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2008.02.15

医院の広告について

2月も半分が過ぎました。
あと2週間で3月を迎えます。
こちらの様な田舎では、新規開院に際して大々的な「開院記念パーティ」や「内覧会」などは行わないことが普通の様です。知り合いの開業医や先輩医師にいろいろ聞いてみたのですが、「MRIを装備する事を売りにするのだから『内覧会』位はやってもいいんじゃないか?」というご意見もありましたが、「あまり派手な事はやらない方がいい」という否定的なご意見の方が多いようです。
「郷に入っては郷に従え」です。
ただ、近隣の住民と知人や医師会の先生方を対象に(新聞折り込みなどではなく)、パンフレット(=チラシ)を作る事にしました。

既にホームページも開いていますが、インターネットのホームページは医療法における「宣伝」や「広告」にはあたらないという判断が一般的なようです。不特定多数の人が意識しなくても目にしてしまう看板、チラシ、新聞広告などと違って、「そこを見よう」と意識して訪れなければ目に出来ないホームページは、「院内広報」と同じ様に捉えられていて、結構自由なようです。自分の考えを述べる事が出来ます。
もちろん「誇大広告」や「比較広告」はいけません。
「必ず治ります」とか「絶対良くなります」とか「他院よりもいい検査法です」とか「他の医師よりも良くなります」とかの類は禁止されています。その代わり最近は、医院の建物や検査機器の事を掲載しても良くなり、誇大でなければ検査内容は治療内容も掲載できる様になっています。結局、医療サービスの受け手である患者さんが誤った情報に誘導されて被害を被る事のない様にすることが目的で制限がある訳です。

ですから、ホームページでは特に問題がないとされている診療内容についても、チラシなどで広告を出す以上は保健所の指導を仰いでいます。たとえば「診療内容」について、他科の医師よりも生命に関わりうる脳の病気が原因の頭痛の患者さんを診察、治療した経験の多い脳外科医として、「頭痛を専門的に診る」ということは第一に考える事です。このことをたとえば「頭痛外来」と表現した場合、チラシなどの広告においては、「専門性の高い外来」を行う、よって専門性の高い診断や治療を行うと宣伝していることになります。くも膜下出血や脳腫瘍の患者を自分の目でたくさん診て自ら手術して来た脳神経外科専門医である私が、MRIを装備して頭痛の患者さんを診療するという事は、通常の医師よりも専門性が高いとは言えると思うのですが、「保険診療」という制度においては、「頭痛」という疾患または症状は必ずしもCTやMRI等の精密検査を必要とするものではなく、何か専門性の高い治療法、たとえば大学病院での高度で先進的な治療を必要とする訳ではありません。「頭痛」という疾患は、特に大きな問題が無い場合は、鎮痛剤を処方して様子を見る、症状を抑えるというものだというのが、厚生労働省が管轄し中医協が診療点数を決定している「保険診療」における見解な訳です。
わかりにくい話を簡単にしますと、「頭痛」という病気は医師なら誰でも診れる、誰でも治療できる一般的なものであるので、「頭痛外来」などという専門性が高そうな診療を宣伝する事はできない事になるのです。脳外科専門医だろうが内科医だろうが、同じ診断で同じ薬を処方すれば「同じ値段」というのが日本における保険診療の制度だからです。
どうしたらいいのか?保健所の担当者に聞いてみました。

「頭痛外来」「めまい外来」「もの忘れ外来」などの専門外来を想像させる文言は使わない。
「診療内容」:次の様な症状や疾病をお持ちの方は御相談ください。
「頭痛、めまい、もの忘れ、不眠、、、、」

というような書き方ならば、チラシや新聞広告に載せられるのだそうです。
そういう決まりなのですから従うしかありません。なんとなく釈然としませんが、日本の制度では「皆、同等で同じ」というのが原則ですから、ある疾病について自分は経験が豊富で他の医師より優れているとかいい治療ができるというような事は宣伝してはいけないのです。

ただ、写真は載せてもいいということなので、精一杯優しそうなハンサムなお医者さんに見える様に(プッ!)撮って頂いた写真を載せる事にしました。(大笑い)

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コメント

先日ブログの記事のお写真撮影はパンフレット用だったのですね?きっと実物どおり素敵に…♪ところで、鎮痛剤乱用性頭痛は医療機関でも知られていないのに!きっと頭痛の種が鎮痛剤とは知らずにいる方が隠れているような?一度ブログで…では開院まで残りわずか、なんかあっという間で楽しみにしております。パンフレットのお写真も♪

投稿: ボリジ | 2008.02.16 15:03

ボリジさん、いかがですか?雪ではなく頭痛その他です。
さて、私の写真ですが、ネット上で公開しておりますよ。パンフレットに使用する予定の写真です。さあ、どこにあるでしょうか?全部で3種類見れると思います。

投稿: balaine | 2008.02.16 16:00

患者側からすると、大病院に紹介状を書いていただかなくても、主治医さんのところでMRIの検査ができるってありがたいことだと思うんですが・・・。
どうして広告に載せてはいけないんでしょうね。
患者なら知りたいと思いますが・・・。お役所はなあ。

私自身、意識を失いそうになる頭痛で(そのときは1分ぐらいでおさまりましたが)、たまたま近所にあった脳神経外科さんに行ったのですが、
そこにはMRIの設備が整っており、すぐ検査できて感激しました。
タウンページの広告欄にはそんなこと載ってなかったのに。
幸い、MRIでは異常は発見されませんでした。
(後から行った歯医者で、親知らずが原因だったと分かりました(^_^;))

長くなってしまいましたが、日本の医療システムは、医師の方々や患者にとって、不便なことが多いですね。

投稿: えがお | 2008.02.17 10:46

えがおさん、
あ、いや、「MRIがあります」などは広告に載せてもいいことになったのですよ。ただ、「他より早い」とか「他にはない機能がある」というような比較広告は駄目です。
基本的には、日本の保険診療のシステムに沿ったものであるべし、というスタンスです。MRIといっても、10年前の機械かもしれないし、今年出た最新型かもしれないけれどそれはわからない訳です。昨年の4月から医療法が一部改正されたので、「最新型」などの文言は掲載してもよくなったはずです。
ただ、「頭痛専門外来」「認知症外来」というような掲載をすると、専門性の高い診察、検査、治療が行われているというイメージになる訳ですが、自由診療ではなく保険診療の範囲で行う医療行為は、日本全国一律で誰がやっても「同じ病名、同じ薬、同じ手術方法」の場合、お値段一緒というシステムなので、「他と違う」ということをあからさまにアピールしてはいけないということらしいです(私の理解が間違っていなければ)。
役所的ではありますが、保健所のいうことも理解できる部分はあります。「うちで治療すれば他院よりも早く治る」とか「完全治癒する」とか「うちは結果がいい」とかいうのは、自由で勝手ではあるのですが、何をもって「早い」とか「いい」と言っているのか、科学的に証明され万人が認めるものでなければ、場合によっては「誇大」であり「嘘」と見なされる恐れもある訳です。
マスコミが作り出したとはいえ、「神の手」とか「完全治癒」という言葉は、耳障りは良くキャッチーですが、科学の一分野である医学の世界にはそぐわない表現だと思います。
たとえば、「くも膜下出血の原因になる未破裂脳動脈瘤の手術治療に関する成績」について言えば、私は「成功率100%」で「死亡0」「後遺症0」です。まさに「神の手」のようですが、自分の技量で100%近く大丈夫と自信を持って患者さんや家族に勧めることのできる症例だけ手術をしてきたからです。自分の技量を超えるような困難な症例は大学に送って教授に治療をお願いしてきました。または、患者さんと相談して手術はしないで半年に1回のMRI検査で様子をみよう、というアプローチでやってきました。つまり、対象をセレクトした結果、バイアスがかかった「成功率100%」な訳です。「名医」との名声を聞いて、他では「できない」と言われた難手術を引き受けた結果、運悪く結果が良くなければ、私より腕も良く経験の豊富な医師でも「成功率90%」とかになってしまう訳です。
ある言葉を使ったときのその背景にあるデータとかその科学性、信憑性というのは素人はもちろんプロでも見誤る危険性がありますね。

投稿: balaine | 2008.02.17 17:27

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