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2008.03.12

様々な手続き

診療所を開設するまでにたくさんの書類を書き手続きをしました。
大雑把にいってしまえば、金融関係、建築関係、医療施設開設関係、労働および税務関係です。
対象とする施設または係は、銀行、保険会社、建設会社、リース会社、市や県の建築課、消防署、保健所、社会保険地方事務局、労働基準監督局、税務署などです。
これを私一人でやってやれないことはありませんが、書類が多くてとても大変です。これに加えて、医療産業廃棄物処理に関わる契約や自動販売機の契約、ビル管理、警備会社、清掃関係の契約も結びました。
銀行担当者、税理士、社会保険労務士、リース会社担当コンサルタント、それぞれの会社の契約担当が持ってくる書類に、言われる通りに(言われるがまま?)住所を書き、署名をし、捺印をし、一体何枚の契約書や書類を書いたことでしょう。

院内に揃える物品のうち、PACS用のコンピュータは知人の助けを得て、自分でコンピュータ販売会社に直接交渉し発注し支払い納入してもらいました。テレビや掃除機などの院内家電製品は自分で家電量販店に出向き、必要なリストを渡して見積もりをもらい、発注して支払い納品してもらいました。
ファックス・コピー複合機は医療機器販売会社の事務所に販売店担当者を呼び、説明を受け、発注し納品受け支払いをしました。その他の小物医療関係用品は細かいリストを作ってもらい発注し納品しました。
院内の家具(待合室のソファ、診察室の机など)は、2社の提案プランと見積もりを比較し、さらにカタログとレザーや布地の見本を実際に見て、考えて発注し納品され支払いをしました。
これらのことは、当然ながら担当者と相談しながらも全部自分一人で考え、決めなければなりませんでした。

そして、2ヶ月ほどかけて考えに考えたあげく決めた電子カルテも、準備段階、シミュレーションを経て、現在なんとかうまく使っていますが、今度、もう一つ手続きが出てきました。
患者さんが病院、医院を訪れて診察を受け、会計する場合、その加入している医療保険(国保、社保など)によって個人負担額がかわります。おおむね、一般社会人の本人の現行は「3割負担」です。つまり、当日の診療費用(院外処方なのでお薬代は除く)が5000円かかったとすると、本人は3割の負担なので窓口では1500円を支払って帰ることになります。医療機関としては、5000円相当の医療行為を行ったのですが、残りの7割分3500円は窓口では受け取れません。これは、患者さんのはいっている国民健康保険(国保)か社会保険(社保)の医療費支払い基金に医療機関から「これこれこういう医療行為を行ったので出してください」と明細とともに依頼を出して、各支払い基金ではそれを妥当な医療行為であるのかどうか「審査」して、認めたものだけ医療費を医療機関に支払います。
要するに、「ちょうだい」と言いさえすれば「はい」とくれるものではなく、「こういう医療行為ですので正当に医療費を請求いたします」というお願いをして、「そうですね、いいでしょう、支払います」と認められて初めて残りの3500円が医療機関に払われます。これは、たとえば今日3/12の医療行為ならば翌月4月の10日までに申請をして、それを審査されて認められれば5月になって医療機関に支払われるという寸法になっています。
この審査の段階で、「ん?この病名でこの検査はおかしいですね。認められません。」とか「この診療行為でこの請求は過剰ではないでしょうか?」とか「このお薬はこの病名では認められません。」ということになって、「返戻(へんれい)」ということが起こりえます。保険診療として認められないから支払い基金としてはお金を出せません、と断ってくる訳です。医療機関はそれでは困るので、返戻された内容を検討して、漏れていた病名を付け加えたり、その請求をした理由を詳しく書いて認めてもらえるように「再審査」を請求します。その結果、支払い基金側の審査で「そういうことであるのならばいいでしょう、支払います」となる場合、さらに1ヶ月以上支払いが遅れます。さらに、「いや、そういう理由ではやはり支払いは認められません」と再度返戻されてくることも有ります。
医療機関としては、行った医療行為に対する対価はどうしても得たいので、もう一度再々審査請求を行いますが、支払い基金からの指摘が妥当で医療機関側の審査は通りそうにない場合は「支払いを諦める」ということも起こり得ます。すると、場合によっては残りの3500円全額もらえないか、一部たとえばそのうちの1000円分は支払ってもらえない、ということもおこります。

この仕組みは、実際は単純なのですが、手続きや行為はとても大変です。月末になると「レセプト、レセプト」と各病院、医院で必死の形相(主に事務)になったりするのはこの事です。
従来は、一人の患者さん一回の診療に1枚の診療報酬明細(レセプト伝票)があり、それを手書きで記入して、診療記録(カルテ)と整合性がある事を確認し(特に処方、注射などの薬、検査、処置)、支払い基金の審査期間に申請を提出するのです。医療にも電算化はかなり前から入っていますが、この診療報酬明細の電算化は遅れていたようです。
通称レセコン(レセプト・コンピュータ) と呼ばれるシステムを導入して、病院では外来部門、入院部門別に事務職員がレセコンを操作して会計と診療報酬請求を行います。小さな診療所では、事務職員がたくさんいない場合は、看護師や医師、さらに医師の家族(主に妻)がレセコン操作を担当する事になります。
ところが古くからやっている診療所、特に高齢の医師が昔ながらにやっている診療所では、なかなか新たにレセコンを導入するなんて話にならない場合が有ります。今までやっていた方法でできるのだからそれでいい、という感じでしょう。さらに、レセコンを導入するには何百万円という投資が必要で、しかも操作方法を覚えなければならないとか、これまでの方法と変わるとか、だからといって紙のレセプト明細や請求書はなくならないとか、面倒くさい事が多かった訳です。

今でも、電子カルテもレセコンもなしで、すべて紙で職員、家族総出でレセプト作業をがんばっていらっしゃる施設も少なくないと思います。
カルテは紙だけど、レセコンは導入して、レセプト処理は電算化しているという施設も増えてきました。電算化したレセプトは、フロッピーディスクなどで国保や社保の支払い基金に請求することになりますが、この電算化請求は初めて行う場合、「試験」を受けなければなりません。
当院では、電子カルテ(+レセコン付き)を導入しているので、電子請求をするのですが、またいろいろな手続きが必要です。まず最初に「レセプト電算処理システムに参加するため確認試験の依頼書」というものを、各担当部署に連絡して書類を送ってもらいます。この依頼書に記入してこれを提出します。これには締め切りがあります。
すると、「確認試験実施連絡書」というのが送られてきます。それに対して、「確認試験用磁気レセプト提出」と言って、「旧来の紙のレセプトとFDなどの電算化されたレセプト両方+総括票など」を相手方(支払い基金)に送り、確認試験に合格すれば、「磁気テープ等を用いた請求に関する届出」と言うものを提出します。その結果、その次の月からは「磁気レセプトによる請求」といって電算化システムに本格的に参加出来る事になります。
もし、この「確認試験」に何らかの理由で不合格となった場合は、その次の月も再度「旧来の紙のレセプトと電算化されたレセプト両方」を提出する事になります。返戻された場合も「紙」レセプトになります。

このように、診療所を開設し、電子カルテ(レセコン付き)を導入して、スムーズにIT化の波に乗っていけるかと思いきや、本当に様々な手続きや障壁があるものです。うんざりしますが、やらなければならない仕事、乗り越えなければならない道なので前に進むのみです。
3月分の請求を4月に紙とFDで提出して、5月に順調に支払われる事と、4月分の請求を出す5月からはスムーズにFDのみによるレセプト請求でいけるように祈るのみです。

しかし、FDなんてここ何年使っていなかったかな?
以前はMOばかりでしたが、最近は私はUSBメモリを頻用しています。CD-Rはあまり使いません(なんか割れそうで)。FDか、、、大量に買ってこなくっちゃ。。。

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コメント

第三者のあずかり知らぬ所で 色々な大変さがあるのですね。

お披露目会でも一緒になった PTA役員でお世話になっているH先生夫人も 以前A先生婦人と レセプト云々・・とお話されていたことを思い出してしまいました。その時はチンプンカンプンでしたが 本日の先生のお話を読んで納得いたしました。

さて 涙を誘う青春群像の「ラ・ボエーム」の本番も本当に秒読みになりました。ホールに行くことの出来ない分 先生の記事を楽しみにしております。

あ そうだ。今日は母のバースディ。プレゼントにMRI検査に誘ってみようかな。嫌がるかな。でも まずは自分からですね。^^

投稿: けんちゃん | 2008.03.13 03:35

けんちゃんさん、木曜と土曜の午後1時以降は休診にしていますのでご留意願います。お母様のMRI、必要があればいつでもお受けいたしますよ。
さて、今日は1ヶ月以上ご無沙汰のスポーツジムに行ってみようかと思っています。
では。

投稿: balaine | 2008.03.13 14:49

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