« 新潟、タレかつそしてチェンバロ | トップページ | 楽しい演奏会 »

2007.09.30

オペラの練習、定期の練習ほか

今まで何度か書いているように、来年3月に酒田でオペラをやります。
Photoプッチーニの名作『ラ・ボエーム』です。オケはもちろん酒フィルで、毎年初春(2月か3月)にやっている酒田フィル・ファミリーコンサートとして開催します。トヨタが芸術活動を支援するTCC(トヨタコミュニティコンサート)の後援を受けて、二期会の素晴らしい歌手の方たちに、舞台装置、演出家付きでちゃんとしたオペラです。
そのための練習は、オペラをやる事が決まった今年の3、4月頃から始めています。つまり1年弱の準備期間がある訳です。
「いくらアマオケでも1年あれば大丈夫でしょ?」と思われるかもしれませんが、これが全然大丈夫じゃないんですね。
まず一つは、8月にあったJAO酒田大会を開催した事。御陰さまで盛り上がり成功しましたが、それにかける時間やいろいろな手間もあり、練習時間は減少しました。更に、毎年11月か12月初めにやっている定期演奏会(弱小アマオケなので定期演奏会は年1回だけ)の代わりに「JASRAC後援事業」ができるという話があったのですが、3月末にこれが立ち消えました。JASRACは、日本の音楽関係の著作権などを扱っている団体ですが、事業の一つとして音楽活動の公的支援のようなことをしています。弱小アマオケでは普段出来ないような公演を経済的にも応援しているのです。我々も、ハープやパーカッションなど普段余り揃えられない楽器をふんだんに使う、「春祭」やショスタコの交響曲などを候補に挙げ、ソリストに五島みどりさんや諏訪内晶子さんや上原彩子さんなどを挙げて計画を練っていました。しかし、この話が消えてしまい、12/3に確保した「希望ホール」が宙に浮きました(当然、前々日リハ、前日リハ、当日午前GPのために3日間ホールを確保していました)。
団内でいろいろ議論がありました。
10年に一度のオペラに全力を注ぐべきだ。オペラの練習をしながら定期の練習をするほど、うちの団に(人的、技術的に、時間的)余裕はない、今年はJAO酒田大会開催もあるし定期演奏会の練習をする余裕はない、などなどという「反対意見」が多く出ました。一方、いくらアマオケにオペラは大変と言っても、春から1年かけてオペラの練習だけするのは問題だ(端的にはつまらない、嫌だ)、来年3月までオペラの練習だけではつまらない(出番が少ない)、定期の練習を組み込むのは大変だがなんとか頑張れるはずだ、などなど「賛成意見」も出ました。結局投票になり、なんと1票差で「定期演奏会」を12/3に開催するということになったのでした。
やると決まった以上は、いくらアマオケでも「お客様」にお金を払って聴きに来て頂くのですから真面目にやらなければなりません。例年ならば、直前を除き練習は毎週土曜の夜が主なのですが、今年は土日2日間練習、しかも日曜は午前10時から午後4時までですから、ほとんど丸一日が潰れます。例年の2倍近い練習時間を割いています。しかし、これでも足らないくらいです。定期演奏会12/3まであと2ヶ月チョット。週末は8回。これを全部土日練習として16日。しかし、その間に来年3月のオペラの練習、特にオペラの本番指揮者である「ざえもん」さん(7/30の記事)参照の指揮者練習が2週(4日間)組み込まれていて、その指揮者練習に向けての練習もしなければなりません。結局、定期演奏会のための練習は、直前3日間を除くと今後4週末(8日)の練習時間しか割けないのです。あとの8日間は『ら・ボエーム』の練習(うち4日間は指揮者練習)です。

ということで、かなり大変です。頭の切り替えも必要です。チャイコフスキーをやっていた翌週にプッチーニをやるのですから、奏でる音色から考えて気を使います。そして、「ラ・ボエーム」の大変さ。これは想像以上のものでした。まず、「譜面通り弾く」ことがとっても大変です。
どんどん調性が変わります。フラット2つからまったくなしになったと思ったら次はフラット「6つ」(!)その後シャープ2つになったらすぎにフラット3つ、そしてまたシャープ2つ、続いてフラット1つになったと思ったらすぐフラット6つになってその後シャープ4つという具合に、フルートパートの第1幕の最初5、6ページを見るだけでこんなに調号が変わります。その上、拍子も3/8、6/8、2/4、3/4、4/4と目まぐるしく変わります。そして、同じ3/8拍子でもいわゆる「3拍子」の振り方である1、2、3と3回振る場合と、速度の速い部分では「一つ振り」といって、1拍子で振る部分があります。6/8を2つに振るのは普通ですが、突然2/4に変わっても2つ振り、続いて3/8で一つ振り、2/4に戻って一つ振り、速度が変わって2つ振り、3/4に変化して3つ振りかとおもったら、4/4で4つ振りを数小節やったら3/4の3つ振りに続くと言う感じです。言葉で書いても???でしょうが、譜面を見て頂いたらわかります。指揮者が何拍子で振るのかを譜面に書き込んでおかないと、「ここはどこ? 私は誰?」状態になってしまうのです。しかも、オケはあくまで「歌の伴奏」であって、主役ではないのです。歌手が歌うその節回しや、聞かせどころで思いのままに伸ばす歌声にも合わせなければなりません。結局、譜面を追っていては出来ない演奏です。自分のパートはもちろん、総譜的に全体を頭に叩き込んで記憶し、指揮者の棒に合わせながら音楽を作って行くしかありません。
昨日の夜は、久しぶりのオペラ練習でした。はっきり言って譜面を追うのに精一杯でした。2小節吹いたら、その後、2,4,3と数字が書いてあって要するに、9小節休みなんですが、その間に速度や拍子が変わり、続いて3小節吹いたらまた3、2、5、18と書いてあって28小節休みがあるのです。視野の一部に指揮者の姿、特に棒を入れながらじっと譜面をみつめて集中していなければ、ちょっとでも気を抜いて他の事を考えると「アウト!」なのです。あれ?今、どこ?と言うことになってしまいます。

こんな感じで練習しています。当然楽団練習のためには個人練習をしていなければならない訳で、12月の定期で出番となるベートーベンの「エグモント」の2番とチャイコの『悲愴』の1番を練習しながら、『ラ・ボエーム』の練習をするのは頭の切り替えが大変です。勉強のために、最初の写真のように大きなスコアとともにパート譜を見ながら、過日亡くなられたパバロッティがルドルフォ役をやったメトロポリタン歌劇場のDVDを観たり、マリア・カラスがミミ役をやったミラノスカラ座の演奏をCDで聴いたりと、準備に更に時間を使うのですね。
でも、これが楽しい。こういう時間を使える立場になるために大学病院を辞職したのですから。

Photo_2そして、こういう時間と頭を使うためには体力が必要。
グルメばかりしているとご批判(?)を浴びながら、美味しいものを求める旅は止まりません。
先週も行った、近所(車で2、3分かな)の有機野菜レストラン「シェディ・オーク」。また行ってきました。
Photo_3先週は、私はキノコたっぷりパスタにデザートとコーヒーでしたが、今回はランチのコースにしてみました。
ミニパスタ(といっても通常量の半分以上あるので、東京などの量の少ないイタ飯屋さんのパスタと比べれば「やや小盛り」と言う程度)にカレー、そしてデザートとコーヒーか紅茶。
実は、前回伺った時に隣のひとが食べていたカレーライスが美味しそうで、「次は是非あれ!」と心に決めていたのです。写真の様な具沢山のカレーライス。味は、カレー専門店のインドカレーなどとは違って、小麦粉をたっぷり使った欧風の「洋食屋」的なカレーです。なによりも、具には肉類が一切入っておらず全て野菜です。

なす、おくら、かぼちゃ、にんじん、じゃがいも、さといも、大葉(?)、しめじ、えのき、あと何はいってたかな〜?
オクラのネバネバ感や里芋のネットリ感がとてもいいです。ファンになる味というのでしょうか。
Photo_4今日のコースデザートは、「洋梨のソルベ」でした。上品な甘さで、洋梨の身がすりつぶされたジャリジャリ感も感触良く、良い香りでした。これに、ブランデーに洋梨をつけ込んだリキュールをかけるのです。
またサービスして頂いたのか、他の席のお客様のソルベが1スクープなのに、私のは写真のように2スクープ載っていました。御馳走様でした!
有機栽培の野菜と安全なキノコ、そしてお米、果物を使っているので、その日、その週に入ってくる材料によって出されるメニューも変わるのだそうです。遊佐町の特定の農家から直接仕入れていると聞きました。鳥海山の伏流水と太陽の恵みに、合成化学肥料を全く使用しない安全に拘った材料から作られる美味しい料理。身体というよりも心にパワーをもらった感じでした。

今日は、近くの小学校に県警音楽隊が来るらしくそれを覗きに行って、その後は山形市の文翔館で行われる「山形弦楽四重奏団」の第25回定期演奏会を聴きに行く予定です。往復3時間かけて聴きに行くだけの価値のある演奏会だと思っていますし、彼らが続けている演奏活動を応援したいというささやかな気持ちもあるのです。
来週は、脳外科学会総会です。「脳外科学会オケ」として2回の演奏と、学会のメインセッションでの同時通訳としてのボランティアの仕事もあります。第66回日本脳外科学会総会記念「市民公開講座」(10/6(土))は「市民公開講座プログラム」をご覧ください。
この演奏では、ある超有名な方との共演(楽団員の一人としてですが)が楽しみです。どなたなのかは、演奏が終わったら来週のブログに書きますのでお楽しみに!

|

« 新潟、タレかつそしてチェンバロ | トップページ | 楽しい演奏会 »

コメント

後輩先生。
ボエームですか!
合わすの大変ですね!
だけど、プッチーニは癖になりますので、慢性疾患にご注意ください。
私も今日、大作をアップしましたので見てくださいね!

投稿: amadeus | 2007.09.30 19:56

amadeus先輩、コメントありがとうございます。
ブログ拝見しました。踊りが素晴らしい!
オペラは食わず嫌いでしたが、確かにはまりそうです。(笑)

投稿: balaine | 2007.10.01 04:18

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: オペラの練習、定期の練習ほか:

« 新潟、タレかつそしてチェンバロ | トップページ | 楽しい演奏会 »