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2006.03.27

山響演奏会感想

Yamakyoprog1 3/25(土)、山形市の山形テルサ大ホールで行われた、第171回山形交響楽団定期演奏会に出かけた。
曲目は、3/24のブログに書いた通りである。写真は、終演後高木綾子さんにサインを頂いた当日のプログラム表紙です。

飯森さんが山響のミュージックアドヴァイザー兼常任指揮者となってから必ずやっている事の一つに、演奏会直前の「プレトーク」というのがある。この日も、開演時間19:00丁度に誰もいないステージに飯森さんが登場。
挨拶と当日のプログラムの解説を軽快になさった。しかも、嬉しい事に、フルートソリストの高木綾子さんをステージに呼び、2日前からリハのため山形入りしていた高木さんと、「昨日はどこどこの蕎麦屋に行った」とか「昨晩は、どこどこの焼肉屋にいってスタミナつけた」とか「ついでに日本酒の品評会(利き酒会)に招かれたので、美味しい山形のお酒をたくさん(少量ずつ多種類(笑))飲んだ話など、演奏以外のことを楽しく話して下さった(このお蕎麦屋さんや焼肉屋さん、さらに利き酒会のことは、高木綾子さんのブログ(左下「音楽関係」のリンク)にも写真入りで出ています)。
飯森さんはいつもこのように「サービス精神」満点である。とっても得した気分にさせてくれる。

2曲目イベールのフルート協奏曲に登場する予定の高木綾子さんは、綺麗な濃いめのブルーのドレスでとても品があって素敵であったが、以前から某ファンサイトの掲示板でもいわれている「菅野美穂似」と言われる可愛らしい声で、飯森さんの質問などにも積極的に応えて下さった。ちなみに、あまりご存じない方のために、タレント菅野美穂さんは、様々なドラマなどに出ていますが、お茶の間で一番有名なのは出○石○という、『題名のない音楽会21』の主スポンサーのTV CFでウルトラマン相手に恋人役やそろばん教室の先生役で出ている可愛らしい女性です。も一つちなみに、マエストロ飯森範親氏は、この『題名、、、』に指揮者として頻繁に登場します。過日書いた、故本田美奈子さんがこの番組で歌った時の指揮者も飯森さんでした。
クラシックの音楽会で、その奏者がどんな服装をしているとか、どんな声で喋るとか、何の話をしたとか、こういうことは、パフォーマンス(=演奏ということ)そのものとは全く関係ない。しかし、クラシック音楽のファン層を拡大しもっと広めて行くために、こういった活動も大切だと思う。音楽には絶対にヴィジュアルな要素もある。特に現代では、ディスクが売れるとか、演奏会のチケットが売れるとかいう事は、必ずしも実力と比例しない物であるが、テレビ時代、マスコミ時代にヴィジュアル的にも利点を持っている、飯森さんと高木綾子さんならでは素晴らしいパフォーマンスであったと思う。こういうパフォーマンスに眉を顰める人もいるかもしれないが、私は声援を送りたい!

そして、1曲目。ハイドン作曲の交響曲第85番『王妃』。
「交響曲の父」には申し訳ないが、ハイドンの曲ってなんだかどれも似通っていて、聴いただけで何番だったか答えられる程精通していない。でもこの『王妃』、第1楽章の出だしは、まるでモーツァルトの『魔笛』の序曲を思わせる始まりである。クラシック通でない人に、「この曲はモーツァルトの作曲だよ」と言えばそう信じてしまわれそうな曲想である。
山響は、弦パートを中心に、創立時とは大分メンバーが入れ替わった。若い人が多い。
弦パートだけのアンサンブルとしてもまだまだ課題はたくさんありそうである。でも、まず音が澄んでいて美しかった。細かいアルペジオが合う、合わないよりも、まず「音程があっていて音が澄んでいる」ことはとても大切だと思う。これから飯森さん始めいろんな人の指導によって、より高いレベルに上がって行かれる事を期待している。
モーツァルトそっくりのハイドンの曲だから、ちょっとしたアンサンブルの乱れにアラが目立つ訳であるのでこれは仕方ない。でも「爽やかな」演奏だった。
期待していた第2楽章。直前に、私のフルートの師の一人であるA先生から「ちょっと体調がすぐれないので、ハイドンは降ります」という情報を貰っていたので驚きはしなかったが、フルートはスコア指定通り一本で、普段セカンドフルート&ピッコロのT女史であった。フランスの古い民謡「やさしくて若いリゼット」という歌を主題にした変奏曲形式で、この民謡を、後に断頭台の露と散った、王妃マリーアントワネットが好んでいたなどと言われている。第1変奏部ではフルートが大活躍するので、A先生の美音を楽しみにしていたのだが、いつもA先生の横で控えめにセカンド担当しているT女史の演奏が聴けて良かった。
第3楽章メヌエット、第4楽章ロンド・ソナタ通して、実に生き生きとした瑞々しい飯森氏の棒と、爽やかな山響の演奏に惹き付けられた。細かい事を言えばキリがないのであるが、ハイドンの交響曲がこんなにも楽しく聴けたのは初めてで、そういう意味で素晴らしい演奏であったと言える。
終わった瞬間、大袈裟ではなくホールに、サ〜っと爽やかな春風が吹いたように感じられた。

Yamashinat1(写真は、3/26山形新聞「社会面」に大きく載った綾子さんの写真入り記事。初日はこのドレスでした。)
さて、いよいよお待ちかねの2曲目、イベールのフルート協奏曲。これを生で聴くのは初めてだった。
ディスクでは、ランパルとパユを持っている。一昨年、N響をバックにサバリッシュの指揮で、ベルフィル首席のエマニュエル・パユ(高木綾子さんもマスタークラスを受講するような世界トップのフルーティスト)がサントリーホールで吹いたのはHDDに入っている。なので、予習をしてあった。楽譜も持ってるしね(笑)。
いろいろな感想がある。でも一言で言うと、大袈裟に過ぎるかも知れないがこの曲は、「高木綾子のために作曲された」んじゃないか、と勘違いしてしまいそうな演奏だった。
上に、「菅野美穂似の可愛らしい声」とわざわざ書いたのは、高木綾子ファンなら知っている、彼女のそのフルートの音色の、力強さ、太さ、倍音の豊富な重い、芯のあるパワフルな音と対比させるためである。
CD『海へ』の紹介の時にも書いたが、知らなければ男の人が吹いていると思うようなパワフルさである。
第1楽章の、跳躍の多い部分、一つ一つの音のいわゆる「粒立ち」が素晴らしかった。パユの一音一音の輝きも素晴らしいが、高木綾子さんの音は本当に一つ一つの音の「音出し」練習の延長のように、綺麗に全ての音価に等しいパワーが与えられていた。演奏後に飯森さんも言っておられたが、個性の強い音色の高木さんだけれども、「私がソリストよ!」というような独善的な演奏ではなく、オケとのアンサンブルをとても大切にしているのがよく理解出来た。ある意味、少しお互い探っている感じもしたけれど(リハもゲネプロもやっていても、客の入ったホールでの本番は初めてな訳であるから)。
第2楽章。これは、はっきりいって、ランパルよりパユより高木綾子に軍配である。あういう叙情的な、情感たっぷりの低音を吹かせたら、彼女の右に出る者はいないのではなかろうか?高木綾子さんによるイベールの第2楽章を聴いたら、パユの演奏が軽く感じられる程であった(といってももちろん私はエマニュエル・パユ氏をフルーティストとして大変尊敬し憧れていますよ)。コンサートミストレス犬伏亜里さんとの「愛のデュエット」の中間部の素敵だったこと。彼女のイベールコンチェルトのディスク、早く出ないかな〜、と思わせる演奏だった。
第3楽章。御自分のブログでも「スタミナ切れ」と書いておられたが、確かに途中怪しい部分や乱れもあったようであるが、ほとんど気にならなかった。パリ人の南欧、スペイン趣味というのか、そういった変拍子の明るい動きの速い、技術的に難しい楽章である。確かに吹ききるのには、「体力」がいりそうである。高木さんは循環呼吸が操れるのでよく分からないけれどもしかしたら使っておられたかも知れない。息継ぎ的にも厳しい部分が多いし、なかなか休めない楽章である。その中でカデンツァ、これは特筆に値する。ランパルだってパユだって当代一の名手である。さすがに彼らのカデンツァは素晴らしい。しかし、高木綾子さんのは何というのか、「カッコいい」のであった。
これがフルートから出る音なのか?!
会場の聴衆でフルートにそんなに詳しくない人はそう思った事であろう。「バリバリ」とか「ジョリ」っと擬音したくなるような、そんな摩擦感の強い重く豊かな音であった。それこそ『海へ』の中で吹いているアルト・フルートの音を思わせた。
高音から降りてきながらフラッターツンゲ(ルルルルルと舌を震わせる吹奏法)では、思わず「かっこいい!」と声を出しそうになって唸ってしまった。自宅に帰って早くフルートが吹きたくなってたまらなくなった。
最後のハイトーンは、ホールの中にしばらくとどまってそのまま天に昇って行ったような感じで、本当にブラボー、bravo!であった。

3曲目。「アルルの女」第1、第2組曲。
8曲全ての解説は避ける。何というのだろう、飯森さんはもちろん、山響全体が生き生きとしていて、聴いていて楽しかった。A先生の、メヌエットのあの美音も聴けたし、T女史のピッコロも素敵だったし、トラのOさんのサックスも格好良かった。この曲を締める大事なパートであるパーカッションも素晴らしく、マエストロも最後に2回、指名して拍手をしていたくらいであった。
オケの中でのハープは久しぶりに聴いた気がするが、ホールの音響のお陰もあるだろうが(山形テルサはフルオケには少し小さい感じである)「ハープってこんな大きな音が響くんだ!」と感激したし、全体を通して本当に春の息吹を感じるような熱の籠ったしかし爽やかな演奏だったといえる。最後の「ファランドール」が終わった瞬間、指揮台の上でタクトを振り上げたままポーズをとるように停まった形の飯森さんから、フワッと何か、「オーラ」なんて陳腐な言葉では呼びたくない何かが飛び出して行ったように見えた。確かに見えた。
あれは「音楽の魂」だったか。素晴らしいパフォーマンスを遣り終えて神に近づいた(大袈裟な話ではない、一昨年の酒フィル定期でのバイオリンの漆原啓子さんのアンコールの最後の音がそうだった)者だけが放ちうる、ある種奇跡的な輝きというのだろうか。飯森さんの周りを一瞬、ふわっと何か明るい光が包んだように見えた。
しばしの静寂の後、客席を向いて万雷の拍手に応え始めるまでの飯森さんは、プレトークの時に見せた素の飯森さんではなかった。おそらく、脳内エンドルフィンが大量に放出されたのであろう、というような表情をしていた。

Yamakyo1凄い拍手にもかかわらずアンコールはなかったが(飯森さんはアンコールをしない主義?ともお聞きしたような、、、)、終演後「ファンと楽団員との交流会」がいつものように開かれた。大ホール後ろの通路というか「交流ホール」で待っていると、まだ燕尾服のままの飯森さんが登場し、スタッフの質問に答えて演奏直後の曲の解説などをまたされた。そして、今度は私服に着替えた高木綾子さんも現れ、一緒にいろいろ話してくれた。
写真は、「交流会」で司会のKS女史の質問に答える綾子さんとそれを見守る飯森さん。

Yamakyoat1
この場では、写真も自由に撮れるし、終わった後はサインも頂ける。私もプログラムにサインを頂きちょっと考えておいたプレゼントも渡す事が出来たので満足である。(この時に撮った写真はそのうちここに載せましょう!)
山響の団員も、A先生、T女史始めホルンのOさん、VnのYさん、そしてエキストラで来られたアルト・サキソフォーンのO氏らともお話しが出来て楽しかった。
今回は高木綾子さんに夢中になってしまったので、飯森さんとお話しする時間がなかったが次回のチャンスではできれば飯森さんとお話しをしてみたいものである。
写真はファンにサインを頼まれ親しげに会話をしている綾子さんの横顔を並んだ列の間からパチり。人気者!(^^
Yamakyoat4
この定期演奏会は、初日の3/25が夜であったが、2日目はマチネで昼の2時からあった。高木綾子さんのブログによると、2日目はさらにイベールは素敵に吹けた、ということであるし、服装も初日と違い鮮やかなオレンジ色の肩出しドレスを着られたようである。
写真は、サインを頂いた後のツーショット写真。当然、隣りの私はカットです。(^^;;;
3日目は、今日、これから鶴岡市に移動して(車で1時間半くらいか)、夜、平成17年度の「庄内定期演奏会」の最終演奏会である。酒田の希望ホールに比較するのは気の毒であるが、古くて小さな音響の悪いホールである。昨年の千住明氏作曲の「交響曲第一番」の時にも聴きに行ったが、演奏している人達が気の毒に感じるようなホールなのである。「希望ホール」や「響ホール」のような音響の素晴らしいホールで演奏しているだけによくわかる。今晩は、どんな演奏をきかせてくれるのであろう。
(私は引っ越しの荷造り、そして明日は脳動脈瘤の手術であるが、、、)

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コメント

Cocologがメンテナンスしてました!(またかよ、って感じですが)
そしたら、何だか、TBとコメントのところが「英語表記」になってますね。あはは。
 載せる、書いていた写真を4枚、追加しました。美しい高木綾子さんをご鑑賞(笑)ください!

投稿: balaine | 2006.03.28 17:21

test

投稿: test | 2006.03.28 23:18

<はあ~はあ~、やっと分かったホイ!今度はきっと上手くいく!>

2003.03.28
二番手、三番手、いやもっと後位置でコメント書きたかったので、待っていましたが…なんせ、演奏会の内容に触れる知識ないもんで…

詳細でライブ感ある記事は圧巻。頭の中音声付の映像がある、それを見ながら聴きながら書き下ろしてる、映像の記憶を表現選びながら言葉・文章に変換してる感じ。これって誰にもできそうで、できないものなんですよ。ひげ鯨さんの記す手術記録(そう言うの、あるのかな?)とか、カルテとか、他院への紹介状とかを読んでみたくなります。

高木綾子さんのお顔、初めて拝見しました。お見事!美しいのと、チャーミングなのと、お若いのにビックリ!目と口元がなんとも魅力的ですね。お名前はひげ鯨さんがよく書かれていたので何気に頭に入っていたのですけれど…、でね、なんか引っかかるものがありまして、それでも大して気にも留めて無かったんですが…昨日不意にポロリと思い出しました!

(高木綾子さんのファンであるひげ鯨さん、ムッと来ないで下さいまし)
むか~し、学生の頃、私、<たかぎあやこ>という名でバイトしてたんだ!って。高木亜矢子ですが。あはは、でも、『昔の名前で出ています』系じゃあありませんから。卒論で忙しくなるまでほぼ3年間、高木亜矢子やってましたねえ。思い出して一人笑っちゃいました、自分がすっかり忘れていたことを。

投稿: ダブル | 2006.03.29 00:12

ダブルさん、苦労して書き込みして下さってありがとうございます。まだ、ココログ、何かおかしいですよね。
こういう記事にもどんな事でもコメント貰えると嬉しいので、皆さんもよろしく!
「高木亜矢子」ね〜。沢田亜矢子と同じ字だからいいです。「綾子」さんは「綾子」さん。別に僕の物じゃないし。(^^
ご本人がブログで紹介された、山形新聞の記事の写真を追加しましたよ。初日のドレス姿が見れます。
どうぞご覧あれ!(素敵(@ε@))

投稿: balaine | 2006.03.29 11:13

ブラウザをSafariに替えたら書き込めました。
お疲れさまでした!素晴らしいレポートありがとうございます。高木さん、よかったようですね。彼女は昔からうまかったんですが、大学に入ったあたりから、本当に素敵な音楽をするようになりました。年を重ねて(まだ若いけれど)さらに品格が出てきましたように感じます。彼女のニールセンも絶品ですよ。応援してあげて下さい!

投稿: kitagawamorio | 2006.03.29 15:28

KMさん、コメントありがとうございます。
ニールセン、故吉田先生のお別れの会の時、奏楽堂で1楽章だけ聴きました。KMさんはあの時、コントラかダブルコントラを吹いていらっしゃいませんでしたか?
吉田雅夫先生は、(勝手に)私の心の師なので、あの会には参加出来て嬉しかったです。
綾子さん、ますます上手くなりましたよね。でも3/25の3楽章では、ちょっと顔をゆがめるシーンもありました。綾子さんはもちろん、KMさんも、いや、心情的には世界中の笛吹きを応援しています。

投稿: balaine | 2006.03.29 15:47

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