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2007.10.20

高木綾子フルートリサイタル2007.10.18(山形)

平成19年10月18日(木)、山形テルサの3階アプローズで行われた(つまり、山響定演をやる「テルサホール」ではない)、高木綾子フルートリサイタル『美しき女神との出逢い』(凄いタイトル!)に行ってきました。
高木綾子フルートリサイタルこちらをご覧ください(いつまで残っているかわかりませんが)。
彼女の演奏会は、昨年春の山響定期での「イベール作曲フルート協奏曲」以来です。
「山響演奏会感想2006.3.27」をご覧ください。

全席指定とはいえ、18:30会場、19:00開演なので、仕事は17:00丁度に終えてそそくさと出かけました。
酒田からは、少し飛ばしても夕方の帰宅時間帯ですから1時間半では着きません。会場に到着したのは18:45頃でした。
会場の「アプローズ」は、昨年11月にうちの教授が全国学会を主催した時に私が事務局を担当し頑張った懐かしい場所。舞台の裏の控え室、トイレの位置、厨房のようなところ、すみずみまで知り尽くしています。あの時は、山形テルサの3階全部を使い、メインの会場である「アプローズ」の他にサブの会場と、特に大変だったのは脳内視鏡のハンズオンワークショップを行ったため、ホワイエの他に2部屋を使い、その他に発表PC受付、本部、招待講演演者控え室、会長控え室、スタッフ控え室など、3階の全ての機能を使い倒した!という感じでした。そのため、メインの会場の裏からホワイエに抜けたり、会長控え室に行ったり、サブの部屋や内視鏡展示室に回ったりと、トランシーバーをつけて走り回った事を思い出します。

「テルサカフェコンサート」と銘打っていて、ソフトドリンク1杯付きとなっていましたが、なんとペットボトルのジュースかウーロン茶のどちらかに「柿ピー」の小袋一つという、わざわざ「付き」と言う程の事もない、はっきり言ってセコイ!と言いたくなるものでした。まあ、時節柄と言いますか、アルコールを出す訳に行かないのでしょうが、せめて紙コップではなく、喫茶店かレストランで出すようなサーブをして欲しかったです。
まあ、それは付随するものなのでどうでもいいのです。
コンサートは19:00丁度にスタート。

演奏曲目は順に
1)JS Bach「ソナタBWV1034」
2)マスネ「タイスの瞑想曲」
3)ラフマニノフ「ヴォカリーズ」
4)シューマン「子供の情景」
(ここで15分の休憩)
5)パガニーニ「24のカプリスから第24番」
6)ピアソラ「タンゴエチュード3番」
7)ピアソラ「タンゴの歴史:全曲」
8)ドップラー「バラキエの歌」
でした。
綾子さんは白のロングドレスに胸元からウェストまで黒いレースをあしらったシックな装い。適度なアクセサリーはどちらかと言えば控えめな感じ。その中でも左薬指の結婚指輪が目立ちます。伴奏の坂野伊都子さん。綾子さんとはよく共演されている有名な方。高木綾子さんのブログでも、何年か前のJ-Roomのライブヴィデオが紹介されていますが、その伴奏が坂野さんです。
J-Room高木綾子「Earth」ライブ演奏
綾子さんも仰っていましたが大変情熱的なピアノです。7曲目の「タンゴの歴史」の1曲目”タンゴの歴史 Bordel 1900”の出だしでは、床を踏みならしてリズムを刻んだりピアノを叩いてパーカッションも担当(元はギター伴奏の曲なので福田進一さんとのディスク『海へ』を聴けばわかりますが、福田さんが「タンッタッ、タラタン」とギターを叩いてます)。
グランドピアノとフルートの音量バランスを考えて、ピアノソロになる所以外では弱音ペダルを多用したり、情熱的ながらも抑制の利いた素晴らしい「伴奏」をしていらっしゃいました。以前、綾子さんのリサイタルを聴いた時は西脇千花さんという一緒にCDを出している方の伴奏でしたが、ピアノ伴奏の違いもあるなあと思いました。坂野さんも西脇さんも素敵なピアノ演奏家です。

綾子さんのフルートは、今更言うまでもありません。
「1号」なのか「2号」なのかはわかりませんが、旧東ドイツのヘルムート・ハンミッヒのヘビーな銀製フルートを豊かに鳴らしていました。アマチュアフルート奏者でも金のフルートを持つ事の多い日本のフルート界(わたしでも18金製を持っています)ですが、彼女はデビュー以来9年(?でしょうか?)はもちろん芸大に入る前から含めると10年以上ずっとこの銀製のオフセットのクローズドの、一見初心者用フルートに多い形態の笛で演奏されています。フルートというと「鳥のさえずり」とか「森の鳥たち」を表現するように使われたり、女性的な華やかで軽やかな高音楽器という先入観をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、是非一度彼女のCDを、出来ればライブ演奏を聴いて頂きたいと思います。フルートに対する固定観念が変わると思います。
私自身も、10才で始めたフルートですが、医学部に入り医者になり、環境の変化の中で1年に1回触るかどうかぐらいまで興味が低下していました。確か2000年だったと思いますが、綾子さんの演奏するピアソラの『ブエノスアイレスの冬』(伴奏は西脇さん)を聴いて、「なんだ!この音は?!凄い!!!フルートってこんな音が出せるんだ!」と驚嘆し感激し、それがきっかけで「フルート熱」が再発してしまい、その後の数年のうちに総銀製、18金製フルートまで買い求め、今更のように教則本で独習し、東京まで先生に習いに行ったり、他流試合のように発表会に「殴り込み」(笑)したり、アマオケに入ったり、フルート四重奏で人前で吹いたり、という音楽活動が始まったのです。そしてアマオケを始めとする活動に力を注げるように、大学病院を辞め開業の準備をしている今、と考え
ると、高木綾子という人はある意味で私の人生を変えたとも言える人なのです。

話が逸れました。
彼女の演奏は、いつもの通り、安定した音色、卓越したテクニックで素晴らしいものでした。しかし、その程度の演奏ならば世の中にたくさんいるのです。彼女の場合は、やはりその音色、そして「歌心」というのでしょうか、簡単に言えば「音楽性」です。聴く者の心をグッとつかむ音色でたちまち引き込まれてしまいます。見た目が美しいとか、可愛い(一緒に聴いた家内は「綾子さん、可愛い」と言っていました)とか、服装が綺麗とかももちろん影響しないではないのですが、私は目の前に座りながら時々目をつむって聴いていました。
いくら綾子さんが美しくても、目の前にピアノとフルートを吹く人が見えて、譜面台に置いた楽譜を見ていたり、ピアノの譜めくり役の女性が知っている人だったりという「現実」があると、折角の素晴らしい音楽の世界が邪魔をされるので、時に目をつむって彼女の奏でる「音楽」に身を委ねてみました。ライブで、すぐ前(ほんの3m程度の距離の最前列中央の席でした)で聴いているのに目を瞑るなんてと思われる方もいるでしょうが、そうすると頭の中で彼女の音楽が物語を語るのです。特に、シューマンとピアソラは素晴らしかった。他の曲も素敵でしたが、特に物語性がイキイキとしていました。

MCしながらの演奏会で、フルート曲初心者の方を意識した曲の解説などもされていましたが、タンゴの歴史のBordelでは、「この曲は、(会場を見回して)小さなお子さんがいらっしゃると困るのですが、いわゆる、男性が女性をお金で買うという場所を舞台として、、、」とか、2曲目Cafeでは「私的には、少し太ったおばさんがいるバーというイメージで、、、」というような話(以前にもお聞きしたかな?)をして演奏していました。
今回の演奏会で個人的に一番気に入ったのは最後のドップラーです。「ドップラーといえば、『ハンガリー田園幻想曲』が有名ですが、ご存知ですか?」と言って、最初の触りの部分を独奏してくれました。素晴らしい音色!とっても得した気分です。
『バラキエの歌』は、起承転結の明瞭なとてもわかりやすい曲で魅力的な演奏でした。まだ吹いた事ないので楽譜を取り寄せて是非挑戦してみたいと思いますが、かなり技巧的に難しそうな部分もたくさんありました。

アンコールに、「シランクス」。演奏前に、ギリシャ神話の話もして下さり、知らない方にはわかりやすかったと思います。更に、熱烈な拍手に応えて2曲目は同じドビュッシー作曲の『美しい夕暮れ』、原題は確かBeau Soirです。彼女の初期のアルバム「シシリエンヌ」(まだ芸大の学生の時、2000年に発売)には、今回のプログラムの2と3、そしてアンコールの2曲が入っています。今のところ最新のアルバム(2005年発売)の『海へ』(福田進一さんのギターと)に7)が入っています。興味のある方は是非お買い求めください!

Photo_2さて、アンコールが終了した時点で夜の9時10分過ぎ。今回の「カフェ・コンサート」の目玉として、終演後ホワイエで演奏者との交流会がありました。抽選で景品ももらえるという事で「交流会参加者」には番号札が渡されました。高木綾子さんのブログに御主人が会場で携帯のカメラで撮影されていた「交流会」の様子が出ています。「高木綾子さんのブログ」
朝早く起きて、大学のオケに参加し、午後新幹線に飛び乗って山形に到着し、2時間以上に及ぶ演奏を終えて、更に交流会です。少し疲れた様子とは見受けられましたが、普段着に着替えてリラックスした感じでいろいろな質問にも丁寧に応えていらっしゃいました。また、6月の結婚式のときの写真でしょうか、白無垢姿の白黒写真にサインした美しい写真を10枚プレゼントとして持って来られ、サイン入ポスター、サイン入り楽譜(高木綾子選曲集)と合わせて12名にプレゼントが当たるのでしたが、坂野さんが回してくださった抽選(商店街などでやるガラガラと回す奴)では残念ながら私も家内も「ハズレ」でした〜。
Photo_3更に、その後サイン会がありたくさんの人が綾子さんのサインを求めて並んでいました。私も、ベルフィルのエマニュエル・パユのサインをもらった総銀フルートのケースに対称位置に綾子さんのサインをもらいました。
更に、今回のプログラム曲が入っている「シシリエンヌ」と「海へ」のCDプログラムノートにもサインを頂きました。
Photo(サインを頂いたフルートケースとCDのジャケット。注目は、実は真ん中に写っている「若い!」福田進一さんの写真です(笑))
1999〜2000年の芸大生の頃の可愛らしい顔と、2005年のプロとして逞しく成長した顔(お化粧とか写真の取り方とかもあるでしょうが)が対比できて興味深いです。
サイン会は何時に終わったのでしょう。10時を過ぎていた事は間違いありません。疲れた顔もせず全員に笑顔で応対され、まあプロなんだから当たり前と言っても、アーティスト、音楽家の場合はそうでもない人もいらっしゃいますから、素晴らしいと思いました。ますます活躍される事を期待しています。

Photo_4おまけにちょっとだけ。「ご結婚おめでとうございました!」とお祝いを申し上げたら、「ありがとうございます〜!」と本当に嬉しそうに応えて下さいました。ブログでも出て来られますが(手だけだったり、お料理だけだったりしますが)、優しそうで素敵で才能ある御主人とお二人、末永く幸せな家庭を築かれその中から素晴らしい芸術が生まれて来る事ををお祈りしています。
いい演奏会でした〜。


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コメント

落ち着かない一日でした。確か150001だったか150005だったか?まぁ、なんともドキドキな一日で、一日寝床なので寝込みながら楽しませていただきました。←ちょっと不思議なブログ訪問ですが・・・
一日、何度もお邪魔しているうちに、訪問者と人気度の高さに!してました。
高木綾子氏のフルートリサイタル、テルサに行きたいと思ってましたが、もしかして入院で小さな小さなOP予定になりそうな時期でしたので、諦めてました。けど、なんともこちらでリサイタルの模様を拝見していると後悔!さぁ~てと、高木氏のCDを聞きながら・・・

投稿: ボリジ | 2007.10.20 22:58

う〜ん、ボリジさん、いいとこ行ってました。直前に、15万アクセスは別の方が獲得されていました。
「一日寝床」って大丈夫?
私の医院は、まだ建築確認がおりないので着工もできず、3月も厳しいかも、、、
これってある意味で、「営業妨害」にならないのかな〜。

投稿: balaine | 2007.10.21 05:40

初めまして。
ヘルムートで検索し、たどりつきました。

私は開業整形外科医。
フルートを吹きます。
51歳ですが、医師になってからのブランクを含め?37年吹いています。

愛知県在住ですが、自称 綾子さんの追っかけ、です。

奥志賀まで行きました。

綾子さんのヘルムートについては400番台のヘルムート後半期の軽い楽器だったと思います。
ドローンで明るい音のタイプです。
何番かは、Ottavaに私が投稿したように記憶しています。

投稿: 加藤 良一 | 2007.11.08 11:13

加藤様、はじめまして。お名前はOttavaなどで時々拝見しておりました。
愛知の方では「追っかけ」になるのも道理ですね。(笑)
そうですか、400番代ですか。2本持っているとどこかでお聞きしたように思ったのです。これからも応援して行きたいですね。
同世代ですし私も来年開業しますので、これからもよろしくお願い致します。

投稿: balaine | 2007.11.08 11:54

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