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2008.01.11

「あいおい工藤美術館」初訪問!

酒田市の相生町にある「あいおい工藤美術館」に行ってきました。
酒田市内で質屋を営んでいたある古い町家が閉店後、取り壊すことになりそうだったのを、現館長の工藤幸司さんが買い取って自分の所蔵品などを展示する美術館として再利用しているのです。

Photo1312この建物は昭和2年建造とのこと。
昭和39年の新潟地震にも昭和51年の酒田大火にも耐えて生き延びて来た貴重な建物です。
あの酒田大火の時、激しい西風にあおられて東へ東へ「侵略する事火の如し」の通り拡がっていった火の手を、近くにあるお寺の境内にある大きな松の木の御陰で守られて運良く偶然残ったものだそうです。
館長の工藤さんが玄関にもいろいろな工夫をされています。

Photo_2玄関を開けるとすぐ左側に鵜土河原人形達が出迎えてくれます。この美術館の中を期待させてくれます。
土間の様になっているところから小上がりが正面にあります。
元は質屋だったこの町家の作りをそのまま活かしています。

23障子を開けて部屋に上がります。後から気がついたのですが、昭和2年当時の障子やガラスがまだ部分的に使われているそうです。
このガラスなど今の時代では手に入らないものだそうです。
館長は画家でもあるのですが、この魚の絵は「鯉」だそうです。表と裏に「鯉」が2匹で「こい、こい」ということ(笑)。

4この方が館長工藤さんです。
養護学校の校長先生などをなさっていました。今も美術、音楽関係の仕事をなさりながら、金、土、日だけこの美術館を開けていますがほとんどボランティアのようなものです。
65中はこんな感じ。
季節によって展示物も多少入れ替えるそうですが、古い着物、漆器、家具などが展示されています。
刺し子の絵は工藤館長作。元々は絵の材料になるものを工藤さんがこつこつ集めていたのが美術館の収蔵品となり、美術館をオープンしたために、「こんなのあるよ」「家にこんなの出て来た」と言う感じで自然に集まって来たものもあるのだそうです。
そのため館長の工藤さんもその価値がわからない程凄いものもあったりして、訪問して来た人が見て「これは凄い!」と言うことになり、あらためてガラスケースに収蔵したりということもあるそうです。館長の奥さんがとても丁寧に詳しく説明して下さいます。

11これは飛島に保存されていた江戸時代の刺し子の着物とのこと。その模様の一部を拡大してみると、写真の様にクロス=十字架がデザインされています。そう、「隠れキリシタン」が着ていた着物だそうです。十字架の部分がちょうど帯を締める位置に当たっていて、帯で隠され絞られて十字架が見えない様になっていたのだそうです。

10これは母屋と繋がる様に横に建っている蔵(土蔵)のドアの一部。
枠には、「鯉の滝登り」の絵が彫金されています。鍵も複雑というか隠し戸のようになっていたり、いろいろな工夫がされています。
鶴、亀、松竹梅とお目出度いものが掘られています。「白畑」というのはこの町屋の前の持ち主である質屋さんのお名前。

9内側の扉にもこのような鍵が二重にあります。ここには鯉を抱えた大黒様などが彫られています。
この様に縁起を担いだ凝った造りのドアです。昔の蔵というのは凄いですね。

8実は、この蔵、母屋とはやはり別の建物です。ところが母屋から繋がっている様に見えます。それはこのように2つの建物が繋がる様に町屋の屋根と蔵の屋根の間にとても大きなトタンの雨樋が据え付けてあるからです。もし火事になったら消防隊にはまっさきにこの雨樋を外してもらうのだそうです。
7土蔵との間にとても急な角度の階段があり二階があります。そこには古着がたくさん保存されています。
町家の1階は非常に高い天井なのですが、その一部分が二階になっているようです。
別の部屋の二階部分には館長の絵の一部が展示されています。

2月の中旬からは、酒田周辺の「雛人形祭り」に合わせて、享保雛など貴重なお人形が展示されるそうです。工藤館長は寒河江のご出身ですが、長く酒田に暮らし庄内で仕事をして来られました。
そして、館長の息子さんは工藤俊幸さん。
実は40才ちょっとの指揮者で、現在は山形交響楽団の正指揮者をされています。平成16,17,18年の3年間の酒田フィル定期の指導指揮は工藤さんでした。この間の定期では、「ベト7」「ブラ4」「ドボ8」と名曲ぞろいのメインに、Vn.漆原啓子さんソロのラロのスペイン交響曲、ギター福田進一さんソロのアランフェス協奏曲、オンジェもとい読響武井さんソロのモーツァルトのファゴット協奏曲となかなかいい曲、演奏をやってきました。
やはり芸術家の子も芸術家なのでした。。。

古着、人形、古美術、骨董などに興味なる方、古い日本家屋の建築などに興味のある方にはとてもおすすめの場所です。相生町は酒田駅から近く、すぐ側には東急インが見えます。
相生町の酒田信用金庫の奥隣りなので結構分かりやすと思います。駐車場はちょっと離れていますが裏通りに確保されています。是非、お勧めです!

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コメント

館長さんのご出身にまずは!とにかくそちらの美術館、是非お伺いしたいです。鵜土河原人形も間近で拝見してみたいのと、その後ろにかけてある型染めの藍染布も素敵ですし・・・大好きな世界です。

投稿: ボリジ | 2008.01.12 01:36

灯台下暗し 貴重な情報ありがとうございました♪ 出不精(体型=デブも)な私なので今まで知りませんでした。是非行ってみます~。

毎日本屋に偵察に行くのですが 西郷さん関係の新しい本が出ておりました。題名は忘れましたが 南洲神社関係者の著の様でした。

西郷さん関係の本は この次にしてbalaine先生を思い出し PHP文庫のF医師「奇跡の指先」を購入して読みました。医学関連の本は 早く(速読ではありませんが)読めるのです。直ぐに読了。^^ 

そしてお昼は 銀河飯店の五目炒飯にしました。横浜軒には 行ったことがありませんので こちらにも是非 足を運びたいと思います。   ありがとうございました。

投稿: けんちゃん | 2008.01.12 06:31

ボリジさん、館長のお子さんは音楽家ですが寒河江に残った工藤家からは医師、看護師など輩出しているようです。今は新庄にいる内科のK川先生も一族らしい。
工藤家もボリジ家同様、名士のようですね。

けんちゃんさん、是非行ってみて下さい。お宝の山です。
「奇跡の、、、」はF医師ですか。マスコミ受けするのはいいのですが、、、頑張って頂いて脳外科医、医師全体の地位向上に貢献して頂きたい。
私の指先は「顕微鏡手術」から「黄金の笛」に換わってしまいましたが、N病院勤務時代は(神ではないので)「奇跡」は起こせませんでしたがいくつかの「命」はお助けできたと思っています。
「よこはま軒」はまらないようにご注意を!(笑)

投稿: balaine | 2008.01.12 10:09

今年も宜しくお願いいたします!

商売の神様に守られた質蔵、とても興味深く拝見しました。
火事の備え・・・尾花沢の「芭蕉・清風歴史資料館」の建物にも、同様な工夫が有ったような気がしますが・・・。
雪の備えだったでしょうか?
(余談ですが、当館にも見えた清風資料館:館長さん、先日『笑っていいとも』に出演されていましたね)

町屋の蔵は、主に米蔵・味噌蔵・日用雑貨用蔵と三つに別けられるようです。
我が家の米蔵、叔父が婿入りの時に持参??したそうです(笑)。

投稿: kokutan | 2008.01.12 11:12

kokutanさん、本年もよろしくお願いします。
「笑っていいとも」ですか、、、タモリは同郷ですが、昼間にテレビを観る事はほとんどないので、、、
なぜ館長さんがテレビ出演されたのでしょうか。(^^)
尾花沢は蕎麦もうまいし、銀山温泉もあるし、スイカの名産地だし、琴ノ若の出身地だし、いろいろいいところあるのですが知名度は今ひとつですよね。

持参する蔵ってすごいですね〜。

投稿: balaine | 2008.01.12 15:13

古い建物を取り壊すのはあっと言うまですが、一回壊しちゃうともう元には戻らない。でも実際、古い建築物を維持するのは大変。
色々な面で何処まで踏ん張りが効くか、なんでしょうね。
古い建物に、GOOD LUCK!って、言いたくなります。
蔵のしっくいの壁の冷たさをちょっと懐かしく思い出しました。
「二人とも蔵に入れるよ!」と言われると、兄妹喧嘩はピタリと止んでました(笑)布団が入ってた長持は棺桶にしか見えませんでした(怖)

投稿: リスペクト | 2008.01.13 00:33

<なぜ館長さんがテレビ出演されたのでしょうか。(^^)

曜日毎のテーマで、『歴史に残る人物についてのクイズ』という日が有りました。
その日の人物が、たまたま芭蕉だった訳です。解説者として出演されていました。

<持参する蔵ってすごいですね〜。

勿論・・・解体してですが。(婿入り道具ならぬ婿入り蔵!!)
お伴に、出入りの大工さん等が同行したようです。

確かに、リスペクトさんの言われるとおり、子供のしつけにも使われたようですね。
長持・・・なるほどと納得してしまいます。

投稿: kokutan | 2008.01.13 01:02

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