今日(昨日)のニュースから
今日はニュースを3つ取り上げます。どちらかというと、批判的に、冷めた目で。
1つめ。
『[20日のロイター通信(ロンドン)から]
フィンランドの研究チームが20日、音楽が脳梗塞(こうそく)患者の早期回復を助けるという研究結果を専門誌ブレイン上で発表した。調査を行ったのは、ヘルシンキ大の心理学者テッポ・サーカモ氏が率いたチーム。右脳か左脳どちらかの中大脳動脈の梗塞を最近発病した患者60人を対象に実施した。
それによると、通常の治療行為に加えて音楽や音声を記録したオーディオブックを毎日数時間聴いていた患者たちは、音楽などを聴かなかった患者たちよりも言語暗記力が向上したほか、気分も優れていたという。研究チームでは、音楽療法はこれまでにもさまざまな場面で用いられてきたものの、人に対する効果を実際に示したのは初めてだとしている。』
先日、当ブログでも取り上げたばかりの「音楽療法」。科学雑誌Brainは、脳の研究者の中でも非常に評価の高い専門研究誌であり、ここで取り上げられた論文という事なので、かなりの科学性、信憑性のあるデータなのだと思います。ただ、「中大脳動脈」の血流支配領域には確かに言語に関する脳の機能領域がありますが、「利き手」との関係で左か右というのはとても大きな違いがあり、「右か左かどちらかの」という分類はちょっと「?」です。また対象が「最近発病した60人」ということなのですが、「最近」の定義、60人ということは「音楽を聴かせた人」と「聴かせなかった人」で30人ずつくらいを比較したことになると思いますが、この程度の数で統計学的にどの程度の信頼度があるか、など慎重に結果を検討する必要がありそうです。
音楽を聴かせて治療(リハビリ?)をしていたら言語暗記力が向上するというのなら、どんどん行いたいものです。どういう音楽を聴かせるかが大きな問題の一つにはなりますが、それをクリアすれば,音楽を聴くという作業は難しい事ではありませんし、明日からでも始められる事です。私のクリニックのリハビリ室を「音楽ホール」にする、という目論みは、実はこの論文で言っている事を目指しているものなのです。ただ、科学的根拠の乏しい事を大きな声で「私は音楽を演奏して衰えた脳の機能を回復する治療をしています」などと言ったりすると、真面目に研究している方を冒涜しかねませんし、安易な「音楽療法」でその価値を下げたくないと思っているので、控えめに言って来たのです。
つまり、この論文の結果は、私が目指そうとしている治療を力強く後押ししてくれる様なものである様な感じがします。まずは、本文をちゃんと読んでみたいと思います。
2つめ。
全国紙Y新聞の34面「地域版」、地元山形中心の話題のページに、大変大きく山形交響楽団の事が取り上げられていました。どういうタイミングで何を狙っての記事なのか、ちょっと疑問ではありますが、山響の最近の躍進を地元紙Y新聞に遅れて(山新3P賞表彰から少しタイミングをずらして?というのは読み過ぎか)取り上げたもの。
音楽監督の飯森さん、特別客演首席コンマスの高木さん、山響創設者で創立名誉指揮者の村川千秋さん、そして山響ファンクラブ事務局長のpinoさん(私の高校の同級生)が写真入りで紹介されていました。山響ファンクラブが出来る前から応援している、密かに10年以上前から「シベリウスの村川」と呼んでいた私としては、Y新聞さん、とりあげるのちょっとおそいんじゃない?と思う訳です。文部科学省(大臣表彰)、中央のメディアや音楽雑誌で高い評価を得たのに遅れて新聞が記事に取り上げるのは、現代の「新聞」のオピニオンリーダーとして力の衰えを自ら暴露していることになるのかも知れません。でも、まあ、遅れたとしてもしっかりした記事として独自の取材を元に紙面を大きく割いたのは評価できます。
3つめ。
某公共放送局が日曜の夜8時からやっている、いわゆる『大河ドラマ』。今年は『篤姫』。先日以来このブログで取り上げている、南洲翁=西郷ドンも(小澤征爾の息子の征悦さん)、初回からずっと出ています。これからも重要な役どころになるはず。
で、話は、気も早く「来年」の大河ドラマ『天地人』のこと。兜の前立に「愛」の文字を付けていた上杉謙信第一の家臣、直江兼続。謙信亡き後、会津から転封された主君上杉景勝を、自分の領地米沢に迎え入れ、減移封された上杉家の存亡をかけて戦った一生を描くものでしょう。
米沢は、これまで度々歴史ドラマに取り上げられる武士の関わる土地。伊達政宗は実は米沢で生まれています。その後は上記の様に上杉の領土となり、今は上杉神社を中心に謙信以来上杉家代々の墓もある土地です。歴史ある旧米沢高等工業学校(全国で7番目の工業専門の大学、現在の山形大学工学部)もある土地ですが、地方都市の衰退の波の中で必死に生き残りの道を模索している様に、傍からは見えます。大河ドラマで『独眼竜政宗』をやった時は政宗が少年期を過ごした街として売り出し、それが過ぎるとまた「上杉の城下町」を売り文句にしていたのは何となく節操がない様に思えました。
今日のニュースで、『天地人』の主人公直江兼続には妻夫木聡さんが決まった事が発表されていました。今年の後半から来年にかけて、米沢には「愛」の文字が溢れ、直江兼続の街として観光キャンペーンが張られるのでしょう。同じ山形県内として応援はしたいのですが、あまりに品のない観光資源としての利用は控えて頂きたいものです。
ところで、今日はぐっと気温も上がってクリニックの周辺に積もった根雪もかなり溶けました。あと10日あまりで開業なので、そろそろ駐車場もきちんと整備して頂かなくてはなりません。朝、雪を踏みしめ歩いた通用門の前が、夜8時に帰る時にはすっかり除雪され舗装準備の砂利が敷かれていました。
もうすぐ「桃の節句」=開院日です。
写真は、龍笛(本物ではなく教材用)を花とともに一緒に飾ってみました。
(日付が変わる前後に書き足したりしたので、2/21の記事にしました)
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