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2008.10.12

日曜日、レコードを聴く

私はLPやSPという「レコード」を持っており、レコードプレーヤーも持っています。
ステレオ装置は、CDプレーヤー以外は大学生時代にバイトで頑張って買った思い入れのあるものですが、スピーカーも30年近く経って音が出なくなったりすることもあるような代物です。山形でマンション住まいをしていた時は押し入れにしまい込んであったこのレコードプレーヤーとLPの入った電話台のようなレコード入れ(中学生の夏休みの工作宿題で自作した物です)を、酒田に引っ越してからはリビングに置いています。
しかし、自宅で音楽をゆったりと聴くという時間は意外となかったのです。iPodやiPhoneで音楽を聴く便利さに慣れてしまったからかもしれません。聴きたい音楽を考えて、ディスクを探して、取り出して、プレーヤーにかけて、、、こういう作業が「楽しい音楽の時間」を作るのですが、様々忙しい中でiPodなどの便利さに体が慣れてしまったのかもしれません。
「何聴こうかな?」と考えながらクルクルと回しながら曲を探したり、「あれ、聴こう!」と思ったらジャンルや曲目の中から検索して3000曲近く入れてあるiTunesから取り込んだ曲を聴く事が出来ます。スポーツクラブでバイクを漕ぎながらでも、ウォーキングマシンで歩きながらでも聴けます。こういった「手軽さ」「便利さ」もとてもいいものです。

久しぶりに何も予定のない日曜日、しかも明日も休日(仙台には出かけますが)なので、今日の午前中は自宅でのんびり。
「そうだ、レコードでも聴くかな、、、」
自作の古ぼけたレコード入れをあけてみます。まず取り出したのは、ビル・エヴァンスの名盤『Waltz for Debby』。レコードプレーヤーの上に積んであった書類などをどけて、レコードを丁寧に取り出し、ゆっくり針を落とします。この「針を落とす」という感覚。長らく忘れていたものです。

「、、、プチッ、、、プチプチッ、、」曲が始まります。
あれ?いくら昔の録音とはいえ音が、、、ガ〜〜ン!左のスピーカーが鳴っていない。スコット・ラファロのベースが聴こえません!はぁ?
長らく鳴らしていない間にスピーカーが腐ってしまったようです。強制的に音量を上げたり下げたりなどの物理的電気的「根性」を注入したら、ようやく鳴ってくれました。
。。。

言葉はいりません。
ビル・エヴァンスは大好きなので、実はCDの全集(12枚組)も持っています。こっちの方が聴くにも便利だし音もRemasteringされていて聴きやすい。でもレコードの持つ味は何ともいえませんね。
しばし感動。。。

次にランパルを聴いてみます。
LpLp_2Lp_3



「あ!こんなレコード、持ってたんだ。。。」買った当時の事を思い出し懐かしくなります。
Lp_4仙台や新宿でお会いしたミシェル・デボスト先生(「自慢部屋2」の写真2-4参照)の若かりし頃のレコードもあります。ジャケットに買った日が中学生のbalaine少年のつたない字で書いてありました。
「1970. 1. 21○○○(自筆のサイン)」
38年以上前でした。

そして、今度酒フィル定期でやるチャイコのPコンもありました。
ピアノはアシュケナージ、指揮はロリン・マゼール、オケはロンドン響。
Lp_5今練習しているし、スコアをみながら上原彩子さん演奏のCDは聴いた事あるし、先日BSで再放送したサンクトペテルブルグ・フィル、ピアノはエリソ・ヴィルサラーゼの演奏も録画して何回か聴いているので、オケ全体がほぼ頭に入っています。このヴィルサラーゼさんって知らなかったのですが、先般ロシアと紛争のあったグルジアの出身で、アシュケナージが1位になった時のチャイコフスキー国際コンクールで3位だった方のようです。素晴らしい演奏でした。
つい最近までN響の音楽監督を務めたアシュケナージさん。私にとってはやはりピアニストとしての存在の方が大きいです。この録音は、データが書かれていないのですが、1962年のチャイコフスキーコンクールに優勝した直後ということですので、おおそ45年前のものです。すると巨匠マゼールだってまだ若い頃ということになります。
このロリン・マゼールは、現在ニューヨーク・フィルの音楽監督であり、言わずと知れた偉大な指揮者ですが、実は私が留学していたピッツバーグ大学を卒業していて、ちょうど留学中はピッツバーグ交響楽団の音楽監督でした。ピッツバーグの借家の大家さんがピッツバーグ交響楽団のコントラバス奏者だったこともあって、マゼールの指揮するハインツ・ホールでの演奏会にはよく出かけました。大家のトニー(アンソニー・ビアンコ)のおかげでこっそりGPも聴かせてもらったり、マゼールと一言二言会話もしたことがあります。ピッツバーグ交響楽団は、米国でも有数の歴史の長いオケで、マゼール以前には、オットー・クレンペラーやフリッツ・ライナー、アンドレ・プレヴィンという世界のクラシック音楽の歴史そのもののような名匠が率いていた。私がピッツバーグにいた1992~94年にはマゼールのおかげで、五島みどりさんや諏訪内晶子さんなどの日本人ソリストのコンツェルトも聴く事が出来た(おまけに諏訪内さんにはバイオリンケースにサインまで頂いたり)。

30代前半のマゼールが率いるロンドン響をバックに、まだ20代のアシュケナージが熱演するこのレコード。思わずパソコンでブログを書く手を停めて聴き入ってしまった。堂々とした1楽章(結構遅い)、美しく変化に富む2楽章(中間部のフランス民謡)、ロシア的なリズムからどんどん前へ進む音楽、そして劇的なフィナーレの3楽章。チャイコフスキーはやはり天才だと思う。『悲愴』を聴いても、『白鳥湖』を聴いても、バイオリン協奏曲を聴いても、そしてこのピアノ協奏曲第1番を聴いても、ますますその凄さに圧倒されるばかりである。
こんな凄い作曲家の、こんな素晴らしい曲を演奏できるなんてなんて幸せなんだろう、、、と本当に思う。音楽をやっていてよかった。フルートを吹いていてよかった。

というわけで、近隣の方は、是非11/16(日)の酒フィルの定期演奏会をお聞き逃しなく!(笑)


さて、午後は近所の富士見小学校で「合同音楽祭」。
昨年は警察音楽隊の音楽と「おネイサン達」のカラーガード(「楽しい音楽会」参照)にやられました。(^^;;;
今年は、いつもお世話になっている「酒吹」こと、酒田吹奏楽団が出演されるそうなのでちょっと除いてこようと思っています。なにせ、歩いて2分くらいのところですからね!

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コメント

初めてお邪魔します。いつもとても楽しく拝読させていただいております<(_ _)>

LPの話題に思わず反応してしまいました。私も捨てるのに忍びなく、30年前のステレオ装置を今も現役で使っております。先日アンプが壊れたので修理に出したら完璧に直ってきました(苦笑)

ビルエバンス、Waltz for Debby良いですねぇ。時々無性に聴きたくなるアルバムです。12枚組CD、私も持ってますよ(笑)

音楽は素人で聴くだけですが、クラシックも大好きです。
酒フィル定期、ひょっとしたらお邪魔するかも知れませんf(^^;)


投稿: lison | 2008.10.12 21:36

ビル・エバンスですかぁ。フルート吹きなら迷わず『What's New』でしょうね。鬼才ジェレミー・スタイグのフルートが素晴らしいです! ジェレミー・スタイグはお好きですか?笑

投稿: ラブリー♪ | 2008.10.13 00:09

lisonさん、はじめまして!
ようこそいらっしゃいました。
っちゅうことは、酒田周辺在住の方ですかの?だら、チケット買ってくれっとうれしやなの〜。
11/16(日)、2時開演です。はい、メモしておいてくださいね!(笑)
10/19(日)のピアノもいかがですか?

最近、聴いていなかったディスク、、、いい音楽はジャンルを問いませんね。
また覗きに来てくっとうれしやなのぉ。

投稿: balaine | 2008.10.13 03:56

ラブリー♪さん、いらっしゃいませ!倉敷出身だったんですね!コメしましたが、私も水島に住んでいたことがあります。
さて、ジェレミー・スタイグ、もちろん知っています!
その他には、エリック・ドルフィーとかジェイムス・ニュートンなどもディスク持っています。最近しばらく聴いていなかったので、また聴いてみようと思います。

そうそう、私、フルートを主に演奏していますが、子供の頃はピアノが主だったんですよ。昔はむしろピアノの方が得意だったんです。今は全然練習していないので「ちょっと弾ける」という程度ですけど。
また遊びにいらしてください!

投稿: balaine | 2008.10.13 04:10

こんばんは♪

この欄を通じての申し込みは失礼でしょうが、19日のじょんだのホール演奏会の座席がまだありましたら、大人一人、中学生一人で申し込みたいのですが・・・。直前の申し込みで申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

投稿: KEN | 2008.10.15 20:22

KENさん、ありがとうございます!
前売りとしてはまだまだ売れていないのです。ピアノ教室にもファックス送ったり宣伝はしているのですが。。。
是非、よろしくお願いします!

投稿: balaine | 2008.10.16 04:45

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