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2006.03.04

今日は3/4です。

って、実は、丁度一年前の3月4日にも、同じタイトルでブログ、書いてます。
Happy Birthday !なんだか、今は韓国に勉強(?)に行っているらしいですが。
ーー
そして、同じ日だから当然ですが、2年前に長嶋茂雄さんが脳梗塞に倒れた日です。
あれから、一生懸命頑張ってリハビリをされて、最近は時々我々の前に元気なお姿を見せて下さいますね。
元々自らに限界を決めるような人ではなさそうだし、まだまだ頑張って頂きたい。
ーー
今日は当番だが、既に2名脳卒中で入院させた。一人は長嶋さんと同じ(というより故小渕首相に近い)、脳塞栓症だった。心源性の血栓が脳の血管に詰まって起きる脳梗塞である。心房細動がある。来院時は凄い頻脈で、一分間に180〜200回の心拍数を呈していた。脳保護の治療も大事だが、心臓の治療が中心になりそうである。でも「脳卒中」であり、失語症、意識障害があるので「脳外科」が診るのである。心臓が原因なのに循環器内科は、意識障害のある急性期の脳卒中など診たがらない。意識障害を扱えるのは脳外科医だけであるから。
新臨床研修制度で学ぶ卒後1年、2年といった「研修医」は、各病院のプログラムに従って、自分の希望と教育研修部との話し合いで、いろいろな科を2年間の間に回って勉強する。
必修の科もあれば必須ではない科もある。
「脳神経外科」は、必修ではない!脳外科と言う臨床科が「特殊」というイメージがあるからだろう。
ところが、先日も書いたように、『意識障害』の患者を最もたくさん扱うのは脳外科医である。脳が直接の原因ではなくて、たとえ心臓が原因でも低血糖でも、意識障害で救急外来に運ばれると脳外科がコールされる事がある。酒による意識障害でも呼ばれる事がある。
なぜかというと、意識のない人、意識が混濁してきちんと反応しない人を診察する技術や経験を持った医者は、脳外科医以外にはほとんどいないのである。救命救急医は当然こういった患者を扱うのであるが、救命救急医が常勤している病院は数少ない。そして、意識のレベルを判断し、その原因を鑑別し、正しい診断をつけ、速やかに適切な治療を開始する、という観点からすると脳外科医に優る臨床かはいない、と手前味噌ながら断言出来る。それなのに、研修医の必修科目ではない。
この辺は、全国的に反省して改めるべきである。
こころある教育研修部のある病院では、独自に考案して研修医が脳外科を必ず回るようにしている。うちの病院もそうである。

呼んでも返事をしない、叩いても目を開けない人の状態を調べるのは、知識と技術と経験である。何もまやかしや手品ではなく、勉強すれば誰でもできることなのだ。


今週は、三叉神経痛の顕微鏡下血管減圧術、脳底動脈ー上小脳動脈分岐部破裂脳動脈瘤のクリッピング手術、前交通動脈破裂脳動脈瘤のクリッピング手術と大物が3件あった上に、急患も少なくなく、忙しかった。
一昨日は宿直だったので、昨日手術が終わってICUで指示を出して患者の状態を診て、しばらくして帰宅するまで、約38時間ず〜っと病院の中にいた。
それでも、今日は当番なので8時半から病院に来て、ICUの術後患者、HCUの術後患者、病棟の患者を診て回り、指示を出し、処置をし、そして急患二人を入院させ、そろそろ帰宅しようかなと思っているところ。
昼食はどうしよっかな?

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コメント

長島さんは実家の母のヒーロー?心の恋人?でした。第二位の渡哲也とは別格のポジション!一人で暮らしておりましたが、新聞は読売新聞、スポーツ欄を熟読し、一喜一憂しておりました。そういう母は好きでしたね、可愛らしかった。監督もお辞めになった後はとてもつまらなそうでした。詳しかったですよ、野球に。長島さんが倒れる前に、浮世にまったく興味なくなっちゃいましたけどね。

脳外科の分野って、面白そうですね。不適格な表現かもしれないけど、精密機械、司令塔って感じですもの。
脳の機能を解明した人の、ワクワク興奮度合いって凄かっただろうなあ。人間(あつ、動物もか)って、よく出来てるなあと実感できそう。もちろん他の臓器もそうでしょうか、よりストーリーを感じたりして。脳はメンテナンスフリーの機器、とてつもなく精巧に出来てるけど、トラブルがあれば大変な事になってしまう事が多い。アウトになった車のバッテリーのように代替品はないし。それに、心は脳にあるって前提で見れば、文学的・詩的な領域の気もしてきます。
もっと賢かったらなあ、しっかり勉強してたらなあ、志あったらなあ、私だって脳外科医!…なーんて、ナイ・ナイ、ムリ・ムリ!おっかなくって。

投稿: ダブル | 2006.03.05 11:00

まあ、田舎だと脳外科入院したらかなり重症!みたいなイメージあるので内科がそれを利用させてもらってるところ、あるんですよねー。

脳外科「なんでもっと早く呼ばない!」VS内科「何でこんなので夜中に呼ぶんだ!」でしたね。アホな内科医にゃ荷が重いでしょうから、勘弁してあげてください。

投稿: 内専 | 2006.03.05 12:01

最近考える妄想の一つ。
「顕微鏡下で1mm以下の血管や神経を触って手術を成功させてきている技術と経験があれば、二重まぶたを作るとか「美容形成」なんてちょろいんじゃない?多分、凄い名医になれるかも、、、」
なんでこんなこと考えるかと言うと、社会的な目としても、医師の間の目としても、実際の収入としても、「脳神経外科医」はその技術や仕事のリスクなどに比べて、ローリターン、わかりやすくいうと冷や飯位だと感じさせられるんですよね。
医療の理想や脳の未知に対する夢や憧れを壊してしまうくらいです。
50才近くなって、特に深刻に思います。
「自分のための人生を歩んでもいいんじゃないか?!」って。

投稿: balaine | 2006.03.06 18:47

本当に、これこそ医療問題です。ひげゴジラ先生がBBSで書かれてたのをメールします。

投稿: @むーむー | 2006.03.06 20:04

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