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2007.06.28

炎のコバケン

平成19年6月26日(火)、酒田市民会館「希望ホール」(酒フィルの本拠地、と勝手に呼んでおく)で、「希望音楽祭」の一連の事業の一つとして、「新日本フィルハーモニー演奏会」が催された。
思えば、平成16年の「こけら落とし事業」の際には、先日ウィーンで会った(?)マエストロ小澤征爾の指揮で、「新日」の演奏会があったのだった。その時に、「新日の王子」こと、フルートの荒川洋さんに初めてお会いした。
H16/12/17 新日の荒川洋さんと
荒川さんは仙台出身で、秋田にも縁が深く、確か高校から関東の方に移られてはいるが「根」は東北の人だと思っている。心根の優しさとか暖かさという意味。
とても柔らかい、深みのある音色が魅力的な笛吹きアーティストである。
アフラートゥスも、上原彩子さんも、ミシェル・デボストも、N響のK田さんも東響の相澤さんも、フルート・クライスの上坂さんも、その他、あの人も、この人も、笛をやっていなかったら一生お会いする事も言葉を交わす事もなかったような人達。皆、芸術家で皆暖かい心を持っている人達。
荒川さんもそういう大切な人達の一人。しかも酒田という縁で食事やお酒までご一緒する事ができて大変嬉しかった。
Arakawasan3写真、あえて小さめです。
年の差が15もあるし、「王子」と一緒では私のみすぼらしさが目立つので、小さくしちゃいました。(^^;;;
今回のコンサートは、そうそう、タイトルの通り、コバケンこと小林研一郎氏の指揮でした。
この事を書こうと思って書き始めたのでした。
プログラムは、モーツァルト『フィガロの結婚』序曲、チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」、そしてドボルジャーク「交響曲第9番『新世界から』」という、定番中の定番でした。
ピアノは、なんと仲道郁代さん。美しく、可憐で、ピアノはダイナミックで迫力満点でした。
「希望音楽祭」の企画段階では、仲道さんサイドの希望ではモーツァルトのPコンだったそうですが、「是非、チャイコをお願いしたい」というこちら側のわがままを通して受けてくださったそうでした。薄いブルーのドレスも素敵でしたが、残念ながらステージの写真はありません。
1曲目のフィガロ、これは我が酒フィルも今年の春の「ファミリーコンサート」でも演奏したばかり。5月の脳外科医学会の開会式典演奏でも早川正昭氏の指導指揮で演奏しました。「コバケン」のモーツァルト、実はこれが一番面白かったかもしれない。勝手な先入観ですが、コバケンとモーツァルトは相容れないような印象を持っています。とにかく、最近流行の「ピリオド奏法」とか「ノンヴィブラート」とか全く関係ない、現代奏法、現代解釈的で、聴いていてでも身体が自然に踊るような感じでした。
3曲目の「新世界から」。これは、もう何も言う事はありません。
私は、オーケストラのコンサートにおいて、記憶する限り人生で2回目のBravoを叫んでしまいました(1回目は、それも今年、山響のブルックナーの4番「ロマンティック」でした)。『炎のコバケン』と人は呼びます。その理由が今回、更によくわかりました。
コバケンさんの指揮を実際に生で聴いたのは、平成16年11月のサントリーホールでのチェコフィルによるスメタナ『我が祖国』全曲演奏でした。あの時は、ホールが大きい上に席がステージから遠くて、コバケンさんの迫力はあまり伝わらなかったのですが、今回は2階バルコニー最前方で聴いたので、指揮中のその「唸り声」からほとばしる汗、震える髪、などなど渾身の指揮ぶりを間近に拝見できました。
コバケンさんは、本当に熱い指揮で知られていますが、その物腰は拝見する限りはとても謙虚でやわらかく慈愛と尊敬に満ちた眼差しで、楽団員や観客を見ているようです。
私も、昨年、秋の脳外科総会で「新世界から」の4楽章をやりました。フルートトップを吹かせてもらいました。
ですから4楽章は、荒川さんと一緒に呼吸を(息継ぎ)をしていました。数週前に、訪れたドボルジャークの生家、その近くにあった駅舎、線路を思い出しながら、4楽章のSLが走るような出だしを聴いていました。中央ヨーロッパの旅(ドボルジャークの生家)
そして、クライマックス。最後の一音が、「希望ホール」の中に消えて行き、コバケンさんが指揮棒を降ろすまで、誰も拍手せず息を停めていました。そして万雷の拍手。コバケンさんは、観客の方を向かず、まずはコンマス、とコンマスアシスト、セコバイ、チェロ、ビオラの最前列の二人ずつに握手と礼をし、コントラバスのところまで歩いて行って前列二人と握手、指揮台の方に戻りつつ木管群、金管群、パーカッションの団員に礼と賞賛を投げかけて、やっと観客の方に向きなおりました。拍手はその強さをffからfffくらいにあげ、私はここでBravoと声をかけました。コバケンさんがよくやるポーズの一つ、両手をクロスさせるように両胸にあてて、笑顔でのお辞儀。
何回もカーテンコールがあった後、拍手を制するような仕草で面白いように観客の拍手がピタっと止まりました。
一字一句覚えている訳ではありませんが、コバケンさんが一言、あの少しうわずったような高い声で
「みなさま、ありがとうございました!この、嵐のような拍手の中で、わたくし自身、感激にうち震えております。アンコールに、、、」
あれ?曲名忘れました。弦パートのみの演奏で、美しく、静かに、「新世界」の興奮を鎮めるような曲でした。
私がとても感心したのは、アンコールも終わったとたんの拍手ではなく、弦の音がホールに消えて行ってまだコバケンさんが指揮棒を降ろさずじっとしている間、観客は身じろぎもせずにいて、腕を降ろし始めてから嵐のような拍手を始めた事。山形テルサで山響のブルックナーを聴いた時は、残念ながら飯森さんが指揮棒を降ろし始めるよりもかなり前に拍手を始めた人もいて、曲が完結した余韻に浸る暇がなかったのに比べて、酒田の観客は素晴らしい!と思った。

アンコール後も拍手は鳴り止まず、コバケンさんは7、8回は舞台袖と指揮台の間を往復させられるはめになった。最後は、コンマスの西江さんに声をかけて、オケ全員が観客にお辞儀をしてステージを降りることになったが、ほとんどの団員が下がるまで拍手を続けている観客も少しくいた程だった。後で、荒川さんに聞いた話では、最後に団員が全員お辞儀して帰るのは、「日フィル」方式らしく(コバケンさんは本来の日本フィルハーモニーの指揮者でコバケンと言えば日フィルというくらいの関係)、Obの○部さんが「あ、日フィルだ!」と言っていたそうです。また、冗談で、「お辞儀じゃなくて全員でイナバウアーすれば」などと楽しく会話していたそう。こういうことも、終演後に一緒にお食事させて頂いたからこそ聞けた、「内緒話」(内緒になってない!)ですね。

そうそう、何故、このタイトルにしたかと言えば、5/13に「プラハの春音楽祭」でチェコフィル演奏をスメタナホールで聴いた後、食事をした時に、チェコフィルをよく振っているコバケンさんの話がでたのでした。Fgのオンジェが、「コバケン、ファイアー!」と英語で言ったので大笑い。何かの曲のリハの時に、文字では現しにくいのですが、fffのところで、団員に与えたコバケンさんの指示は、「ダァ〜!!ノーォ。」「ドゥグゥバァァァ〜〜〜!!!」と言ったそうです。チェコ語やドイツ語で、「激しく、エスプレッシーボに」とか言うより、よほど熱い想いが伝わると思います。
やはり「炎のコバケン」です。

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