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2008.03.19

立ち止まっていはいられない

3/16のオペラ『ラ・ボエーム』、あのビッグイヴェントが終了して本日で早くも3日が経ちましたが、出演した者の一人として日々の仕事をしながらもまだ「余韻」を引きずっている感があります。この数日の間、私が招待した知人・友人から多くの賞賛を頂きました。
中でもブログを書いておられる、私のクリニックの設計担当である一級建築士のA氏の感想などは演奏者冥利に尽きるものでした。どうぞ「プッチーニ作曲 オペラ”ラ・ボエーム”」をご覧下さい。

3/17(月)の朝から、強制的に(?)日常に戻されている訳ですが、先週と違って今週はなぜかクリニックにいらっしゃる患者さんの数が多くなっています。2回目の受診の方がチラホラ見えて来た上に、新患が多いのです。そして、これまでも数回書いている様に、頭痛、めまいなどの一般的な訴えで受診されて、通常に神経学的診察では明らかな異常所見を認めないのにかなり高い確率でMRI上の異常所見が見つかっています。
3/17に初診された「めまい感」の患者さんで、神経学的には明らかな運動麻痺や感覚障害などはなく、自覚症状が継続するならMRIを撮りましょうか?という対応で経過を見ようとした方が2日後の本日再来されました。寝ていても周りが「サーッ」と流れる様なめまい感と左半身のだるさを自覚するということで、処方しためまいの薬を服用してもあまり改善しない、ということでいらっしゃいました。
頭蓋内病変を否定する意味でMRIを施行してみた所、なんと右の前頭部前方(額より少し上方)に直径25mm程度の腫瘍が見つかりました。軸位、冠状断の種々の撮像法によって「髄膜腫」の可能性が非常に高いと思います。この腫瘍が右前頭葉に食い込む様に発育しているため、患者さんが訴えられていた「周りがサーッと流れる様なめまい感と左半身のけだるさ」は十分腫瘍による症状であると思われます。腫瘍の主座は右前頭葉前方の「眼球運動の上位中枢」よりも少し前方にあるのですが、ここに対する圧迫症状またはてんかん症状の可能性があると思われます。

休日を除くと、開院して15日になるのですが、70才以上の方に見られる無症候性の散在性の小さな脳梗塞の所見は予測していた事ですが、腫瘍、くも膜のう胞、ラトケのう胞、未破裂脳動脈瘤が各2個ずつ診断されました。慢性硬膜下血腫(すでに総合病院で手術終了)と器質化した硬膜下血腫(交通事故後11ヶ月、昨年某病院でCTやMRIにて同様の所見あり)なども診断されており、しかもそれらの画像は満足できる高い画質で、「非」超伝導MRIの中では最上位機種を選択導入した事が間違いではなかった事を確信しております。

4月から診療報酬が一部改定されます。
MRIの検査料は、現行の「1.5T以上MRI=1230点」、「それ以外のMRI=1080点」から変更はないようです。
実は、このテスラ(=T)でMRIの料金を高いものと安いものに分けているやり方には不満があります。例えば、10年前の1.5TのMRI、そこまで古くなくても5年前の機種と私が「清水の舞台から飛び降りる覚悟」で導入を決定した0.4TのMRIの画像を比較してみると、画質に遜色がないどころか、MRAに関して言えば高速コンピュータを使用したPACS(MacPro+OsiriX)のお陰で当院のMRAの方が画質も綺麗でより診断力が高いものであると自信を持って言えます。
画質が良くて診断力が高い器械を使用しても、現行の診療報酬制度では「安い方」=1080点の検査という「枠」にはめられているのです。「お上」が決めている事であり逆らう事は出来ないのですが、患者さんの役に立つという観点からは、少し古い超伝導MRIと同等かそれ以上の画質を確保できている自信があります。この自信は日々の診療における私のモチベーションにはなりますが、残念ながら医院の「収入」という面では貢献しません。しかし、上記の様にこれまで15日間のわずかな経験でも、私がMRIを持って開業した事は地元住民の方々の役に立ち、地域の医療レベル向上に確かに貢献していると自負しています。

地元の総合病院におけるMRI検査は予約が立て込んでいる為に、脳外科や神経内科を受診した患者さんで軽症(自覚症状はあるが医師の診察による他覚所見がないなど)の方にはすぐにMRI検査が出来ない状況(緊急性が乏しいと判断する為)となっており、およそ3~4週間待ちなのだそうです。そのためそれらの病院の先生方が「あそこに行ってMRIを撮ってもらって下さい」と当院を積極的に紹介して下さいます。つまり、病院から診療所へMRI検査の紹介が行われるという、すこし変わった(でも予測していた)状況になっています。
総合病院へ集中しがちな患者さん、病院に於ける限られた診断機器の数、そして限られた勤務医の数に対して必要とされる検査数の多さのために、病院でのMRI検査の予約混雑状況はどこでもこんなものではないでしょうか。先日、山形市から車を運転してわざわざ酒田まで受診に来て下さった、以前私が診察していた患者さんなどは、大学病院の専門外来で「その先生の外来日に限定して、ある特殊な撮像法を指定して」MRIを予約すると、なんとなんと「7ヶ月待ち」だったそうです。
MRIの予約が半年以上先になるという、信じられない状況が起こっているのです。
私も大学病院に勤務していた時に検査を予約する側としてこのような事態は経験済みです。このような「異常」ともいえる事態に対処する方策としては、「予約の取りやすい他院のMRIを利用する」でした。山形市内の私立、公立の病院で信頼できる優秀な放射線科医が常勤し(顔が見える)、MRAや高度な撮像の出来る機種(たいていは1.5T)のある近くの病院3つの中から選択してMRI検査のみを予約依頼するのです。これであれば、曜日や時間をある程度指定しても1ヶ月後くらいの検査が可能でした。
私のクリニックのMRIも、地元病院のすでにパンクしかかっているMRI検査の代替え品としても活用される事を想定し願っていましたが、開業2週が経過した時点で徐々にそのような状態になって来た様に感じています。

立ち止まってはいられない訳です。(^^)

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