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2006.02.02

うっかり

といっても大した事ではないのですが、既に2月になっていました(笑)。(^^;;;;
『一月はいぬ、二月はにげる、三月はさる、、、』
昔の人は本当に上手い事言ったもんです。
一時間の長さ、一日の長さ、一ヶ月の長さなんて物理学的には同じはずなのに、どうしてこの季節は時が過ぎるのが速いのでしょう。ヨーロッパ旅行から戻って、明日で早くも3週間経ちます。
 そうそう、うっかりといえば、このブログを始めたのがH17年1月6日だったので、いつの間にか(ハンガリーにいる間に)、一周年を過ぎてしまっていました。あはは、、、(^^;;;

 先週オケの練習に行った時に、ある方から「一年の24分の一旅行してきた感想はどうですか?」と面白い表現をされました。ふむ、2週間の旅というのは一年の24分の一か〜、と変に感心してしまいました。私の一生の何分の一なんでしょうね。
 限られた人生、医師として、脳神経外科医として社会に少しでもお役に立つ人間でありたい、と同時に「自分の時間」「自分の幸せ」というものも最近意識しています。
 『医者のQOL(=Quality of Life)』、という表現を用いられる事もあります。病気や怪我という社会的ハンディを負った人達に救いの手を差し伸べ人生を豊かにするお手伝いをする、理想的には清貧に甘んじても利益を追求せず奉仕の心で働く、のが医者のあるべき姿でしょう。しかし、自分の家を建てる、いい車に乗る、いいスーツを作る、いい鞄を持つ、美味しい料理を楽しむ、旨い酒を嗜む、幸せな家庭を築く、子供に恵まれる、孫が出来る、健康で長生きする、etc.etc...。
医師も人間ですから様々な『欲』があります。上記のような「望み」「欲」の例は、世間一般の人、中流意識が強いと言われる多くの日本人が似たようなものを持っていると思います。誰もそれを否定する事は出来ません。まして、「医者なんだから、、、」というような文言で規制というか抑圧される事はおかしいでしょう。ただ、我々医師は本来、医療活動に身を捧げ自分の患者の事を第一に考える(WMAジュネーブ宣言の一文)ように己で宣言し、また世間からも期待されている者たちです。
 豊かな時代に生まれ育った現代の10代後半から20代前半の若者達に、自分の人生を犠牲にしても弱者のために働く覚悟がある人、自らの愉しみ(快楽)や欲よりも患者の事を常に優先するような考え方で生き抜いて行ける人がどのくらいいるでしょうか?
 「初期研修義務化」が実施されて初めての初期研修医がもうすぐ2年間の「初期研修」を終えます。(土日病院当直などの)アルバイトが禁止され、代わりに最低限の給与が保証され(私が研修医の頃の4,5倍もらっている)、プログラムやカリキュラムを自分で選択希望して研修病院とのマッチングが行われましたが、あきらかに田舎の病院は人気がなく、都会の病院に集中しました。若者は、選択する判断基準として病院や指導医のことと同様に(同じくらいの給料なら)暇な時間に自分が遊べる、楽しめる、刺激的な都会を選択したとすら言えます。
 しかし、これを誰が批判出来るでしょうか?私だって、コンサートとかいろんな事を考えるとこのネット社会の今でこそ、東京や横浜などの大都市圏に住みたいな、と考えてしまいます。
 そんなことを、ボンヤリ考えていると、いつの間にか3月になってしまうのでしょうが。(笑)

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コメント

う~~ん、、う~~ん、、、 ( ̄へ ̄|||) ウーム。。こんなこと私が考えても分からないので、やめた(笑) 昨日、医学生のシンポジウムを見てきました。医学生から見た医療現場での問題、求められる医師像、かつ自分達から見た今の医学教育の問題などの意見が出てました。それで、ここでは、balaineさんの独り言が読めて、面白いです。by ただの野次馬患者

投稿: @むーむー | 2006.02.02 14:21

@むーむーさん、まあ、ぐちですけん、聞き流しとってくんしゃい。
そんでん、若い医者の田舎ばなれは、すすんどっとですよ〜。5年後位がみものですばい。

投稿: balaine | 2006.02.02 19:17

そうはいっても 研修医の間は 病院の外へ出る暇はそんなにない と思われる 教育研修病院の人気が高いような気がしますが、幻想を抱いているのかどうか。

自分は 都会そのものではない近郊の勤務地ですが、学会・研究会には行きやすいくらいかな。でも 会場が近い場所では1時間強から二時間は片道かかるので、 地方で空港に近いところなら 同じくらいかもしれません。

投稿: suyasuya | 2006.02.02 20:08

ツボにはまった \壺/ アハハハ・・_| ̄|○∠))バンバン!  balaineしゃんてくさ、何ヶ国語使いよるとかいね~もうたまらんばい。どげんなってん、よかばい。笑いのパワーで治らんもんも治りそうな気ぃしてきた。。

投稿: @むーむー | 2006.02.02 23:53

そうだったんだあ、「初期研修」か。
はじめまして、むーむーさんと同じく、海面静脈洞に髄膜腫を持つ広島在住のダブルと申します。
むーむーさんのページ通してアクセスしました。
実は私の髄膜腫、まだ外科的な治療は施しておりません。ずっと、内科的な治療です。
それなりの大きさはあるのですが、脳外科医によっては摘出をすすめるドクターもいらっしるのですが、主症状の複視の悪化の可能性が大きく、いまだ手付かずです。
まあ、それは良いとして、複視がひどくなるとステロイド・パルスを受けるんでが、先月も3回目のパルスを受けまして。
そうしたら、病棟担当の研修医が言うんです。
最終的には脳外科志望ですが、ここでは神経内科と、○○科を取って、春から九大で○○科と○○科と・・・って。
入院も5回目ですから研修医にも3人出会いましたが、そう言うことは初めて聞いたので・・・そうでしたか・・・いろんなことが変わっていってるんですね。これが初期研修ってことなんですよね。
そういう医療分野の事って、元気なうちは興味の範囲にないんですね。例え病院と縁ができても自分の身体でいっぱいいっぱいで、なかなか視野は広がりませんし。
あっという間に、ドクターも看護師も自分よりうんと若い人がほとんどになり、気がつくと自分の子供感覚だったりします。
医療分野の変遷を把握することはできそうにありませんが、自分の息子達に願うように、ドクターや看護師に「がんばるんよ」と願ってるおばちゃんです。

投稿: ダブル | 2006.02.03 10:06

suyasuyaさん、仰る通り、初期研修の間は遊ぶ暇なんて無い、はずですが、米国に習って(?)、宿直の翌日は休みまたは半ドンにするように指導されているようで、研修医によってはダラダラ病院にいないできちんと休んで趣味なんかやっている者もいるようです。
アウトドアライフなんか好きなら田舎もいいのですが、ちょっと2、3時間、街に出てショッピングやら本屋なんかに行ったりドライブしたりするにはやっぱり都会の方がいいですよね〜。私が今初期研修医なら実家のある横浜近郊に行くような気がします。

投稿: balaine | 2006.02.03 10:45

ダブルさん、はじめまして。
広島にも知っている脳外の先生は少しおりますが。。。主治医の方々は「実力のある脳外科医」とお見受けします。
「出来物があったらオペでとる」というのは昔の考え方です。今はmultidisciplinaryといっていろんな治療手段がありますから。
MRIで腫瘍の大きさ、発育方向、周囲との関係がつぶさに経過観察出来る時代ですので、この「経過観察」こそ『治療』なんですね。
(じゃけんどぉ、広島風お好み焼きならぁたべたいが〜)

投稿: balaine | 2006.02.03 10:57

multidisciplinary (形)諸専門分野からなる、総合的な、多角的な・・・ですか。
まずは、返信ありがとうございます。
難しい単語ですね、マルチ、マルチなんとか、絶対書けない自信あります!あはは。

 『治療』について考えてみました。
2年ちょっと前、画像で私の腫瘍を発見したのは、ある総合病院の脳外科医でした。血管造影の検査を薦められました。
さあて、どうするか!
困った時に頼りになる身内の医者、もとい、困ったときにしか連絡しない身内の医者に相談。
なんやかやの成り行きで、神経内科でお世話になり、もう2年以上が経ちました。
もちろん、主治医経由で定期的に大学病院の脳外科でのMRIと受診もしています。
内科的対処療法的対応は双方一致の方針。
で、今に至るのですが、あの時、脳外科一本で、ちゃっちゃっと進めてたら、今は症状も含め違った展開になっていたかも知れないと思います。○か△か×かも分かりません。
正直、内科的対処療法は、終わりが見えないから、複視がひどくなる度に、
「またかよ~」とか思っちゃいますし、じゃあ、腫瘍がどんどん大きくなって、小さくするしかない、って状況を望んでる?と、問われると、
「いやあ、それはちょっと…」で。
「じゃあ、魔法で腫瘍消しちゃいますか?」
と聞かれたら速攻、「それ、頼みます!」なんですが。あはは。
ただ、複視は10年以上ありましたし、あちこちでの検査でも見つからず、やっと見つかったのが2年ちょっと前。
あの頃、私、ものすごく疲れていました!
身体もオカシイし、目もオカシイ、でも誰も「答え」をくれない。
自律神経失調症なんて単語もドクターから出てくる。家の中も不協和音、仕事もしんどくなる…
身体中が軋んだ状態で検査入院を皮切りに長い病院との付き合いが始まりました。

画像で腫瘤発見!という答えが最初の『治療』でした。「ああ、原因見つかったあ」
なあんもしてないのに、ただ見つかったことで安堵感。恐怖なんてほとんど無かった。
内科的検査が進むと、いろいろ答え合わせができていく感覚でした。
この症状はこれが原因でしょう、こっちはこれが原因でしょう・・・力抜けていく感じで、ふぬけになる感じが、なんとも他力本願的な時間で、心地良く…
まだなんの治療も始まっていないのに、体と精神はどんどんほどけていく感じでした。
性格的な要因が大きいと思いますが、
(ああ、これで頑張らなくていい、私、まだ仕事も家庭も頑張るつもりあるけど、やむ終えず頑張れなくなってしまったんだから しょうがない、私はまだ頑張れるんだけどね)って。
やねこい性格ですね。
んまあ、ストレス貯金が得意な性格!?
でもその一方で、(へ~っ、私の人生、こういう展開かあ)みたいに客観的に見てる自分もいました。
最近は、当初居心地の悪かった専業主婦にも慣れてきました。「今日も取り立ててなあんもしなかったなあ、」と一日をやり過ごすぼんやり加減な日々です。
内科的な治療は終わりが見つかりません。
イライラすることもあります。
でも担当医は、新しい切り口見つけるべく、
私の血液を専門の研究室に送ってくれたり試みてくれています。
(髄膜腫+αかもって、感じかな)

相変わらず腫瘍はそこに鎮座したままなのですが、実際のパルス療法はもちろんですが、入院を含め、思わぬところで『治療』は存在する気がしています。

(へ~っ、私の人生、こう言う展開かあ)って思える自分路線で行けば、なんか、いい拾い物があったりして。

PCにずっと向き合ってたので、オットのYシャツのアイロンかけは明日にしょう、懸賞の応募も明日にしよう。こんな日々です。
お忙しい中、お邪魔しました。


投稿: ダブル | 2006.02.03 15:47

ダブルさん、お返事ありがとうございました。
一つ気になっている事ですが、これまで検討されたとは思うのですが、ガンマナイフなどの放射線治療、放射線手術はどうなっているのでしょう?
私が主治医だったらまず最初にガンマナイフ治療をお勧めすると思うんですが。

投稿: balaine | 2006.02.03 17:15

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受信: 2006.02.03 05:50

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