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2007.10.14

ダーネル氏と練習

我々Sフィルには団内指揮者はいるけれど、定期演奏会においては外部のプロの指揮者に指導をお願いすることになっている。通常、一人の指揮指導者に2、3年はお願いしていて、昨年まで地元酒田出身でもある山形交響楽団指揮者の工藤氏に指導をお願いしていた。工藤氏の指導指揮のもと、ベト7、ブラ4、ドボ8といった名曲を演奏して来た。
先に書いたように、今年は本当はJASRAC後援事業の演奏会が行えるという話が来ていて非常に期待していたのだが、我々が8月JAO酒田大会の直前準備で忙しくなる今年の4月になってもJASRAC側で本決まりにならなかったため、指揮者やソリストとの交渉なども難しいであろうし我々にも余裕がないので、こちら側からお断りしたという経緯がある。しかし、定期演奏会はちゃんとやりたいということになって、指揮者指導者、ソリストを決めなければならないということになったが、本番7ヶ月前で(本番および直前リハのため)12月頭の金土日連続の予定が空いている方などそうそういない。
Photo愛知県立芸術大学客員教授、秋田室内合奏団の客演指揮者で、スロヴァキア放送交響楽団のコンサートマスタ−などを務めた事のあるスロヴァキア人、エーヴァルト・ダーネル氏に指揮、指導、そしてVn.協奏曲の弾き振り(指揮兼ソリスト)をお願いする事が決まったのは、確か5月になってからと記憶している。
客演指揮者とはいえ、本来本番までに数回は練習をするのが普通である。例年は、夏前に1回、夏あけて1回、本番1ヶ月程前にもう1回、都合が付けば2週間程前にもう一回、そして本番直前のリハ、GPを経て本番というのが普通である。それでも「指揮者練習」は4回で、その他は団内指揮者で練習をする。ところが、今回は緊急事態で、この週末10/13,14のみたった1回の指揮者練習となった。後は、11/30, 12/1の直前リハと12/2当日のGPだけしか指揮者と合わせる時間はない。しかも、指揮者がソリストとして弾き振りをするので、これでは練習時間が本当に足らない。しかし、世の音楽家というのは、アマオケの都合に合わせられる程暇な人はほとんど居ないので「仕方ない」「これでやるしかない」という事になった。
昨日は、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番とベートーベンの「エグモント」序曲の練習だった。
これまでソリストなしで練習をして来た訳で様々な戸惑いはあっただろうし、ダーネル氏もいろいろ伝えたい事、指導したい事はあったであろうが、現実を直視して、今できることからそれをより良くすると言う感じの指導であった。つまり、今更技術的な事を細かく言った所で(もちろん技術的指導はあるけれど)、弾けない部分が急に上手くなる訳ではないので、ダイナミクス、テンポ、バランスなどの基本的な事を中心に「今、私達ができるレベルを探り、それを音楽にするための味付け」という感じの的確な指導であったと思う。
Photo_2Photo_3本日は定期演奏会のメイン、チャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』の練習であった。10時から16時と言っても、昼食、休憩時間などを入れると実質4時間ない練習で、この大曲を一日で指導できるのだろうか、という不安もあった。何よりも、我々の練習がまだ余りに未完成な域であることを自覚しているからである。もちろん団員個人個人の技術的問題が大きいけれど、8月末までJAO酒田大会があり、団員の何割かは農業従事者またはその関係者であり、稲刈り、畑仕事などもある9,10月に練習にろくに団員が揃わなかったという事もままあった。
先日、分奏練習で「管」だけの練習日などは、1番フルートの私以外に練習に来たのは、2番クラ、2、3、4番ホルン、2番トランペット、1番トロンボーン、チューバの8名という悲惨な事があった。チャイコフスキーの交響曲なのに、オーボエとファゴットが0でクラとホルンのトップも欠席では練習にならない。ほとんどが第1楽章のホルンの難しい所の練習になってしまい、「ホルン練習日」のような様相を呈していた。かくいう私も、1番フルートなのにこれまで2回程「定期練習」を欠席している。
こんな感じだったので、今回の第1回で最終回の指揮者練習はどうなる事かと危惧していた。実際、そんなにうまくいった訳ではないが、皆、この日のために個人練習を積んで来た事はよくわかったし、ダーネルさんの片言の英語と日本語(流暢なのは当然スロヴァキア語、そしてドイツ語)と大きなジェスチャーで、彼が意図する所、オケに望むものは良く伝わった。「何小節目から」という言葉でさえ、たとえば「バーナンバー、フィフィティセヴン(=bar number, fifty-seven)」と英語なのだが、これがうまく伝わらない事はたまにあったが、団員は逆に普段の練習で時に見られるような無駄口や無駄音(団内指揮者がしゃべっている時に音を出したりする)もなく、必死にダーネルさんの言う事を聞き漏らすまいとするので集中力が高まったように感じた。時に、ジョークを言って皆を笑わせたり和ませたりしてくれるのだが、そのジョークまで一生懸命聞いているので、「な〜んだ、ジョークか!」ということもあったけれど。
先週までの我々の出来上がり具合では、もしかすると今日一日かけて1楽章も終わらないのでは?という懸念もあったが、細かい所にはあまり拘らず、テンポとダイナミクス、そこから生まれる音楽性、特に演奏者のハートとそれを伝える技術(弦なら、弓の使い方、身体の使い方まで)ていねいに指導して頂いた。フルートに対する技術的な指導はあまりなかったが、ダーネルさんは「モダン楽器の大きな音」が嫌いみたいで、f(フォルテ)は「普通に話す声の大きさ」という位、音量にはうるさかった。sf(スフォルツァンド)の部分では、特にトランペット、トロンボーンの金管群には、パーンという大きな音の後、直ぐに減衰してmfかpに落とすように指導していた。これを彼は独自に「デクレッシェンドシステム」と呼んでいたが、響きの良いホールで金管群がガ〜〜ンと咆哮すると、弦楽器がどんなに頑張っていても聴こえなくなるので、「Winds, big sound, Strings, no chance!」と言って、弦と管のバランスをうるさく指導していた。また、木管でもフルートに比べてクラが響くので(おそらく今日の練習会場のせいであろうが)、クラにもっと音を落とすように、バランスを考えるように、他のパートを聴くように指導されていた。言われている事は、すべて当たり前のことなのだが、この当たり前の事を普通に出来るのならば、定期演奏会の練習に数ヶ月もかける必要はない訳で、そこがアマとプロのオケの大きな違いであろう。
プロオケは、毎週のようにどんどん新しい曲の演奏会があり、場合によっては1週間でいくつかの別のプログラムをこなさなければならない。指揮者による練習は、本番直前の数日のみということもままある訳で、それまでにほぼ完成に近いレベルに個々の練習、団内練習で持って来ている訳である。
Photo_4指導指揮者が日本人の場合、一緒に蕎麦やラーメンを食べに行くのが常なのだが、ダーネルさんはお世話係担当者がどこかに連れて行くという事なので、私は団内指揮者でチェロ奏者のY氏と二人ラーメンを食べに行った。
Photo_5練習会場である広野公民館から車で5分ほどかかる錦町のラーメン「味龍」である。スープはご覧のように色が少し濃いめで味もしょっぱいけれど、私は酒田のラーメン屋さんの中でもここの麺が一番好き。(写真は、ラーメンとワンタン麺)
テレビでも有名な、あの「ラーメンの鬼」佐野実が酒田に来て何件かラーメン屋を回り、ここの麺を絶賛したということは通には知られている。また、チャーシューがとても美味い。月に1回くらい、不定期であるが桃園豚を使ったチャーシューを出す事がある。初めて来た時に「桃園豚のチャーシュー麺」と注文したら、「ごめん、終わったのよ」と言われ、仕方なく普通のチャーシュー麺(これも美味しいのですよ)を頼んだら、「ちょこっと残ってたから、一切れ桃園豚入れといたから」と言われて、それ以来、私はここの店のファンになったのであった。

午前中に1、2楽章、午後に3、4楽章と練習は進み、驚いた事に練習予定を20分以上切り上げて終わってしまった。ダーネルさんが諦めたのか?と思ったけれど、練習終了後の片付けの最中に、「今日、あなたからたくさんの事を学びました。とても良い練習でした。感謝しています。」と伝えた所(一応英語での会話です)、「それは良かった。音楽はシンプルなもの。大きな音はいらない。美しい響きが必要。」と話すので、「I understand. Simple is difficult.」と応えた所、「YES! Simple is difficult!」と笑顔で返してくれた。
もっとダーネルさんから学べる時間があれば良かったと思う。それだけは残念だけど、後は本番直前にまた集中して学び、それを本番でどれだけ出せるかである。12/2の本番定期演奏会は、結構いい演奏ができるのではないかな、という想いが湧いて来た。疲れたけど楽しい一日だった。

ーー
そういえば、今日のA新聞朝刊1面のトップ記事に私が昨日書いた「改正建築基準法」の問題が取り上げられていた。厳しすぎるチェック、現場担当者の混乱などで、6月以降の新築工事が例年の3,4割も減少しているということである。建設業界やその材料となる、鉄骨やセメントの需要も大きく落ち込んでいる訳で、景気回復を計っている産業経済界にも、この「姉歯事件余波」は凄まじい悪影響を及ぼしている。ホテルや高層マンションなどの大型建築物ならばいざしらず、平屋や一部2階建ての小さな住宅や店舗建設まで、改正法でがんじがらめに厳しい審査、無駄にかかる時間、現場のうろたえなど問題だらけなのである。そして、その情けない現場のために私達善良な一般市民は「税金」を納めている訳で、「どうなってんだ!」「どうしてくれるんだ!」と大声を上げたい所を、上げる相手もわからず(建築課の職員に文句を言った所で彼らも半分は被害者のようなもの)我慢しているというのが実状なのである。
地元の病院の脳外科医は、2つの病院の統廃合問題や重症患者、急患対応のために、通常一般外来をなるべく減らしたいと思っており、私の医院開設に大きな期待を寄せてくれているのであるが、開院したくてもこういう理由でどんどん遅くなって行っているのが現状である。私の場合、個人事業、自営業ではあるが、酒田地区に初のMRIを装備する個人開業医ということで公益的側面を大きく持っていると思うのだが、それが立法・行政のおかげでスムーズに開設もできないという事態に陥りつつある。
福田さん(首相)、斎藤さん(県知事)、阿部さん(市長)、なんとかして下さいね!

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