盤石
今日の手術は、小脳に出来た大きな2個の「脳膿瘍」でした。
というか「膿瘍」だろうとの予測で手術を組みましたが、抗生物質に抵抗性で進行性に大きくなっていたので、がんの転移による脳腫瘍と、脳原発の悪性腫瘍の可能性も捨てきれずにいました。
手術中、膿瘍(=膿み、うみ)が出てきた時にはギョッとしましたが、同時に患者さんのためにはホッとしました。術前検査である程度「癌ではない」と確信がありましたが、悪性の原発性脳腫瘍の可能性もありましたから。
手術は予定4時間のところ、3時間53分で終了。輸血なし。術後覚醒良好。すぐに御家族も面会し全員の名前をきちんと応える姿を見て、御家族の何人かは涙されておりました。
「ありがとうございました」
と言われて嬉しくない訳ありません。こちらは仕事。プロとしてのノルマをきちんと果たしただけ。いってみれば当たり前の事をしただけ。「神の手」は持っていませんが、当たり前の事を当たり前にやるのには「神の手」は特段必要ないと思います。ただ、きちんとやる事、全てを「盤石」に冷静に落ち着いて。
大事なのは術後の管理と治療であることは明白。これをきちんとやって元気に独歩で退院して頂いて初めて「良かった!」と言える訳です。全ての面に渡って注意深く盤石な対応が必要です。
でも、多分Ave Mariaの祈りがききました〜! v(^^)
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コメント
良かった、よかった。(;^∇^)>ホッですね。balaineさん、神の手は持っていないでしょうが、神がbalaineさんの手を借りて(使って)治してるのでしょう。私は自分がDrたちに治していただいてることをそう思っています。これは医療だけのことではないですけどね。私のまわりで、私を助けてくださってる人々はみんな、神様が差し伸べられた手だと考えてます。その患者さんや、ご家族の方々も誰に感謝って、それはbalaineさんでしょうが、背後には、、、やっぱり私は無心論者ではなかった。あっはははは
投稿: @むーむー | 2006.01.31 20:42
diffusionWIは術前に施行されてたのでしょうか?
投稿: いのげ | 2006.02.01 01:44
@むーむーさん、コメントありがとうございます。確かに仰る通りです。
音楽にしたって、その人が作曲したり演奏しているのではなく、神の意志がそこに働いていると考えざるを得ない事が多いです。
いのげさん、はい、当然です。
このブログはあまり専門的なことを語る場ではないので書きませんでしたが、DWIで2個のcyst内容物がhigh signal intensityであったため「膿瘍だろうとの予測」をしていた訳です。
投稿: balaine | 2006.02.01 09:54
大先輩に失礼な質問で申し訳ありませんでした.diffusionは特異度が高いので私ならほぼ確定と考えてしまうところなもんで聞いてしまいました.何でも過信は良くないですね.
投稿: いのげ | 2006.02.01 17:35
初めてコメント書かせて頂きます。
実は私、何年か前に先生が大学にまだいらした頃に診察受けた事あるんですよ。
交通事故後、眩暈嘔気嘔吐眼振とまぁ普通の症状でしたが・・・
入院適応だけど実家なら帰ってもいいけど、いつでも何かあったら来なさいねと言ってくれた一言、うれしかったです。
その後、何年もたってからある病院で代診でいらした先生と一緒に何日か働きましたが患者さんへの思いに感動したのを覚えています。
すいません、取りとめもなく書いてしまいました。
投稿: U | 2006.02.02 23:02
Uさん、はじめ(?)まして。。。
え?ええっ?
私の事、御存知なんですか?人違いじゃないですよね?
そんな、患者さんへの想いを感動されるような「タマ」じゃないですけど。。。
や、やばい。。。
本性がばれる。。。(^^;;;;;
投稿: balaine | 2006.02.03 10:37