお話をしました。

そして、「午後1時から、、、」と言われていた家内のレッスンが始まったのは13:50頃。
Photo_3家内は憧れの曽根さんに文字通り「手ほどき」される事に興奮と緊張が隠せない様子。いくら慣れない二段鍵盤のチェンバロでの演奏とはいえ、音が「落ち着いていない」感じ。バタバタしている、というか。
取り組んだ曲は、JSバッハの「イギリス組曲」から1曲。
Photo_4夢の様な世界が過ぎて行った事でしょう。私に例えて言うならば、高木綾子さんとかエマニュエル・パユに「公開レッスン」を受けている様なもので、緊張と嬉しさによる興奮で冷静さを失い普段出る音でさえ出なくなるというもの。レッスンはみっちり50分弱。大曲だったため、曽根さんの模範演奏のようなものがなかったのは残念でしたが(一人目のときは途中まで模範?演奏が聴けた)、やはり曽根さんが弾くと「違う楽器か?!」と思う様な音色の違い。

Photo_6チェンバロという楽器は、鍵盤を押す(ピアノと違って叩くというよりは押す、ただしスピードは必要)と鳥の羽軸(多くはカラス、今はプラスティックも使われる)で出来た爪が付いた小さな板が押し上げられ、それによって鋼線を弾くことで音を出します。(写真は、木村雅雄作、今回レッスンで使用した楽器)
つまり、ギターやハープなどと同じ撥弦楽器です。その構造から、強く叩こうが弱く叩こうが基本的に音の大きさは変わりません。なぜ曽根さんが弾くと全然違う音がするのか。。。
それは多分、タッチのスピードとか深さによって、爪が弦を弾く物理力が変わり、更に最適な時間の間、鍵盤を押し続ける事によって弦は弾かれた後解放されたままで振動を続けるため、減衰しながらも鳴り続けることが出来る訳ですが、その弦の振動と他の弦の振動、さらに弦の振動によるチェンバロの響版や楽器全体の振動が変化するのだと思います。
本当に、驚く程、全然違う響きがするのですからびっくりです。マジックだ!と思ったのは本当です。

Photo_5家内のレッスンの後、もう1名(フレンチの楽器で演奏し、伴奏者がイタリアンで演奏)のレッスン。その方は、さらに2曲レッスンに持ってこられており、凄い演奏をされていました。
更に、1番目の人がもう1曲持って来たものをレッスンされ(サービス?)、夕方5時を過ぎて外は既に真っ暗になっていました。
木村さんのご友人の御婦人がまたまたおいしいお料理を用意してくださり、途中で帰られた方を除いて10人での楽しい晩餐。仙台に戻る曽根さんを知人の方が仙台から迎えに来られたので、夜6時過ぎに曽根さんはお帰りになりました。
我々も酒田まで戻らなければならず(それに、私はアルコール0%の透明な液体しか飲めず!)間もなく我々もお暇しました。

Photo_7「チェンバロに出来ないことはない!」と言い切る曽根さん。
チェンバロは面白い楽器なんですよ、同じ材料、同じ作り方してもバケツを叩いた様な音が出たり素晴らしい響きが出たり、、、と作者の木村さん。(写真は、現在作成中、「自分のための楽器」と木村さんが言っておられたチェンバロの響板に埋め込まれた作者のサイン)

私はチェンバロは弾けませんが(鍵盤に触れば音は出ますが、ピアノとは全く違う楽器です)、違う楽器でも「音楽」は同じなので聴講していて大変勉強になりためになる事がたくさんありました。
チェンバロを始め古楽の世界はちょっと普通とは違う人達の集まりの様に先入観が働いてしまうのですが、曽根さんは美しく優しそうな外見よりも「男らしい」というか、成功しているプロの女性音楽家によく見られる、さばさばした明るさと強さを持っている方ではないかと感じました。
曽根麻矢子さんは、12月21日に山響定期で山形テルサに出演されますが、その前日12/20には庄内定期で酒田市民会館希望ホールで演奏されます。
指揮は工藤俊幸さん。酒田の「あいおい工藤美術館」館長の工藤幸治さんのご子息で、酒田フィル定期の指揮指導をH16~18年と3年間やってくださった方なのでよく存じています。
プーランクの「チェンバロと管弦楽のための『田園のコンセール』」という曲をやるそうです。
楽しみです!

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