« 2006年9月 | トップページ | 2006年11月 »

2006年10月

2006.10.30

奥が深い

今日は、予定手術が予定より少し早く終わったので、またブログを書く気になった。

先日学会で京都に行った時は、行事が詰まっていて、プライベートに「美味いもん」を食べる機会は少なかった。
京都は、食の文化の深さが違う。
しかし、山形も美味いものは本当に多い。
さくらんぼはうますぎる。ラ・フランスは、こんな気品のある食べ物がなんでこんな田舎で、と思う。
メロンもあるし、リンゴは実は青森より上だと言う人もいる。
米は当然美味い。酒もうまい。漬け物はすごい。野菜もいい。内陸で寿司はいまいちの感もあるが、庄内に行けば富山や築地にも負けないネタを揃えた寿司屋がある。フランス料理やイタリアンだってそこそこ。
いや、あの『アル・ケッチャーノ』に至っては、予約すらとれない超人気店になってしまった(悲しい、、、)。
そんな美味いものの多い山形で、何が一番好きかと聞かれたら、私は「蕎麦」と答えるだろう。

一昨日、東京日帰りの不満を愚痴ったばかりなのに、昨日(日曜)、病院の仕事は午前中で終わったし、天気もよかったので、大石田に出かけた。
目的は、『新そば祭り』である。
昼過ぎに家を出て、高速も使って1時前に着いた。会場に入る当日券(そばとの引換券&抽選会券付き)を買って、整理券をもらったらなんと960番台であった。
「今、何番目くらいですか?」と聞いたら、780番位だという。
約50分待ちとのこと。
覚悟はしていたが、ほぇ〜、だった。
そこで、会場に来る直前、交差点で右折する所を見落として直進してしまったら、偶然見つけてしまった、あの(ボリジさんに教えてもらった)超有名な『横丁とうふ店』に団子を買いに行くことにした。
団子でも食べながらのんびり待っていようという魂胆である。
ところが、この豆腐屋さん、只者ではなかった。
なんと、こちらも番号札をもらって並ばなければ行けなかったのだ。
待っている間に、美味しそうな豆乳(一杯100円)を飲み、試食用に置いてあった「秘伝もめん豆腐」をつまみ、結局、「秘伝おぼろ豆腐」も買ってしまった。
豆乳だって、普通の豆乳じゃなかった。
少し緑色がかった乳白色で、豆の味そのもの。というか、美味しい豆腐を飲んでいるようだった。
豆腐も美味しかった。

団子は、全ての種類を買ってしまった(ずんだ、しょうゆ、くるみ、黒ごま、あんこ)。
写真はその内載せます。v(^^
豆腐も豆腐だが、団子は本当に只者ではなかった。
「千本団子」といわれる名前の由来は、ちょっと昔、この豆腐屋のばあちゃんがつくっている団子がうまいと評判だったので、山形市内のデパートの物産市に出したことから始まる。餅米ではなく、飯米をばあちゃんが丹念に突いて作る団子は、一切の添加物なし。米、だけ。そして、デパートに出した時に、「明日には固くなるから今日中に食べて下さい」と説明したらしい。
団子は、文字通り飛ぶように売れて、一日で千本売れてしまった。
それで「千本団子」なのだそうだ。
「明日には固くなる団子」の本質を見抜いた山形の消費者の目(舌?)についても賞賛する文章を読んだ。
それ以来、『横丁とうふ店』という、れっきとした豆腐屋さんでありながら、「明日には固くなる千本団子」ということで、ばあちゃんの団子の方が有名になったのだそうだ。
スーパーなどで売られている、工場で作られた団子は、3、4日たっても柔らかい。
それは、どういうことなのだろう。柔らかさを保つ添加物や保存料が入っているのだろう。
飯米以外何も使っていない、団子。しかも二度突きした団子は、柔らかいが歯ごたえがあり弾力が強く、歯で捉えて串から抜くにも、ビヨ〜〜ンとまるでお雑煮の中のお餅のように伸びるがけっして途中で崩れないのだ。
いや、まいった。
たかが団子と言えど、奥が深いものだ。

そして、肝心の、お目当てのそば。
大石田は、蕎麦の美味い店の多い山形内陸地方の中でも群を抜いて美味い店が並ぶ地区。
『そば街道』なることばすらある。
私が好きなのは、次年子(じねご、と呼ぶ)の「七兵衛そば」。1500円でおかわり自由の食べ放題で、添え付けのお漬け物、中でもキクラゲがうまい!これも食べ放題なのである。ただ、この時期(新蕎麦の季節)に行くと、店は広いし働いている人はたくさんいるのだけど、あまりの人気店のため、土日などは1時間半近く待つ事になる。
さて、『新そば祭り』だ。
大石田町来迎寺地区に伝わる、在来種の来迎寺蕎麦というものを使った、本物の新蕎麦である。
体育館のような所で並んで食べるのだけど、いろいろ工夫してあって、とれたての新蕎麦の挽きたて、打ち立て、茹でたての「4たて」を頂けるのである。

蕎麦の香が鮮やかで、麺の太さは普通か山形にしてはやや細め。一番粉の茹でたては、淡く緑色がかった灰白色で気品すら漂うものだった。タレにつけずにすすってみたが、そのまま何口もいけそうだった。蕎麦の爽やかさが堪能できた。
そばがき、もあった。これは「納豆」だけだったが、柔らかく、しかし弾力があって、箸だけで好きな大きさに切って口に運ぶことが出来た。蕎麦の香を楽しむのは、そばがきのほうがいいようである。
体育館のような建物の中に、並べられたテーブルに自分で空いている所を見つけて席に着くのであるが、地元のお漬け物がこれまたフンダンにもられていて自由に食べることが出来た。有名な「ぺそら漬け」もあった。ぴりりと辛い中に、塩漬けの甘さが広がる。
日本酒が欲しくなるところだ。

今まで、「有名」と言われる蕎麦屋はかなり通った。
最近は、そば不毛の地と言われていた、庄内にも美味い蕎麦屋が出来てきた(元々、土地の肥沃な米所庄内には、蕎麦は適していなかったため)。北は新庄地区、南は川西、米沢地区まで蕎麦屋は食べ歩いた。大石田のそばが美味いのは知っていた。
しかし、「祭り」で提供する蕎麦なので、あまり期待していなかったのは事実。というより、期待していった時に裏切られた悲しさを防衛しようと言う気持ちだったろう。
ところが、どっこい、体育館でたべる、「祭り」の蕎麦が、そんじょそこらの有名店の蕎麦よりも美味かったのだ。
いや〜、食べ物の世界は奥が深い。

| | コメント (7) | トラックバック (0)

2006.10.28

飛行機雲

ユーミンの歌ではない。
東京日帰り出張の新幹線車内から見える、見事に晴れ渡った青空に幾筋かの飛行機雲が走っている。
今月、仕事で新幹線に乗るのは何回目なんだろう?9/30のOSCEを入れれば、週末3回目の東京日帰り出張だ。京都も新幹線往復だったので、山形新幹線と東海道新幹線にわければ今日の帰りを入れて一月に十回新幹線に乗ることになる。

今日も、慶應大学医学部で学会に関連した会議である。九州から会議に来る人に比べれば距離は近いが、出席者の中で時間は一番かかるだろう。

山形駅で発車前に隣のホームに入ってきた東京発の新幹線からは、旅行者と思われる出で立ちの人々がたくさん降りてきた。
山寺に行くのかな?
蔵王に紅葉とお釜を見に行くのだろうか?
いや、大石田の新そば祭りで蕎麦に舌鼓をうつのかも。
こんな行楽日和の美しい日に日帰り出張とは。
東京駅と信濃町を往復する以外時間の余裕もなく、銀座にぶらっともできない。
仕事なのだから仕方ない。
私がこの往復に「勿体ない感」を覚えるのは、出張旅費をセーブするため『土日きっぷ』をつかっているからた゛。
山形新幹線往復どころか、JR東日本の指定範囲なら土日48時間乗り放題。新幹線も含めて4回まで指定も取れるのだ。それでいて単純に山形ー東京を新幹線で往復する通常料金より安いのである。
夜遅く山形駅に戻ると自動改札を通したチケットがまた出てくる。
「あ、そうか!まだ使えるんだ。」
貧乏根性の私にはこのチケットをごみ箱に捨てることができない。
「誰か明日東京とか、新潟とか、信州に日帰り旅行したい人いないかな?安く売るのに。いやどうせ捨てるんだから、知り合いならタダであげるのに、、、」
いつも勿体ない気持ちを引きずりながら帰宅する東京日帰り出張である。
せめて車窓の景色と駅弁でも楽しまなくちゃ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006.10.25

別の告知

自分の演奏でも、山形交響楽団でもありません。

"Musica Yokohama"というフルート族のアンサンブル(10人以上の編成)のコンサートの告知です。
10/31(火)、銀座の「王子ホール」、19時開演です。
特に、今回は結成10周年ということで、気合いが入っているように思います。

私が、このグループの宣伝をする訳は、今年の1月にハンガリーやプラハでお世話になった方が深く関係しているからです。
ハンガリーソルノク市で、ソルノク交響楽団と一緒に演奏したあの演奏会の指揮をして下さった、井碕正浩さんが指揮をするんです。私が、あのドキドキのショパンのピアノ協奏曲でのフルートトップのデビューをした演奏会です。
その後、訪れたプラハで、フルートのロマン・ノボトニーの友人として紹介してもらった、私のピッコロの製作者でもある、プラハ交響楽団ピッコロ奏者のスタニスラフ・フィンダ氏がピッコロで参加されます。もちろん、奥様の志保子さんは元々Musica Yokohamaのメンバーなのでフルートで参加されます。

6月に、銀座の山○楽器でピッコロ調整会、試奏会があった時にお会いして以来なので、是非聴きに行きたいのですが、平日の夜に銀座に行くのは無理です〜。ぎゃぼ!です。

ということで、このブログを見て、興味を持った方で時間の都合のつく方は、10/31銀座でのコンサート、よろしかったら体験してみて下さい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006.10.24

いろいろいっぺんに

(あ〜、仕事で酷使しすぎたのか、パソコンの調子がおかしい、、、北の電波攻撃か?)

まずは、「告知」です。
山形交響楽団の放送、先日教育テレビでやった『オーケストラの森』は1時間番組。
今度は、BS2で1時間40分の放送です!
12月1日(金)午前10時から午前11時40分。
午前、ですからね。
今度は、マーラーも全楽章聴けると思います。
山響、なかなかやります。
マエストロ飯森、男が見てもカッコいいです。
サイトウ記念オーケストラの斎藤先生の弟子であり、マエストロ小澤の弟子にもあたるはずです。
その棒はとても綺麗で、華麗な中にもどちらかというと真面目できっちりと振っておられます。
全8巻の指揮法入門のビデオも出されていますし、高校生に指揮を教えたりされています。
前回の教育テレビ、見逃された方はどうぞ今からBS2の録画予約をしておいて下さいね。
とても素敵な演奏です!

次。
先週は、脳外科の総会で4日も京都に行っていた。
脳外オケは、開会式典でドボルザークの交響曲第9番の第4楽章、2日目の会員懇親会で、始まる前の前奏として、ヴェルディの「乾杯の歌」オケ用編曲版、開会の演奏として同じく「アイーダ行進曲」を演奏しました。
京都なので、京都大学や京都府立医大の学生さんなどもトラで加わって下さって部厚い構成になりましたが、ちょっとバランスが悪かったかも知れません。
聴いていた人は率直にどう思ったのか。。。
でも演奏している本人たちは自己満足なんです。
たった、1日というか2時間位のリハ(それまで各自の練習)でうまくいくはずがないのです。
編曲、指揮をして下さったのは、いつものように早川正昭氏。
ちょうど、昨日の『N響アワー』がハープ奏者早川りさ子さんの特集みたいなかんじでしたが、その実のお父様なのです。
本当はもっと要求したいことがたくさんおありなんでしょうけど、時間と人的な制限でかなり我慢して頂いていると思います。音楽家にとっては、かなり辛いストレスフルなお仕事ではないかと推察しています。
演奏する我々は、適度の緊張はあっても演奏する喜びの方が何倍も大きいのでストレスはありません。

3つめ。
『いづう』の「鯖姿寿司」。
京都駅で、帰りの新幹線車内で食す夕食用に、奈良の「柿の葉寿司」とともに仕入れたもの。
普通の駅弁屋さんで売っている普通の鯖寿司などは、1個600〜700円くらいでしょう?
この『いづう』のんは、あんさん、6切れぽっちで2300円くらいしまっせ〜。
せこおすけど、一切れ当たり、380円くらいしますわ〜。
開けてみて、眺めてみて、食べてみて、その値段に納得はしました。
なんせ、ものすごう部厚い、立派な鯖をつこうてはって、それをこれまた立派な昆布で巻いて締めてあるんどす。
しゃりの味も他のんとはくらべものにならしまへなんだ。
「柿の葉寿司」も旨かった。

4つめ。
こちらで開催する全国学会まであと1ヶ月を切った。
ていうか、実質あと3週間です。
雑用係の事務局担当としては、まだまだいろいろなことに気を配らなければ行けない日々が続きます。
アマオケの練習なんてとてもできません。
アマオケの定期演奏会出演なんてとてもできそうにありません。
それなのに、来年は、JAO「日本アマチュアオーケストラ連盟」主催の大きなイベントが酒田であります。
主催者側になる訳ですが、今のままではかかわる時間が作れません。
さらにさらに、JASRAC(『balaineの自惚れコンサート』ではニックキ(?)お相手)主催事業で、地方のアマオケが普段出来ないような編成(たとえば、ラヴェルのダフニスとクロエ(ハープ2台にチェレスタとか)とかストラヴィンスキーの春の祭典(5管編成!)とか、すごい楽器をたくさん使うような)とか、とても普段共演出来ないようなソリスト(たとえば五嶋みどりさんとか諏訪内晶子さんとか、エマニュエル・パユとか?!)を選んで演奏をするチャンスがもらえそうなのです。
しかも、JASRAC主催なのでそういった交渉、準備にかかる資金や演奏にかかわる資金も全部援助され、コンサートも招待(観客は無料)となるらしいのです。
こんな、素晴らしいチャンス、一生に一度あるかどうかです。
私も是非これに関わりたいしステージにのりたい!
今のままでは、、、
はぅ〜〜ん、です〜。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006.10.16

オーケストラの森

ああ、しまった!
告知するの、忘れてた。
いろいろ忙しかったので。。。

10/15(日)、すでに昨日のことですが、午後4時から教育テレビで放送された『オーケストラの森』、ご覧になられた方いたでしょうか?
我らが愛する、ヤマキョウ、こと山形交響楽団の7月の定期演奏会が取り上げられました。
マーラーの4番。秀逸でした。
なにより、放送を観ていて、「さすが、NHK!」と唸りました。
N響アワーやBSクラシックで鍛えられた(?)カメラワーク。
確か、6台のカメラを設置して指揮者飯森範親氏、山響楽団員をいろんな角度から見せてくれました。
圧巻は、マーラーの最後。ハープのソロ、天上の音楽のごとく、雲の上に消えていくようなピアニッシモ、そして静寂。
マエストロ飯森は、すべての「実在の音」が消えてもなお10秒弱、そこに「天上の音」の余韻が残っているのを観客に聴かせるがごとく、動かず、手をおろさず。
観客も、ありがちなフライングの拍手を送る者もなく、ホールに10秒近い、静寂のとき。
まるで、テレビの音をミュートにしたかのごとく、まったくの「無音」。

素敵でした~。
「のだめ」風にいえば、「はぅ~~ん」か「あへ~」です。
見逃した方は、BS2の番組案内(インターネット)か山形交響楽団の公式HPの案内に注目していてください。
当初、10/27(金)に1時間40分放送される予定だったのですが、国会中継の影響か何かで延期になってしまい、まだ放送予定が決まっていないようです。
「へぇ~、地方都市(いなか)のオケがなかなかやるじゃん!」と思っていただけるか、と。
私の知り合い(創立名誉指揮者の村川千秋氏やオケのメンバー)もたくさん登場しますし、なんと、当日のコンサートを聴きに行っていた私も映っています。
チャンスがあったら、是非、BS2での放送をお楽しみに!
大きくは映っていないので、探すのは無理?ですが、2階にいます。へへへ。

| | コメント (9) | トラックバック (0)

2006.10.03

『武士の一分』

最近、帰宅して飯を喰うと、ただ寝てしまう。
脳が疲れている。
昨日もおそらく23時前にはソファで倒れていた。
そんなことで、今朝は4時半に起きだし、それからごそごそと仕事らしきものをした。
出かける前に、朝のTV番組を見ていたら(今日の占いを見るのが目的だったりするが)、表題の映画の話題が取り上げられていた。
御存知の人も多いだろう。
山田洋次監督、木村拓哉主演の映画。原作は、山形の、庄内の生んだ作家 藤沢周平。
最近この人の原作による映画流行である。さらに、原作に従って、山田洋次監督が庄内平野や鳥海山をロケハンし、かなりの割合を庄内で撮影している。
この夏、私は、鶴岡市(旧羽黒町)の「松が岡開墾場」に作った映画用セットを見に行ったりした。
庄内を愛する者の一人として多少の興味は持っていた。

今朝の番組で取り上げられていたのは、なんと「日本一早い『武士の一分』試写会」の話題。
それが昨日、鶴岡市で、監督山田洋次、主演のキムタクと妻役の檀れいを迎えて行われた。
しかも、新潟から羽越本線(昨年冬に庄内町で突風で脱線事故をおこした)にゴトゴトゆられ、日本海を左手に見ながらの特別列車を仕立てて、鶴岡入りしたのだった。

以前、このブログで、庄内藩酒井家のことと西郷隆盛や西南戦争のことに触れた。
私は、昭和61年から63年、鶴岡に住んでいた。
山田洋次監督、木村拓哉、檀れいが、ヒット祈願にお参りした「荘内神社」は、私が勤務していた旧荘内病院と鶴岡市役所のならびにある、鶴が岡城の城址である。鶴岡市役所の脇の消防署の横に、西郷どんのあの『敬天愛人』の碑がたっている。
まあ、話題作り、映画のためではあろうが、山田洋次監督やスタッフが庄内を愛してくれているようで単純に嬉しかった。
監督の言葉が印象的だった。
「この映画は庄内の人にこそ、見て欲しい」

私には、おのが命をかけても守るものがあるのか、、、

| | コメント (10) | トラックバック (1)

« 2006年9月 | トップページ | 2006年11月 »