奥が深い
今日は、予定手術が予定より少し早く終わったので、またブログを書く気になった。
先日学会で京都に行った時は、行事が詰まっていて、プライベートに「美味いもん」を食べる機会は少なかった。
京都は、食の文化の深さが違う。
しかし、山形も美味いものは本当に多い。
さくらんぼはうますぎる。ラ・フランスは、こんな気品のある食べ物がなんでこんな田舎で、と思う。
メロンもあるし、リンゴは実は青森より上だと言う人もいる。
米は当然美味い。酒もうまい。漬け物はすごい。野菜もいい。内陸で寿司はいまいちの感もあるが、庄内に行けば富山や築地にも負けないネタを揃えた寿司屋がある。フランス料理やイタリアンだってそこそこ。
いや、あの『アル・ケッチャーノ』に至っては、予約すらとれない超人気店になってしまった(悲しい、、、)。
そんな美味いものの多い山形で、何が一番好きかと聞かれたら、私は「蕎麦」と答えるだろう。
一昨日、東京日帰りの不満を愚痴ったばかりなのに、昨日(日曜)、病院の仕事は午前中で終わったし、天気もよかったので、大石田に出かけた。
目的は、『新そば祭り』である。
昼過ぎに家を出て、高速も使って1時前に着いた。会場に入る当日券(そばとの引換券&抽選会券付き)を買って、整理券をもらったらなんと960番台であった。
「今、何番目くらいですか?」と聞いたら、780番位だという。
約50分待ちとのこと。
覚悟はしていたが、ほぇ〜、だった。
そこで、会場に来る直前、交差点で右折する所を見落として直進してしまったら、偶然見つけてしまった、あの(ボリジさんに教えてもらった)超有名な『横丁とうふ店』に団子を買いに行くことにした。
団子でも食べながらのんびり待っていようという魂胆である。
ところが、この豆腐屋さん、只者ではなかった。
なんと、こちらも番号札をもらって並ばなければ行けなかったのだ。
待っている間に、美味しそうな豆乳(一杯100円)を飲み、試食用に置いてあった「秘伝もめん豆腐」をつまみ、結局、「秘伝おぼろ豆腐」も買ってしまった。
豆乳だって、普通の豆乳じゃなかった。
少し緑色がかった乳白色で、豆の味そのもの。というか、美味しい豆腐を飲んでいるようだった。
豆腐も美味しかった。
団子は、全ての種類を買ってしまった(ずんだ、しょうゆ、くるみ、黒ごま、あんこ)。
写真はその内載せます。v(^^
豆腐も豆腐だが、団子は本当に只者ではなかった。
「千本団子」といわれる名前の由来は、ちょっと昔、この豆腐屋のばあちゃんがつくっている団子がうまいと評判だったので、山形市内のデパートの物産市に出したことから始まる。餅米ではなく、飯米をばあちゃんが丹念に突いて作る団子は、一切の添加物なし。米、だけ。そして、デパートに出した時に、「明日には固くなるから今日中に食べて下さい」と説明したらしい。
団子は、文字通り飛ぶように売れて、一日で千本売れてしまった。
それで「千本団子」なのだそうだ。
「明日には固くなる団子」の本質を見抜いた山形の消費者の目(舌?)についても賞賛する文章を読んだ。
それ以来、『横丁とうふ店』という、れっきとした豆腐屋さんでありながら、「明日には固くなる千本団子」ということで、ばあちゃんの団子の方が有名になったのだそうだ。
スーパーなどで売られている、工場で作られた団子は、3、4日たっても柔らかい。
それは、どういうことなのだろう。柔らかさを保つ添加物や保存料が入っているのだろう。
飯米以外何も使っていない、団子。しかも二度突きした団子は、柔らかいが歯ごたえがあり弾力が強く、歯で捉えて串から抜くにも、ビヨ〜〜ンとまるでお雑煮の中のお餅のように伸びるがけっして途中で崩れないのだ。
いや、まいった。
たかが団子と言えど、奥が深いものだ。
そして、肝心の、お目当てのそば。
大石田は、蕎麦の美味い店の多い山形内陸地方の中でも群を抜いて美味い店が並ぶ地区。
『そば街道』なることばすらある。
私が好きなのは、次年子(じねご、と呼ぶ)の「七兵衛そば」。1500円でおかわり自由の食べ放題で、添え付けのお漬け物、中でもキクラゲがうまい!これも食べ放題なのである。ただ、この時期(新蕎麦の季節)に行くと、店は広いし働いている人はたくさんいるのだけど、あまりの人気店のため、土日などは1時間半近く待つ事になる。
さて、『新そば祭り』だ。
大石田町来迎寺地区に伝わる、在来種の来迎寺蕎麦というものを使った、本物の新蕎麦である。
体育館のような所で並んで食べるのだけど、いろいろ工夫してあって、とれたての新蕎麦の挽きたて、打ち立て、茹でたての「4たて」を頂けるのである。
蕎麦の香が鮮やかで、麺の太さは普通か山形にしてはやや細め。一番粉の茹でたては、淡く緑色がかった灰白色で気品すら漂うものだった。タレにつけずにすすってみたが、そのまま何口もいけそうだった。蕎麦の爽やかさが堪能できた。
そばがき、もあった。これは「納豆」だけだったが、柔らかく、しかし弾力があって、箸だけで好きな大きさに切って口に運ぶことが出来た。蕎麦の香を楽しむのは、そばがきのほうがいいようである。
体育館のような建物の中に、並べられたテーブルに自分で空いている所を見つけて席に着くのであるが、地元のお漬け物がこれまたフンダンにもられていて自由に食べることが出来た。有名な「ぺそら漬け」もあった。ぴりりと辛い中に、塩漬けの甘さが広がる。
日本酒が欲しくなるところだ。
今まで、「有名」と言われる蕎麦屋はかなり通った。
最近は、そば不毛の地と言われていた、庄内にも美味い蕎麦屋が出来てきた(元々、土地の肥沃な米所庄内には、蕎麦は適していなかったため)。北は新庄地区、南は川西、米沢地区まで蕎麦屋は食べ歩いた。大石田のそばが美味いのは知っていた。
しかし、「祭り」で提供する蕎麦なので、あまり期待していなかったのは事実。というより、期待していった時に裏切られた悲しさを防衛しようと言う気持ちだったろう。
ところが、どっこい、体育館でたべる、「祭り」の蕎麦が、そんじょそこらの有名店の蕎麦よりも美味かったのだ。
いや〜、食べ物の世界は奥が深い。
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