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2008.04.01

エイプリル・フール

悪い冗談だと思いました。
一日早い「4月1日」だと思いました。
私の自宅のすぐ近所、クリニックからも遠くない場所で殺人事件が起きました。
ニュースで報道されましたので詳細は避けますが、非日常の出来事が日常の近所で発生する、世の中にはまさに「想定外」の事があるんだな〜とあらためて実感いたしました。

クリニックを開院して丸4週間が経過し、少し落ち着いて参りました。
木、土が半日なので実質20.5日で160人を超える新患に受診いただきました。一日平均8人の新患数はまずまずと言えると思います(多ければいいと言うものでもありませんし、少なければ少ないで困ります、、、)。MRIは4人に3人くらいの割合で撮像しています。検査が多い理由は、1)MRI検査を希望して来られる新患が多い、2)他院からMRI検査を主目的に紹介される方が多い、3)他院での治療を受けていて中にはその診断や治療に不安を持っている方がいる、4)問診、神経学的診察などの結果、積極的に「MRIを撮る必要がない」と断言できる患者さんは多くない、というようなことになります。
脳ドックなどのように、特に問題点はないと思っているが健康診断のためにMRI検査をするということになると保険診療扱いではなく「自費」になります。しかし、上記のような理由で医師がMRI検査の必要性を認めた場合には保険診療になりますので、一般の保険本人または家族は3割負担で、高齢者は1割負担で検査を受けることが出来ます。
しかも、大学病院や大きな総合病院と違って、いろいろな部門でのMRI検査が詰まっていないため、予約なしで受診当日に検査を受けて結果もMRI診断の経験豊富な医師が(一応、私のことです、、、(^^;;;)検査終了後すぐに説明できる点が大きなポイントになっています。

本日から、公式に「日本海総合病院」がスタートしました。山形県立日本海病院と酒田市立酒田病院が統廃合されて、主に救急医療と急性期疾患を扱う日本海総合病院(旧県立日本海病院)と主に回復期疾患とリハビリテーションを扱う日本海総合病院酒田医療センター(旧市立酒田病院)になるのですが、計画通りの機能分担が果たせるようになるのは実は平成23年4月から、つまりまだ3年先のことです。
2つの病院を統廃合して機能分担するためには、組織だけではなくハード、つまり建物を変えなければなりませんが、これには時間とお金がかかる訳です。
昨日までの県立日本海病院を増改築して、病床を増やし、手術室を拡張し、MRI検査などの新しい機器を導入し、救命救急センターを作って、より急性期疾患に特化した進化した第3次医療機関となるために3年を要します。旧市立酒田病院もこれまでの総合病院をすぐに「回復期・リハビリテーション」に特化した施設には出来ないので、3年かけて改築する訳です。

この3年間の間、両病院の「脳ドック」はなくなると聞いています。統廃合に合わせて医者の数が増えず、脳外科の救急を担う施設は北庄内では日本海総合病院一つになってしまうからです(余目病院という徳洲会系病院がありますが、ここには脳外科の常勤はおらず秋田大学から月に一人派遣されているだけです、でも脳ドックはやっているように聞き及んでいます)。

「脳ドック」というのはただMRIを撮れば済むようなものではありません。
MRI検査は中核をなしますが、問診、神経学的診察、血液検査、心電図、更に頸動脈の超音波検査やMRIによる頸動脈撮影などが加わります。そしてこれを「経験豊かな医師(特に脳外科医がベスト)」がじっくり読影して診断し、生活習慣に関する指導や注意を行い、場合によっては投薬、その他の治療など治療方針を決定するのです。
今はさすがにないでしょうが、一頃関西の方で名ばかりのいい加減な脳ドックがはやっていたそうです。いわく「うちは2万5000円で脳ドックができまっせ!」というものです。MRIを持っていて、でも脳外科専門医も神経内科専門医もいない病院で、脳ドックの看板を掲げ、安い料金を売り物に受検者を集めて、検査をやった結果はアルバイトで放射線科医にMRIの読影診断をさせて、手紙で被検者に送りつけると言うものです。
笑い話のようですが、大阪のある社長さん(70才代後半)がこの「似非脳ドック」を受けて、受け取った手紙に「多発性脳梗塞」と書かれていたたため、健康に自信のあった方がショックを受け、どこかの大学病院の脳外科に「先生、わたし、脳梗塞と診断されましたんや!治してくなはれ!」と駆け込んだというのです。そこの脳外科医は手紙と結果のフィルムを観て、「70才にもなればこのくらいの所見の人はたくさんいますよ。現在、症状もないのだからこのまま様子を見ましょう。」と告げたのだそうで、「あの脳ドックは何だったんだ!」という事になったと聞きました。

人間ドックにしろ脳ドックにしろ、船の「ドック」を語源にしている以上、専門的な詳しい検査が出来て、しかも何か異常があった場合にはそこで治せるか、治す対処の仕方がわかるようでなければ困る訳です。ですから「脳ドック」というのは、手間がかかるとともに「責任」が重大なのです。そういった強い意識がなければ「脳ドック」など安易にやっては行けないと私は思っています。やる以上は一人の検査と読影と診断と結果説明に合計で2時間から検査項目によっては2時間半はかかるものだと考えています。
日本海総合病院への移行に伴って北庄内に脳ドックがなくなる事は私も憂慮しています。病院脳脳外科医からも私のところで脳ドックをやってもらえないかという希望は聞きました。開院してまだ間もなくで、私自身、スタッフなどが地に足をつけて診療が出来る体制が整い十分に準備ができたら始めたいと考えていますが、もうしばらく、早くても5月の連休明けくらいまでは、、、と思っています。脳ドックをやるためには外来診療時間を減らして、「脳ドック専門の時間」を組まなければならないと思います。(別に専門の時間を組まなくても出来るかもしれませんが、片手間にはやりたくないのです)

「脳ドック受けたら、なんだかよくわからないけれど脳梗塞と言われて何か薬を飲まされたけどこれは何ですか?」などというようなことが、ここ庄内では絶対にないようにしたいと思っています。「あの脳ドックは何なんだ?!」と言うような事のないように、正しい、真実の脳ドックを考えて準備したい、とエイプリル・フールの日に、まじめに考えました(つまり、嘘ではありません、真面目な話、です、、、)

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