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2008.10.11

第5回山響モーツァルト定期を聴く

(長文注意、さらに未完成なり)

これまでの4回はいずれも土日の公演だったのに、今回は何故か金曜とはいえ平日の夜。
山響A定期、B定期、庄内(酒田・鶴岡)公演など、よほどの別用でもない限り欠かさず拝聴して来た山響の演奏会。
しかも日本で唯一、モーツァルトの曲だけを取り上げた演奏会をシリーズ化して、アマデウス・モーツァルト作曲の交響曲を全部演奏して録音し、モーツァルト交響曲全集まで出しちゃおうという山響音楽監督飯森範親氏の提案で始まった通称「モーツァルト定期」、本名「モーツァルト シンフォニーサイクル『アマデウスへの道』」。これは平日の夜とて無理をしてでも駆けつけなければ。。。

しかも!
今回のコンツェルトは大好きな「フルート&ハープ」。フルート譜は一応こっそり全部吹いたことはある(カデンツァを除いて)のでほとんど頭に入っています。
しかも!!
フルートソロは、私と同じ年で、同じ福岡県生まれで、同じく小学校5年生でフルートを始め、山形在住24年目(私は医学部卒業して医師になって25年)と、共通点の多い(フルート人生はその後大きな隔たりがありますが)、私の笛の師匠のお一人である、山響首席フルート奏者の足達祥治先生。

このプログラムを知ったのは、昨年暮れだったか今年始めだったか。。。10月10日って昔は「体育の日」でお休みだったのですが、カレンダーを見て「なんだ!普通の日の夕方じゃん!7時開演ならば遅くても酒田を5時まえに出ないと間にあわないよ〜。どうしよう。。。」
いえ、本当は、どうしよう、と思った時には心は決まっていたのです。
「医院を休診、または午後早めに切り上げて駆けつけるぞ!」と。

実は、本日10/11(土)なら米沢の「伝国の杜ホール」で同じ様な演奏会があるのです。「同じ」ではなく「同じ様な」と書いたのは、1曲目の演奏曲目が違うからです。テルサでは交響曲ヘ長調 K.76(番号なし)、米沢では「アイネク」です。「フルート&ハープ」は同じ。
んじゃ、無理しないで米沢に行くか?!とも考えたのですが、米沢で午後4時開演ということは、午後1時までの診療受付を終わらせて昼食を摂って2時まえに出かけても間にあわないでしょう。高速を使っても酒田ー米沢は片道2時間半はかかるはずです。しかも土曜日はアマオケの練習日なので、午後4時開演のコンサートが終わって酒田に戻れるのは、どう頑張っても9時近くとなり練習に出られません。あと5週で今年の定期演奏会、今年はチャイコのPコンでトップを吹かせてもらうのにこの時期に練習に出ないというのは問題です。
やはり、金曜の午後を4時半で診療を切り上げて速攻で山形を目指すしかない、と判断しました。

足達先生にも事前にメールを打っておきます。
「仕事を早く切り上げて聴きに行きます!頑張ってください!それで、ソリストで大変でしょうから断って頂いていいのですが、もしお時間がとれ、余裕があったら終演後にでもチャイコのPコンのフルートを少し見て頂けませんか?」
返事は予想通りNo!でした。当然ですね。プロでもそうそう演奏出来ない(オケとハープが揃う必要がありますから)モーツァルトの定番、超有名曲のソリストを務める日に他の事に気を回すのはイカン!でしょう。
優しい足達先生は、「来週、音楽教室で酒田に4日行くので、昼休みにでもどうですか?」とお返事をくださいました。終演後のロビー交流会の後に相談しましょう、との親切な言葉まで頂きました。
恐縮でした。

午後4時過ぎに新患が一人来ましたが、問診、診察、MRIを素早くやって病状を説明し、薬を処方したらちょうど午後4時半過ぎくらいに診療終了。再来予約の方も午後4時までしか取っていなかったので、診療を終え、片付けをしてクリニックを後にしたのは16:45位でした。
実は車の1年点検に出していて山形のディーラーに代車で取りに行くことになっていたので「開演2時間前」の出発は全然余裕がありません。
かなり頑張って山形市成沢のディーラーに到着したのは、計算通り18:25(代車のガソリンも満タンにして返す必要がありました)。素早く車を交換して、テルサに向かい会場前には18:45少し過ぎに到着。飯森さんのプレトークがあるので家内だけ玄関前で降ろし、私は駐車場へ。会場に入った時には、既にプレトークの途中くらいで、ソリストの二人がステージに呼ばれていました。フルートの足達先生はソロ・リサイタルでも時々来ておられるグレーの燕尾服。内田さんは、演奏用のドレスではなく普通のお洋服のようでした。慌ただしく着席して「ぎりぎり間にあった!」という気持ちの中、汗を拭いていたので飯森さんのトークの内容はほとんど覚えていません。
10/31にYBCで放送される『発見!人間力」という番組で飯森山響の特集がある事、NHKの『解体新ショー』という番組に出る事(東大病院で脳波を録られたとか、ピアノで適当な多重同時音を聴いてそれを聞き分ける事などをしたとか)、飯森山響のモーツァルトシリーズのCDがいよいよ12月(?)に発売になる、次回の定期(チャイコフスキー国際コンクール優勝の神尾真由子さん登場!)の時に先行販売するとか、このCDを黙っていろんな人に聞かせて「どこのオケだかわかる?」と質問したら皆海外のオケの名前を挙げたとか、、、そんな事を話していました。

さて、いよいよコンサートスタート。
冷静になって会場を見渡すと、右前の3列程はガラガラ。その他も少々空席があり8割程の入りでしょうか。こんな素晴らしいプログラムなのに!とは思いますが、やはり平日の夜では無理でしょう。しかも翌日米沢でも聴けるのですから、置賜地区の観客は今回は少なかったのではないかと想像します。

1曲目、交響曲ヘ長調K.76。管はホルンとオーボエにファゴットのみ。本当にモーツァルトの作品かどうか疑わしいところもあるそうですが、最近の研究では交響曲5番と6番の間の時期、アマデウス11才の時に作曲されたらしく、ケッヘル番号は76になっています(交響曲5番と6番のケッヘル番号がそれぞれK.22とK.
聴いていると、モーツァルトらしいとも思えるし、らしくないとも思えるし、微妙ですが、そんなこととは関係なく、優しく可愛らしい曲で山響のノンヴィブラートの演奏がまた素晴らしい。澄み切った弦の音がテルサホールの隅々に届く感じ。弦は対抗配置に近く、下手に第1Vn.、上手に第2Vn.、チェロが下手側でビオラが上手側、そしてコントラバスは管の後ろ、最後方に3本並んでいます。
15分ほどの短い交響曲で、爽やかにあっという間に終わってしまいました。

2曲目、いよいよ「フルート&ハープ」です。団員は一旦袖に下がってコンツェルトの設定。
Photo指揮台が少し奥に移動され、指揮者の上手側にハープ用の台、その上にハープが設置されます。上手側に足達先生用の譜面台が置かれます。
コンツェルトのソリストの場合、譜面を置かず暗譜で演奏する事も少なくありませんが、最近の趨勢としては、暗譜していたとしても楽譜を見ながら、譜面の指示に忠実に演奏するのがプロの演奏家の務めというような意見を聞いたことがありました。
下手のバルコニー席最前列から見下ろすと、なんとなんと、足達先生の譜面台に写真が貼ってあります。お子さん達の写真のようです。きっと演奏開始時に愛する家族の写真を見て、心を落ち着かせパワーをもらっていらっしゃるのでしょう。実は終演後、足達先生の奥様にお聞きしたら、七五三の時のお嬢さんの着物姿の写真をいつも用意されているとの事。もう一枚は息子さんの運動会の時の写真だった様な。。。奥さんの写真はないのでは?酷いですよね!と笑っておっしゃっていました。(笑)
(個人情報をばらしてしまいすみません。問題あればこの部分、削除致します)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲『フルートとハープのための協奏曲ハ長調 K.299』
ああ!なんと素晴らしい曲なのでしょう。季節は秋なのですが、まるで春の麗らかな日差しの中で美しい芝生の上で遊んでいる様な気持ちになります。私はまるで自分が吹いている様な気分になって足達先生の素晴らしい響き、ハープとの楽しく幸せな音楽、山響の澄んだ音、特に2楽章で意外に主張するビオラに嬉しい驚きを感じながら、あっ!と言う間の30数分でした。
カデンツァはあまり聞き慣れない部分もあったので足達先生のオリジナルもはいっているのかしら、と思ったら1楽章と3楽章は比較的多く使われるライネッケ版、2楽章はトーマスと言っておられたように記憶しています。ライネッケは足達先生もソロリサイタルで取り上げる作曲家でフルート吹きには、「ウンディーヌ」などが有名です。ロマン派の作曲ですし、フレーズとしてはモーツァルトにぴったりという感じは受けませんでした。メインの部分は、「名手」と評されたとはいえアマチュアのド・ギーヌ公爵とその娘の為に作曲されたので、どちらかと言えば技巧的には易しい方に入るのでカデンツァでフルート吹きの技巧を見せたいために作曲した、そんな印象を受けました。
いずれにしろ、お二方の演奏はBravo!でした。
鳴り止まない拍手に応えて2回のカーテンコールのあと、ハープの内田さんがハープの椅子に座ります。お!アンコールやってくれるんだ、「アルル」かな?「カルメン」かな?
ボン、ポンポンポン、ポンポン、、、おお!「アルルの女」からメヌエットだ。
今度はシーンと静まった広い会場に、ハープとフルートの優しい音色だけが響きます。フルートを始めた者なら、一度は吹いてみたい、またはこっそりと吹いてみた事のある名曲。私も中学のブラバンの練習の合間によく吹いていた様な気がします。
足達先生のマテキ18Kゴールド(モーツァルト定期の時はオケの中ではパウエルの木管を吹いているのですが)の輝かしい、艶のある音が響きます。聴衆は皆うっとり!です。
素晴らしかった。なんだか我が事の様に嬉しくて嬉しくて顔が自然に笑顔になってしまいました。

休憩の後は、メインの交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」。プログラムには演奏時間35分と書いてあった様に思いますが、ずいぶん長かった。40分以上あったと思います。ロビー交流会で飯森さんは「普通やらない繰り返しを全部やりました。40分以上で大変でしたがオケが集中力を切らさず、時に効かせるエスプリに皆が着いて来てくれて、満足のいく素晴らしい演奏でした!」とおっしゃっていました。
プログラムノートによれば、アマデウスはこの素晴らしい交響曲を4日で書き上げたとの事。もはや宇宙人以外の何者もないですね。すべての楽章がいいのですが、印象的だったのは4楽章。あの超人的なプレストは効いている者の交感神経を刺激して、脈拍が上がり発汗する様に感じました。
ファゴット→オーボエ→ビオラ→第2Vn.→第1Vn.と同じ(ような)旋律が移って行くのは、バルコニーから見ていると大変面白いです。音の塊が、はいこちら、次そちら、ほんでこっち、はいそこ、そしてこっち!と動いて行くのです。しかも全く同じ旋律ではなく、一つおきに同じリズムと旋律の動きだったりとちょっとした、わずかな違いで続いて行きます。
いわゆる「後期」というかモーツァルトの40数曲(正確な数は?)の交響曲の中でも、最後の38番「プラハ」、名曲39番、不滅の40番、41番「ジュピター」へと続くほんの少し前の作曲で、緻密な構成が聴いていてもよくわかりました。

Photo_2終演後のロビー交流会で、「なぜ今回36番「リンツ」だったのか?」というインタビュアーKさんの質問に、「特に理由はありませんよ」と答えていた飯森さん。私は、「リンツ」はフルートが降り番なので足達さんが疲れないですむ、ハ長調なので古楽器を使うホルンとトランペットがC(ツェー)管一本で済むなどなど、細かい配慮の上の選曲だと思いましけど。
演奏前のチューニングの時に、オーボエが出す、通常のH(ハー)442Hzで弦がチューニングした後、C(ツェー)で管がチューニングする様はわかっていても面白いものでした。

観客の私の方が素晴らしい演奏に興奮していて、ソリストの内田さんも足達先生も冷静な感じで、交流会でどんな事をお話になったかよく覚えていません。ただ、足達先生が、「これからフルートをやりたい、今フルートをやっているという人たちに何かコメントありませんか?」という問いに「僕のところに習いに来てください!」と返して受けていた事だけはよく覚えています。
その後、コンミス犬伏さんに先日の松山の演奏会は別用で行けなかった旨詫びて、大変な曲でお疲れでしたねなどとお話。「松山の演奏会場に行ったら、受付のスタッフが酒フィルの人で、庄内はどこに行っても酒フィルの人に会うのよね(笑)」などとお話。次回の山響A定期の翌日、11/24(月・祝)は米沢フィル(アマオケ)の定期演奏会で、犬伏さんがブルッフのVn.協奏曲のソリストをなさるのだそうです。チェロの渡邊研多郎さんに、映画『おくりびと』でモックンの横で大きくアップで映ってましたね!などとお話。その他、数名の団員と言葉を交わし、ファンや弟子から解放された足達先生とお話。
来週、山響の音楽教室で4日連続で酒田に来られるそうです。4日も続けてなら泊まればいいのに、、、と思いますが、庄内って中途半端な遠さなんですよね。往復3~4時間で行って帰って来れるので、もうちょっと近いと(片道1時間くらい)なら楽に往復出来ますし、もう少し遠ければ(片道3時間くらい)ならば最初から泊まろうという気になるでしょう。その午前午後2本立ての音楽教室の合間を見て、私の笛を見てくださるということで詳しい打ち合わせは後ほどメールで、ということになりました。
練習の時に恥ずかしい思いをした、あのチャイコのPコン3楽章の高速の第3レジスター16分音符の部分も、換え指というか、倍音を使って第2レジスターの指使いで「後は気合いで吹くんですよ!」と足達先生からアドバイスをいただいて以来、気合いで練習してだいぶまともに吹ける様になってきました。酒フィルの定期演奏会本番まであと5週間なので、もう少し「気合いだ!気合いだ!気合いだ〜!!!」で頑張ってみようと思います。

ロビー交流会後、特別客演コンマスの高木さんと第2Vn首席のヤンネ舘野さん(舘野泉さんの息子さん)を交えて、山響ファンクラブの面々が集う食事会があるという事でお誘いを頂いたのですが、土曜も朝から仕事のある私は今日中(10/10中)に酒田に帰りたいため、残念ながらお断りせざるを得ませんでした。交流会が終わって駐車場から車を出した時には(そういえば我々の後ろを、7月のラジオ番組出演でもお世話になったYBCの金本美紀さんが歩いていらっしゃいました、『発見!人間力!』番組ディレクターとともにコンサートに来ておられました)、21:45を回っていたと思います。
それからちょっと軽く食事をして、酒田の家に帰り着いたのは23:30を回っていました。往復230kmはやはり疲れますが、足達先生&内田さんと飯森山響による『フルート&ハープ』があまりに心地よかったため、私の顔も心もずっと笑顔でした。こういう気分の時に人は「あ”〜、づがれだ〜」とは感じないようで、「うん、ちょっと疲れましたね、お疲れ!」という爽快な気分でパジャマに着替えたのでした。。。

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コメント

トラックバックをありがとうございます。いい演奏会でしたね。協奏曲の優美さにため息をつき、「リンツ」交響曲がこんなにエネルギーに富む音楽だとは、初めての体験でした。終楽章は、ほんとに堪能しました。やっぱりLPやCDだけでわかったつもりになっていてはいけませんね。バルコニー席の眺めはこんなふうなのですか。全体を客観的に見られる席かもしれません。

投稿: narkejp | 2008.10.11 19:40

こんばんわ
前日お世話になった者の母です
その節はありがとうございました
娘に内緒でこちらにコメントしております
(ばれたら非常に怒られますので 読んだら削除して下さい)
先日の娘の頭痛の事を(2回にわたり)私の日記に書いております
よろしかったらご覧ください

投稿: あんこあめ | 2008.10.11 22:36

narkejpさん、TBありがとうございます。
同じコンサートに行っても、視点も聴き方も全然違うのですが、共通するのは「素晴らしい演奏だった」ということですね。
本当に、山響が地元にある事を感謝します。飯森さんの企画実行力にも脱帽です。

投稿: balaine | 2008.10.12 09:01

あんこあめ様、すみません、「公序良俗」に反しない限りすべてのコメントは残しております。ブログを非難するようなコメントも残っていますよ。なので消しません。(^^
まあ、お嬢さんに怒られてもいいじゃあないですか。(笑)
プライベートな話ならメールにして頂ければ大丈夫ですよ(ページの左側、プロフィールの上です)。
せばの!

投稿: balaine | 2008.10.12 09:06

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» 山響モーツァルト定期「アマデウスへの旅」Vol.5を聴く [電網郊外散歩道]
極力オリジナル楽器を用い、ノン・ヴィヴラート奏法で一貫した、八年がかりのモーツァルト交響曲全曲演奏「アマデウスへの旅」、昨日は第5回目でした。仕事で出発が遅くなり、高速を飛ばしましたが間に合わず、会場の山形テルサホールに到着したら駐車場も満車です。しかたなくUターンして近隣の別の駐車場へ。一曲目の交響曲ヘ長調K.76は、途中から会場ロビーで聴きました。ロビーで事務局の方が休憩時に販売するCDの準備をしていましたが、11月末にオクタヴィア・レコード社から39番の交響曲ほかの新録音がCDとして発売予定と... [続きを読む]

受信: 2008.10.11 19:33

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