鳥海初冠雪、そしていろいろ
朝晩冷え込むようになりました。
外に出るのに、長袖のシャツにさらにもう一枚、ジャケットか薄手のジャンパーの様な物を羽織る程です。
そして、本日、ずっと雲を被っていた鳥海山の頂上近くが午後遅く顔を出しました。
「あ!雪だ!」
私の医院の院長室から午後4時頃に写したものです。
間違いありません。
と思ったら、どうも昨日「初冠雪」だったようです。こちら→「酒田徒然的写真の心」をご覧ください。
ーーー
今日は、(朝から寒かったので)お昼にラーメンを食べようと思い、まだ行っていないいくつかの有名店の中から某店を選んで行ってみました。ネットで検索してみると、けっこう良い評価が与えられているようです(私は駄目だ、というブログも一つ見つけましたが)。
私は、今まで訪れたお店で美味しかったお店は素直に「旨い」と評価し、こんなブログでも見てお客さんが増えれば良いな、と思っています。しかし、グルメレポーターではないので、旨くない、とか、まずいと思った店を掲載するのは営業妨害になり得るのでレポートしていないお店もいくつかあります。
今日行ったお店は「残念」なお店でした。ですから写真はありません。
私は暖まりたかったので「辛味噌」ラーメンを注文しました。
家内のラーメンがテーブルに来てからずいぶん(3分以上?)待たされたので、「どうしたのかな?」と思っていたのですが、ようやく運ばれて来たラーメンを口にした瞬間、大変がっかりしました。麺が異常に延びていたのです。単に茹ですぎた、というよりも、ラーメンを茹でた後、上に載せる具材の炒め物とのタイミングが合わず、数分間放置されたような感じでした。そのグニョという感じに怒りを覚えつつも我慢して食べていましたが、家内のラーメンの麺を啜ってみると軟らかめではあるものの腰のある太めの縮れで、全然触感が違います。
私はお店の人に言って店主をテーブルに呼び、「私のラーメンを食べてみてください。麺がのびてるんですけど、、、」と言いました。店主は「作り直しますか?」というので、「いえ、とにかく食べてみてください。」と言いました。店主は麺を一口啜り「麺固めが良ければ言ってもらえれば、、、」というので、「いや、そういう問題ではなくて、異常に延びているんですが、、、」と言ったところ、「いや、うちのはこんなもんです。」と応えるので「ああ、もういいです。」と終わりにしました。
私はそれほど味覚音痴ではないと思っているのですが、あの麺を延びているのではなく「うちのはこんなもんです」と応えた事で「この店は終わりだな」と思った訳です。味覚は十人十色、好みがいろいろありますから、私と違ってここのラーメンを美味しいと思う人もいるのでしょう。しかし、こんな延びた麺が「ふつう」だと応えるその感覚に呆れました。
このお店は、ラーメン好きが選ぶ東北のラーメン店でけっこう上位に入っています。山形県のラーメン屋さんで1位なのは、実は東北全体で1位の、私も大好きな赤湯ラーメンの「龍上海」。横浜の「ラー博」に出店した事も高得点を得た要因かも知れません(人は自分の味覚よりも人の評価、有名かどうか、をありがたがる傾向があります)。今日行ったお店は、「龍上海」に次いで山形県内のラーメン屋としてはかなり上位に入っているお店なのです。酒田市内で有名な「満月」や「三日月軒」や「川柳」よりも上位にあるお店です。テレビの取材も受けたことがあるように聞きました。
店主が変わったのでしょうか。何かが変わったのでしょうか。どうしてそんな高評価がなされるお店なのだろう、と苦笑しながらお店を後にせざるを得ませんでした。家内の食べた普通のラーメンも、醤油味のスープが何か臭いのです。背油などが入っている訳でもないのに、鍋物のスープのような脂臭い感じ。大振りの餃子も一噛み目はまあまあなのですが、何か砂糖でも入っているんじゃないかと思う位、甘い。キャベツや白菜などの野菜による甘みではない何か変な甘さでした。
「ここがどうして○位なんだよ!」と心の中で『あなたが選ぶ東北のラーメンベスト60』を恨みました。今日のお店よりもずっと低い23位の喜多方「坂内食堂」の方が、ずっとずっと美味しい。このランキングに載ってすらいない、酒田の『三日月軒 東中之口店』の「乱切り麺」の方がずっとずっと味がある。同じくランキングに載っていない酒田の『味龍』は、麺はあのラーメンの鬼「佐野実」のお墨付きだしスープや具材とのバランスがいい。
酒田のラーメン屋さんは、山形市周辺のお蕎麦屋さんと同様に、どこにいっても裏切られる事のない、どこもなかなかの味、と思っていたのですが、今日のような残念なお店がある事もわかりました。考えてみれば、ラーメンという食べ物は、スープも麺もいつも安定した味で作るのは大変な料理だと思います。シンプルであればある程難しいと思います。それをいつも変わらず出している、いくつかのお店はスゴいんだな〜と教えられた感じがします。
ーーー
気分直しに少しドライブする事にしました。
酒田の北の方に来ていたので、「そうだ!城輪の柵に行ってみよう!」ということに。
以前勤務したUクリニックから数km東北東方向、自宅からでも10分ちょっとの場所にそれはありました。
昭和7年に文化庁から国の史跡に指定されています。この写真は、史跡の北側から来るまで入ったところ、東門の正面に説明文がありました。
左側の写真は、史跡内の北西方面から入って来た東門方向に振り向いたところ。正門が右側に見えます。
右の写真は、その正門から外に出て北東方向、鳥海山を借景に撮影しました。晴れていて頂上が見えれば、古代の史跡址とそびえ立つ鳥海山という素晴らしい写真が取れるはずです(しかし高圧送電線が見事に邪魔です!)。
この「城輪の柵(きのわのさく)」は中央政庁が出羽の国に置いた「出羽柵」説もありますが、まだ確定していないもののようです。「国分寺」説もあるようです。「出羽柵」ならば、8世紀初頭、まだ平城京(奈良)に遷都される以前から、出羽の国を治める中央の出先機関はここ酒田の地にあったと言うことになります。
その後、渤海などから渡来する異国人が東北の北部沿岸(秋田周辺)に漂着し、多賀城(仙台の少し海側)と交流を持とうとするのを、蝦夷人が殺してしまうため、中央政庁は秋田城を造って管轄したと言われています。「続日本記(しょくにほんぎ)」や「日本後記」などの記載とこの柵址平面図から考えると、「城輪の柵」は平安朝の9世紀初頭に創建された、「出羽国府」であったとする考え方が有力なのだそうです。
東門の入り口脇に引き出しのついた小さな机が置いてありました。その中に訪問する人向けのパンフレットが置いてありました。
左はその表面。古代の人も、鳥海山の勇姿をあおぎながらここで仕事をしたのでしょう。(ただし、9世紀には出羽の国の大地震や鳥海山の噴火が起こっていますので、今の山の形とは違ったのでしょう)
右の写真や図は「城輪の柵」と鳥海山およびその裾野に広がる庄内平野の一部を空撮したもの。正殿を持つ政庁イメージからは、平安時代の出羽の国の当時がしのばれます。
陸路よりも海路の方が京には近いため、現在の仙台側の陸奥の国よりも、山形側の出羽の国の方が中央政庁に早くて近かった訳です。つまり平安時代は、宮城県の方が山形よりもより「奥の国」であり田舎だったと言うことになります。それは、その後鎌倉幕府に至るまでの間の京と東北の政府出先機関と豪族の関係でもわかります。義経主従も京から日本海側を伝って北上し、最上川から東進して、峠を越えて陸奥の国の平泉に逃げ延びています。鳥海山に大物忌神社という「一之宮」がある事からも、現在の東北地方で当時の中央政庁に最も近い中心地は、ここ庄内の地にあったのかもしれません。
そんな歴史ロマンを感じながら散策していたら、「残念なお店」の事は忘れてしまいました。
医院に戻り、10/19(日)に予定しているサロンコンサートのパンフレット作りをしました。
頭を使った時には甘いもの。
こういう、美しい、美味しいものを頂くと、目と舌で脳を喜ばせることが出来ます。先日お寺さんで講演した話の中で、ストレスを回避する、ストレスを減らすということを説明しましたが、「五感」で脳に快感・心地よい刺激を与える事でストレスホルモンを減少させ、快感ホルモンを増量して、脳内のアンバランスを補正調整し、こころの病気を予防できると思います。そういう意味でも、こういう昔から「美味しい」と言われているものは貴重です。だからこそ、偽装や疑惑による歴史と伝統のある食品・食材への信頼の損失は、当事者が考えている以上に重い罪だと言えるでしょう。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんばんは。
美味しい店という本の一部は、その選者や出版社が広告代をもらったり、人間関係などで必要以上に褒めてしまう店が何軒か含まれるというのを聞いた事があります。
さらに評価が上位の店でお客さんが増えてくると、スープが手抜きになったり、ご飯の炊き方がまずかったりする店もありますものね。
私が気に入っていた某お店は、有名になりお客様も増えて、支店を出したために店主が全部の店を掌握出来ずに味が落ちた所があります。毎週のように通っていたのに、ここ3年くらい行かなくなりました。
お客様に出して「美味しいね」と笑顔で言われるのを常に行うことは難しい事です。確かに維持や向上しているお店は凄い事ですね。
私が味がわかるとは言えませんが、自分が美味しいと思う物(好きな物)は、あるつもりです。味が下降するとすぐわかってしまいますもの。厳しい世界です。
音楽でも同じ事です。
投稿: らびお | 2008.09.28 23:46
らびおさん、コメントありがとうございます。
(ファストフードを除いて)料理と言うのは、旨い不味いの他に、作り手の真心とか誠実さというのがわかりますよね。厳しい修行を経て一度技術を身につければよほどの事がない限り衰えないもの(例えば寿司)もありますが、ラーメンというのは「素材」「下ごしらえ」「手間」「調理」と4拍子揃わなければなかなか安定して美味しいものは出せないように思います。それを安定させるコツは「誠実さ」であるような気がします。
なかなか深い世界です。
投稿: balaine | 2008.09.29 12:53