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2007.03.27

「ウィーンの冬」読了!

ハードボイルドの小説でした。
ハードボイルドって、ほとんど手に取らないのです。多分、大藪晴彦の『野獣死すべし』か『蘇る金狼』以来です。
この2作は、故松田優作さんを主演に、村川透監督が映画化しています。
山形交響楽団創立名誉指揮者である村川千秋先生の弟さんです。
実は、大学生時代、日比谷公会堂で行われた『野獣死すべし』の映画ロケに、私は映画監督村川透、山響指揮者村川千秋の知人の知人の知人として、エキストラで参加しています。映画を見る限りは、ショパンのピアノコンサートを聴きに来た主演松田優作&小林麻美の二人を舞台側からズームイン!して行く過程で、多分私の頭の上の方だけちょっと映っています。
それは置いておいて。

「ウィーンの冬」。
なかなか読み進まないのは、登場人物が多く、関係が複雑で、当然ですがオーストリア、ドイツ、その他の多国籍の人々が登場し、国際テロやいかがわしい宗教団体や国際社会のルールに反した行動を取る国家や当局の戦いを描いているという内容で、読んで頭にスーッと入ってくるものではないからなんです。
ウィーン、カイゼリン・エリーザベト、聖シュテファン教会、国立オペラ劇場などという言葉が踊るので、なんとなく、美しい、ロマンチックな、音楽に深い繋がりのあるストーリーかと早合点していましたが、コチコチのハードボイルドでどちらかというとドロドロした内容でした。
でも主人公が歩く、ウィーンの街並みを、その映像を思い浮かべながら本の最初に掲載されているウィーン市街図などを眺めて、もう少しでその辺りを歩く自分を想像したりしていました。
春江一也というこの人の小説に、「中欧3部作」と言われるもので、『プラハの春』と『ベルリンの秋』というのがあります。実は、既に買ってあるのですがまだ読み始めていません。
まあ、そのうちに。。。

2月の全国学会主催2つも何とか終了し、3月、4月の春の学会シーズンを迎えています。
毎週のように、何らかの学会、研究会があり、今週末は京都に行きます。しかし、美しい櫻を愛でる時間が取れるのかどうか。
前にも書いた事がありますが、この「学会出張」。会社員に例えれば、会社の仕事で出張する訳ですから、当然出張旅費や宿泊などは会社持ちですね。公務員でもそうでしょう。
ところが、大学病院勤務医の場合、大学すなわち国からは一銭も出ません。出張旅費はすべて「自腹」なんです。ですから、大学勤務医は、ただでさえ少ない給与の上に、高い高い医学書、多い全国学会出張をすべて自費で賄わなくてはならなくなります。
研究費として、文部科学省や厚生労働省から「申請が当たれば」もらえるお金の中に、きちんとして名目をつければ、「学術研究のための出張旅費」というのは使う事ができますが、自由ではありません。前もって計画していなければなりません。
先日、タミフルの問題で研究班長が某企業からもらっていたと報道された研究費。
あれは、「委任経理金」というものです。「奨学寄付金」とも言われますが、企業を含む「民間」から教育研究を奨励する目的で寄せられた寄付金で、一旦国庫に入った後、文部科学大臣の名で大学の長あてに交付され、「経理」が「委任」されるのです。そして、各大学において研究目的に各部門、部署に分配されます。国が潤沢な研究資金や人件費を出せない代わりに、企業が公益的な行動として行っている、後ろめたい事のないお金なのです。
そのお金の中から、学会出張の旅費などは出す事ができます。ですから、力(腕力ではありません)のある教授や施設長は、それらのお金を多く持って来る事ができ、そのお金を使って我々は出張旅費を賄ってもらう事ができます。
ただし、全額ではありません。部門、部署にまかされているはずですが、だいたい、東京都内なら1泊1万円以下、往復25,000弱というような限度を設け、学会参加費(数千円から高いものでは3万円くらい)は自腹が原則です。
本の話からずれてしまいましたが、我々勤務医、特に大学病院医師が、その仕事量と責任と技術知識の特殊性から考えれば決して多いとは言えない給与の中で、学会出張や研究旅費まで自腹を切っている事を知って頂きたいと思って書きました。
そんな生活もあと1ヶ月となってしまいました。。。

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コメント

ここの記事で、<ウィーン>話を読んで、数日しないうちに、数年会ってない友人が
「家族で<ウィーン>に行ってきました」って電話を突然よこして来ました。
さっきは、『オーラの泉』、撮ってあったのを見たら、佐渡裕さんと言う(私には未知の方ですが)指揮者の方が出てて、また<ウィーン>が出てきました。
何故か、ウィーン、ウィーンです、あはは。

佐渡さんって方、素敵な方でしたよ。話されることも、表情も。
住む世界に関係なく、ああ、こんなふうに生きてみたいもんだ!って、思わせてくれる方でした(^_^)

私にとってのウィーンは、
-ホルクスワーゲンはヴォルクスだったから、ウィーンはヴィーンなのかな・・・? 
-美味しいものは何だろう? 
-ん?新婚旅行か!? え~なあ。。。
って、感じです(^ ^;)

<変化>は いつも ワクワクです! 
いい春になりますように。
まずは 元気いっぱいモードで!

投稿: リスペクト | 2007.03.29 15:28

リスペクトさん、ウィーンは英語ではVienna、ヴィエナと発音するようです。ドイツ語表記ではWienですからヴィーンですね。
ただ「高地ドイツ語」という訛りによって「ウィーン」に近い発音なのだそうです。

佐渡さんは、吹奏楽の世界では超有名な方です。もとはフルートを吹いていたんですよ。よくテレビにも出ます。

ウィーンの美味しいもの?あまり期待してませんが、ウィーナーシュニッツェルですか。あとはチョコレートとかケーキですかね。「カフェ」がたくさんあります。
でも一番のご御馳走は、「音楽」ですよ!

投稿: balaine | 2007.04.01 10:51

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